始めに
今回の記事では、これから農業を始めたいと考えている人、または農業に興味がある人に向けた記事として「市民農園」について紹介していきたいと思います。
この記事を読んでいる人の中には「農家になりたいけどどうやってなるの?」「農家になる前にお試しで農業を始めたい」といった考えを持っている人もいるかもしれません。
今回は「農家になる前にお試しで農業を始めたい」と考えている人には是非知って欲しい情報となっていますので、最後まで読んでいただけたらと思います。
また、一般社団法人「みんなで農家さん」では、今回書き進めていくような、「これから農家になりたいと思っている人」向けの記事(農家のなり方・必要な費用など)や「現役農家」向けの記事(栽培方法・これからの(未来の)農業技術など」様々)を読むことができます。
農家として働くための必要な知識が詰まったサイトとなっているので是非1度、利用していただければと思います。
では、今回のメインタイトルにもある「市民農園」とはどのような施設なのか利用することのメリットは何かについてまとめていきたいと思います。
市民農園とは
市民農園とは、非農家(農家ではない市民)が小規模な農地で非営利的に野菜や果物などを栽培する活動のことを言います。
冒頭で「農家になる前にお試しで農業を始めたい人には、是非知って欲しい情報」ということをお伝えしましたが、農家ではない人が農業を始める第一歩目として利用しやすいと言えます。
また、趣味程度で家庭菜園を始めたいけど場所がない人にもおすすめで、市民農園を利用することで家庭に農業を行う土地がなくても農業を始めることができます。
「非営利的に野菜や果物を栽培する活動」とあるように売上を出すことを目的としていないので、失敗を恐れず積極的に栽培方法や技術を学びながら農業を行うことができるのも「市民農園」を活用して農業を始めることのメリットであると言えます。「市民農園」のメリットについては後ほど詳しくまとめていきます。
では、なぜ「市民農園」が農業を始める第一歩として利用しやすいのか、ここからは市民農園の特徴をまとめていきます。
市民農園の特徴
市民農園の特徴をまとめると以下のような特徴があります。
- 非農家の市民(農家ではない人)が利用できる小規模な農地
- 非営利的(売上を出すことを目的としていない)
- 農地の提供者は地方自治体・農業協同組合(JA)、個人農家など様々
- レジャー農園・ふれあい農園などとも呼ばれている
家庭菜園との違いは?
家庭菜園の定義として…
農地ではない場所で、小規模に野菜や果物を栽培する場合の「栽培場所」または「栽培活動」のことを一般的に「家庭菜園」と呼んでいます。
マーカーで示した「栽培場所」には「自宅の庭」・「ベランダ」といった自宅で栽培場所を確保するという方法の他に、「市民農園」での栽培を含むとされています。
このように家庭菜園と市民農園に違いはなく、家庭菜園の中に「市民農園」が含まれており、家庭(自宅)では農業ができない人に、地方自治体や農業協同組合(JA)、個人農家が貸し出している農地を利用することで農業を行うことができる仕組みとなっています。
ここまで「家庭菜園」の一環として「市民農園」が利用できるということが分かったと思います。では、ここからはどのような手続きを取れば「市民農園」を利用することができるのかについて少し紹介していきたいと思います。
市民農園の利用するまでの手順
近くの市民農園を探す
まずは、自分の住んでいる場所の近くに「市民農園」があるのか探すところから始めましょう。市民農園を探す方法として…
- インターネット検索
- 市区町村や農協の広報誌や掲示板
- 農林水産省が作成した「全国市民農園リスト」など
このように様々な探し方がありますが、最もいまどきで簡単な方法で言えば、インターネットを活用することではないでしょうか。位置情報ONにした状態で市民農園と検索すると、近くの市町村の市民農園の情報を簡単に入手することができます。
市民農園の開設者に問い合わせる
利用したい市民農園を見つけることができた後にやるべきこととして、その利用した市民農園の開設者に問い合わせる必要があります。
市民農園の特徴でまとめたように、市民農園を管理している農地の提供者は地方自治体・農業協同組合(JA)である場合が多いです。市民農園を管理している地方自治体や農協(JA)に市民農園を利用することは可能か問い合わせることが次のステップとして必要になります。
市民農園に応募する
市民農園を管理者に問い合わせ、利用できることが分かれば、次に行う手順としては、「応募」してみましょう。開設者(各地方自治体・農業協同組合・個人農家)によって募集期間や募集方法が異なるので、市民農園の開設者に問い合わせる時に応募期限や応募方法を確認しておくといいかもしれません。
開設者と利用契約を結び利用開始
市民農園の開設者と利用契約を結ぶことができたら利用開始です。自分の栽培したい農作物の栽培方法を調べながら自由に挑戦してみましょう。ちなみに家庭菜園で育てやすい農作物(野菜)には…
- シシトウ
- ミニトマト
- ピーマン
- ナス
といったナス科の植物が育てやすいと言われているようです。特にミニトマトは家庭菜園の定番なのかなというイメージは強いのではないでしょうか。
