安定した栽培ができる?植物工場のメリット・デメリット徹底解説

植物工場

近年話題になりつつある植物工場です。

ただ、植物工場について詳しく知らない農家や経営者もいるかもしれません。

「植物工場とは?」

「植物工場のメリット・デメリットは?」

植物工場について深く理解すれば、自身の農家や企業に最適かどうか判断できます。

本記事では、植物工場とは?メリット・デメリットを徹底解説。

導入前に検討すべきことや導入事例も紹介していますので、参考にしてください。

植物工場とは?

植物工場とは

ここでは、植物工場とは何かを解説していきます。

植物導入を検討されている方は、簡単でも概要を把握しておきましょう。

植物工場とは、屋内で人工的に作物を栽培するシステムです。

ICT技術を活かして、水や光などを調整しながら作物に安定した要素を与えます。

植物工場は、LEDや蛍光灯などの光を作物に照らして栽培しています。

既に日本でも導入している農家や企業は多いです。

また、植物工場は2種類に分けられます。

植物工場の種類
  • 完全人工光型
  • 太陽光利用型

完全人工型は、太陽光を一切入れずに、すべてLEDや蛍光灯など人工の光を使用します。

太陽光利用型は、自然の光を取り入れて作物を栽培するシステムです。

植物工場はICT技術を用いれば、作物に適切な栽培方法を実現できます。

植物工場のメリット

植物工場_メリット

ここでは、植物工場のメリットについて紹介していきます。

植物工場は農業が抱えている課題を解決できるメリットが多いです。

導入を検討されている方は、これから紹介するメリットを参考にしてください。

天候に左右されない安定した栽培ができる

屋内だから天候に左右されず安定した栽培が可能です。

屋外であれば、さまざまな天候に左右され、栽培する作物に大きな影響を与えます。

作物に影響与える天候
  • 猛暑
  • 暖冬
  • 台風
  • 積雪

悪天候だと、作物は栄養不足で枯れてしまう可能性が高いです。

屋内だと、温度が一定に保たれ、水や栄養素も必要な分供給されます

年間等して、天候に左右されず安定した栽培が可能です。

計画的に安定した栽培ができる

植物工場は温度環境が一定に保てるため、計画的に安定した栽培ができます。

従来の栽培とは異なり、季節関係なく作物が栽培可能です。

例えば、葉物は夏に栽培すると、日光が強すぎて枯れたりするケースがあります。

植物工場であれば、光も一定なため夏でも葉物の栽培が可能です。

季節関係なく、栽培できると他の農家と差別化でき、周年計画栽培ができます。

安定した収穫量を確保したい方は、植物工場を検討してみてはいかがでしょうか。

病害虫や汚染の心配がない

植物工場は屋内なため、病害虫や汚染の心配もありません。

大気汚染や病害虫が作物を傷つけないため、栽培可能です。

例えば、病害虫はキャベツなどの葉物を食べてしまいます。

せっかく上手く育てた作物も虫によって、出荷できなくなるかもしれません。

ネキリムシはタマネギやとうもろこしなど幅広い作物の根を切ります。

ネキリムシの被害を受けている農家も多いです。

植物工場で栽培していると、病害虫の被害はなく、安心した栽培ができます。

また、病害虫や汚染対策に使用する農薬も必要ありません。

そのため、無農薬栽培も実現できます。

人手不足が解消される

植物工場は人材不足が解消されます。

植物工場は屋内だけでなく、ICT技術を搭載しているため栽培管理が可能です。

例えば、工場では温度、光、養分など栽培に必要なものが、作物に均等に栽培されます。

人が作業すると、どうしても作物に偏りが出てしまいます。

植物工場なら、均等な栽培ができるだけでなく、品質の高い栽培が可能です。

人手不足の解消だけでなく、栽培をコントロールもできるため、収穫量の増加に期待できます。

連作障害の対策になる

植物工場は連作障害の対策にも繋がります。

植物工場では、土を使用せずに「水」で育てる水耕栽培です。

従来の屋外の栽培では、同じところで続けて育てると、上手く実りません。

