施設栽培を行っていると寒い季節や冷涼な気候下では、放射冷却によって外気温よりもビニールハウス内で温度が下がることがあります。
ビニールハウス内での気温が急激に下がると、植物に大きなダメージを与えてしまい品質が下がることもあります。
また、ビニールハウス全体を加温するボイラーだけでは急な温度変化には対応できない可能性も。
急な温度変化にも対応したいのが、植物用ヒーターです。
植物用ヒーターは急な温度変化にも対応することができ、1台は備えておくと作物の品質を下げることもなく施設栽培を行うことができます。
本記事では、植物用ヒーターの選び方やおすすめブランドなど詳しく解説していきます。
植物用ヒーターの種類と特徴
植物用ヒーターは、寒冷地や冷涼な季節における植物の保護などができるため最適なものを選びましょう。。以下では、植物用ヒーターの主な種類とそれぞれの特徴について解説いたします。
温室ヒーター:温室内で使用され、均一な温度環境を提供します。温室内の温度変動を抑え、植物の生育を安定させることができます。通常、電気ヒーターやプロパンヒーターが使用され、自動制御機能を備えるものもあります。
地面ヒーター:土壌の根元に設置され、土壌を暖めて根の活動を促進します。根からの水分吸収や養分の取り込みを助け、寒さによるストレスを軽減します。あまりにも冷涼な地域では地面が凍ることもあるため、かなり便利に使用することができます。
主に露地栽培や畑で使用されます。
フロストプロテクター:植物を凍結から守るために使用される小型のヒーターです。寒冷地域で霜や凍結から花や芽を守り、植物の損傷を防ぎます。ポータブルなものもあり、必要な箇所に直接配置できます。
冷風対策ヒーター:暖房だけでなく、冷風を吹き飛ばすことで風害を軽減するヒーターです。地域によっては(特に海岸近く)だと、どれだけ施設内を温めても風が吹き込み、温度が上がらない可能性もあります。
また、風害による物理的ダメージや水分蒸発を防ぎ、植物の成長を安定させます。
室外ヒーター:屋外の植物に対しても使用され、寒冷地での露天栽培に適しています。耐候性があり、雨や雪にも耐える設計となっており、外部環境下での植物保護に役立ちます。
これらの植物用ヒーターは、植物の種類や栽培環境に応じて選ぶことが大切です。
適切なヒーターを選んで効果的に活用することで、植物の生育を促進し、健康な収穫を得ることができます。
植物用ヒーターの効果的な温度管理方法
温室内での効果的な温度管理は、植物の健全な成長と収穫を確保するために重要です。
適切な温度環境を維持することで、以下の点に注意が必要です。
最適温度範囲を把握しましょう。異なる植物種は異なる温度範囲で最も効果的に成長します。種ごとの最適温度を知り、それに合わせて温室内の設定を調整します。
日中と夜間の温度差に気を付けましょう。
一般的に、日中の温度は夜間より高くなることが理想的ですが、急激な温度変化はストレスを引き起こす可能性があります。温室ヒーターの自動制御機能を活用し、温度差を緩やかに調整します。
季節ごとの変化に適応させましょう。季節によって外部温度が変動するため、ヒーターの運用計画を調整することが重要です。冬季はより暖かい環境を、春や秋は安定した温度を保つよう心掛けます。
湿度管理も忘れずに行いましょう。温度だけでなく湿度も植物の成長に影響を与えます。ヒーターが乾燥を引き起こす可能性があるため、必要に応じて加湿器を併用することが推奨されます。
定期的なヒーターの点検と保守を行います。ヒーターの動作やセンサーの正確性を確認し、適切な温度を提供することを確保します。また、安全対策としてヒーター周辺の風通しや障害物に注意を払います。
適切な温度管理は、植物の成長サイクルや品種特性に合わせて行うことが不可欠です。継続的なモニタリングと調整を通じて、温室内で最適な温度環境を維持し、健康な植物育成を実現しましょう。
植物用ヒーターのおすすめブランド5選
ここからは植物用ヒーターのおすすめブランドを解説します。
アグリスター (AgriStar):日本の農業機器メーカーで、温室ヒーターや保温ネットなどを提供しています。品質と信頼性に優れた製品が特徴です。
ヤマザキ農機 (Yamazaki Noki):地面ヒーターや温室ヒーターなど、多種多様な農業機器を手がけるブランドです。日本国内での信頼性が高く、幅広い選択肢があります。
グリーンハウス (Green House):一般家庭からプロの農業まで幅広い用途に向けた温室関連機器を提供するブランドです。日本国内で広く知られています。
農業機器のホンダ (Honda):自動車メーカーのホンダが農業機器分野にも進出しており、植物用ヒーターもラインナップに含まれています。高品質な製品が揃っています。
ヤンマーアグリ (Yanmar Agri):農業機械メーカーのヤンマーが提供する農業機器ブランドで、植物用ヒーターや温室関連機器があります。品質と信頼性に優れています。
これらの日本国内のブランドは、農業用機器の専門知識と技術を活かして、高品質な植物用ヒーターを提供しています。購入前に製品の仕様やレビューを確認し、自身の農業ニーズに適した製品を選ぶことが大切です。
植物用ヒーターの値段は?
