【再利用】ペットボトルが農業活用法三選

我々の日常生活に馴染み深い「ペットボトル」ですが、近年ゴミ問題が深刻化しています。モラルに欠けた処分をしてしまえば環境にも弊害が生まれます。
世界規模で環境保護の意識が向上している現代。
モラルは高く持ちたいですね。プラスチックゴミを少しでも減らすために農家ができるペットボトル再利用の方法を解説します。

脱プラスチックの動き

2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)をきっかけになって、脱プラスチックへのn意識が高まっています。
2019年のプラスチック資源循環戦略の策定や、G20大阪サミットでの大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの提言など。
我が国、日本でも脱プラスチックについての関心は強くなっているのです。

脱プラスチックがなぜ必要なのでしょうか?
実はまだまだ十分な理解が進んでいない…という現状があります。

農家も持続可能な農業を実現のためにも、脱プラスチックは決して他人事ではありません。環境に悪影響が生まれてしまえば、そもそも健康な農作物を栽培することができなくなってしまいます。

ペットボトルをはじめとしたプラスチックの問題について解説していきましょう。

ペットボトルのゴミ問題

まずは、ペットボトルの素材であるプラスチックについて、性質や環境に与える影響を振り返ってみましょう。

プラスチックの性質

プラスチックは、軽い、耐久性が高い、加工しやすいなどのメリットがあります。
その一方で、自然分解されず、環境中に流出すると半永久的に残ってしまうと言うデメリットがあるのです。このデメリットが、下手をすれば環境に悪影響を与えます。

以前よりも企業の社会的責任は増してきました。
機関投資家や個人株主までも投資先を選ぶ際、企業のESG※への取り組み度合いが高いか低い蚊に対して注目するようになってきました。

国内外の企業が脱プラスチックに取り組む理由の一つでもあります。

※ESG:Environment(環境)・Social(社会)・Governance(統治のあらゆるプロセス)の頭文字から取った言葉

プラスチック原因の環境問題

ここでは、プラスチックが原因で発生してる環境問題について解説しましょう。身近にある素材ですが、気をつけて処分をしなければ思わぬ弊害を生み出してしまいます。

・海洋汚染
使用後にごみとなったプラスチック製品のうち、適切な処理が行われなかったものは、海へと流れていきます。
さらに、波や風、紫外線にさらされてしまい、マイクロプラスチック(海洋などの環境中に拡散した微小なプラスチック粒子。厳密な定義はないが、大きさが1ミリメートル以下、ないしは5ミリメートル以下のもの)となります。
マイクロプラスチックは海や海洋生物、最終的には人間にも化学的被害、物理的被害などの弊害をもたらす存在です。

・海へ与える影響
海水には、低い濃度で農薬や潤滑油などの汚染物質が含まれています。
このような汚染物質は油と親和性があります。
原油由来のプラスチックは汚染物質を吸収してしまうのです。
その結果、プラスチックは汚染物質を吸着しながら広い範囲を移動。海洋汚染を拡大してしまう可能性があるのです。


・海洋生物と人体への影響
魚が海に流れたマイクロプラスチックを食べると、プラスチック自体は体外へ排出されます。
しかし、食べたプラスチックに含まれる有害な汚染物質は魚の体内に蓄積してしまうのです。炎症反応や摂食障害を起こすとされています。
さらに、汚染物質を体内に含んだ魚を私たちが食べることで、ガンの発生や免疫力低下、生殖能力低下などなど…様々な健康への被害を与えてしまうのです。

・水産業への影響
水産品へ細かいごみが混入すると、ごみの取り除き作業が発生してしまう上に、商品価値が下がってしまいます。
ごみを除去するだけでも、相当な手間と労力がかかります。
漁業者はかなりの負担を強いられることになるのです。
さらに、社会全体の経済損失にもつながります。
海洋プラスチックごみが大きな問題となっているアジア太平洋地域においては、漁業や養殖業で年間3.6億ドルもの損失が出ているとも言われているのです。

ペットボトルとプラスチックゴミ

日本国内で1年間に消費するペットボトルの本数はどれくらいあるのでしょうか?

