お酒のおつまみの定番でもあり、ちょっとした料理や彩りにも活躍する枝豆。
そんな枝豆が、醤油や豆腐、納豆にもなる万能野菜、大豆と一緒の野菜であることをご存知ですか?
そして実は「もやし」とも同じ野菜になります。
どういった過程で枝豆やもやし、大豆になっていくのか気になりますよね。
そこで今回は枝豆と大豆、もやしについて掘り下げていきますので、ぜひ最後までお付き合いください。
枝豆と大豆、もやしの違い
大豆と枝豆、もやしは一見違う種類の植物と感じてしまうかもしれませんが、実は同じ植物の種子からできています。
見た目や味にも違いがあるため一見全く違うものと判断しがちですが、収穫の時期などが違うことから、呼び方が変わっています。
①種子が同じ
完熟した大豆が発芽し、そこから芽が伸びてきたものを「もやし」、もやしが成長し、大豆になる前の未成熟期に収穫された緑色の若い豆が「枝豆」、枝豆が成熟し、茶色く乾いたものが「大豆」と呼ばれます。
大豆の種子の成長過程により、もやし→枝豆→大豆と呼び名が変わっていきます。
②収穫時期
・大豆→もやし (1週間程度)
・もやし→枝豆 (2ヶ月)
・枝豆→大豆 (5ヶ月)
大豆と枝豆、もやしの収穫期間は、上記の通りです。
もやしを栽培するのは時間がそれほどかかりませんが、枝豆や大豆にするには手間暇がかかることがわかります。
また、枝豆の収穫時期は7〜9月頃、大豆の収穫時期は10月頃となります。
もやしは日光に当てない、1日2回の水の管理、の2点を守れば、年中栽培が可能になります。
※もやしは初心者におすすめ且つ室内で栽培可能な家庭菜園になります。
③見た目
大豆と枝豆の見た目の違いは、色調によって区別が可能です。
もやしは言うまでもありませんね。
枝豆は成長途中の段階で収穫してしまうため、色目は鮮やかな緑色をしています。
また、大豆は枝豆から収穫時期が遅いため、枝豆の緑色よりも黄色味がかったベージュ色に近い色調へ変わっていきます。
栄養素の違い
次に栄養素の違いについてです。
同じ野菜でも、見た目や味が違いますが、栄養素はどうなのか確認してみましょう。
もやし
一見、白くひょろっとしていて栄養がなさそうに見えますが、発芽することで豆には含まれないビタミンCやミネラルが増えて栄養価が高くなります。
エネルギー代謝に欠かせないビタミンB1やビタミンB2、免疫力を高める効果があるビタミンC、高血圧予防に効果的なカリウム、疲労回復に効果的なアスパラギン酸、肥満予防にも効果がある食物繊維などが豊富に含まれています。
また、100gあたり14kcalと低カロリーで、ダイエット中のボリュームアップ食材としても大活躍します。
一般的なもやしは緑豆を発芽させた「緑豆もやし」で、他にも大豆を発芽させた「豆もやし」、けつるあずきを発芽させた「ブラックマッペ」が流通しています。
緑豆もやしは白く太い茎でクセのない味わいです。
豆もやしは大きな豆がついていることが特徴で、他のもやしよりもカリウムやビタミンB1、食物繊維が豊富。3種類の中では豆もやしがもっとも栄養価が高いです。ブラックマッペは、ほのかな甘味があり、ビタミンCが豊富です。
ビタミンB1
ビタミンB1は糖質のエネルギー代謝にかかわっており、疲労回復を助ける効果があります。
また、脳と神経を正常に保つ働きもしています。
水に溶けやすいので、煮汁も一緒にとれる料理にすると効果的に摂取できます。
ビタミンB2
ビタミンB2は脂質をエネルギーに変えるのに欠かせないビタミンです。
脂質が新しい細胞を作る手助けをすることで、皮膚や粘膜などを健康に保つことができます。
子どもや胎児の発育を助ける働きがあることから「成長ビタミン」とも呼ばれています。
ビタミンC
ビタミンCはコラーゲンの合成にかかわるビタミンで、ストレスから体を守る働きをします。
活性酸素を消去する抗酸化作用があり、動脈硬化の予防にも効果があります。
また、皮膚のシミやしわを防ぎ、傷や炎症の治りをよくする効果があります。
さらに、粘膜を強くして健康に保つ効果があることから風邪予防の効果も期待できます。
カリウム
カリウムは体の水分バランスを保ち、ナトリウムを排出して正常な血圧を保つ効果があり、高血圧予防に効果が期待できます。
また、体内の余分な塩分を排出することからむくみの解消にも効果があります。
アスパラギン酸
アスパラギン酸とはアミノ酸の一種で、アスパラガスから発見されたためアスパラギン酸という名前がつけられたと言われています。
エネルギーの代謝にかかわり、疲労回復効果やスタミナ増強に役立ちます。
また、有害なアンモニアの排出を促す作用があり、中枢神経系を守る働きもあります。
食物繊維
もやしには水溶性食物繊維が0.1g、不溶性食物繊維が1.2gと不溶性食物繊維が豊富に含まれています。