水耕栽培は、連作被害の対策にも繋がり、短期間で作物が栽培できます。

輸出コストが削減できる

植物工場は、輸出コストが削減できます。

大きな農地は必要なく、ビルの中でも栽培可能です。

そのため、従来は地方での栽培がほとんどでしたが、都会でも作物が育てられます。

例えば、都会で栽培すれば、輸送するコストが大幅に削減可能です。

輸送コストが削減できれば、販売する価格も削減できるため、安く作物が提供できます。

農業経験が浅くても導入できる

植物工場は農業経験が浅くても利用できます。

従来の農業とは異なり、トラクターに乗ったり、土を耕したりする必要はありません。

農業のイメージである重労働や虫が触れないなどのデメリットが解消されます。

また、ICT技術で作物を管理しているため、農業に関しての知識がなくても均等に品質栽培が可能です。

植物工場は農業経験が浅くても安定した品質ができます。

植物工場のデメリット

植物工場_デメリット

ここでは、植物工場のデメリットを紹介していきます。

植物工場を導入したい方は、デメリットをしっかりと把握して検討する必要があります。

一つひとつ詳しく解説していきますので、参考にしてください。

初期コストが高い

植物工場は初期投資が高いのが、デメリットに挙げられます。

土地だけでなく、建物や設備が必要になるため、従来の屋外農業よりもコストが高いです。

例えば、人材不足を解消するために、ICT技術を導入します。

栽培する規模にもよりますが、技術を導入するにも、数千万以上の費用が必要です。

植物工場を導入したいと考えている方は、初期コストがいくら掛かるかを把握しておきましょう。

ランニングコストが高くなりがち

植物工場は初期コスト以外にもランニングコストが高くなりやすいです。

従来の農業とは異なり、栽培に必要なものが多いからと言えます。

例えば、水や光です。

水耕栽培は土を使わずに水で栽培します。

水は定期的に入れ替える必要があり、温度調整も必要です。

空調は常に一定に保つために稼働しなければならないため、電気代が掛かります。

光も太陽の光であれば、コストは掛かりません。

しかし、LEDや蛍光灯を使用すると電気代がかかるため、コストが掛かります。

栽培できる作物が限定される

植物工場は、栽培できる作物が限られています。

まだ、技術や設備が未熟なところがあるからです。

例えば、レタスなどの葉物は栽培が可能ですが、トマトのような背が高くなる作物は向いていません。

光が作物全体に当たる必要があるからです。

あらゆる角度から光を当てれば問題ありませんが、光熱費が高くなります。

植物工場を利用したい方は、栽培できる作物をあらかじめ決めておく必要があるでしょう。

ITスキルを身につける必要がある

植物工場は農業の知識だけでなく、ITスキルを身につける必要があります。

ICT技術を理解するためにも、IT知識を学んでおきましょう。

温度調節や栽培のデータ管理などの操作は、パソコンを使用します。

最低限のITスキルがあれば、問題ありません。

ただ、多くの方は農業知識しかない人も多いです。

今からITスキルを身につけるのも面倒と考えている人もいるでしょう。

その場合は、ITスキルを持った人材を確保するのがおすすめです。

1人のスペシャリストを植物工場に常駐すれば、安定した運営ができます。

植物工場の導入前に検討すべきこと

植物工場_導入前_検討

植物工場を参入したいけど「どうしたらいい?」と悩んでいる人もいるでしょう。

導入する前に下記の内容を確認する必要があります。

確認する理由を述べながら紹介していきますので、参考にしてください。

初期費用を確認する

植物工場の導入時に初期費用がいくら必要か確認しなければなりません。

初期コストを把握しなければ、予算オーバーになる可能性があります。

植物工場は初期費用に数千万以上必要です。

相当な金額が必要なため、導入する前に支払い方法も判断しなければなりません。

植物工場は農家や企業にとっても大きな選択になります。

初期費用を把握しなければ、今後の経営判断にも大きな影響を与える可能性が高いです。

