好きな野菜第1位の「タマネギ」栽培方法と成功するコツを徹底解説!

煮物、炒め物、揚げ物などの料理やサラダなどに適しており、私たちの食生活に欠かせない存在である「タマネギ」。

タマネギは、いろんな料理に合うだけではなく、常温にて長期保存も可能な点も魅力であり、常備している家庭も多いのではないでしょうか。

栄養価も非常に高く、血液をサラサラにする硫化アリルだけではなく、カルシウムやリン、鉄などのミネラルやビタミンB1、B2も含んでいます。

2020年に行われた調査ではタマネギが好きな野菜の第1位に選ばれたことからも、非常に人気の高い野菜であるといえます。

魅力が多く人気のあるタマネギですが、野菜の栽培経験がない方でも甘くておいしいタマネギを栽培することができますよ。

シャキシャキの新タマネギを採れたてで楽しめるのは家庭菜園の醍醐味といえるでしょう。

とはいえ、生長不良で小さい球になってしまったり、球が固くなってしまったりと、失敗する可能性も十分にあるので注意が必要です。

この記事では、「タマネギ」の栽培方法について紹介します。

初心者でもタネから上手に育てるコツや、おすすめの品種などについても知ることができますよ。

「初心者だけどタマネギを育ててみたい。」

「タマネギの栽培で失敗したので成功するコツを知りたい。」

「需要が高い野菜を栽培して、いつか収入につなげたい」

という方は、ぜひ参考にしてください。

常備野菜であるタマネギ

タマネギの原産地はアフガニスタン近くの中央アジアといわれています。

中国やインドなどアジア諸国を経由して、明治時代初期に日本に伝わりました。

当時は栽培しても食べ方がわからなかったため、季節の違うオーストラリアやニュージーランドへ輸出していたという話もありますが、江戸時代には広く栽培され、料理にも使われるようになりました。

今では、どんな料理にも合う凡庸性の高さと、常温での長期保存が可能な点から、タマネギは台所の常備野菜として欠かせない存在となっています。

タマネギの栽培難易度とは

栽培難易度★★★☆☆(やや簡単)

