はじめに
これから農業を始めようとお考えの方、
運転資金が必要な方、
長期の借入は心配・・・と不安な方、
最近『スーパーS資金』とか耳にするけどどんなものか知りたい!という方に・・・・
『スーパーS資金』の全貌をなるべくわかりやすく解説していきます。
『スーパーS資金』の目的
食料・農業・農村基本法(平成11年法律第106号)が指標としている、
【効率的かつ安定的な農業経営】が将来的に農業生産全体のかなりの部分を担う農業構造を確立することです。
そのために意欲と能力のある農業者の皆さんが、経営改善を行う場合に必要な資金が供給されるように、わかりやすい・使いやすい【制度資金】として設定されました。
- 【制度資金】とは?
【制度資金】とは、国から100%出資されている資金のことをいいます。
融資には、主にこの【制度資金】と【一般融資】とあります。
この【制度資金】のメリットとしては・・・・
国の制度によって定められていますので、どこの機関で利用しても「上限額」や「利率」などは同じです。
その「利率」も【一般融資】と比較すると低めに設定されています。
おおよそ【一般融資】の三分の一くらいです。
【制度資金】のデメリットは・・・・
審査の基準が、【一般融資】より厳しく設定されています。
認定農業者 や 認定新規就農者 が条件となることが多いです。
また、審査にも時間がかかってしまいます。
『スーパーS資金』のしくみ
近年の農業関連資金は、農業の将来的な発展が期待できないという不安から、設備投資に対する意欲が消極的になり利用が低迷していました。
一言で『農業関連資金』といっても、政府が関わる「農業制度資金」と農協などの一般金融機関が商品化している「農業資金」があります。
しかし、両者とも利用状況は不振でした。
そんな中で1994年から導入された『スーパーL』(農業経営基盤強化資金)と
『スーパーS』(農業経営改善促進資金)で農業全体の活性化を図ることになりました。
1993年8月から施行された【農業経営基盤強化促進法】に基づき、経営育成のための
『農業経営改善計画』(認定制度)がスタートしました。
農業者が約5年間の農業改善計画を、各市町村に設置された『特別融資制度推進会議』(※)
に申請し審査を受け、認定を受ける制度です。
※『特別融資制度推進会議』とは、事務局(市町村)において
議長は市町村長、
市町村・農業委員会・農協・県ほか関係6団体からなるメンバーで行われます。
『スーパーⅬ資金』と『スーパーS資金』を利用する際は、この計画認定が必要となります。
この計画認定を受けた農業者を、資金面で支援するものです。
『スーパーⅬ資金』は、既存の公庫資金の改訂版となります。
『スーパーS資金』は、認定農業者の方のための短期運転資金になります。
今回は、新しく導入された『スーパーS資金』についてわかりやすく解説していきます。
『スーパーS資金』について
◇ 正式名称:農業経営改善促進資金
◇ 貸付対象:経営改善計画認定農業者
◇ 資金使途:計画を達成するために必要な運転資金(既に借入れされている資金の借換は不可)
ex)種苗代・肥料代・雇用労賃など直接的現金経費・営農用備品・消耗品などの購入・機械修繕費・地代(賃借料)・営農用施設・機械のリース料・レンタル料・市場開拓費・販売促進費など
◇ 貸付条件
- (1)貸付方式
- 極度貸付:当座貸越または手形貸付方式か、あらかじめ金融機関と借受者間で約定した貸付金の上限(極度)の範囲内であれば、随時借入れたり返済したりできます。
- 貸付期間:農業経営改善期間中
- (2)極度額上限
- 個人 ⇒ 500万円 (※施設園芸を含む場合は 2000万円)
- 法人 ⇒ 2000万円(※施設園芸を含む場合は 8000万円)
- (3)貸付利率
- 変動金利で都市銀行短期プライムレートに対応
- 短期プライムレートが3%であれば3.3%
- 当座貸越方式を選択した場合には、0.5%の範囲内で融資機関が加算可能)
- 変動金利で都市銀行短期プライムレートに対応
◇ 借入手続
融資機関にある利用申込書に、既経営計画認定書と資金利用計画を併せて提出
⇓
融資機関が予定限度額を記載した意見書を推進会議に提出
⇓
推進会議で認定
⇓
融資機関に通知
⇓
借入請求により貸付実行
規模拡大や経営改善のために資金の使い道はかなり広く、借りやすく返済しやすいのもメリットです。
低利の短期資金の借入としては注目すべき資金調達のひとつとなるでしょう。
『スーパーⅬ資金』との違い
よく耳にする『スーパーⅬ資金』との違いは・・・
大きな違いとしては、『スーパーS資金』が短期運転資金に特化したものに対して
『スーパーⅬ資金』は、返済期間も25年と長期の貸付になります。
また、借入限度額も大きく違ってきます。
『スーパーS資金』は、
個人 ⇒ 500万円
法人 ⇒ 2000万円 でしたが・・・
『スーパーⅬ資金』は、
個人 ⇒ 3億円 (特認 6億円)
法人 ⇒ 10億円 (特認20億円) となります。
このように、貸付期間や限度額に大きな違いがあります。
『スーパーⅬ資金』には、条件がありますが
【実質無利子化】【無担保・無保証人制度】【クイック融資制度】などが設けられています。
『スーパーS資金』『スーパーⅬ資金』どちらを選択すべき?
『スーパーS資金』『スーパーⅬ資金』のどちらを選択して
利用すべきか悩まれる方もいらっしゃるかと思います。
『スーパーS資金』は、短期で低金利で借入できるので
ちょっとの経営改善には、最適かと思います。
『スーパーⅬ資金』は、限度額も大きく返済も長い期間をかけて
返済できます。
経営規模を拡大し、法人化をお考えの農家さんには良い条件の揃った制度でしょう。
ご自身の現在の農業の実態をよく踏まえた上で、今後の進路をどう改善していくかで選択されるのが良いかと思います。
まとめ
『スーパーS資金』短期の借入には、使い道も広くて
借入・返済も借入上限額内であれば、期間内随時可能という
魅力がありますね。
各都道府県によって金利や条件も多少変動があるようなので
『スーパーS資金』にご興味がある方は、各都道府県にまずは
詳細をご確認いただくことをお勧めします。
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