植物用ヒーターの値段は、ブランド、機能、サイズ、エネルギー効率などによって幅広く異なります。一般的な相場としては以下のような範囲で価格が設定されていますが、実際の価格は製品ごとに異なるため、購入前に確認してください。
小型のフロストプロテクター: 約2,000円〜10,000円程度
ポータブルな植物用ヒーター: 約5,000円〜15,000円程度
温室ヒーター: 約10,000円〜50,000円程度
地面ヒーター: 約5,000円〜30,000円程度
これらの価格帯は一般的なものであり、ブランドや製品の特性によって価格は違いますので購入前に、具体的な製品の価格と仕様を確認して、自身のニーズに合ったヒーターを選ぶ際の参考にしてください。
植物用ヒーターは危険!?取り扱い時に注意すること
植物用ヒーターはとても便利なものですが、使用方法を間違えるとビニールハウスが全焼するなど多くの危険も潜んでいます。
特に気温が低い時は、空気も乾燥しているので取り扱いには十分に注意しましょう。
そこで、注意する点をまとめています。
なんといっても、火災の危険が細んでいるのが植物用ヒーターです。
電気ヒーターやガスヒーターの場合、適切な設置や使用方法を守らないと火災の危険があります。コードやガスラインの状態を確認し、定められた運用ガイドラインを守ることが重要です。
次に過熱による植物の損傷にも注意が必要です。
ヒーターを適切な距離や高さで設置しないと、植物が過熱してしまい、葉や茎にダメージを与える可能性があります。植物の成長を促進するはずが、逆に枯れてしまうなどもあります。過剰な暖房を避け、植物とヒーターの距離を調整しましょう。
3つ目は電気ショックのリスクです。農業は常に水を使用し電気ヒーターの場合、水や湿気と接触すると電気ショックの危険があります。水や湿度の多い環境での使用には特に注意が必要です。
対策として、防水の電気ヒーターを選ぶか、水との隔離を確保することが大切です。
また、エネルギー消費とコストにも注意しましょう。
長時間運転することでエネルギーコストが高まる可能性があります。エネルギー効率の高いヒーターを選び、適切な運用計画を立てることでコストを抑えましょう。
そして、風通しと換気ヒーターの使用によって温室内の湿度が上昇することがあり、カビや病気の発生を引き起こす可能性があります。適切な換気や風通しを確保して、湿度のコントロールを行うことが重要です。
1日につけっぱなしにはしておかず、1日に3回は換気を行いましょう。
最後に安全対策は必ず行いましょう。ヒーターの周囲に燃えやすい物質を置いたり、障害物を設置すると火災のリスクが高まります。
実際に火事になっているケースも少なくありません。
ヒーターの周囲をクリアに保ち、火災を防ぐための安全対策を徹底しましょう。
これらの注意点を守ることで、植物用ヒーターを安全に効果的に使用することができます。製品の取扱説明書や安全ガイドラインを必ず確認し、適切な運用と管理を心掛けてください。
植物用ヒーターの代用品はある?
最後に植物用ヒーターの代用について解説します。
植物用ヒーターは決して安いものではないので、なるべくコストはかけたくないと言う方もいるかと思います。
そこで、植物用ヒーターの代用になるものを3つ紹介します。
マルチレイヤーカバー:冬季や寒冷地での保護には、植物をマルチレイヤーカバーで覆うことがあります。これにより、植物を保温し風や寒さから守ることができます。
ストローベイル:寒冷地での野外栽培において、ストローベイル(麦わらの束)を使用して植物を覆うことで保温効果を得ることができます。
ホットウォーターボトルやヒートマット:小規模な植物の育て方において、ホットウォーターボトルやヒートマットを使用して根元を暖めることで保温を図ることができます。
あくまでも代用であり、植物用ヒーターと同じ効果を得ることができません。
また、大規模な施設栽培だと効果もほとんどなく大きな労力がかかる可能性もありますので、適切な方法を検討してみましょう。
まとめ
本記事では植物用ヒーターについて解説しました。
植物用ヒーターは1台でも備えておくことで急な気温の変化にも対応することができます。
適切な植物用ヒーターを選び、霜害や低温障害から大切な作物を守りましょう。
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最後までご覧いただきありがとうございました。
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