新規就農者が選ぶべき作物とは?野菜と果物を比較して紹介!

農家になりたい、新規就農したいと考えたときに、何を栽培するのかは非常に重要です。

作物を決める際に「野菜と果物ではどちらがいいのか?」という疑問を抱く人も多いでしょう。

この記事では、新規就農者に向けて「野菜」と「果物」を比較し、その特徴の違いについて紹介します。

実際の新規就農者がどの作物を選んだのかや、収入の違いについても紹介しています。

「何を栽培するべきか悩んでいる」、「自分に合う作物が何か知りたい」、「新規就農してみたい」という方はぜひ参考にしてみてください。

新規就農者におすすめの作物とは?実際のデータを元に紹介

新しく農業を始める人にとって、どんな作物が良いのでしょう。新規就農者の就農実態調査の結果を元に他の新規就農者がどんな作物を選んでいるのかの結果を参考に紹介します。

新規就農者が選ぶ作物とは

一般的に経験の浅い新規就農者には「野菜」がおすすめといわれています。

実際に新規就農者はどのような作物を選んでいるのでしょうか。

令和3年に全国新規就農相談センターが実施した新規就農者の就農実態調査の結果によると、露地野菜や施設野菜といった野菜が66.3%、果物(果樹)が3.4%でした。よって新規就農者の7割近い人が「野菜」を選んだということが分かります。

新規就農者が「野菜」を選ぶ理由とは

新規就農者が野菜を選ぶ人が多い理由として、果物よりも始めるハードルが低く、失敗するリスクが低いことがあげられます。

特に露地野菜は野菜を育てるための畑があれば始められるため、就農する際のハードルは低いです。

逆に果物、特に果樹においては高額の初期費用が必要となります。果樹栽培のみで生計を立てるには2ヘクタール以上の土地が必要になるといわれており、始めるまでのハードルは高いです。

また、一般的に野菜栽培は実力差が出にくく、新規就農者でも失敗が少ないです。年間を通して需要がある上に収穫が可能なため、リスクが低いことがいえます。

特にハウスなどで栽培する施設野菜は、ハウスを建てる際の初期費用が必要になるものの、露地栽培では難しい時期でも栽培が可能な上に天候による影響を受けにくく、安定して出荷することが可能になります。

一方、果物は収穫までに数年必要になり、商品には品質の高さが求められます。そのため、果物は農業初心者には失敗するリスクが高いといわれています。

野菜と果物の違いとは?5つの特徴から比較

野菜と果物では栽培し販売する上でどのような違いがあるのでしょうか。

  • 栽培期間
  • 収穫の頻度
  • 栽培の難易度
  • 商品単価
  • 6次産業化

これらの5つの特徴から野菜と果物を比較して紹介します。

野菜と果物の栽培期間の違い

一般的に野菜は栽培期間が短く、果物は栽培期間が長い特徴があります。

野菜は種まきから3か月前後のものが多いです。小松菜やほうれん草などの成長が早い野菜であれば1か月程度で収穫できます。

そのため、年間を通して安定して収穫・出荷することが可能です。

一方、果物、特に果樹は苗木を植えてから収穫するまでにかなりの年数が必要になります。

たとえば、みかん、りんごなどの主要な果物は収穫まで3年かかり、長いものだと5年以上かかります。また、収穫がない期間も常に木の手入れは必要になります。

イチゴ、メロン、スイカなどの果物もあります。学問的には野菜でも消費者の感覚としては果物であるため、「果菜」や農林水産省では「果実的野菜」と分類されています。

これらの「果菜」の栽培方法は野菜と同様のため、植え付けから収穫まで3か月から6か月程度です。タネから栽培しても1年以内には収穫できるため。果樹と比較すると短期間で収穫が可能です。

野菜と果物の収穫の頻度

野菜は通年に渡って収穫が可能であり、果物の収穫は年に1回であることが多いです。

畑で栽培する露地野菜は、野菜の種類によってその時期にしか栽培できないものが存在するため、1つの野菜のみを栽培する場合は、「早生」や「遅生」といった栽培時期が異なる品種をずらして栽培することで定期的に栽培、収穫することが可能です。

特に、ハウスなどの施設栽培であれば寒い時期も温度管理することが可能なため、より長い期間にわたって栽培、収穫することができます。

果物は特に果樹においては、ほとんどの場合は1年に1回収穫期を迎えます。野菜と同様に品種によって収穫時期をずらしての収穫が可能ですが、栽培期間が長いため野菜栽培よりも収穫をする農繁期と準備期間である農閑期がはっきりしています。

野菜と果物の栽培難易度

作物の栽培において、基本的に栽培期間が長いほど失敗する危険があり、難易度が高いとされています。また、害虫被害に遭いやすい作物や、こまめな手入れが必要な作物も難易度が高いです。