設備等の初期費用を把握してから、予算と相談する必要があります。

ランニングコストの把握

植物工場を導入するには、ランニングコストの把握をしなければなりません。

ランニングコストを把握しておかないと、植物工場を運営してから損失がでる可能性があります。

例えば、電気代です。

LEDや蛍光灯を常時使用しているため、電気代は掛かります。

そのほかにも、室内環境を調節するための空調設備も稼働しなければなりません。

設備の定期的なメンテナンスも必要です。

メンテナンスをしておかないと、故障する恐れがあります。

ランニングコストを把握しておけば、急なトラブルでも柔軟に対応が可能です。

植物工場を導入するにはランニングコストを把握するのがおすすめといえます。

栽培品目を決めておく必要がある

植物工場は導入する前に、栽培品目を決めておく必要があります。

植物工場で栽培できる作物には、限りがあるからです。

例えば、ジャガイモやにんじんなどは土の中で成長するため、向いていません。

ホウレン草やレタスなどの葉物は、植物工場の特徴が活かせれます。

あらかじめ、栽培する品目を決めておけば、導入後もスムーズに動けます。

植物工場を導入している5つの事例

植物工場_導入_事例

ここでは、植物工場を導入している5つの事例を紹介していきます。

導入事例は見るとイメージが湧きやすいので参考にしてください。

MIRAI株式会社

MIRAI-Plant-FactoryExample
参照:MIRAI株式会社 公式サイト

MIRAI株式会社は、千葉県と宮城県に植物工場の拠点を置き運営しています。

2016年にはロシアに人工型植物工場を運営開始しており、2018年には2棟目を建設しました。

栽培している主な作物は下記の通りです。

MIRAIが栽培している野菜
  • グリーンリーフ
  • フリルレタス
  • バジル
  • クレソン

現在は植物工場の栽培だけでなく、事業プランニングも手がけて、工場運営のコンサルタント事業も行っています。

スーパーやコンビニで使用されているサンドイッチや惣菜の野菜を栽培し、販売を手がけています。

植物工場では、温度や湿度などデータが多いです。

MIRAI株式会社は必要なデータを最小限のコストで取得する工夫を行っております。

毎日収穫ができ、データ取得が可能なので、より細かな分析が可能です。

今後は儲かる植物工場として、「生産・工場運営・流通」のノウハウを活かしていく方針で事業拡大が進められています。

植物工場 伊勢菜園

植物工場の伊勢菜園は三重県伊勢市に拠点を置く工場です。

2010年から植物工場事業に参入し、第一工場を建設しました。

植物工場で栽培している作物は下記の通りです。

伊勢菜園が栽培している野菜
  • フリルレタス
  • レッドリーフレタス
  • スイートバジル

上記の3つは伊勢菜園のホームページから購入できます。

伊勢菜園の特徴は完全閉鎖型植物工場です。

外との空間と完全に遮断されており、病害虫や汚染の心配がありません。

農薬も使用されておらず、安心かつ安全な作物を周年計画生産ができます。

伊勢菜園の栽培の流れは下記の動画を参考にしてください。

農業生産法人GRA

宮城県山元町に拠点を置く、農業生産法人GRAです。

太陽光利用型植物工場を建設し、イチゴの生産・販売を行っています。

自然の光を利用し、ハウス内の環境も一定に保たれているため、品質の高いイチゴの栽培が可能です。

具体的に水の温度、ハウス内の温度と湿度、二酸化炭素などのデータを蓄積するためにITを活用しています。

既に、百貨店や高級スーパーを中心に「食べる宝石」として人気です。

GRAは植物工場でもさまざまな実験を行っており、システムを導入しています。

GRAの導入システム
  • クラウン冷却システム
  • Pad&Fanシステム
  • 蒸熱処理装置
  • LED補光実験

上記以外にもさまざまなシステムを導入しているのが特徴です。

GRAはイチゴ栽培だけでなく、いちご狩りなど体験も実施しています。

植物工場の風景は下記の動画をみてください。

