秋から春の朝などにかけて起こる「凍霜害」について耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか?
凍霜害は農作物に甚大な被害をもたらすもので令和3年度の全国の凍霜害による被害総額は30億円までにもなると言われています。
毎年大きな被害をもらたらすものであり、毎年起こるのはわかっているため政府も対策を呼びかけています。
そこで本記事では凍霜害について対策などを詳しく解説していきます。
ぜひ、本記事を参考に凍霜害の対策をしていきましょう。
凍霜害とは?
凍霜害とは、農作物が低温によって生理機能が低下し、生長が阻害されたり、果実や花が損傷を受けたりする現象です。
理由として、寒さに耐性が低い農作物は、気温が急激に下がると細胞内の水が凍ってしまい、細胞が損傷することが挙げられます。
その結果、生長が停止し、収穫量の減少や品質の低下につながります。
具体例としては、春に開花する典型的な果実作物である桃や梨が挙げられます。
これらの作物は、花が咲く時期に霜が降りたり、気温が急激に下がると、花に損傷を受けてしまい、実がならなくなってしまうことがあります。
ちなみに、凍霜害は主に春と秋に発生することが多く、特に春に発生する凍霜害は「春霜」と呼ばれています。
農家は凍霜害対策として、風除けネットを使ったり、作物の栽培時期を調整したりしています。
凍霜害が起こる条件
凍霜害が起こる条件は主に以下の3つです。
- 低温:農作物が凍り付く温度によって細胞が破壊されます。温度が一定期間低いことが条件です。
- 風:強風は作物の生長を阻害し、凍霜害を引き起こしやすくなります。特に山間部では、冷たい空気が谷間に溜まることがあります。
- 湿度:乾燥した状態では凍霜害は起こりにくいですが、湿度が高いと凍霜害が引き起こされやすくなります。
これらの条件が重なると、凍霜害が起こりやすくなります。また、春に若い葉や花が出てきたばかりの時期や、秋に果実が成熟している時期に凍霜害が起こると、農作物に悪影響が及びます。
凍霜害になりやすい作物
凍霜害になりやすい作物は、主に開花時期が春であり、寒さに弱いものです。
典型的な例としては、桃や梨、アーモンド、さくらんぼ、ぶどうなどの果実作物が挙げられます。
また、葉菜類やイチゴなど、低温に弱い野菜類も凍霜害になりやすいです。
これらの作物は、凍霜害が発生すると、収穫量が減少したり、品質が低下したりするため、農家は事前に寒冷害対策を行います。
凍霜害の対策方法
凍霜害は、農作物や植物に大きな被害を与える現象であり、対策が重要です。
対策方法にはいくつかの種類がありますが、その理由と根拠を説明し、具体例を挙げてみます。
まず、凍霜害の発生メカニズムですが、気温が急激に下がり、水分が凍結して植物細胞が破壊されることが原因です。このため、気温が下がらないような環境を整えることが対策方法の基本となります。
具体的な対策方法は以下の通りです。
- 燃焼法
- 送風法
- 散水氷結法
それぞれの方法は、寒冷地での農業や園芸で使用されることが多く、実績があります。次の章から、それぞれの対策方法について詳しく説明します。
燃焼法
燃焼法は、凍霜害対策の一つで、燃料を燃焼させて発生する熱で対象範囲の気温を上昇させる方法です。冷え込む夜間や早朝に、燃料を使って大気を暖め、植物の温度を上昇させることで、凍霜害を抑制する効果があります。
燃焼法では、石油や薪、炭などの燃料が使用されます。
燃料選びは環境への影響やコストを考慮することが重要です。
ただし、燃焼法にはデメリットも存在します。燃焼による温暖化効果が一定範囲に限定され、風によって効果が薄れることが考えられます。また、燃焼による煙が、呼吸や視界に悪影響を及ぼすこともあります。
送風法
送風法は、凍霜害の対策方法として広く用いられます。大型の送風機を利用して、上層の暖かい空気を下層に送ることで、地表付近の気温を上昇させる方法です。地表付近の気温が上昇することで、凍霜害を防ぐことができます。
送風法のメリットの一つは、範囲内の気温を比較的均一に維持できることです。また、燃焼法と違い、煙や排ガスによる環境への負荷が少ない点も評価されます。
しかし、送風法にもデメリットがあります。例えば、設置コストや運営コストが高いことや、騒音が発生することが挙げられます。それに加え、送風機の効果は風向や風速によって左右されることもあります。
散水氷結法
「散水氷結法」は、寒冷地域や寒冷時期における凍霜害対策の一つです。これは、農業や植物保護の分野で広く使用される技術で、植物や作物を低温から保護するために用いられます。以下に、「散水氷結法」の詳細を説明します。