タマネギは栽培期間は長いものの病気や害虫の被害が少なく、手が掛からない野菜です。

タネから育てるのはやや難易度が上がりますが、栽培するコツを押さえることで初心者でも栽培可能です。

はじめてタマネギを栽培するので失敗するのが不安だという方は、まずは苗からスタートさせることもおすすめです。

タマネギ栽培の5つのコツとは

タマネギの花

タマネギは地中で育つため、病害虫の被害を受けにくく栽培しやすい野菜です。

しかし、栽培期間が長いため、タマネギに適した環境に整えてあげないとうまく育ちません。

初心者にはやや難しい面も存在するタマネギですが、ポイントを押さえながら栽培することでおいしいタマネギを収穫することができますよ。

ここでは、成功に導くタマネギ栽培のコツを5つ紹介します。

トウ立ちしないようにする

トウ立ちとは、花芽が分化することでそれまで根や茎葉に移動していた養分が、花芽に集中してしまうことをいいます。

トウ立ちによって、野菜の可食部の味が落ちたり生長が制限されてしまうため、避ける必要があります。

タマネギをトウ立ちさせないためには、植え付ける苗のサイズに注意することが重要です。

株元の茎の直径が10㎜以上の苗が低温にさらされると、トウ立ちするため、株元の太さ約5mm、長さ25~30㎝、重さ約50g程度の大きすぎない苗を選びましょう。

それより太いと春にトウ立ちしやすくなり、細すぎると霜で枯れたり、球が小さくなったりします。

また、種から育てる場合は

  • 肥料を与えすぎない
  • 適期にタネまきをし、早まきをしない
  • 栽培時期が短い極早生種を選ぶ

などの対策がトウ立ちを避けることに効果的です。

水分管理に注意する

タマネギのようなネギ類は乾燥している環境を好みます。

栽培する際は、水はけの良い畑を選びましょう

また、元気な玉ねぎの葉には白っぽい粉のようなブルームがつきます。

逆に、畑の水分が多く弱ってしまうとブルームは出なくなるため、水分管理の目安にしましょう。

タマネギは基本的には乾燥気味に育てる野菜ですが、水分が必要な時期も存在するため注意が必要です。

タマネギは、種をまいてから約1ヶ月間の、根が伸びだした本葉1.5枚位までは水分が必要不可欠になります。

その後、種をまいてから1ヵ月後以降から翌年の春までは多湿にならないよう乾燥気味に管理しましょう。

また、3月下旬から4月ごろの玉ねぎが大きくなる時期も水分が必要となり、その後の収穫時期がくるまでは乾燥状態にします。

冷涼な気候で育てる

タマネギの発芽適温は15~25℃、生育適温は15~20℃で冷涼な気候を好みます。

また、気温が25℃以上になると生育が抑制されてしまうので、暑くなる前に収穫できるよう、さかのぼってタネまきや植え付けの時期を決めましょう。

土壌が酸性に傾かないようにする

タマネギは、一般に土壌を選ばないとされていますが、酸性土壌を嫌う傾向があります。

酸度調整をしっかりと行うことで、しっかりと育ち、形もよく大きいタマネギを収穫できます。

そのため、土づくりが重要になります。

pHは6.0~6.5を目安に苦土石灰を入れ、弱酸性~中性の土壌酸度に調整しましょう。

肥料の与えすぎに注意する

タマネギ栽培において、肥料の量とタイミングは重要です。

特に、肥料を与えすぎるとトウ立ちを招くだけでなく、病気や害虫が発生しやすくなるため、量には注意が必要です。

また、冬季は生長が止まるので、春まで追肥の必要はありません。

生育後半に肥料(特にチッソ成分)が効きすぎると球の品質が悪くなり、貯蔵性も落ちます。

初心者におすすめのタマネギの品種とは

玉ねぎの品種は大きく以下の4つに分類されます。

  1. 極早生種
  2. 早生種
  3. 中生種
  4. 晩生種

サラダなどの生食向きのものは栽培期間が短く、反対に翌年まで食べられる保存性の高いものは栽培期間が長い品種です。

それぞれの特徴とともに初心者におすすめの品種について紹介します。

極早生種・早生種

早生種・マッハ

参照:【楽天市場】タキイ種苗 タマネギ 種 マッハ 4.5ml:イケダグリーンセンター (rakuten.co.jp)

「極早生品種」・「早生種」は一般的に、新玉ねぎといわれている種類です。

栽培期間が短く、比較的トウ立ちしにくいため、種まきから玉ねぎ栽培を始めたい初心者には最もおすすめの品種です。

辛みが少ないものが多く、サラダに使うことができます。

保存性が低いので、長期保存には向きません。

【おすすめの品種:マッハ】

低温度でも生育がよく、初心者でも栽培が簡単な極早生の品種です。

とう立ちが少なく病気にも強いため、タマネギの栽培経験が少ない方におすすめです。

中生種

中生種・O・P黄

参照:Amazon | タキイ種苗 タマネギ O・P黄 | 野菜

早生と晩生の中間の特徴をもつ品種です。

栽培期間は早生品種同様に短く、初心者でも栽培可能です。

早生品種より貯蔵性が良く、夏まで保存できるものもあります。

夏野菜の栽培に取り掛かる前に収穫することができるため、畑を占領することもありません。

晩生品種のような長期保存はできないため、注意が必要です。

【おすすめの品種:O・P黄】

タマネギの品種の定番の品種です。

生育旺盛で苗立ちよく作りやすい品種です。

特徴としては、病気にとても強く、初めての方でも失敗しにくく、長く貯蔵もできます。

晩生種

晩生種・ケルたま

参照:Amazon | タマネギ 種子 ケルたま 玉ねぎ (4.5ml) | 野菜

晩生種は、早生品種よりも2か月ほど栽培期間が長い品種です。

そのため、畑を長期間占領することになります。

長期保存が可能な点が特徴で、半年から1年間程度もちます。

火を通すと甘味が出ますので、炒めものや煮物に最適です。

逆に、辛味が強いものが多いため、サラダなどの生食には不向きです。

【おすすめの品種:ケルたま】

体内で発生した活性酸素を除くと言われる機能性成分「ケルセチン」を、従来品の約1.5倍含まれている健康に良い品種です。

晩生種の特徴である長期保存が可能な「高貯蔵品種」であり、つやがあり美しいタマネギです。

トウ立ちもしにくく栽培しやすいため、晩生種に挑戦したい初心者にはおすすめです。

タマネギの栽培時期

参照:タマネギ(玉ねぎ)の栽培方法・育て方のコツ | やまむファーム (ymmfarm.com)

