忙しくても農家を目指せる!農業について学べる通信教育とは?メリットデメリットについても紹介!

社会人が働きながらでも可能な学習方法として【通信教育】があげられます。

通信教育とは毎日学校へ行くことなくテキストや映像型授業などを活用した学習方法です。そのため、拘束時間が多い社会人でも通勤中や休日などを利用して自分のペースで学ぶことが可能です。

しかし、仕事で毎日忙しい日々を過ごしている方は「仕事と通信教育は両立できるのか?」と不安に思っているかもしれません。

また、「通信教育で農業の知識がちゃんと身につくのか?」という疑問もあるはずです。

この記事では、社会人が通信教育で学ぶメリット、デメリットや、通信教育を実施している学校の事例について紹介します。

「農家になりたい」、「農業についての知識をつけたい」といった就農を希望している方や農業について興味のある社会人の方は、ぜひ参考にしてみてください。

社会人が通信教育を学ぶことは可能なのか

仕事をしながら忙しい日々を送っている人も多い中、通信教育を始める際に「最後までやり抜くことができるのか?」と、不安な方も多いはずです。

毎日学校に通って机に座って学んでいた学生時代とは異なり、仕事と通信教育を両立することは可能なのでしょうか。

実は、「通信教育をしている大半の人が社会人である」という結果があります。

令和2年度の文部科学省の学校基本調査によると、通信制大学の学生161,142人のうち、仕事に就いている人は119,860人という結果になりました。つまり、全体の約74%もの人が社会人であるということがわかります。

また、令和元年度の通信制大学卒業者数のうちの社会人の割合も約74%程度という結果になりました。

農業系の通信教育が可能な学校は一般的に「専門学校」であり、このデータの対象である通信制大学とは異なりますが、専門学校よりも単位が多く難易度が高い通信制大学に通う多くの人が社会人であり卒業もできているということがわかります。

よって、働きながらでも通信教育で農業を勉強することは十分可能であるといえます。

農業が学べる通信教育とは

農業が学べる通信教育にはどのような特徴や種類があるのか紹介します。

主に「専門学校」や「社会人向けスクール」

農業が学べる通信教育はさまざまですが、その多くは「専門学校」や仕事をしている人のための「社会人向けスクール」です。

また、授業は基本的に土日に実施され、リアルタイムで参加できない場合はアーカイブ受講として録画し編集したものを視聴することが可能です。

オンライン主体の講座のためパソコンが必要であることが多い

受講方法としては、その多くはオンラインで授業を視聴し、テキストはダウンロードして使用する方法をとっています。

そのため、パソコンはあった方が望ましいです。しかし、パソコンがない場合でも授業の多くは「ZOOM」などを利用して行われるため、スマホでも参加・視聴が可能であり、必要なテキストはコンビニで印刷することも可能です。

自分が学びたいスクールの内容を確認した上で、パソコンを購入すべきか検討してみましょう。

農場実習が組まれているものなど特徴のあるカリキュラムも

カリキュラムは学校やコースによってさまざまですが、

  • アーカイブ視聴のみ
  • オンライン授業のみ
  • オンライン授業とアーカイブ視聴が可能なもの
  • オンライン授業+農場実習や現場での研修がついているもの

などがあります。座学だけでなく、実際に農場に行く実習が組まれているカリキュラムもあります。

実際に農場へ行く手間や時間的な拘束はありますが、現場で活かせる実践的な農業を学ぶことができるため、就農を目指すかたにはおすすめです。

もし家から無理なく通える範囲内に農場がある場合は、実習付きのカリキュラムを選択するということも検討してみてください。

学校によって特色がある

農業スクールにはそのスクールやコースごとに特色があります。

たとえば、化学肥料や農薬を使わない「有機農業」や、ロボット技術や情報通信技術 (ICT)を活用した「スマート農業」に特化したスクールなどが存在します。

自分が目指したい農業はどのような農業なのか、農業の何を学びたいのか、各スクールのコンセプトやテーマを確認した上で共感できるものを選びましょう。

通信教育で農業を学ぶメリット

通信教育で農業を学ぶ利点とは何なのか、そのメリットについて紹介します。

自分のペースで進められるため仕事との両立が可能 

通信制大学の特徴は、授業時間が設定されていないことです。通学や日中の時間を使って学ぶ通常の学校とは異なり、通信教育であればスキマ時間に学ぶことが可能です。

「農業について学びたいけれど仕事を辞めたり休職するのは不安」、「農業が自分に合っているのか考えながら学びたい」という人は多く、スクールのほとんどに働きながら学べる工夫がしてあります。

