自然災害の対策方法とは?農業被害を最小限に抑える方法を紹介!

農業を行う上で必ず対策をしなければいけない自然災害。日本では台風や大雨、地域によっては積雪や火山噴火による火山灰の被害など農家の頭を悩ませる自然災害は数多くあります。

どれだけ大切に育てても自然災害で農地が滅茶苦茶になってしまうと作物に価値がなくなり収入も苦しくなってしまいます。
今回はそんな自然災害による農業被害を最小限に食い止める方法を解説します。
自然災害をうまく付き合っていかなければいけません、ぜひ参考にしてみてください。

農業自然災害の種類について

農業に与える自然災害として思い浮かぶものは何でしょうか?
台風や低気圧、豪雨や長雨など様々だと思います。

なぜここで農業に被害を与える種類を最初に紹介するのかと疑問に思う方も多いかと思います。
自然災害による農業被害を最小限に抑えるためには、1年間を通して頻繁に起こりやすい自然災害を知り、それについて対策を行う事が最小限に被害を抑えるポイントになるからです。

例えば日本では竜巻という自然災害は他国と比較するとかなり少ないです。
日本で竜巻の被害をしても竜巻が起こらなければ対策した意味がありません。

では実際にどのような自然災害が日本では多く発生しているのか?
農林水産省では「昭和39年から令和元年までの主な災害と被害額の一覧」というのが発表されています。

もちろん地震や火山災害の時の被害額はかなり大きいものですが、数年に1度です。
頻繁に起こっている自然災害は以下のとおりです。

・台風
・豪雨、長雨
・冷害、低温
・突風、降雹
・干ばつ
・凍霜害
・その他

まず昭和39年から令和元年までの被害総額はおよそ23兆円であり、最も被害額が大きかったのは平成5年の北日本の冷害、西日本の豪雨であり1兆8300億円にものぼります。

冷害などは稀なケースであり、沖縄などでは起きない自然災害ですが「台風や長雨」では日本全国で起きる被害です。
また近年では異常気象が多く確認されており、農業気象災害は頻発に発生する可能性も高くなります。

農林水産省が行う災害時の取り組みについて

まずは農林水産省が出している取り組みについて解説します。

早急な営農再開に向けた「査定前事前着工」

「査定前事前着工」とは農林水産省が定めている制度で、自然災害で被害を受けた時に災害査定を待たずに復旧工事を行うことができます。
基本的には被害査定など行えば時間がかかり、営農の再開に時間がかかりますが早急に復旧作業を行えるので営農再開が見込め生活に直結した被害箇所の復旧が行えます。
また「査定前事前着工」には応急仮工事応急本工事の2種類があり、それぞれ要件が異なります。
詳しくはhttps://www.maff.go.jp/j/nousin/bousai/bousai_saigai/b_hukkyuu/attach/pdf/index-59.pdf">こちら参照ください。

稲作農家への特別対策

河川堤防の決壊などによる水害が発生した場合、稲作農家の被害が大きいために営農再開ができない方に支援が受けられる制度です。
稲作農家が受けられる支援は主に2つあり、
・被災農家営農再開緊急対策事業
・水田農業継続特別対策
があります。

被災農家営農再開緊急対策事業とは米を保管していた倉庫が浸水し、商品として出荷できない農家の営農再開のために向けて必要な費用を支援してもらうことができます。
支援内容としては「土づくり」「土壌診断」「種苗など資材の準備」「被災時に発生したゴミや瓦礫の撤去」など様々です。

水田農業継続特別対策とは地域において大規模な浸水被害を受けた稲作農家の営農継続に向けての取り組みにかかる費用を支援してもらうことが可能な制度です、。
支援内容としては「被災農家営農再開緊急対策事業」と同様な内容になります。

強い農業・担い手づくり総合支援交付金(被災農業者支援型)

強い農業・担い手づくり総合支援交付金とは、産地の収益力や担い手の経営発展を推進するための制度であるが2019年の台風被害が甚大化したことで被災者向けの支援も追加されました。
支援内容としては、
・農業用施設、機械などの復旧
・農業用ハウスなどに流入した土砂の撤去費用の助成
・農業用ハウスなどの補強についても助成
・被害を受けた日以降であれば同事業の計画承認前の取り組みについても対象
などがあります。

ここまで農林水産省(政府)での取り組みについて説明しました。
詳しく知りたい方は農林水産省ホームページをご覧ください。
【引用】:https://www.maff.go.jp/

