【獣医】超重要水産獣医の仕事は水産業に欠かせない!

あまりイメージはないかもしれませんが、水産業も畜産の中に含まれています。

畜産業だと牛や豚、鶏などがいるため一般的な人にもイメージしやすいかと思います。

水産業は畜産業としてはあまりイメージはしにくいかもしれませが、水産業の養殖業が現在は注目されています。

その理由として、育った経緯が分かる安心感や、計画的に生産できて価格が安定していること、そして水産資源の枯渇を防ぐことができることなどが挙げられます。

現在の日本は食品に対して安心感があることや健康に対する意識が非常に高いことからも明確にわかる内容の養殖がニーズにあっているからだと言えます。

この水産業の養殖業の生産を向上と守ってのに重要になって来るのが「水産獣医師」です。

今回の記事ではあまり知られていない「水産獣医師」の仕事について紹介していきます。

獣医の中でもなじみのない「水産獣医」について少しでも知っていただければと思います。

養殖業について

日本での養殖業は大きく分けて2つに分けられます。

1、海面などの施設において海水を使用して行う海面養殖(ブリ類やマダイの養殖など)2、一定区間の陸上などにおいて淡水を使用して行う内水面養殖(ウナギ、マス類、アユの養殖など)に大別されます。

要するに海水と淡水による違いです。

養殖業の産出額は増加傾向にあり、技術の普及や発展に伴い、生産量も安定傾向にあります。

しかし近年、養殖場における魚病による被害が深刻化しています。

その被害額は、産出額の3パーセント程度(約90億 円)で推移しています。

下記のグラフを見てもわかるように産出額と被害額は比例していることがわかります。

今後の成長を考えると被害を抑えるのと生産性を向上させていくためには水産獣医の重要性がわかります。

参考、引用元:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2109/pdf/aff2109-3.pdf

養殖施設での獣医業務

養殖施設での獣医業務は、水産動物の健康管理を担当する重要な役割を果たしています。

養殖業は、魚や貝類、エビなど水産動物を商業的に育成する産業であり、その健康管理は生産性や品質を維持する上で最低限です。

獣医師は、以下のような業務を養殖施設で行います。

1. 健康監視と予防措置

養殖施設では、水産動物の健康状態を定期的に監視し、初期に病気を発見することが重要です。

獣医師は、定期的な健康診断や検査を実施し、感染症のリスクを評価して適切な予防措置を講じます。ワクチン接種や予防薬の使用などが含まれます。

2. 病気の診断と治療

獣医師は、病気の症状や病変を観察し、水産動物に発生している病気を正確に診断します。診断結果に基づいて適切な治療法を選択し、病気の拡大を防ぐために適切な対策を講じます。治療の際には、適切な薬剤の使用や手術が含まれることもあります。

3. 疫学調査

獣医師は、養殖施設での疫病の発生原因を調査するために疫学的な調査を行います。感染源の特定や経路の把握などが重要な課題となります。疫病の拡大を防ぐために、適切な衛生管理や隔離措置の実施を提案します。

疫病の拡大を防ぐためにはこの初動がどれだけ迅速に行えるかが拡大防止に繋がります。

水産獣医はこの判断を適切に行う必要があります。

4. 健康管理計画の策定

養殖の運営者と協力して施設、健康管理を策定します。 

定期的な計画的な健康チェックや感染リスクの評価、予防策の実施などを含む計画は、水産動物の健康状態を維持し、生産性を向上させるために欠かせないものです。

管理計画を綿密に計画することが健康に対する管理を正確に行うためにも非常に重要になります。

5. 研究と情報提供

水産動物の健康管理に関する最新の研究や情報を把握し、養殖施設の運営者やスタッフに対して適切な情報提供を行います。

健康問題に関する啓発活動や育児研修など、水産動物の健康を向上させる取り組みを行います。

養殖施設での獣医業務は、水産動物の健康を守り、安定した生産を支える重要な役割を果たしています。獣医師の専門的な知識と技術により、水産業の持続可能な発展に水産獣医師の仕事は欠かせない仕事だと言えます。

水産獣医学 

水産獣医学は、水産動物の健康管理に特化した獣医学の一分野です。

水産獣医師はこの水産医学について特化した獣医になります。

水産動物は魚や貝類、エビなど多様な種類が存在し、それぞれの種に応じた健康管理が水産獣医師は、水産動物の病気予防や治療、健康監視、感染症の疫学調査などの専門知識を持ち、養殖業において重要な役割を担っています。

水産獣医師として働くためにはこの水産獣医学について適切な知識がなければ行うことができません。

そのため、学ぶことを常に忘れてはいけません。

養殖業者へのコンサルティング 

水産獣医学の専門知識を持つ獣医師は、養殖業者へのコンサルティングも行います。

養殖業者は、水産動物の健康状態を確保し、生産性を向上させるために獣医師の専門的な知識やアドバイスを求められる場合があります。

コンサルティングの際には、以下のような点に焦点が当てられます。

健康管理計画の策定 

養殖業者と獣医師は共同で健康管理計画を立てます。 定期的な健康チェック、疾病予防対策、感染症の計画の監視などを積極的に行うことで、水産動物の健康をし、生産性を向上させていく目的があります。