たとえば、授業は1週間から2週間に1回程度であることが多く、仕事をしながらでも取り組みやすい頻度です。そのため、気づいたら課題を溜め込んでしまったというトラブルも起きにくいです。

また、農業を学ぶための通信教育は主にネットで視聴するオンライン授業(映像型授業)によって進みます。そのため、自宅や通勤中、昼休みなどのその人の都合に合わせて講義を受けることができるため、空いた時間を有効活用できるでしょう。

入学試験がないため、学びを始めるまでがスムーズ

通常、学校であれば入学試験が必要になります。願書の作成や試験勉強をすることは時間のない社会人には大きな負担になります。

また、通常の学校であれば受験してから実際に学習を始めるまでに数か月かかることが多いです。

しかし、通信教育には入学試験が存在しないため、講座を申し込むことで手間なくスムーズに学びを始めることができます。

期間や費用が選べるので無理なく始められる

スクールによって期間は異なりますが、1か月程度のものから2年間のものまでさまざまです。

社会人は繁忙期やプロジェクトなどの忙しい時期は勉強できないという場合も多いかと思いますが、そういった仕事の都合に合わせて期間を選ぶことができるのは大きなメリットです。

費用も無料のものから数十万円のものまでさまざまです。

通常の学校であれば数十万円ほどのまとまったお金が必要になりますが、通信教育であれば自分の予算に合わせた金額で無理せず学ぶことが可能です。

たとえば、農業が学べる代表である農業大学校の学費(学費+入学費、教材費、入寮費など)は年間約80万円ですが、農業スクールである「アグリイノベーション大学」の費用は17ヵ月で約76万円、「コンパクト農ライフ塾」のアーカイブコースは1か月半で7万7千円です。

なお、農業大学校について詳しくはこちらの記事でくわしく紹介しています。

学校によっては教育訓練給付制度(一般教育訓練)の利用で受講料の20%、最大10万円の補助を受けることもできます。

また、カード払いや分割払いにも対応しているため、その人の都合に合わせた支払い方法が選択できます。

自分のレベルや目的に合ったカリキュラムが選べる

「農業について学びたい」という人の中には初心者から経験者までさまざまです。多くの農業スクールでは受講者のレベルに合わせた複数のコースが存在します。

たとえば、基本的な知識はあり、農業経営についてピンポイントで知りたいという人や、農業関係の資格を取得したいという人向けの講座なども存在するため、その人に合ったカリキュラムを選択することが可能です。

繰り返し復習できるため、理解しやすい

都合が合えばリアルタイムでの視聴も可能な場合もありますが、アーカイブ(授業内容を録画し編集したもの)による視聴も可能なため、いつでも繰り返し学ぶことができます。

大切なところは繰り返し見たり、通勤中に流し見をしてその後ゆっくりノートを取りながら授業を受けるといったこともできるため、しっかりとインプットし理解することができます。

通信教育のデメリット

通信教育で農業を学ぶデメリットについて紹介します。

スケジュール管理が必要になる

仕事などと両立する社会人にとって、スケジュール管理の難しさは大きなデメリットといえます。

時間的な拘束がない点は通信教育の魅力ですが、同時に自分の強い意思がないといくらでも後回しにしたり、サボることが可能になってしまいます。せっかく受講したのに身につかずに終わってしまったということにならないように、しっかりと自己管理をすることが必要です。