玉ねぎは品種によって多少異なりますが、基本的には9月にタネを撒き、10月から11月に苗を植えます。

収穫までの期間が短い早生種は4月から収穫が始まり、晩生種は5月~6月の梅雨前に収穫し、約半年貯蔵できます。

収穫まで半年以上かかるため、葉物野菜に比べれば生育期間が長い野菜だといえます。

夏野菜の植え付け時期と重なることも考慮して品種を選んでもよいでしょう。

畑を長く占拠することになるので、どこに植えるか、しっかり計画しておきたいですね。

植え付け準備(苗床)

1m幅の平床をつくり、タネはバラ撒きまたはすじ撒きをします。

間引く手間を減らすためには、できるだけ均一にタネをまいて苗を作ることが大切です。

1cm間隔、条間5㎝で撒くとき、タネ20mlで約2500~3000粒なので、約1m× 1.5m、タネ2dlで 約1m×15mの苗床が必要です。

タネ撒き後は軽く土をかけ(覆土)、その上からかん水し乾燥防止のため稲ワラとモミガラを敷きます。

可能なら不織布や寒冷紗、ワラなどで覆い、たたき雨による被害を防ぎましょう。

幼い苗は薄い覆土だと倒れやすいため、1㎝程度の土入れが必要です。

硬く固まらない砂などの用土や堆肥を、やや厚めに覆土する方法がおすすめです。

育苗

定植に適した苗の大きさは長さ25㎝~30cm、重さ約5gが目安です。

小さめの苗の方がトウ立ちしにくいため、焦って早い時期に植えないようにしましょう。

暖冬のときは苗が大きくなりやすいため、注意が必要です。

間引きは必要であれば行ないましょう。

草丈6㎝程度のときに密集している部分があれば間引きをし、その後、草丈10㎝程度のときに苗との感覚が約1.5㎝になるように間引きします。

植え付け

タマネギの苗

植え付け前に以下の肥料を混ぜて土づくりを行ないます。

【1mあたり】

堆肥:1.5~2kg

元肥:100g

苦土石灰:150g

過リン酸石灰:50g

水はけのよくない畑ではウネを高くし、60~70㎝幅のウネに2条または140~150㎝幅のウネに4条で株間10~12㎝で植え付けます。

最初の葉の付け根より深く植えないように注意しましょう。

手入れ

マルチ栽培では追肥ができないので、元肥に緩効性一発肥料などを用います。

露地栽培では、雨水によって肥料が流れるため、必ず追肥が必要です。

早生種で12月~1月、中晩生種で2~3月上旬までにチッソとカリを中心とした追肥を行います。

追肥が遅れると収穫時期になっても、タマねぎの休眠が始まらず、吊るして保存(吊り玉貯蔵)しても腐りやすくなるため、この追肥のタイミングは非常に重要なポイントです。

施肥の量は50g/㎡以下を目安とします。

ただし追肥のチッソ量が多すぎると首閉まりが悪く、タマネギが休眠しません。

日照時間が足らず、チッソの消化力が弱い時や雨が多い時は追肥のチッソ分を控え、カリ分を増やしたり、追肥の絶対量を減らしたりしてコントロールします。

また、追肥の効きが悪いときは追肥量を増やすのではなく、中耕が効果的です。

収穫

タマネギの収穫

品種によって収穫時期は異なりますが、一般的に5月中旬から6月ごろです。

目安として、全体の5~6割の葉が自然に倒れたら、晴天の日に収穫します。

風通しの良い場所に吊るして乾かした後、貯蔵しましょう。

病害虫とその対策方法

アブラムシ

【病気】

タマネギは低温多湿の環境で栽培するとべと病になる可能性があります。

そのため、種まきの1か月後から苗の定植、翌年の早春までは乾燥気味に育てるのがポイントです。

しかし、種まき後と3月下旬~4月のタマネギが大きく生長する時期は水分が必要になるので注意が必要です。

また、タマネギの連作障害は強くはありませんが、連作するとべと病などの疫病が発生しやすくなるため、避けましょう。