不溶性食物繊維は腸の中で水分を吸い込んで膨らみ、腸を刺激することで便通を促して便秘の解消に役立ちます。
また、有害物質を排出する効果もあります。
水溶性食物繊維は、腸内環境を整える効果や血糖値の急激な上昇を抑える、コレステロールの吸収を抑制する効果が期待できます。
食物繊維は噛み応えがあるので満腹感を感じやすく、しかも低カロリーなので肥満予防にも効果的。糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防にも効果が期待できます。
枝豆
枝豆は大豆と同じように、大豆イソフラボンや大豆サポニンなどの機能性成分、たんぱく質、脂質、糖質、ビタミン、カリウム、カルシウムなどの栄養素が豊富に含まれています。
大豆にはないビタミンCが豊富に含まれているのも特徴です。
大豆イソフラボン
ポリフェノールの一種で、女性ホルモンの「エストロゲン」に似た働きをすることから、ハリのある肌を作ったり、骨粗しょう症の予防に役立ちます。
更年期以降の女性はエストロゲンの分泌量が大幅に減るため、女性は特に意識して摂ると良いです。
大豆サポニン
ポリフェノールの一種で、強い抗酸化作用があります。
LDLコレステロールの酸化を抑えて動脈硬化を予防したり、肝臓機能改善、がん予防などに効果が期待できます。
葉酸
ビタミンB群の一種である葉酸は赤血球を作り、食べたものをエネルギーに変えるのを助ける役割があります。
また、DNAを正常に作る材料にもなります。
特に妊婦さんは赤ちゃんの成長に必要な栄養素なので、積極的に摂取する必要があると栄養素とも言われています。
たんぱく質
枝豆には大豆と同じように良質な植物性たんぱく質が豊富に含まれています。
必須アミノ酸のメチオニンも含まれており、アルコールの分解を助ける働きがあります。
枝豆はお酒のおつまみにはピッタリな組み合わせです。
大豆
大豆には大豆イソフラボンや大豆サポニン、大豆レシチン、大豆オリゴ糖などの機能性成分や栄養素が含まれており、それぞれに健康効果が期待されています。
大豆レシチン
レシチンはリン脂質の一種で、細胞膜の主成分となるものです。血中のコレステロールを低下させる作用が期待されています。
大豆オリゴ糖
ラフィノース、スタキオースなどのオリゴ糖が含まれています。
腸内のビフィズス菌のエサとなって、ビフィズス菌を増殖させる作用があります。
ビタミンE
血行を促進し、ホルモンバランスを整える効果があります。
血流が改善することで、肩こりや冷え性などの改善に役立ちます。
また抗酸化作用によって血管の健康を保ち、体内で発生する過酸化脂質の増加を抑制する効果もあります。
ビタミンK
血液凝固因子の合成に必要な補酵素として働きます。
またカルシウムを骨にとり込む作用を持つタンパク質の合成にも必要です。
ビタミンB群
大豆にはビタミンB群に属するビタミンがバランスよく含まれています。
ビタミンB群には、エネルギー代謝に必要な酵素の補酵素としての働きがあります。
お互いに作用しあって活性型に変化するので、ビタミンB群は単体よりもバランスよく摂ることが理想的といえます。
カルシウム
体内のカルシウムのほとんどは骨と歯に存在しています。
一度に吸収できるカルシウム量は限られているため、毎日続けて摂取する必要があります。
鉄
鉄は赤血球の材料になり、全身に酸素を運ぶ重要な働きがあります。
不足すると鉄欠乏性貧血の原因となります。
成長期の子供や月経のある女性、運動習慣のある人は特に意識的に摂りたいミネラルのひとつです。
亜鉛
亜鉛は谷内でつくることができないため、食事から摂る必要があります。
酵素の構成成分となったり、酵素反応の活性化、ホルモンの合成や分泌、タンパク質やDNAの合成、免疫反応の調節など、さまざまな働きがあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
食べ方も調理の仕方も違う枝豆たちが実は同じ野菜だったことを知らなかった方も多かったかと思います。
成長過程でこれほど栄養素が違ってくるのも驚きですよね。
自身に必要だと思う栄養素を、美味しく摂るようにしましょう。
また、もやし、枝豆、大豆という流れで成長していきますので、家庭菜園での難易度も違ってきます。
従って難易度も違ってきますので、家庭菜園もやってみたいという方は、自身に合った難易度からチャレンジしてみるのも良いかもしれません。
※畑がなくてもプランターや支柱など、必要なものを揃えれば栽培可能です。
少しでも食に対する興味から、栄養素や野菜を育てることに対する興味まで持っていただけたら、とても嬉しく思います。
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