【農業ニュース】ベンチャー企業が未来の農業(果樹・卸売り)を救う!?

始めに

 近年「ベンチャー企業」という言葉をよく耳にするようになりました。「ベンチャー企業」については、後ほど詳しく説明していきますが、簡単にまとめると新しい事業を行っている企業のことです。今、農業を新規事業に選択するベンチャー企業が増加しています。

 今回の記事では、なぜ近年「ベンチャー企業」の農業参入が進んでいるのかそもそも「ベンチャー企業」とはどんな企業なのかを説明しながら、タイトルにもある通り「果樹農業」や「卸売業」に注目した農業ベンチャーの取り組みについて説明していきたいと思います。

ベンチャー企業とは?

 冒頭で「ベンチャー企業」について少し触れましたが、ここでは少し詳しく「ベンチャー企業」とは、どのような企業なのかについて解説していきたいと思います。

 まず「ベンチャー企業」には明確な定義はありません。新しい事業やサービスを展開していて、独自の発想や技術を用いて、大手企業では着手が難しいビジネスを行っている企業を「ベンチャー企業」といいます。

 大手企業では着手が難しいだけあって従業員も中規模・小規模で事業を行っている企業が多いです。そうなると中小企業はベンチャー企業なの?と混同するかもしれませんが、概ね間違いではありません。ベンチャー企業の大半は中小企業に分類されています。

 もちろんなかには、大手ベンチャー企業と呼ばれる大きなベンチャー企業も存在しています。ここからは「ベンチャー企業」の具体例として代表的な「ベンチャー企業」を紹介します。

代表的なベンチャー企業

メルカリ

 多くの人が一度は耳にしたことがある「メルカリ」もベンチャー企業の代表例です。中古品売買サービスを提供する会社で、スマホ1台で誰でも気軽に商品を売り買いできるとても便利な機能を作った会社です。

サイバーエージェント

 「アメブロ」や「AbemaTV」といったインターネットサービスを利用している人も多いのではないでしょうか。利用していないにしても一度は耳にしたことがある人も多いのではないかと思います。

 「アメブロ」や「AbemaTV」を運営しているサイバーエージェントという企業も代表的なベンチャー企業です。

ベンチャー企業の農業参入!

 ここまで「ベンチャー企業」とは、どのような企業なのかについてまとめてきました。

 ベンチャー企業とは?で説明した通り、ベンチャー企業の条件として…

新しい事業やサービスを展開している

独自の発想や技術を用いている

大手企業では着手が難しいビジネスを行っている

 この3つの条件がベンチャー企業の条件です。

 ここから分かるように、農業に参入しているベンチャー企業は農作物の栽培を中心にしているというよりは、今の時代のテクノロジーを活用して、農作業をより楽に、栽培する農作物の質をより高くするための技術やサービスを提供する企業であるということが言えます。

ベンチャー企業が農業に参入する背景とは?

 農業事業を行っている「ベンチャー企業」を紹介する前に、まずは農業業界に「ベンチャー企業」が参入するようになった背景についてみていきたいと思います。

農業人口の減少

 日本は今、少子高齢化の影響もあり農家の人口が年々減少傾向にあります。農林水産省のデータによると農業で生計を立てている(基幹的農業従事者)農家は減少傾向が続いていて…

令和2年(2020年)→ 136万3千人

平成27年(2015年)→ 175万7千人

令和2年と比べ【22%減】

平成17年(2005年)→ 224万1千人

令和2年と比べ【39%減】

という上記のデータから分かるように農家の人口が減少し続けています。さらに、農家の高齢化も深刻化していて、令和2年(2020年)の基幹的農業従事者のうち、65歳以上の階層は全体の70%(94万9千人)とかなりの割合を占めていて、今後さらに農家の減少が心配されます。

 また、49歳以下の若年層の割合は全体の11%(14万7千人)となっていて、若者の農業離れも深刻な問題となっています。

農業人口が減少するもう一つの要因

 近年では技術の発展により、これまで人の手で行ってきた農作業を機械やAI(人工知能)の力で行う「スマート農業」が盛んに取り入られるようになりました。

 農業の機械化だけでなく、農薬や生産技術の向上などによって農作業にかかる時間が減り、人手を多く必要としない時代になっていることも農業人口が減少するもう1つの要因となっています。

進む企業の農業参入

 上記で紹介した背景もあり、農業に参入する企業が増加傾向にあります。また、2009年末には農地法の改正により、農地が借りやすくなるなど企業が農業に参入しやすくなりました。

 上の表では、令和3年の法人経営している農業団体の数と令和4年の数を比較したグラフになっています。グラフから分かることとして、農業組合法人(農業生産の協業を図る法人)、会社法人ともに増加傾向にあることが分かると思います。

