農家の税金事情!インボイス制度の仕組み、対応を徹底解説

個人事業主やフリーランスの方が必ず通る道として確定申告というものをしなければいけません。
これは個人で農家をやっている方も例外ではありません。
また2023年10月に新たな制度として「インボイス制度」が始まりました。

「これから個人で農家をしていく方」「現役の個人農家の方」に税金について詳しく解説します。
インボイス制度の詳しい制度や税金で注意することなど詳しく解説していきます。

農家の税金事情!確定申告について

確定申告とは、1年間の所得に対する納税額を計算して申告して納税する一連の手続きを指します。

確定申告をしなければならない対象の方は、「個人事業主」「フリーランス」「企業に属している方でも副業で年間20万円以上所得がある」方が対象になります。

確定申告を行わないと最悪差し押さえの対象にもなるため必ず行いましょう。

農業の所得と確定申告

まず所得税には「事業所得」というものがあります。

事業所得は「営業等」と「農業」の2つに区分されており、農業所得は事業所得の「農業」に分類されます。

所得計算の方法は農業所得に限らず以下の通りです。

収入金額–必要経費–特別控除=所得金額

「収入金額」とは農家さんで言えば、収穫した農作物の売り下げや補助金、交付金など収入金額になります。

「必要経費」とは農業で使用する農機具や害虫対策の為の農薬など仕事を行う上で必要になるものを指します。

「特別控除」とは配偶者はおり、48万円を超える所得がある為、配偶者控除が受けられない際、配偶者の所得金額に応じて一定の所得金額の控除が受けれられる場合を配偶者「特別控除」といいます。

農家が確定申告で注意するポイントについて解説

農業所得であっても「消費税の課税事業者」になる可能性があります。

消費税法ではその年1年の課税売上高が1000万円を超える場合、翌々年から消費税の「課税事業者」となり消費税の納税義務が生じます。

課税売上高とは消費税の課税対象となる取引の事を指します。

農家で言えば、
・農業の為に建てたビニールハウスなど
・稲刈り等の農作業の手伝いにかかる機械の賃貸料
・生産物の販売代金

等が当てはまります。

まとめると、、
売上高が1000万円に対し課税売上高が1000万円の場合、課税区分は「免税」になります。
売上高が1000万円に対し課税売上高が1000万円以上の場合、課税区分が翌々年から「課税事業主」になります。

かなり複雑ですが個人農家になる前には必ず勉強しておきましょう。

また農林水産省は「農業者への税制支援」というものを行なっています。
農地の所得に関する措置や農業者の事業税や・事業所税など詳しく解説していますので参考にしてみてください。

農業従事者は必ず知っておくべきインボイス制度について解説!

2023年10月、新しく施行されたインボイス制度。このインボイス制度は農業を営んでいる方にも関係する制度です。
この章ではインボイス制度の特徴や概要について詳しく解説します。

インボイス制度とは?

インボイス制度とは消費税の適用税率や税額等の記載が義務付けられたインボイスの発行を求める制度を指します。
インボイス制度導入の目的は、消費税額を正確に発行する事が目的です。
また軽減税率が導入されて以降、事業者は2種類の税率から消費税額を計算する必要があるので、少し煩雑になります。

農業従事者はなぜ関係してくるのか?

農業の場合、農産物などの販売では軽減税率の8%、種苗・肥料の仕入れや農業機械・設備等の購入は10%の消費税が適用となります。

インボイス制度が農業に与える影響とは?

インボイス制度が適用されると農業事業者に関わらず取引先が減ってしまう可能性があります。インボイス制度は商品を販売した際に受け取る消費税から、仕入れ時にかかった消費税で控除するための制度です。

例えば、カボチャを1個500円で仕入れたとします。現在は消費税が10%なので50円の税額がかかっています。
500円で仕入れたものを1000円で販売すれば100円の消費税が発生します。

その時に仕入れた際の消費税が50円、販売の際の消費税が100円なので50円の差額が発生します。この差額50円を納税しなければいけないのです。

逆に仕入れた金額が1000円で、販売する額が500円の場合は50円の差額が発生しますが販売時の方が消費税が50円少ないので還付となります。

インボイス制度によって消費税の控除を受け取る為に、仕入れ先が「適格請求書」を必ず発行してもらいましょう。
必要な書類がなければ発行できない場合は控除が受けられないので上記の例でいえば差額50円も納めなければなりません。

しかしこれはスーパーなど買い手となる課税事業者の話です。もし簡易課税や免税事業者であれば申告や控除をする必要がないです。

インボイス制度交付義務を免除するには?