そのため、栽培期間が短い野菜は難易度が低く、栽培期間が長い果物は難易度が高い傾向にあります。また、野菜よりも果物の方が害虫の被害や手入れが必要となる傾向にあります。

たとえば、栽培が簡単といわれる小松菜やミズナは栽培期間が短く、追肥などの手間もなく1か月から1か月半程度で収穫できます。逆に難易度が高いといわれるアスパラガスは2年程度株を生育する必要があり、収穫までにかなりの時間を必要としますが、栽培の手間はあまりかかりません。

果樹は収穫までに2年から5年ほど必要であり、さらに葉や実が害虫に狙われないようにしっかりと手入れをする必要があります。また、長い栽培期間の間に水害などの天候による被害にあってしまった場合、かなりの損失となります。

また、メロンやスイカのような果菜は栽培期間が半年程度であるものの、難易度はかなり高いといわれています。

たとえばメロンは梅雨の長雨により根が腐ったり、肥料を与えすぎると肥焼けをしてしまうことがあります。根が弱ると、病気に感染しやすくなります。また、暑さにも弱く、ウリハムシという害虫の被害にも注意が必要になります。よって、栽培期間は短いものの、メロンやスイカといった果菜は技術の差が出やすく、経験の浅い新規就農者には難しいとされています。

野菜と果物の商品単価

野菜は商品単価が低い傾向にあり、果物は商品単価が高い傾向にあります。

野菜は短期間に大量に収穫できるため、単価が低いことが多いです。時期や天候などで金額に多少は影響があるものの、基本的には低めの価格設定になっています。

一般的に野菜の評価基準は「見た目」であり、「味」による評価は基本的にありません。そのため、付加価値がつけにくく、品質を上げたことによる価格の差は生まれにくいです。

逆に、果物は野菜と比べると市場に出回る量が少なく、単価が高い傾向にあります。また、果物は差別化がしやすい商品のため、品質の良いものを作ればより高単価にすることも可能です。このように「味や美味しさ」が評価されるのは果物の特徴です。

たとえば、美味しさを数値化する方法としては「糖度」がよく使われています。

また、果物は野菜よりも贈呈用として高単価で取引されやすく、近年では「ふるさと納税」の返礼品として1箱1万円程度で取り扱われることもあります。

野菜と果物の6次産業化のしやすさ

6次産業とは、生産者(1次産業者)が加工(2次産業)と流通・販売(3次産業)も行い、経営の多角化を図ることをいいます。

作物を栽培し店舗に卸すことは農家の基本的な稼ぎ方ですが、6次産業をすることにより、収入源を一つに頼らない形が取れるため、安定して収入を得ることが可能になります。

よって、6次産業は安定して稼いでいる農家の多くがこの形をとっており、近年増加している方法です。6次産業は農林水産省も推進しており、補助金や助成金も存在します。

たとえば、インターネットで直接商品や加工品を販売したり、収穫体験や果物狩りをすることも6次産業にあたります。

参照:新規就農者の就農実態調査

新規就農してすぐに6次産業化を図るのは難しいですが、新規就農者の就農実態調査によると、就農してからの経過年数と比例して6次産業に取り組む割合は増加傾向であり、特に農産加工に取り組む割合は年々増えています。

果物と野菜では、果物の方が6次産業化しやすいといえます。

果物はジャムやお菓子、ドライフルーツ、ジュースなど、加工がしやすく、安定した需要があります。

また、果物は野菜よりも単価が高く、味や見た目で差別化がしやすいため、ネットで直接販売もしやすい傾向にあります。

野菜もドレッシングやタレへの加工販売や、農家レストランなどが可能であるものの、果物よりも難易度が高いといえます。

よって、作物に付加価値をつけ、加工や販売が積極的に行えるのは野菜よりも果物であるといえます。

新規就農での作物選びにおいて「稼げるのかどうか」も重要

就農とは一つの会社を立ち上げるようなものであり、しっかりと利益を出す必要があります。

特に新規就農者は初期費用がかかる上に収入が安定するまでに期間が必要となります。

そのため、多くの場合、就農して最初の数年は貯金を切り崩したり、他の収入でやりくりしていることが現状であり、稼げる作物を選ぶことは安定収入を得るためには必要な選択です。

新規就農者の作物別の収入とは

参照:新規就農者の就農実態調査

令和3年に実施された新規就農者の就農実態調査によると、作目別の新規就農者の収入は施設野菜が195.7万円、露地野菜が138.6万円、果樹が154.5万円という結果でした。

