農業では「重労働」というイメージがつき、若い年代の男性や女性が農業への興味を持たず人手不足が深刻化しています。
農業では就農者が減ることで日本の食料自給率が減ることや放棄農地が多くなり害虫や動物が住み着き環境にも悪影響を及ぼすなど大きな問題へと発展していきます。
こういった問題を解決するためにも農業に関心を持ってもらい就農者を増やさなければいけません。
そこで、本記事では人手不足の原因と解決方法について詳しく解説していきます。
農業の人手不足により起こる問題とは?
まず初めに農業の人手不足により起こる問題について解説していきます。
農業の人手不足により起こる問題はまず、収穫期や作業ピーク時に作業力が不足し、作物の収穫や作業の遅延が発生します。
これにより、収穫物の品質や数量が減少し、生産量や収益に影響を及ぼす可能性があります。
また、作業の負担が増え、労働者の健康や安全へのリスクが高まることも懸念されます。
さらに、労働力の不足によって農業の生産性が低下し、競争力の低下や食料供給への影響が生じる可能性もあります。
また、高齢化が進む農業労働者の代替が困難となり、農業の持続可能性や後継者問題も浮き彫りになります。
これらの問題を解決するために、労働力の確保や労働環境の改善、技術の導入などが重要な課題となっています。
農業における人手不足の原因とは?
農業における人手不足の原因は主に3つと言われています。
- 高齢化と若者の流出
- 高度化と技術の導入
- 労働環境の改善の遅れ
この3点が労働者を減らしている大きな原因と言われています。
それぞれについて解説していきます。
高齢化と若者の流出
農業の人手不足の一つの要因は、高齢化と若者の流出です。
農業労働者の高齢化が進んでいるため、若い世代が農業に従事することを選ばなくなっています。
農業は過酷な労働条件や収入の不安定さがあり、都市部のより安定的で魅力的な職業への就業を選ぶ傾向が強いです。
若者は都市の生活や多様なキャリア選択肢に魅力を感じ、農業への関心が低下しています。
また、農村地域の施設やインフラの不足、教育や就業機会の格差なども若者の流出を促進しています。これにより、農業労働者の数が減少し、人手不足が生じています。
高度化と技術の導入
次に高度化と技術の導入です。
近年の農業では、機械化や自動化が進み、労働力の必要性が減少しています。
農業機械やセンサー技術、ロボットなどが農作業を効率化し、生産性を向上させています。これにより、従来多くの労働者が必要だった作業が機械や技術によって代替されています。
また、農業におけるプレシジョン農業やハイテク農業の導入により、生産効率や品質管理が向上し、作業の要求水準が高まりました。
これらの技術の導入は農業の持続可能性と効率性を向上させる一方で、人手不足の要因となります。
機械での農業は一見効率良く見えますが、農業労働者の数が減少することで、一部の作業が遅延したり、緊急時の対応が難しくなることもあるためある程度の労働者は必要になってきます。
労働環境の改善の遅れ
3つ目は、労働環境の改善の遅れです。
農業は季節的な労働量の変動が激しく、収穫期などには長時間労働や急激な作業量の増加が必要です。しかし、労働条件の改善や福利厚生の整備が不十分な場合があります。
労働者は過酷な労働条件や不安定な収入によるリスクを抱えており、それによって農業労働の魅力が低下し、若者の関心が減少しています。
さらに、安全対策の不足や労働環境の改善の遅れにより、労働者の健康や安全が脅かされる可能性もあります。労働環境の改善は労働者の満足度や労働意欲を高め、農業労働の魅力を向上させる重要な要素です。適切な労働条件や安全対策の導入、労働者の声を反映させた政策の策定が求められています。
農業における人手不足解消のために必要なこと
農業の人手不足問題を解決するために何をすべきか解説します。
農業の魅力向上:農業の魅力を高めるために、収入の安定化や労働条件の改善が必要です。
収入の向上には、市場の拡大や付加価値の向上、生産性の向上などが重要です。
また、労働環境の改善や福利厚生の充実も必要です。
若者への教育・啓発:若者に対して、農業の魅力や可能性を啓発する教育や情報提供が重要です。
農業の技術やビジネスの面白さ、持続可能性への貢献などを伝えることで、若者の関心を引きつけることができます。
農業技術の導入と教育:高度化した農業技術の導入と労働者への適切な教育・訓練が必要です。機械化や自動化によって作業効率を向上させる一方で、労働力の必要性を減らすことができます。労働者は最新の技術に対応するための教育や研修を受ける機会を提供することが重要です。