【害虫】

タマネギに発生しやすい害虫は、アブラムシ類・ネギアザミウマ・タネバエ・ネギコガ・ネダニ・ネギハエモグリバエなどです。

大きな被害にはなりませんが、アブラムシなど吸汁する害虫はウイルス病を伝染させるため注意が必要です。

また、未熟な堆肥を使うとタネバエの被害を受けることがあります。

しっかりと完熟した堆肥を使うことで防ぎましょう。

また、害虫は被害を最小限に食い止めるため、数が増える前に薬剤などで駆除することが大切です。

好きな野菜第1位!タマネギの魅力とは

タマネギの人気は高く、タキイ種苗が毎年行なっている「好きな野菜に関する調査」では、常に3位以内にランクインしており、2020年には第1位に選ばれました。

1位に選ばれた理由のひとつとして、タマネギの持つ栄養価の高さがあげられます。

タマネギといえば「血液をサラサラにする」イメージが強いかと思いますが、これは硫化アリルという成分によるものです。

硫化アリルは、消化液の分泌を助けて食欲を増進する作用をはじめ、新陳代謝・神経の沈静化に必要なビタミンB1の吸収と活性化を促す作用があるとされています。

また、タマネギにはミネラルの一種である「カリウム」を多く含んでいます。

カリウムには塩分を排出するはたらきがあるため、体の調子を整えるだけでなくむくみにも効果的です。

硫化アリルは熱に弱く水に溶けやすい特徴があるため、効果的にとりたい場合はサラダなどにして生のまま食べるのがおすすめです。

今回紹介した「極早生種」や「早生種」は初心者でも育てやすい上に、甘味があり生でもおいしく食べることができますよ。

タマネギを栽培した際には、一度生食で楽しんでみてはいかがでしょうか。

まとめ

料理の利用範囲が広く、栄養価も高い人気の野菜「タマネギ」の栽培方法のコツとその魅力について紹介しました。

タマネギは他の野菜と比べて栽培期間が長いものの比較的手がかからず、病害虫による被害もあいにくいため、野菜栽培の経験が浅い初心者にもおすすめの野菜です。

  • とう立ちを避ける
  • 水分管理に注意する
  • 冷涼な気候で栽培する
  • 土壌が酸性に傾かないようにする
  • 肥料を与えすぎない

などの今回の記事で紹介したポイントを押さえて、はじめて家庭菜園に挑戦するという方も経験者の方も、ぜひタマネギの栽培にチャレンジしてみてください。

また、タマネギは需要が高い人気の野菜でもあります。

育てやすい早生種から保存の効く晩生種まで、自分のスキルに合わせて栽培したり、収穫時期をずらして長期間にわたって収穫することも可能です。

タマネギ栽培に慣れたら自分で販売し、収入を得ることも検討してみてはいかがでしょうか。

みんなで農家さん」では、家庭菜園についてさらに詳しく知ることができるだけではなく、もっと大きな規模でやってみたいという方や、収入につなげてみたいという方にとって、必要な情報を知ることができます。

興味のある方は、ぜひこちらからチェックしてみてくださいね。

参考文献:

市川啓一郎著「タネ屋がこっそり教える 野菜作りの極意」一般社団法人 農山漁村文化協会発行,2021年 

林重孝著「有機農家に教わる もっとおいし野菜のつくり方」社団法人 家の光協会発行,2011年

参考サイト:

タマネギの上手な育て方 (kateisaiennkotu.com)

タマネギの育て方・栽培方法|失敗しない栽培レッスン(野菜の育て方)|サカタのタネ 家庭菜園・園芸情報サイト 園芸通信 (sakata-tsushin.com)

玉ねぎ栽培|家庭菜園で初心者が作りやすいオススメの品種と極早生・早生・中生・晩生の特徴 | カジトラ (kajitora.com)

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