そろそろ旬の時期に差し掛かるスナップえんどう。
このスナップえんどうが実は、さやえんどうやグリーンピースと分類上「マメ科エンドウ属」と同じものだったことはご存知だったでしょうか?
えんどうの成長度合いや品種によって違った名前で呼ばれてるのです。
知っているよ、という方もいれば、姿形は一緒でも知らなかったという方も多いはず。
そこで今回はスナップえんどうやさやえんどう、グリンピースに焦点を当てて解説していきます。
育て方についても記載しておりますので、よろしければ最後までお付き合いください。
スナップえんどう、さやえんどう、グリンピースの違い
■さやえんどう
えんどうを若いうちに採り、さやごと食べる野菜で、その中でも特に小ぶりなものは、「絹さや」とも呼ばれます。
■スナップえんどう
グリンピースをさやごと食べられるように品種改良したもので、肉厚で甘みが強いところが特徴です。
■グリーンピース
えんどうのさやの中の豆をある程度大きくなるまで成長させ、完熟する前のやわらかい状態の時に収穫したものになります。
それぞれの栄養素
えんどう類にはビタミンC、ビタミンB1、ビタミンK、葉酸が含まれています。
さやえんどうはグリンピースやスナップエンドウに比べてビタミンC、ビタミンKを多く含みますが、ビタミンB1はグリンピースよりも少ないなど、分類上は同じものであっても栄養の含有量が異なります。
同じ野菜なのに、成長過程によって栄養素が違うのは面白いですよね。
■ビタミンC
ビタミンCは、体の細胞と細胞の間を結ぶコラーゲンというたんぱく質をつくるのに不可欠です。
これより皮ふや粘膜の健康維持に役立ちます。
また、病気などいろいろなストレスへの抵抗力を強めたり、鉄の吸収を良くしたりします。
さらに、抗酸化作用もあり、有害な活性酸素から体を守る働きをすることから、動脈硬化や心疾患を予防することが期待できます。
ストレスへの抵抗力を強めることから、ストレスの多い人ほどきちんととる必要があるといわれています。
ここでのストレスとは、寒さ、暑さ、疲労、苦痛、心痛、睡眠不足、働き過ぎなど精神的・物理的ストレスの両方です。
またたばこを吸う人も、より多くのビタミンCが使われるといわれています。
■ビタミンB1
ビタミンB1は、糖質からのエネルギー産生と、皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きをします。
また糖質を栄養源として使っている脳神経系の正常な働きにも関係しています。
■ビタミンK
ビタミンKは、出血した時に血液を固めて止血する因子を活性化します。
また、骨の健康維持にも不可欠で、骨にあるたんぱく質を活性化し、骨の形成をうながすことも知られています。
このため、ビタミンKは骨粗しょう症の治療薬としても使われています。
さらに、血管(動脈)の健康にも役立っています。
■葉酸
葉酸は、たんぱく質や細胞をつくる時に必要なDNAなどの核酸を合成する重要な役割があります。
このため、赤血球の細胞の形成を助けたり、細胞分裂が活発である胎児の正常な発育に役立ったりするなどの大切な働きをしています。
葉酸は、ビタミンB12と協力して血液をつくる働きがあるため、欠乏症ではビタミンB12不足の際と同様、巨赤芽球性貧血という悪性の貧血がみられます。
また、妊娠初期の女性が十分な葉酸を摂取すると、胎児において神経管閉鎖障害という神経管の発育不全になるリスクを減らすことがわかっています。
さらに最近では、成人において脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患を防ぐという研究結果もあります。
スナップえんどうの育て方
次に育て方についてです。
畑が無くても、プランターと支柱があれば育てることができますので、ぜひチャレンジしてみてください。
●主に用意するもの
・スナップエンドウの種(好きなもので大丈夫です)
・長さ70cm×幅30cm×深さ30cm程度のプランター
・培養土
・鉢底石
・つるを絡ませる用の支柱(2m程度)3本ほど
・固定用のひも
・移植ごて(園芸用の小型のシャベル)
・化成肥料
・不織布:寒冷紗(かんれいしゃ)でも可(寒さよけに便利)
・園芸用ハサミ
・防虫ネット
◯種まき(10〜11月頃)
プランターに鉢底石を敷き、培養土を入れ、表面を平らにならします。
25~30cm間隔で3カ所、深さ2cmほどの植え穴をあけます。
その穴に種を3粒ずつまきます。
水はたっぷり与え、間引きをせずに育てましょう。
!ワンポイント!
