始めに(マイクログリッドとは?)
今回は「地域マイクログリッド」について紹介していきたいと思います。「地域マイクログリッド」と聞いても想像つきにくい人の方が多いかもしれません。
「地域マイクログリッド」を単語1つ1つ日本語訳で見ていくと、「マイクロ(micrigrid)=極小の」、「グリッド(grid)=送電網」というように訳すことができ、「地域極小の送電網」という意味に捉えることができます。
ここまで、聞いてもあまりピンとこないかと思います。今回の記事では、「地域マイクログリッド(地域極小の送電網)」とは、どのような意味があり、どのような取り組みがされているのかについて詳しく見ていきたいと思います。
「地域マイクログリッド」とは?
早速、本題に入っていきましょう。タイトルにもあるように「地域マイクログリッド(地域極小の送電網)」とは、簡単にまとめると「エネルギーの地産地消」と呼ばれています。
なぜ「エネルギーの地産地消」と呼ばれているのか、「エネルギー」と「地産地消」という2単語の詳しい説明を含めながら「地域マイクログリッド」とはどのような取り組みなのかを紐解いていきましょう。
エネルギーとは
エネルギーは、「仕事をする能力」のことを指しますが、私たちの生活を支えているエネルギーには…
- 電気
- ガス
- ガソリン など
上記のようなモノが当てはまり、「モノを動かす」「熱を出す」「光を出す」「音を出す」など私たちの生活の様々な場面で欠かせないモノとなっています。
エネルギーの種類
エネルギーの種類には、大きく分けると…
- 化石エネルギー(石油・石炭・天然ガス)
- 非化石エネルギー
上記の2種類に分けることができます。さらに、非化石エネルギーは2種類に分けることができ…
- 原子エネルギー(核分裂・核融合)
- 再生可能エネルギー
といった上記の2種類に分けることができます。さらに、再生可能エネルギーについて注目してみていくと、再生可能エネルギーには…
- 水力
- 太陽光
- 地熱
- 風力
- バイオマス
といったエネルギーを作るための様々な方法に分けることができます。今回紹介する「地域マイクログリッド」には、ここで紹介した再生可能エネルギーが大きく関わってきます。
【一部引用】
https://www.yonden.co.jp/cnt_kids/chapter2/energy/concept.html
ここまでの説明で改めて「エネルギー」とは何かについてのおさらいができたと思いますので、ここからは「地産地消」について改めて「地産地消」とは何か振り返っていきたいと思います。
地産地消とは
「地産地消」について改めておさらいをしていくと、「地産地消」とは、その地域で生産された農林水産物を、その地域で消費することを通じて、消費者と生産者が互いの距離を縮めようとする取り組みです。
「地産地消」の説明で注目したいポイントとして、「その地域で生産されたモノをその地域で消費する」という点が注目ポイントです。ここまで紹介した情報をもとにもう1度、「地域マイクログリッド(地域極小の送電網)=エネルギーの地産地消」についてまとめていきます。
改めて「地域マイクログリッド」についてまとめると!
ここまでの説明を整理して「地域マイクログリッド」についてまとめていくと、「地域マイクログリッド」とは…
①限られた地域社会(コミュニティ)のなかで、太陽光発電や風力発電、バイオマス発電なでの再生可能エネルギーで電気をつくる
②地域社会でつくった再生可能エネルギーでその地域の電力量をコントロールすることで地域社会(コミュニティ)内の電力供給を賄う。
③これを「地域マイクログリッド=エネルギーの地産地消」
「地域マイクログリッド」の事例紹介
ここまで、「地域マイクログリッド」とは、どのような取り組みなのかを言葉で説明していきましたがここからは、実際に「地域マイクログリッド」の取り組みを行っている実例をもとにさらに「地域マイクログリッド」のイメージを高めていきましょう。
事例①北海道釧路市阿寒町
酪農が盛んな町である阿寒町では、地震や大雪などの非常時にも安定的な電力供給ができるよう、太陽光発電と家畜のふん尿を利用したバイオガス発電を活用した地域マイクログリッドの構築を目指している。
事例②北海道石狩市
石狩湾新港は、災害時の海上輸送の重要拠点として指定されており、道内でも有数のエネルギー、物質の供給拠点となっているが、バックアップ電源の整備は未だ十分ではない。太陽光発電を活用して、非常時には港湾施設及び近郊の関連企業の施設に電力を供給できるよう、地域マイクログリッドの構築を目指している。
【引用】
https://www.hkd.meti.go.jp/hokpp/kankoho/201910.pdf
ここで紹介した事例以外にも、皆さんが普段生活している地域で太陽光発電や風力発電といった「再生可能エネルギー」が生み出されている場所が増えてきているのではないでしょうか。
では、なぜ近年「地域マイクログリッド」が注目され、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーを生み出す場所が増えてきているのでしょうか?