市民農園の導入事例【東京都】
東京都では、身近で農作業を行える場所として、都内には市民農園が430ヶ所あります。また、農業体験農園と呼ばれる市民農園の開設者の指導のもとで農業体験を行える農園が142ヶ所に設置されています。
市民農園と農業体験農園の違いについて
市民農園
市民農園では、10~20㎡程度に区画分けされた農地を、レクリエーションの場として活用する農園のことを言います。レクリエーションの場として活用するとあるように、楽しみながら農業を行う場所として利用することができます。
東京都では、区市町村を中心に、農業協同組合や個人農家、NPO・株式会社などが市民農園を開設しています。
利用者は、基本的に自由に作物を栽培できる代わりに、苗、種、肥料、農機具等の必要資材は自身で用意する必要があります。
農業体験農園
農業体験農園では、30㎡程度の区画において、開設者のきめ細かい指導のもとで農業体験を行える農園です。
東京都では、個人農家が中心となって活動していて、その他にもNPO・株式会社等も農業体験農園を開設しています。
農業体験農園の利用者は入園料(苗・肥料代、収穫代、講習料など)を支払って、年間のカリキュラムに基づき栽培方法を学びながら指定された作物を栽培・収穫します。
市民農園のように自由に栽培したい作物を育てることはできませんが、将来農家として働きたいと考えているのであれば、おすすめの手段であると言えます。
【参考】
https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/nourin/nougyou/hozen/taiken/
ここまで、市民農園と農業体験農園の違いについてまとめてきましたが、ここからは最初に紹介した「市民農園」に関することに戻り、市民農園を利用することのメリットは何なのかについて少しまとめていきます。
市民農園を利用することのメリット【3選】
農業未経験でも始めやすい
市民農園は農家ではない人を対象にした農業施設です。家庭菜園を始めたいけど場所がない人、農業に興味がある人、将来的には農業に携わりたい人など農業未経験でも始めやすいというメリットがあります。
しかし、本気で農家を目指すのであれば市民農園では物足りないので、農業の専門学校で農業を学ぶ、現役農家から教わるなどの準備が必要かと思います。
誰かに教わりながらではなく、独学で栽培技術を勉強しながら農業についての知識を深めていきたい人には市民農園は最適なのかもしれません。
栽培できる農作物の種類が豊富
市民農園とは、非農家(農家ではない市民)が小規模な農地で非営利的に野菜や果物などを栽培する活動のことであり、 10~20㎡程度に区画分けされた農地を、レクリエーションの場として活用する農園であるということを何度か説明してきました。
市民農園は、農家ではない市民が売上を出すことを目的としないで農業を行うので、失敗を気にせず育てたい農作物は自分で選ぶことができるのがメリットの1つであると言えます。
また、市民農園は小規模な農地を非農家に貸し出すことを目的にしているので隣の畑に迷惑のかかるような農作物(つるが伸びる等)でなければ、育てたい農作物の種類は自分で選ぶことができます。
利用料金が安く始めやすい
前提として市民農園を利用する場合、無料で利用できるわけではありません。市民農園を運営している場所(県・市町村、農協、個人)によって利用料金が変わってきますが、一般的な料金は月額500円から年間5000円ほどなので比較的安い値段で利用することができます。
また、入会金や運営費などは基本的にはかからないため、利用する農地の利用料金のみで栽培を行うことができます。
市民農園を利用することのデメリット
市民農園のデメリットとしては以下のようなことが考えられます…
- 基本的に栽培技術を教えてくれる指導員はいない
- 横のつながり(仲間・コミュニティ)が生まれにくい
- 市民農園の使用期間を延長できず、一定期間で契約が切れてしまう可能性がある
- 農具のレンタル、トイレがない
最後に
ここまで、市民農園とはどんな場所でどんな特徴があるのか、市民農園を利用するまでに手順、市民農園のメリット・デメリットについてまとめてきました。
この記事の後半で市民農園のメリットとデメリットについてまとめたように何事にもメリットもあればデメリットもあります。
この記事を読んでいる人の中に、本気で農家になりたいという方がいたのであれば、市民農園のデメリットで紹介した…
- 基本的に栽培技術を教えてくれる指導員はいない
- 横のつながり(仲間・コミュニティ)が生まれにくい
この2つは農家になるためには必要な要素であると思います。もし。本気で農家として働きたいと思っているのであれば、他の方法を選択したほうがいいのかもしれません。
2度目の紹介にはなりますが、この記事を掲載している「一般社団法人みんなで農家さん」では、農家として働くための方法・手順を紹介した記事や栽培技術についての記事など様々な記事を読むことができますので、是非たくさん活用していただければと思います。
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