外国人労働者の活用:人手不足を補うために、外国人労働者の活用も検討すべきです。移民政策の見直しや労働条件の整備などが必要ですが、異文化や言語の違いに配慮し、円滑な受け入れ体制を整えることが重要です。
地域間の協力と連携:地域や農業関係者の協力と連携が不可欠です。農業者同士や農業組合、地方自治体、研究機関などが連携し、労働力の供給や労働環境の改善に向けて取り組むことが重要です。
これらの取り組みを総合的に推進することで、農業における人手不足を解消する可能性が高まります。
全ての問題が解決できるわけではないですが、問題解決には有効と言えます。
人材不足の解消への支援サービスの注目
近年、農業の人手不足を解決する方法の1つとして支援サービスへの注目が集まっています。
ここまで様々な解決策を紹介しましたが、大きな変化へと繋がるには少し時間がかかると言われています。
しかし、これから紹介する支援サービスは即効性のあるもので、時間をかけず大きな変化へと繋がると言われていますので紹介します。
教育・訓練プログラムの充実:農業に従事する若者や転職希望者への教育・訓練プログラムを充実させることが重要です。農業技術や経営スキル、マーケティングなど、農業における幅広い知識とスキルを習得できるプログラムを提供し、農業への関心や就業意欲を高めることが目指されます。
若者への支援策の強化:農業に従事する若者への支援策を強化することが重要です。資金支援や助成金制度の整備、土地の提供や賃貸料の軽減、農業ビジネスのサポートなど、若者が農業を始める際に直面する課題を解決するための支援を行います。
労働環境の改善:労働環境の改善は農業労働者を引きつける重要な要素です。労働時間や休暇制度の見直し、労働条件の改善、安全対策の強化など、働きやすい環境づくりを推進します。
外国人労働者の受け入れ体制の整備:人手不足を解消するため、外国人労働者の受け入れ体制を整備することも検討されます。労働ビザの制度改革や言語・文化の教育、適切な労働条件や福利厚生の提供など、円滑な受け入れと労働者の保護を重視した政策が求められます。
地域連携と協力:農業関係者、地方自治体、研究機関などが協力し、人材不足解決のための地域連携を強化します。情報共有やネットワーキング、労働力の共有などを通じて、効果的な支援策の実施や持続的な人材確保に取り組みます。
これらの支援策を継続的に実施することで、農業の人材不足解消と持続的な農業発展を促進することができます。
人材不足に向けた具体的な取り組み事例
最後に各地域で行っている農業の人材不足解決への具体的な取り組み事例について紹介します。
全農おおいた方式
全農おおいたでは、人材不足解消に向けて労働力支援事業を行っています。労働力支援事業とは地域の労働力解消のために、臨時的従事者を都市部から移動させる動きです。
日雇いのため働きたい時にだけ働けることのハードルの低さから、気軽に農業に携わることができます。
また、農業未経験でも働けるため大学生やフリーターなどが参加しており人手を必要とする時期に農家をサポートできるため両者にメリットがある取り組みとなっています。
行政職員の副業の許可
日本では一般的に行政職員の副業を禁止されています。
しかし、青森県弘前市では農業の人手不足解消のためにリンゴ園での副業を許可しています。
青森県弘前市は高齢化も進んでおり人手不足が特に懸念されている中で行政職員の副業解禁は休日にアルバイトとしてりんご農園での労働をできることで労働力不足の解消の糸口となっています。
まとめ
本記事では農業の問題となっている人材不足の原因と解決方法について解説しました。
人手不足は近年問題になってきたわけではなく、常に大きな問題となっています。
そういった問題を解決する糸口を見つけて早急に対応する必要があります。
ぜひ、本記事で紹介した解決策や事例を参考に人材不足解決へ取り組んでみてはいかがでしょうか?
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農家に就農したい方から現役農家さんまで役に立つ情報がありますので、ぜひご覧ください。
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最後までご覧いただきありがとうございました。
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