ここからは「地域マイクログリッド」が注目されている背景について少しまとめていきたいと思います。
「地域マイクログリッド」注目されている背景とは?
ここからは「地域マイクログリッド」が注目されている背景について考えていきます。
近年、地球温暖化の影響により世界中で気象災害が発生しています。ここ日本でも…
- 2017年:九州北部豪雨
- 2018年:西日本豪雨
- 2019年:房総半島・東日本での台風 など
上記のような甚大な被害をもたらした災害が発生し続けています。今後も地球温暖化が進み続けると、さらなる異常気象が増加する可能性もあります。また…
- 2011年:東日本大震災
- 2018年:北海道胆振東部地震 など
特に日本は、地震による被害が発生しやすい国でもあります。豪雨・台風・地震といった自然災害は大規模停電や送電線への被害が発生するため、あらためて電力の安定供給確保のための重要性が認識されるようになりました。こうした背景から「地域マイクログリッド」が注目されるようになりました。
【参考】
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/energy_resource/pdf/015_s01_00.pdf
今世界で注目されている「SDGs」
地球温暖化問題による豪雨、台風といった自然災害を始め、貧困、紛争、感染症など世界各地で抱えている問題は数多くあります。このままでは、人類が安定してこの世界で暮らし続けることができなくなる可能性もあります。
そんな危機感から、世界中のさまざまな立場の人々が話し合い、課題を整理し、解決方法を考え、2030年までに達成すべき具体的な目標を立てました。それが、「SDGs」です。
「SDGs]の17の目標について
「SDGs」には、人権、経済、社会、地球環境といった様々な分野の課題を解決すべく、17の目標を立てています。具体的にどんな目標があるのかまとめてみると…
- ①貧困をなくそう
- ②飢餓をゼロに
- ③すべての人に健康と福祉を
- ④質の高い教育をみんなに
- ⑤ジェンダー平等を実現しよう
- ⑥安全な水とトイレを世界中に
- ⑦エネルギーをみんなにそしてクリーンに
- ⑧働きがいも経済成長も
- ⑨産業と技術革新の基礎をつくろう
- ⑩人や国の不平等をなくそう
- ⑪住み続けられるまちづくりを
- ⑫つくる責任つかう責任
- ⑬気候変動に具体的な対策を
- ⑭海の豊かさを守ろう
- ⑮陸の豊かさも守ろう
- ⑯平和と公正をすべての人に
- ⑰パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs17の目標 | SDGsクラブ | 日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会) (unicef.or.jp)
この「SDGs」の掲げる17つの目標の中にもエネルギーについてピックアップされた目標があります。ここで少し「⑦エネルギーをみんなにそしてクリーンに」について紹介していきたいと思います。
⑦「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」について
【7‐1】
2030年までに、だれもが、安い値段で、安定的で現代的なエネルギーを使えるようにする。
【7‐2】
2030年までに、エネルギーをつくる方法のうち、再生可能エネルギーを使う方法の割合を大きく増やす。
※太陽光、風力、地熱など、使っても減らず、二酸化炭素を排出しないエネルギー源
【7‐3】
2030年までに、今までの倍の速さで、エネルギー効率をよくしていく。
このように「⑦エネルギーをみんなにそしてクリーンに」では、再生可能エネルギーを増やしていく取り組みが明記されています。
今回の記事で紹介した「地域マイクログリッド」は日本だけでなく世界中で必要な取り組み、目指すべき取り組みであると言えるでしょう。
最後に
今回の記事では、「地域マイクログリッド」とは何か解説していきました。あまり聞きなれない言葉だったので、知らない人も多かったのではないでしょうか?
タイトルにもあるように「地域マイクログリッド」は「エネルギーの地産地消」だという説明から、エネルギーとは何か、地産地消とは何かについて単語ごとに区切って説明していき、限られた地域のなかで再生可能エネルギー(太陽光、風力、バイオマス発電など)を活用しながら電力供給を賄うことのできるシステムを目指すことを「地域マイクログリッド」と呼ぶということを記事のなかで紹介していきました。
今回の記事では、少し農業とは離れた視点から未来のエネルギー問題について考えていきました。「みんなで農家さん」では農業に関する記事だけでなく、環境問題や未来の日本について記事も多数掲載されているため様々な観点から学ぶことができます。
農業に関する知識を学びながら、日本そして世界の情勢も一緒に学ぶことができます。また、稼げる農家をコンセプトにした「国産バナナ」の栽培事業も「みんなで農家さん」では取り組んでいます。是非一度どのような取り組みをしている企業なのか調べてみてはいかがでしょうか。
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