 ここからは、実際に農業に参入しているベンチャー企業の事例と取り組みについて見ていきたいと思います。

農業参入しているベンチャー企業の事例

 農業を中心として活動しているベンチャー企業には以下のような企業があります。

  • 株式会社AGRI SMILE(DXソリューション)
  • 株式会社農業情報設計社(自動化)
  • AGRIST株式会社
  • 株式会社ルートレック・ネットワークス(loT)
  • 農業総合研究所
  • 株式会社ファームノートホールディングス(loT)
  • 株式会社アグロデザイン・スタジオ(バイオテクノロジー)など

  ここからは事例で紹介したベンチャー企業がどのような事業で今の農業業界に貢献しているのかについて見ていきたいと思います。

 今回は、上記で紹介した農業に参入しているベンチャー企業一覧の中でマーカーが引いてあるベンチャー企業を順に紹介していきます。

株式会社AGRI SMILE(DXソリューション)

 最初に紹介する「株式会社AGRI SMIlE」という企業は「テクノロジーによって、産地とともに持続可能な農業と地域をつくる」というミッションを掲げ、地球温暖化等の栽培環境の変化やニーズの変化に適応し、マーケットから評価される農畜産物を作り続けるためのテクノロジー(化学技術)の開発・提供をしている企業です。

 農畜産物を作り続けるためのテクノロジー(化学技術)について具体的にどのようなことをやっているのか調べてみると、栽培に関わる定性(数値化できない要素)・定量データ(数値かできる要素)を集積し、産地の発展に活かす取り組みをいている企業です。

果樹農業・卸売業での活用例について

 ここで株式会社AGRI SMILEが提供しているサービスがどのように農業で活用されていくのかについて簡単に紹介していきます。

  • 生産者側での日々の作業記録と、JA側(卸売業者)での栽培履歴のチェックを省略化できる。
  • 農薬の適用・混用・使用回数の自動判定
  • 圃場マッピング
  • 作業カレンダーの作成 など

AGRIST株式会社

 続いて紹介するのは「AGRIST株式会社」というベンチャー企業です。この企業では、農業ロボットの開発や農業ロボットをより効率的に活用できるスマート農業への取り組みをしています。具体的な事業内容としては、以下のような事業を行っています。

  • スマート農業(次世代のビニールハウスを設計)
  • 農業ロボット(安価でシンプルなロボット開発)
  • AI農業(ロボットから収集した画像をAIで解析しデータ化)

 こうした取り組みにより、人手不足の解消、人件費の圧縮、収穫量の改善などに役立てるとこが可能です。

 【詳しくはコチラ】: https://agrist.com/

株式会社ルートレック・ネットワークス

 続いて紹介するのは「株式会社ルートレック・ネットワークス」というベンチャー企業です。この企業では「食と農の課題を解決し、子どもたちを幸せにする」というビジョンを抱え「テクノロジー(技術)」で農業が抱える課題を解決すべく「ZeRo.agri」というサービスで日本の農業を支えています。

農作業での活用例について

 株式会社ルートレック・ネットワークスが取り組んでいる「ZeRo.agri」は、生産者の神経・頭脳・手を代替する「AI潅水施肥システム」です。潅水施肥は肥料を水に溶かし、それを作物に与えて養分を補うことで、この作業をAIが分析し肥料の散布まで一緒に行ってくれる技術の提供を行っています。この「AI潅水施肥システム」により、これまで農家が考え、行っていた作業をAIが自動で考え散布までの作業も行ってくれます。

【詳しくはコチラ】

株式会社農業総合研究所 

 最後に紹介するのは「株式会社農業総合研究所」という企業は、農業ベンチャーとして初の上場企業になったベンチャーでもあります。主な事業内容としては、日本の青果類の最大の販売チャネルである食品スーパーを通して多くの生産者と生活者を繋ぐ新しいプラットフォームの構築をしています。

果樹農家・卸売業での活用例について

農家の直売所事業

 全国の集荷拠点で集荷した新鮮な農産物を都市部のスーパーマーケット内に設置した直売所に最短1日でお届け・販売する独自の流通プラットフォーム事業

産直卸事業

 生産者から直接農作物を買い取り、ブランディング(付加価値の見える化)をしてスーパーマーケットに卸す卸売事業

【詳しくはコチラ】

最後に

 ここまでベンチャー企業とはどのような企業なのか、ベンチャー企業が農業業界に参入する背景について、実際に農業ベンチャーがどのような事業を行っているのかなどをまとめてきました。

 ここまで紹介してきたように、単に農業ベンチャーといっても様々な事業を行っていることが分かるかと思います。このように様々な事業で、農業ベンチャーは近未来の農業を支えようとしています。

 様々な企業の企業努力で、今の農業は変化し続けています。是非、この記事をきっかけに今の農業の変化について調べてみてはいかがでしょうか。

 また、この記事を上げている「みんなで農家さん」でも、農家人口の減少という日本農業の根本的な課題を解決するために、「稼げる農家さん」をコンセプトに、新規就農へ興味を持ってくれる人を増やす取り組みを行っています。少しでも興味を持った方がいるのであれば、是非1度「みんなで農家さん」がどんな取り組みを行っているのか調べてみてください!

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