種まきから本葉が開くまでは鳥に狙われやすいので、防虫ネットや不織布をかぶせておくか、目の届くところに置いておきましょう。
※ネットは本葉が出たら外します。
◯追肥と土寄せ
植えつけから1カ月後、化成肥料20~30gを株の周りに蒔きます。
続いて2月下旬、3月中旬に各1回、4月以降は収穫までに2週間に1回ずつ同量を追肥します。
追肥後は、毎回、土と肥料を混ぜ合わせて株元に軽く土寄せしましょう。
◯冬越し
霜や風をよけるために不織布をかけるのがおすすめです。
プランターを覆うようにトンネル状に支柱を刺して、不織布で覆います。
※2月下旬に追肥をするまでかけておきます。
◯支柱立て・誘引
つるが伸び始めたら早めにつるを絡ませる支柱を準備します。
長さ2m程度の支柱を30cm間隔で立て、株を囲むように配置します。
その支柱を囲むように、地面から20cmくらいの高さに麻ひもを張り、支柱ごとに麻ひもをくるりと巻いて全体を囲みます。
!ワンポイント!
スナップえんどうの丈の伸びに合わせて、20~30cm間隔の高さでひもを張ると、つるが絡みやすくなります。
特に最初は、つるの先を支柱やひもに誘引しておきましょう。
その後は自然とつるが絡むようになります。
◯収穫
開花から20日ほど経ったころ、さやの長さが6~7cmになったら収穫時期です。
緑色が鮮やかなうちに収穫しましょう。
収穫が遅れると黄色味が増し、実も硬くなってしまうので、収穫の際には葉やつるをかき分けて、収穫摘時のものを探してタイミングよく収穫します。
病気と害虫
■病気
スナップえんどうは、うどんこ病や褐斑病(かっぱんびょう)などにかかりやすいです。
●うどんこ病
植物の表面に白いカビが生える病気です。
カビの一種である Erysiphe pisi が原因で、日光を遮り、植物の栄養を奪うので、徐々にスナップエンドウの元気がなくなっていきます。
〜予防方法〜
①枯れた葉や黄色くなった葉を除去し、風通しを良くする
「風通しのよさ」はどの病害虫の予防にも非常に効果的です。
②窒素肥料を与えすぎない
スナップえんどうは、根に根粒菌を住まわせることによって窒素を補給しています。
そのため、窒素肥料は他の野菜よりも少なくて大丈夫です。
③展着剤を定期的に散布する
油や糊のような成分を含んだ展着剤という薬剤を散布すると、うどんこ病の菌の成長を抑えられます。
オーガニックで使えて、ハダニやアブラムシ対策にも有効なのでおすすめです。
④重曹水を定期的に散布する
展着剤を買わずに何とかしたい、という方は、重曹1gに水1L程度の割合で混ぜた水を、スプレーで直接葉に散布しましょう。
※重曹が葉にダメージを与える場合もあるので、散布したときは経過観察が大切です。
〜発生時の対策〜
①カビの生えた葉を除去する
葉のカビから胞子が飛んで広がってしまうので、カビの生えた葉は除去します。
②展着剤を定期的に散布する
展着剤を散布すると、うどんこ病の菌の成長が抑えられます。
生き残った葉に散布するようにしましょう。
※殺菌面ではあまり期待できません。
③重曹水を定期的に散布する
展着剤を買わずに何とかしたい、という方は、重曹1gに水1L程度の割合で混ぜた水を、スプレーで直接葉に散布すると良いです。
※重曹が葉にダメージを与える場合もあるので、散布したときは経過観察が大切です。
④カリグリーンを散布する
カリグリーンはオーガニックで使える薬剤で、うどんこ病の殺菌効果とカリの追肥効果を併せ持ちます。
うどんこ病の菌を殺菌までしたいときに、使うことをおすすめします。
※予防効果はないので発症してから使用するようにしましょう。
●褐斑病
〜予防方法〜
①できるだけ排水、風通しをよくする
高温多湿は、褐斑病の原因になるカビ(糸状菌)の温床になります。
②水やりを過剰にやらない
植物や野菜に合った量を調べて適切な水分量を保ちましょう。
③水やりをするときには葉にかからないように
泥がはねないように根元から静かにあげましょう。
〜発生時の対策〜
うどんこ病のときと基本は同じになります。
防除薬剤としてスクレアフロアブル、ペンコゼブフロアブル、トップジンM水和剤が利用できます。
発病初期からの散布が有効ですので、見つけたらすぐに行うようにしましょう。
■害虫
つきやすい害虫はアブラムシ、ハモグリバエなどになります。
専用の薬剤を使うか、アブラムシなどは霧吹きなどで防除剤をかけて虫を防ぎましょう。
まとめ
スナップえんどうがどういった野菜なのか、どんな栄養素を持っているのか知ることはできましたでしょうか?
また栽培の難易度は、「簡単」というほどではありませんが、初心者でも手を出して作れる野菜になります。
畑が無くてもプランターを置けて、尚且つ日当たりの良いスペースがあれば十分に育てることができますので、何の野菜を育てようか迷っている方は一度スナップえんどうにチャレンジしてみてください。
成功すれば、たくさんのスナップえんどうを収穫することができます。
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