生産者(農家)が事前にできる取り組みを災害別に紹介

農業において被害が大きく頻度が多い災害についての対策を紹介します。

台風

農業において自然災害の天敵とも言えるのが台風ではないでしょうか?
台風での事前対策には被害が起きやすい場所の補強や除去等が必須になってきます。

温室・ハウス栽培の場合は日頃からハウスの基礎や鉄骨部分の確認を行い、補修・補強を行う必要があります。
日常でよく使う出入り口のドアやコンクリートのひびやパイプ部分の鉄骨の錆などはこまめに確認しておく必要があります。


台風といえば「暴風」「豪雨」の2つが主に挙げられます。

暴風の場合には出入り口の補強はもちろん、天窓や換気扇を密閉して固定することが大切です。
また圃場周辺では農作業道具などを出しっぱなしにせず片付けを行い、作物なども固定できるものは結束バンド等を使って固定することが大切です。

豪雨の場合には圃場周辺の排水性の確保、温室・ハウス栽培の場合には施設内が浸水しないように隙間などを作らないようにします。
また桶の詰まりなども確認しておく必要もあります。

大雨

日本で最も自然災害の頻度が多いのは大雨と言われています。
大雨の際には台風の時と同じく「排水性の確保」が重要になってきます。

また雨が長期間降り続けると土壌の水はけが悪くなる為、作物を早めに収穫しておくことも1つの手と言えます。

低温(夏期)

夏期に低温が起こるのは主に長雨や日照不足によりおきます。
低温の対策としてはマルチやトンネルなどを使用して気温、地温を高める対策が必要になってきます。
また低温が続けば作物の生育にも影響が出て「生育不足」「病害発生」など様々です。
そうなった場合は殺菌剤や追肥等の処置を行いましょう。

霜害・ひょう害

霜害は露地栽培で起こる被害です。対策としては被覆資材等を準備しておくことが大切ですがこの被覆資材を直接作物にかぶせるのは良くないとされています。
支柱などを設置して少し浮かせる形でかけるようにしましょう。

またひょう害に関しても霜害と同様の処置を行いますが、ひょうは少し固いため被覆資材等に穴が空く可能性もあります。
被覆資材等を使用する場合は強度がある程度あるものを使用し、ハウス栽培でも定期的に点検するようにしましょう。

風害

風害は強風や暴風による被害で、「強風を受けにくい環境」を作ることが最適な方法だと言われています。
強風を受けにくい環境とは農地を選ぶ段階で対策が可能です。
例えば周りに建物があれば、建物が風よけになってくれます。


また霜害などに使用する被覆資材等も効果的だと言われています。
ただし強風による被害の場合は被覆資材等を固定する必要がありますので結束バンド等を使用しましょう。

自然災害後の対策について

これまで自然被害が来る前の事前対策について紹介しました。

しかしどれだけ対策をしていても自然には勝つことができず被害を被ることもあります。
そんな場合の対策をご紹介します。

被災した作物の販路の確保

例えば台風接近の予報が出ており、作物に被覆資材を被せていても次の日に作物を見ると商品にならないくらい無茶苦茶になっていたという経験がある方もいらっしゃるかと思います。
商品として価値がなくなった作物は売れないという方も多いかと思いますが、日本では自然災害によって価値がなくなった作物の買取を行なってくれる場所もあります。

例えば「一般社団法人野菜が作る未来のカタチ」が運営する「チバベジ」ではクラウドファンディングなどを活用し被災した農家を支援する取り組みを行っています。

主な取り組みとして災害によって価値がなくなった作物を農家の希望価格で買い取り、ECサイトでの販売などを行っています。
もし被害を受けた場合の対策として販路を確保しておくことが対策の1つだと言えます。

災害を受けた後に点検・記録を行う

対策を行っていても部分的に被害を受けていた場所の再点検を行うことです。
台風が来るとわかっていて点検をしていても点検漏れというのはあります。その場合2度同じことが起こらないように記録をしておき次に活かすという事をしましょう。
何度も何度も繰り返し対策・点検・記録を行うことで被害を最小限に食い止めることが可能になってきます。

まとめ

この記事では自然災害の対策についてまとめました。
自然災害というのはどれだけ対策を行っていても被害を受けてしまう場合もあります。

しかし被害を受けて終わりではなく、支援制度の活用や自分でできる対策の改善などを行うことが大切です。
現代では気象予報も技術が進歩しており、予報がより早い段階で起きることを予測できるようになっていますので日々気象予報なども確認するようにしましょう。

また「みんなで農家さん」では自然災害による対策以外にも色々な農業に関する情報を掲載しています。
新しい情報も日々更新されていますので、ぜひブックマーク等お願いいたします。
https://minnadenoukasan.life/

最後まで閲覧いただきありがとうございました。

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