また、就農後の農業収入で生計が成り立っている割合も施設野菜 46.6%、露地野菜 31.4%、、果樹 33.7%という結果となりました。

よって、この結果において新規就農者で稼げているのは施設野菜であることが分かります。

「稼げる作物」の共通点とは

稼げる作物の共通点として

  • 天候に影響されず安定して出荷できる
  • 高単価、もしくは効率的に大量に収穫できる

この2つがあげられます。

施設野菜はハウス内で栽培するため通年に渡って安定して収穫が可能であり、天候による影響も受けにくいです。また、露地栽培では栽培ができない市場価値が高まる時期にも栽培可能なため、高単価になりやすく、結果的に新規就農者でも安定して稼ぐことが可能になります。

しかし、施設野菜はハウスが必要になるため、初期費用が高いことがネックになります。貸出しているハウスがあったり、農業を引退する方から譲り受けることができれば初期費用を抑えて就農することが可能なため、こまめに情報を取り入れるようにしましょう。

稼げる野菜についてはこちらの記事でも詳しく紹介していますので参考にしてみてください。

野菜の単価は手をかけても大きくは変わらないため、野菜栽培でより売り上げを伸ばすのであれば大量生産が可能な野菜を選びが必要です。農林水産省によると、野菜生産は収穫・調整作業に大きく時間がかかることが分かっており、手作業が少なく、機械作業でまかなえる作物が理想です。

たとえば、ブロッコリーの品種である「のぞみ424号」は葉柄が短く、折れにくいため、機械作業性がよく収益効率がいい野菜です。

果物は基本的に1年に1回のみ収穫の季節的な作物であり、安定して通年に渡って収穫することは難しいものの、手をかけるほど高額で売れる可能性があり、6次産業化もしやすく、稼げる可能性を持った作物です。

農林水産省の果樹農業に関する現状と課題についてによると、近年は農業の高齢化が進み、果樹園の空き地が出てくることがよくあります。もし、前年まできちんと世話されていた果樹園を、そのまま引き継ぎ、借りることが出来るのであれば、しっかりと育った果樹をそのまま受けつぐことが出来るため、自己負担が少なく農業を始めることができます。

また、木の植え方やスマート農業の導入によって作業効率を上げることも可能です。たとえば、りんごの受粉作業は1haあたり33名で20時間かかっていたところを、機械の導入で1名が1時間で終わらせることができるようになりました。

よって、ローリスクで安定してある程度稼げるのが野菜であり、リスクがあるものの成功すると野菜以上に稼げる可能性を秘めているのは果物であることがいえます。

もちろん、稼ぐためにはその土地の環境や条件、気候なども考慮した上で作物を選ぶべきです。

まとめ

新規就農を目指す方向けに野菜と果物の比較を紹介しました。

野菜は1年を通して長い期間栽培でき、果物は特定のシーズンしか収穫できません。そのため、新規就農者は果物よりも野菜の方が稼ぎやすいです。

季節ものの「果物」はその年に失敗すると1年先まで待たなくてはならず、収入の無い期間が生まれるからです。

しかし、商品の単価が上がりにくい野菜とくらべて、果物は品質を高めることで高単価での取引が可能になり、加工品を作るなどの6次産業を行うことで野菜よりも稼げる可能性を秘めています。

よって、ある程度の蓄えがあり、農繁期と農閑期がはっきりしていることに魅力を感じる方や、果物狩りや加工品の販売など多角的農業に挑戦したいという方は果物がおすすめです。

逆に、コツコツと生産努力を続け、地道に農業をやりたいという人にとっては、野菜のほうが向いているといえます。

作物選びは就農の際の重要な選択です。野菜と果物のどちらがいいのか疑問に感じた際には、今回紹介した特徴を参考に、自分にあった作物選びをしましょう。

番外編:ローリスクで果物農家になるためにシェア農場を活用するという方法も

みんなで農家さん」では複数人でひとつの農場を利用する「シェア農場」を運営しております。

すでに必要な施設や道具は揃っているため、果物農家になるときに必要な「高い初期費用」や「長い準備期間」が不要となりローリスクで就農することが可能です。

みんなで農家さんでは、主に「国産バナナ」を取り扱っています。国産バナナは「高単価」で「天候に左右されず安定して収穫が可能」であり、稼げる農業の条件もそろっている注目されている作物です。

すでに6次産業化もされており、都内に複数店舗ある「banana no kamisama」のバナナスムージーの原料として使われています。

また、みんなで農家さんでは新規就農者に向けたサポートを行っております。スタッフによるサポートを受けながら経験を積むことができるため、農業経験がない方やまずは働きながら農業をしたいという方にもおすすめです。

「稼げる農業がしたい」、「初期費用を抑えて果物農家に挑戦したい」、「就農のハードルやリスクを抑えたい」という方はぜひこちらから詳細を確認してみてください。

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