日本人の主食、白米。
実は知っているようで知らないその育て方。
グローバルな世界になってきた現代で、自分の国の主食の作り方を説明できないと恥をかいてしまう場面も、今後でてくるかと思います。
私も外国人の友人が出身国の様々なことを自分の言葉で説明できている姿に驚き、自分の知識不足を恥ずかしく思ったことがあります。
本記事でしっかり勉強していつでも説明できるようにしておきましょう!
前回の記事では土地づくりから、苗づくりの準備段階までをご紹介しました。
今回は苗を育てるところから収穫までをご紹介します。
ぜひ最後まで読んでいっていただけると幸いです。
前回までの内容
前回の記事では、お米作りにおいてとても重要な土台、土づくりは前年の稲を交えて何度も撹拌し、表面の土と内側の土を混ぜることで、土がやせるのを防ぐというところから、苗を育てる苗代の作り方までご紹介しました。
苗代は、まわりに溝を作って真ん中の苗代に育苗箱をおいて、床上までの水を入れます。
今回の記事はその後どうやって苗を育てていくのかというポイントからご紹介していきます!
前半の内容を忘れてしまった方は、ぜひこちらの記事を読んでから本記事を読むようにしてください!
コメ農家の春
コメ農家の春はやることがたくさんあります。
苗を育てる
苗代に育苗箱をおいたら、いよいよ苗を田植えができる状態まで育てていきます。
前回の最後では、ビニールでトンネルをつくって土や石で密封させ、暗くしました。
そうすると芽がでてきます。
芽が出そろったら2日から3日ほど弱い光に当てます。
この時、気温に注意が必要です。
昼間は25℃くらい、夜は10℃以上にしてトンネル内で1週間程度管理します。
こうやって芽がでた苗を日光や気温に慣れさせる工程を緑化といいます。
緑化が終わったら今度は低温に慣れさせます。
田植えをする1週間ほど前になったらようやくトンネルを外します。
それまではトンネルは外さず、自然の環境に慣れさせます。
苗を育てるときに重要になってくるのが、気温の管理と水の管理。
水は床と同じくらいの水位で絶対に冠水させないようにします。
種をまいてから1カ月程すると、根が絡まりあいマット状になり、やっと田植えに適した状態になります。
コメ農家の夏
5月6月になると田植えが始まり、7月は稲が生長する時期になります。
一度田植えしたらおしまいではなく、田植えしたあとも水の量の調節など細かい調節をしながら様子を見ていく必要があるのです。
田植え
ついに田植えです。
代掻きは田植えの直前に行い、柔らかい土にしておきます。
ただ直前といっても全日ではなく、3日前には終わらして少し落ち着かせる必要があるので注意です。
苗の種類や品種の特徴、それと作業性を考慮した植え付けの密度で田植えをしていきます。
機械などでは植え付け密度を設定して行うことができます。
密度だけでなく、植え付ける深さも重要なポイントです。
一般的に3㎝程度といわれていますが、それより浅いと浮いてきてしまう浮き苗がでてきたり、深すぎると茎の分裂が減り収穫量が減ってしまうのです。
この茎の分裂を分げつといい、お米は田植えのあと、分げつを20回程度繰り返すといわれています。
分げつが落ち着くと、幼穂が形成されるようになり茎が伸びていきます。
分げつにはそれぞれの時期や状態に名前があり、分げつの数が一番多い時期を「最高分げつ期」、穂をつけて実っているものを「有効分げつ」、穂をつけないか穂がついても実らないものを「無効分げつ」といいます。
水の管理
田植えが終わったら今度は水の管理が必要になります。
常に同じ水の量にしておけばいいというわけではなく、稲の生育に合わせて増やしたり減らしたりする必要があります。
深水管理といい、田植えをしてから苗が田んぼに定着するまでは、苗が水没しないくらいの5㎝から7㎝ほどの水深にします。
水を多くして深くすることで、水の保温効果を活用して苗を保護します。
苗が定着して分げつするまでの時期は、2㎝から4㎝の水深にします。
土の温度を上昇させることで、分げつを促進する効果があります。
これを浅水管理といいます。
分げつが一番多くなる最高分げつ期の時期には、田んぼから水を抜きます。
水を抜いて土の表面に亀裂が出るまで7日から10日かけて干します。