少し古いデータですが、PETボトルリサイクル推進協議会によれば、2016年度の清涼飲料用ペットボトル出荷本数は227億本でした(PETボトルリサイクル推進協議会)。

上記は飲料用ボトルの数ですから、調味料やみりん・料理酒等のボトルも加えるともっと多い本数になるでしょう。

2016年の国内ペットボトル販売量(59万6,056トン)のうち、清涼飲料ボトルは58万4,414トンですから(PETボトルリサイクル推進協議会)、清涼飲料用のPETボトルが全体の98%。圧倒的に多いのはやはり飲料用ボトルです。

上記の飲料ボトルの割合(98%)は重量での割合です。
単純に本数でも飲料ボトルが98%を占めているとすれば、飲料用と調味料・酒類用も全部含めたPETボトルの総数は1年間で232億本…と推定することができます。

2016年の1年間に232億本ですから、1日に約6,400万本1時間に約260万本1分間に約4万4千本、そして1秒間に約740本のPETボトルが国内だけで消費されているということになります。

…凄まじい数ですね。

このプラスチック製のペットボトルや容器などが、使用後に適切な処分をされなければどうなるでしょうか。

河川から海に流れ着いてしまい、やがて海洋プラスチックごみになってしまいます。
地球環境に弊害を与える可能性があるので、適切な処理しておくこと。
さらには、再利用をしてゴミを減らしていくことなどが今後求められていくでしょう。

ペットボトル再利用三選

農業においてもペットボトルを再利用できる方法があります。
ゴミを減らすためにも有効な方法です。
今回は三つの方法を解説しましょう。

ペットボトル風車でモグラ対策!

森林や草原などの地中に生息しているのが、モグラ。
アニメなどのキャラではかわいい存在にもされていますが…。
畑を穴だらけにしてしまい、畑の土作りに役立つミミズを食べてしまうことやネズミによる農作物への被害を併発させるきっかけにもなっており、害獣扱いされているのです。
よく、モグラのキャラはサングラスをかけたりしていますが…実は視力が悪いのです。視力が悪い分、聴覚や嗅覚が発達しています。

そんなモグラの性質を利用して、忌避剤や音波などを使った対策法があります。
そんなモグラ対策の一つとして、ペットボトルを使ったものがあります。それが、「ペットボトル風車」という方法です。

ペットボトル風車が回る際に生じる振動や音に驚いたモグラはその場からサッサと逃亡してしまいます。

必要なもの

  • ペットボトル※
  • カッター
  • ハサミ
  • 針金(できるだけ太いほうがよい)
  • 穴を開けるための道具(千枚通しなど)

※風車のような形にハサミで切り込みを入れる際、基準となる線があると切りやすいです。側面のある「六角形」のペットボトルを用意すると作業しやすいですよ。

  1. ペットボトルのふたと底に穴を開ける(穴は針金が回る程度の余裕がある大きさ)
  2. カッターとハサミを用いて、ペットボトルの側面に沿って切り込みを入れる
    →次の工程で羽根をつくります。その際、角度がつくように、切り込みを入れる側面の左側と右側の長さを左右非対称にする(1.5cm以上差がつくようにするとよい)
  3. 切り込みの部分が外側に向かって斜めになるよう折り曲げ、羽根をつくる
  4. 針金がペットボトルのふたと底を貫通するよう、1で開けた穴に針金を通す
  5. 針金が抜けないよう、ふたと底から出ている針金を折り曲げる

底から出ている針金をそのまま土に差し込むと安定しないことがあります。
そんな時は、別に棒を用意して、その棒にペットボトル風車を紐などでくくって安定させるようにしましょう。

ペットボトルの苗カバー

ペットボトル風車はペットボトルを加工する工程がやや多いですよね。
しかし、ペットボトルを活用した「苗カバー」は、ペットボトルの底を切り取り、種をまいたところや苗を囲うように差し込む…という簡単な方法で作れます。