仕事帰りの疲れた状況から無理なく勉強できるように、テレビを見る時間を学習の時間に充てるなど、習慣的な学習を続ける必要があります。

自分に合った学習のスケジュールを決めてから受講するようにしましょう。

実習に予定を合わせる必要がある

基本的に「通信教育」は自宅で完結する学習方法ですが、農業系のスクールの多くは「農場実習」などの実習が組まれているものもあります。

農業を学ぶ上で実際に野菜を栽培することは、とても重要です。座学で学べる知識のみでは得られない実践的な学びを経験することで、より深く農業について知ることができます。

しかし、農場の場所が自宅の近くにあるとは限りません。また、実習は基本的に社会人でも通いやすいように土日であることが多いものの、日時が決まっています。そのため、実習の日は予定を入れないように注意する必要があります。

人とのコミュニケーションが少なく、モチベーションの維持が大変

通信教育は自宅でひとりで学ぶことができる自由度の高さが利点でもあります。

しかし一方で、ひとりではモチベーションを維持することが難しいというデメリットがあります。

スクールによっては、卒業生や在校生が入れるコミュニティが存在し、情報交換や交流の場として活用されています。また、イベントやサロンが行われていたり、卒業後も同窓会が定期的に行われていたりと、生徒同士で刺激し合いながら学ぶことも可能です。

モチベーションを維持することに不安がある方は、そういった交流の場やサポート体制があるスクールなのかをチェックしましょう。

アーカイブ視聴では疑問をすぐ解決できない

自主学習が中心となる通信教育では、疑問点をスムーズに聞いて解決できない場面が多いこともデメリットといえます。

特に、録画し編集した動画を視聴する「アーカイブ視聴」では、疑問点をすぐに解決することは難しいです。

スクールによってはメールなどを活用して教員とのコミュニケーションを図れますが、それでも返答までにある程度の時間が必要になります。

リアルタイムで視聴できるオンライン授業であれば、質疑応答の時間に質問することが可能であり、質問しやすいようにあえて少人数で行っているスクールもあります。

スクールを検討する際にはアーカイブ視聴のみのコースかリアルタイム視聴が可能なコースなのかも確認しましょう。

通信制の農業スクールとコースの事例を紹介

農業が学べる通信教育とはどのような学校なのか紹介します。

アグリイノベーション大学

参照:アグリイノベーション大学

開講日:毎週土•日曜日のどちらか(オンラインコースは日曜のみ)

■アグリスタンダードコース

農業をやってみたいと感じた全ての人のための標準コース

形式:オンライン受講(アーカイブ可)+農場実習

講座回数:全57講座、132時間(17か月間)

定員:関東校:42名

    関西校:20名

受講料:723,800円

入学金:33,000円

テキスト購入費:3,630円

■アグリチャレンジコース

農業技術のみを学びたいライトコース

形式:形式:オンライン受講(アーカイブ可)+農場実習

講座回数:全38講座、96時間(12か月間)

定員:関東校:10名

    関西校:10名

受講料:451,000円

入学金:33,000円

テキスト購入費:3,630円

■オンライン課程 技術経営コース

技術と経営を総合的に学ぶ、オンライン講座のコース

形式:形式:オンライン受講(アーカイブ可)

講座回数:全36講座、68時間(12か月間)

定員:なし

受講料:376,200円

入学金:33,000円

テキスト購入費:3,630円

アグリイノベーション大学はマイファームが運営する週末開講の農業スクールで、有機農業を軸に、就農に必要な基礎知識から農業経営に関する学習が可能です。また、「農」を軸にした社会・地域の課題解決を考えるカリキュラム構成が特徴です。

卒業後のサポートも魅力的で、キャリア相談、求人紹介、農地紹介、農機械・ハウスの貸し出し、販路サポートまでと手厚いです。

また、農業関係の人脈を広げることにも役に立ちます。これまでに2000人を超える卒業生(2021年時点)がおり、卒業後もメルマガや同窓会など交流の場が盛んに設けられています。

また、アグリスタンダードコースは教育訓練給付制度(一般教育訓練)の対象なため、受講料の20%まで(上限10万円)の補助を受けることが可能です。

コンパクト農ライフ塾

参照:コンパクト農ライフ塾

開講日:毎週土曜日(計6週間)