太陽利用型植物工場を利用したい方はイメージが湧きます。

株式会社西友 大森店

株式会社西友の大森店では、店内に植物工場が建設されています。

店内に植物工場があるため、収穫した野菜はすぐに店頭で販売可能です。

大森店が実施している野菜はレタス(グリーンリーフ)やホウレン草などさまざまあります。

無農薬で天候に左右されず、安定した供給ができるため、仕入れに困ることもありません。

またSDGsの実現にも貢献できると言えます。

大森店は他の植物工場とは異なり、初期コストが抑えられているのが特徴です。

一般的な植物工場は場所と建物で相当の初期コストが掛かります。

大森店は店内に植物工場を建設しているため、導入コストを3分の1と大幅に削減しています。

植物工場内も空間環境が一定に保たれ、データに基づいて栽培されているため安心です。

大森店は、お客様のニーズに沿った野菜を栽培し、安定供給を実現しています。

下記は、西友大森店の植物工場の内観と外観の画像です。

西友_植物工場_事例
参照:デジタルPRとプレスリリース配信 2022年9月27日掲載

N.BERRY

NTT西日本グループがICT技術を活用した閉鎖型植物工場を建設しました。

地域と連携しながらイチゴ栽培を行っています。

N.BERRYが栽培しているイチゴの特徴は下記の通りです。

N.BERRYの栽培特徴
  • イチゴが自分のペースで水を飲めるシステム
  • イチゴがしっかりと休息でき、活動もできるようなLEDシステム
  • イチゴにとって最適な環境を実現する空調システム

イチゴに最適な環境作りをしており、いつでも収穫が可能です。

イチゴプラントの運営管理も日々徹底されているため、安定した栽培ができます

閉鎖型は太陽の光を利用せず、LEDライトを使用して、イチゴに最適な環境を作ります。

従来のイチゴ栽培とは異なり、日照不足などにはなりません。

安心・安全なイチゴが安定した栽培ができるため、より多くのお客様にイチゴが提供できます。

N.BERRYは、今後生産拠点を増やして、栽培するイチゴを増やしていく方針です。

NTT_植物工場_事例
参照:NTT西日本

植物工場の導入メリット・デメリットまとめ

今回は植物工場のメリット・デメリットを徹底解説してきました。

植物工場は、これまで農業が抱えていた課題を解決してくれる魅力的なシステムです。

野菜の最適な温度設定や水などの安定した供給をICT技術で、データを基に栽培できます。

植物工場は害虫侵入や大気汚染などが作物に影響を与える必要はありません。

無農薬で栽培もでき、お客様に安心・安全な作物を安定供給ができます。

膨大な土地が必要もなく、都会でも栽培できるため、輸出コストも大幅に削減が可能です。

ただ、植物工場は初期コストやランニングコストが掛かります。

電気代やシステムのメンテナンス代など、農業とは関係ない箇所で費用が発生します。

輸出コストを削減しても、販売価格は下げられないかもしれません。

そのためにも、初期コストとランニングコストを把握する必要があります。

植物工場は栽培できる作物も限りがあるため、あらかじめ決めておくことがおすすめです。

植物工場をスムーズに導入するためにも、コストが重要と言えます。

紹介した5つの事例はそれぞれ特徴があるので、導入を検討している方は参考にしてください。

みんなで農家さん

農家や経営者の中で「農業でもっと稼ぎたい」と考えている方も多いです。

ただ、「どうしたらいいの?」と行動できないままの方もいるかもしれません。

行動しても結果が出るまでには時間がかかり、費用も必要になります。

みんなで農家さんは「稼げる農家さん」をコンセプトに新規就農を増やす取り組みを行っています。

安定した利益を生み出す収益モデルがあり、充実した研修制度も豊富です。

人で行動するよりも、アドバイスを受けながら活動しておくほうが、確実に成長します。

これから稼げる農家さんになりたいかたは、こちらへお問い合わせください。

報告する

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。