この方法の基本的な原理は、水を噴霧して植物や作物表面に薄い氷の層を形成することです。この氷の層は、空気中の熱を吸収して凍結する過程でエネルギーを放出し、植物や作物を守る役割を果たします。具体的な手順は次の通りです:
散水装置の設置:対象となる農地や植物園に、散水装置を設置します。これには、噴霧ノズルやパイプライン、ポンプなどが含まれます。
水の供給:低温が予想される夜間や寒冷な季節に、散水装置から水を供給します。水は微小な滴として噴霧され、植物表面に広がります。
氷の形成:噴霧された水滴は、植物や作物の表面に接触すると急速に凍結します。この凍結過程で、水が氷に変わる際に放出される熱が植物に対する凍結の影響を軽減します。
保護の維持:凍結した氷の層は、植物を外部の寒冷から隔て、凍霜害から保護します。日中には氷が解け、植物は通常の成長を続けます。
散水氷結法の効果は、気温、湿度、風の速さなどの要因に依存しますが、適切に実施すれば植物や作物を凍霜から守るために効果的な手法として利用されます。しかし、水資源の消費やエネルギー使用の増加に注意が必要であり、効率的な運用が求められます。
凍霜被害発生後の対策方法
凍霜害の被害が発生した場合、以下の対策方法が考えられます。
まず、被害の程度や影響範囲を評価し、それに応じて適切な行動を取ることが重要です。
被害の評価: 凍霜害の被害の程度を詳細に評価し、どの部分が影響を受けたかを確認します。これにより、対策の優先順位を決定します。
被害を最小限に抑える: 凍霜害が続く場合、被害を最小限に抑えるために、被害を受けた植物や作物を覆うことが考えられます。シートや布を使用して保護することで、凍結を避けることができます。
災害保険の活用: 農業や園芸の分野では、凍霜害に備えて災害保険を検討することが重要です。被害が発生した場合、保険金を受け取ることで被害の経済的な負担を軽減できます。
予防策の強化: 将来の凍霜害を予防するために、暖房装置や風除けを設置し、寒冷期に植物を保護するインフラストラクチャーを強化します。また、適切な時期に適切な品種を選ぶことも重要です。
モニタリングと予測: 地域の気象情報や凍霜の予測を継続的にモニタリングし、適切なタイミングで対策を実施することが重要です。
凍霜害の被害を最小限に抑えるためには、早期の対応と予防策の実施が不可欠です。地域や作物に合わせた対策を検討し、農業や園芸の継続的な成功を確保するために努力が必要です。
凍霜害による被害の実態
凍霜害にはどのような被害があるのでしょうか?
まず、凍霜害によって影響を受ける植物の代表例は果樹です。特に、桃や柿、ぶどうなどの木が被害を受けやすく、収穫量が減少します。さらに、観賞用の植物や花卉も同様の影響を受け、市場価格が上昇する場合があります。
また、野菜類にも凍霜害は影響が及びます。特に、大根や白菜、レタスなどの耐寒性が低い野菜は大きな被害を受けることが多いです。
凍霜害による農作物の被害は、農家の収入にも大きく影響します。作物が売れなくなることや、収穫量が減少することで、収益が減少します。さらに、家庭菜園や趣味の園芸においても、凍霜害で育てていた植物が枯死したり、収量が低下することがあります。
対策としては、予報で低温や霜が予想される場合、農作物や園芸植物を覆うことが基本です。フィルムや布で直接覆うほか、ハウス栽培やビニールトンネルが有効です。また、農業用のヒーターや煙幕を使って温度を上げる方法もあります。
このように、凍霜害は農作物や園芸植物に大きな被害をもたらしますが、適切な対策を講じることで最小限に抑えることができます。
まとめ
凍霜害は、気温の急激な下降により植物の細胞が破壊される現象です。
果樹や観賞用の植物、野菜類など、多くの植物が影響を受け、農家や園芸家の収益にも悪影響を及ぼします。
対策としては、低温が予想される際に植物を覆うことや、温度を上げる方法が基本です。
適切な対策を実施することで、被害を最小限に抑えることが可能です。
今後も凍霜害が発生するリスクはありますが、情報収集や対策の見直しを行うことで、被害を防ぐことができます。ぜひ、今回学んだ知識を活かして、次の冬季に備えてください。
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凍霜害以外に自然災害に関する情報も多数掲載しております。
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最後までご覧いただきありがとうございました。
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