講座回数:全10講座(1~2講座 × 6日間)

■アーカイブコース

形式:アーカイブ視聴

定員:30名

受講料:一般:77,000円

■コミュニケーションコース

形式:オンライン視聴 (リアルタイム) 

定員:20名

受講料:一般:220,000円

INASTA

形式:アーカイブ+オンライン視聴(リアルタイム)+現地研修 

受講料:一般:77,000円

コンパクト農ライフ塾は「コンパクト」な次世代型農家の営み方について、最速で学ぶことのできるオンラインスクールです。

農業は農地や農業機械や大量の従業員が必要で「大規模で手を出しにくい」というイメージがあります。しかし、コンパクト農ライフ塾ではそういったイメージとは異なる「0.5haで年商1,000万を目指す」といった「小さくても機能する、小さくても質が高い」新しい農業を紹介しています。

また、地方で農業をしたい方や、仕事を辞めないで都内と農村で2拠点で生活したい方など、就農に対してより具体的に学びたいという方向けに「INASTA」というプログラムも存在します。

こちらは群馬県伊那市に移住を希望する人を対象に9講座のアーカイブ授業、5講座のオンラインによるリアルタイム授業を受け、さらに1泊2日の伊那市での実地研修によって成り立っています。

泊まりでの研修が存在するため、完全なオンライン授業ではないものの、地方移住について具体的に学びたい人にはおすすめのコースです。

また、コンパクト農ライフ塾の卒業生は全員「卒業生のコミュニティ」に参加することができます。

2020年5月開講以降、総勢205名以上の卒業生が存在し、その中には新規就農した人や海外で農業をしている人も存在します。コミュニティの動きは活発で、イベントなどが頻繁に行われているようです。

スマート農業 e-learning

参照:スマート農業e-learninng

形式:アーカイブ視聴

受講料:無料

スマート農業e-learninng」は「農林水産省令和3年度スマート農業教育推進委託事業」が運営しているWEBサイトによる動画視聴サービスです。

こちらは農業スクールではないものの、初心者を含めてスマート農業を一から学びたい方におすすめの「自宅で学べる農業の教材」です。

「スマート農業」とは、「ロボット、AI、IoTなど先端技術を活用する農業」のことを指します。たとえば、農作業を自動化したり、データ共有を簡単に行えたりすることでの「効率化」や「省力化」、データ解析による「高品質化」や「安定生産」などがあります。高齢化による人員不足や温暖化などの環境変化に対応するためには「スマート農業」が必要となるといわれています。

「スマート農業 e-learning」はスマート農業の普及を目的に、農業大学校などの農業教育機関や農業について学びたい方向けに作られた、スマート農業について学べるサイトです。

動画視聴によって学ぶことが可能で、講座料は無料のため、最先端の農業について学んでみたいという方におすすめです。

まとめ

社会人でも学ぶことが可能な通信制の農業スクールのメリットデメリットや実際のスクールについて紹介しました。

通信教育であれば通勤中や自宅にいながら学習できるため、働きながらでも体力的に無理なく学ぶことが可能です。

もちろんしっかりと知識を身につけるためにはスケジュール管理やモチベーションの維持が必要になりますが、農業スクールにあるサポートサービスやコミュニティを活用しながら卒業を目指しましょう。

また、「なるべく早く農家になりたい」、「働きながらより実践的に学びたい」という方には「みんなで農家さん」もおすすめです。

「みんなで農家さん」では新規就農者数の向上を目的に活動しているため、新規就農のサポートがしっかりしています。研修農場で実際に栽培経験を積むだけではなく、その後の新規就農まで支援する体制が整っています。

学校のようにカリキュラムも存在し、就農に必要な知識や情報を得ることができます。

農園へ行けない日はスタッフが代わりに管理してくれるため、働きながらでも無理なく通うことが可能です。

新規就農にむけて実際に農園を管理しながら経験を積みたい、なるべく最短距離で効率的に就農したい、具体的にどこで就農するのか決まっていないという方は、ぜひ詳細を確認してみてください。

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