苗を害虫や鳥、風から守るのにとても有効な方法です。

種や苗にペットボトルをかぶせることで期待できる効果。
それは、害虫防除だけではありません。

  • 風や雨などの影響で種が飛散したり、植物が損傷するのを防止
  • 風や日照で水分が蒸散するのを軽減、適度な湿度が保たれる
  • 昼間に温度が上昇することにより、低温期に生育が促進

などのメリットが挙げられます。

また、このような効果から、育苗してから移植せずとも、直播で栽培できる範囲が拡大するというメリットもあります。まさにミニハウスとも言えるでしょう。

〈苗カバーの作り方、設置方法〉

用意するもの

  • ペットボトル(透明のものが最適)
  • カッターやハサミ

手順

  1. ペットボトルのキャップとラベルを外す
    →キャップを外すと、適度な換気ができます。ラベルは外して使用するが、夏は強い日射で気温が上昇しすぎるため、遮光する目的で上半分のラベルを残しておくのがおすすめです。
  2. ペットボトルの底をカッターやハサミなどで切り取る
  3. 事前に播種や定植を実施、覆土や水やりを済ませてあるところに2を差し込む
  4. 土を寄せ、刈り草などで囲う

注意点としては、ペットボトルのサイズが小さいと、ペットボトルを土に押し込む際、種や苗の周りの土が動きやすいという点です。
気になる場合には土が動きにくい大きめサイズのペットボトル(焼酎などが入っているもの)を使うのがおすすめです。

ペットボトル苗カバーを外すタイミングは作物や季節によっても異なります。

作物の丈を基準とする場合は、丈がペットボトルの肩の6〜7割の高さに達したら外すようにしましょう。

ですが、苗カバーを外す前後で生育環境に大きな差が生じると、外した後の生育に悪影響が及ぶ可能性があります。
外すときは風がなく、曇りか雨の日の夕方に行うのがおすすめです。
高温期または低温期の天気が良い日、乾燥している日、強風の日は避けるようにしましょう。

さらに、3〜5月の春先は、苗カバーを外した後に晩霜が来ないよう、種播きの時期や苗カバーを利用する時期を逆算するとよいです。

6〜8月は天気が良い日が続くため、2〜3日ほど真っ直ぐ差し込んだペットボトルを傾け、作物の足元だけ外気にさらしてから外すのがおすすめです。

ペットボトルを外す際は間引きも同時に行いましょう。ハサミ等で根首を切って間引きします。

ペットボトル苗カバーは比較的長く活用できます。
しかし、使っているうちにペットボトル表面に汚れや傷がつき、透明度が低くなっていくと思いますので、2〜3年に一回程度は交換するようにしましょう。

保温に活躍!トンネル栽培の中に水入りペットボトル

ペットボトル苗カバーの効果にも“昼間に温度が上昇することにより、低温期に生育が促進される”と書きました。
ペットボトルに水を入れ、トンネル栽培している中に置いてみましょう。
保温に役立ちます。

日中、ペットボトルの水が太陽の熱で温められ、日が落ちた後もしばらく保たれることが理由と言われています。

もちろん、作物には最適な生育環境があります。
ですから、ペットボトル苗カバーと水入りペットボトルの保温効果を過信することは避けましょう。
あくまで生育の手助けをするアイテムとして考えて有効活用していきましょう。

持続可能な地球へ

現代の地球ではゲリラ豪雨や酷暑、暖冬など…異常気象も数多く発生しています。
もちろん、原因を一概に言うことはできません。再生可能エネルギーなども問題はたくさんありますから、美化することは控えた方が良いでしょう。
個人個人が環境を大切にすることを意識してほんの少しの行動を変えていくだけでも、積み重ねれば大きな結果を生み出します。
ペットボトルの再利用を一例としてあげさせていただきましたが、環境のためにできることはたくさんあります。

こちらの記事も併せてご覧ください。
【SDGs】生分解性プラスチック活用法【エコ】

農家としても、消費者としても長期的に賢い選択をしていきましょう。

まとめ

今回のテーマは「農業におけるペットボトル再利用」でした。地球環境を大切にすることは一つ一つの行動のつ積み重ねです。
身近にあるペットボトルも工夫すれば農業で役立つ道具に変身します。知恵を活用してあなたの農業をアップデートしていきましょう!

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