土を干すことで、土の中の酸素量を増やし根を健全にしたり、穂をつけなかったり、実らない無効分げつの発生を減らしたり、土の中の有害物質の発生を防いだりと多くの効果があります。
この干す工程を中干しといいます。
この中干しをすると、穂が出る前に根を刺激し成長を促すことができます。
中干しは、重い穂を支えることができるしっかりとした稲に育てるためにとても重要な工程の一つです。
中干しをしたら、数日おきに田んぼに水をいれたり引いたりする間断かんがいと呼ばれる工程を行います。
土に酸素の供給と水分の供給を交互に行うことで、稲の根が健全に育ちます。
穂がでたり花が咲いたりする時期の水は、浅水にして開花、受粉、受精を正常に行わせます。
そのあとはまた間断かんがいを数日おきに行っていきます。
収穫する15日前になったら、田んぼの水を引いて土を乾かせ収穫用の機械が作業しやすい状況にしておきます。
田んぼの水を引くのはなるべく遅い方がいいのですが、あまりギリギリにしてしまうと収穫用の機械は大型なので沈んでしまい、効率よく作業することができなくなるので、だいたい15日を目安に土を乾かします。
コメ農家の秋
稲が成熟したらそろそろ収穫になってきます。
収穫
いよいよ収穫です。
登熟とよばれる実ができるようになると、穂が黄金色に輝いてきます。
15%以下のもみがまだ緑色で、残りが黄金色になったら収穫の時期です。
収穫の時期を見誤ると、売り物にならないのでしっかり見極めましょう。
収穫が早すぎると、青いコメ、青米になってしまいます。
逆に収穫が遅すぎると、お米にヒビが入る胴割れ米になってしまいます。
収穫後の流れは、鎌で刈るのかコンバインなどの機械で刈るのかによって変わってきます。
鎌で刈る場合、まず刈り取ったらもみを自然乾燥をさせて、そのあとに脱穀し穂からもみを外します。
その後、もみすりをしてもみ殻を取り除いて玄米の状態になります。
その後、いい玄米と良くない玄米、くず米に選別します。
コンバインで刈る場合は、刈り取ったと自然乾燥ではなく、まず脱穀し機械で乾燥させていきます。
もみが乾いたらもみすりをして選別をしていきます。
コンバインのほうが刈り取りも脱穀も一度に機械がやってくれるので効率的ですが、やはり鎌でやったほうが味や食べた時の食感が変わるので、鎌で刈り取る方法も現在見直されているそうです
収穫後の工程を詳しく見ていきましょう。
乾燥
鎌で刈り取る場合は、刈り取ったすぐ後に自然乾燥、機械の場合は脱穀のあとにほかの機械で乾燥させます。
収穫したばかりのもみは22%から25%ほど水分を保有しています。
このままだともみすりがうまくいかなかったり、保存ができないので14%から15%まで水分量を減らしていきます。
この水分量は農林水産省の規格により15%と決まっていますが、14%以下になってしまうと、過乾燥米とよばれ味や食感が悪くなってしまいます。
自然乾燥では、はさ掛けや地干しによる天日干しが一般的です。
ただ自然の力を使って乾燥させるので、乾燥具合が均一でなかったり、天候によって乾燥する期間が延びたり、逆に縮んだりすることがあり不安定なところが問題点としてよくあげられます。
機械による乾燥では、熱風によって短時間で乾燥することができます。
自然乾燥より機械乾燥はムラなく乾燥できますが、水分のあるもみを一気に高温で乾燥させると、胴割れ米が発生しやすくなってしまいます。
調整作業
調整作業では、もみすりや選別を行います。
もみ殻を取り除いてよい玄米を選別したら、その玄米はぬか層を取り除いて、やっと白米になります。
この白米を袋にいれ密封されたものが、私たちの手元に届くのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
学校でお米を作ったことがある方もいると思いますが、コメ農家さんは学校で習うこと以上のことを毎年しています。
色んな工程を経て、大事に育てられておいしいお米ができると知ると、筆者はいろんな農家さんのお米を食べてみたくなりました。
本記事を読んでお米をもっと大事に食べよう、お米をもっと食べようと思うきっかけになったら嬉しいです。
また日本人ならお米栽培についての知識もつけて、誰にでも説明できるようにもしておいてくださいね。
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