農業従事者がインボイス制度交付義務を免除するには委託販売です。

本来は農家が購入者に対して「適格請求書」を交付する必要がありますが、委託販売という仕組みの都合上、農家が購入者全てに対して1人1人を特定して「適格請求書」を発行するのは不可能です。

この場合に農家ではなく農協といった中間業者が「適格請求書」を発行することで購入者は仕入税額控除が可能となります。
この例が適用されれば、農家が免税事業者であっても購入者は仕入税額控除をする事が可能です。

農業従事者がインボイス制度を施行された場合の対応について解説

農業従事者がインボイス制度施行の際の対応方法について解説します。

①課税事業者になる
②売上を伸ばす
③免税の特例を使用する

この3つが主な対応方法になります。
1つずつ順番に説明していきます。

①課税事業者になる

農業従事者で「適格請求書」が発行できない為、今後の取引や仕事に影響が出てくるのであれば請求書発行事業者になることを検討してください。
「適格請求書」を発行する必要があるのは課税事業者です。

課税事業者は税務署に対して「適格請求書事業者の登録申請書」を提出する事で適格請求書発行事業者になる事ができます。

基準期間または特定期間に課税売上高1000万円を超えない免税事業者の場合、適格請求書発行事業者の登録申請書に加えて、消費税課税選択届出を提出します。
普通はその前に課税事業者になる必要がありますが、消費税課税事業所届出書も提出する必要があります。

しかし経過措置として登録日から書類を必要とせずに課税事業者となれるルールがあります。

②売上を伸ばす

インボイス制度は少なからず農家に対してデメリットを与えます。ただでさえ人材不足や担い手の減少で経営悪化が続いてる農家も少なくないと思います。
日本の農家が経営を続けていく事はとても険しい道のりになります。

そこで1つの選択肢として、インボイス制度を一旦度外視して経営に力を入れ売上を伸ばすのも1つの手です。

売上が上がり1000万円に達すれば「課税事業者」となります。
また「適格請求書の発行」も必ずしなければなりませんので迷う必要はありません。

度外視すると消費税の納税負担は発生しますが、これからの農家を考えれば選択肢の1つではあります。

③免除の特例を使用する

免除の特例というのは設けられています。
条件を満たし委託販売をすれば「適格請求書」を発行する必要もありません。
そうなれば、免税事業者であっても購入者は仕入税額控除が受ける事ができます。

今の時点でそういった特例の活用について考えるのも1つです。

また今までの話をまとめると、

課税の対象→・仕入先が適格請求書発行事業者であるかに留意する→自分で仕入控除
      ・取引相手から貰った適格請求書をきちんと保存する→自分で仕入控除
      ・適格請求書発行事業主になる為の登録を行う→取引相手から求められた時の為

簡易課税の事業主→適格請求書発行事業者になる為の登録→取引相手から求められた時の為
免税事業者→適格請求書発行事業者になるか否か検討する→自分の取引相手が適格請求書を必要とする事業者なのか

まとめ

今回は農業従事者に必要な税金の概要やインボイス制度について解説しました。
農家を経営する際は仕事の事だけでなく、税金についても勉強する必要があります。

また今回施行されるインボイス制度は自分にとって最も最適な方法を選ぶ必要があります。

これから「農業経営を考えている方」などは参考にしてみてください。

また「みんなで農家さん」では農業に関する情報を掲載しています。農業の収入や作物別の育て方など様々な情報を掲載しています。
ぜひそちらもご覧ください。
https://minnadenoukasan.life/

最後までご覧いただきありがとうございました。

報告する

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。