獣医の業務と重複しているようにも思えますが管理計画については獣医はどちらかといえばコンサルティングになります。

そのため、あくまでも養殖業者から共同で依頼されなければ健康管理の計画までを行う必要が厳密にはありません。

養殖環境の評価

獣医師は養殖施設や飼育環境を評価し、健康への影響を考慮して特定します。水質管理や飼料の質、飼育密度など水産動物の健康への影響を考慮するため、適切な改善策を提案します。

養殖業者だけでは判断が難しいこともあるため、知識が豊富で特化している水産獣医による評価は非常に重要になってきます。

感染症の対策

感染症のリスクを評価し、適切な対策を講じることが重要です。 

獣医師は、感染症の早期発見と拡大防止に向けた情報提供や指導を行い、養殖業者と協力して感染症対策を実施します。

感染拡大を防ぐことが被害を最小限に抑えるためにも重要になります。

つまり、感染しているかを判断することが適切でないと拡大を未然に防ぐことができなくなるため獣医の判断は非常に重要になります。

飼料・餌の管理

水産動物の健康管理に関して、飼料・餌の管理は重要な要素です。

正しい動物の餌の供給は水産の成長や免疫力に直接影響を与えるため、健康的な成長を促進するために次の点に留意します。

栄養バランスの確保

水産動物は成長段階や種によって異なる栄養要求があります。餌の成分や栄養バランスを考慮し、水産動物が必要とする栄養素を正しく摂取できるように管理します。

餌の種類と供給方法

水産動物に適した餌の種類を選定し、適切な供給方法を優先します。養殖動物の好みや摂食行動に合わせて餌の供給やタイミングを調整することが重要です。

餌の品質管理

餌の品質は水産動物の健康に直接的な影響を考慮するため、品質管理が重視されません。餌の保存方法や餌の供給前の検査を行い、異常があれば適切な対応を取ります。

水産動物の健康管理においては、水産獣医学の専門知識を持つ獣医師の協力が重要です。

養殖業者と獣医師が連携し、正しい健康管理と飼料・餌の管理を行うことで、水産動物の健康を維持し、持続可能な水産業の発展に貢献することが期待されます。

水産獣医の水質管理と衛生

最後に水産獣医の水質管理と衛生は、非常に重要な役割を果たします。

衛生対策が水産動物の健康を維持するために必要です。

1. 水質管理の重要性

水質は、酸素量、pH、温度、塩分濃度などの要素で構成されており、これらの値が適切でない場合、水産動物に対してストレスや病気のリスクをもたらす可能性例えば、酸素不足や水温の急激な変化は、水産動物の免疫力を低下させ、感染症の発生リスクが高まる可能性があります。

2. 水質の監視と調整

水産獣医は、養殖で水質の監視と施設を調整します。 定期的な水質検査により、酸素量やpH、塩分濃度などの水質パラメータを評価し、正しい範囲に水質の不良が検出された場合には、必要な措置を行い、水質を改善します。

3. 水質汚染の防止

養殖施設では、畜産業や農業からの排水や化学物質の流出などによる水質汚染のリスクがあります。適切な水質を維持するために水質汚濁を防止することに適切な管理が必要になります。

4. 衛生管理と感染症予防

水産獣医は、水産動物の健康を守るために衛生管理にも重点を置きます。施設内での清潔さや感染リスクの評価、適切な衛生対策の実施等が行われます感染症の早期発見と拡大防止は、水産獣医師の重要な役割です。

水産動物が感染するのは基本的に水からになります。

そのため水質の衛生管理は予防の意味でも重要になります。

5. 環境との調和

水管理と衛生は、水産動物の健康だけでなく、周囲の環境に対する影響も考慮します。

水産獣医の水質管理と衛生は、水産動物の健康状態を維持し、持続可能な養殖業を実現するために動物にとって重要な要素です。そうすることで、安定した生産と品質の向上を実現します。

まとめ

水産獣医の仕事について紹介してきましたが畜産業において水産獣医師がどれだけ重要な役割を持っているのかを知っていただけたかと思います。

私たちの生活でも欠かせない食で、養殖業がなければ安定した供給をすることはできません。

水産獣医による適切な判断と処理がなければ養殖場は疫病や何かあった際に対応することができません。

結果として生産性が減少に繋がってしまうため、こういった事態にならないように事前対策と管理は非常に重要な役割になります。

今後も水産業が向上していくためには水産獣医の役割が欠かせません。

水産業に特化しているためそれだけ獣医は少ないですが、重要な仕事であることを知っていただけたかと思います。

【参考文献】

水産獣医学の重要性と養殖業者への役割について

水産動物の健康管理における餌の重要性と管理方法

日本水産学会、水産獣医学の当面としての獣医師の育成とその活躍分野について

日本水産会議、水産業の獣医学的側面 – I.獣医学・水産学問架け橋になるために

水産・養殖業界の専門家として働く獣医師について

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