農業経営には自然災害や収量減少や害獣被害など経営を悪化させる様々なリスクがあります。
特に自然災害は起こることがわかっていても被害を防げないこともあります。
そんな時に被害にあった収入の補填をしてくれる保険を知っていますか?
それが、農業共済組合(NOSAI)と呼ばれるものです。
本記事では農業共済組合(NOSAI)について詳しく解説していきます。
ぜひ、本記事を読んで加入を検討してみてはいかがでしょうか?
農業共済組合とは?
農業共済制度は、自然災害等によって農業者が受ける収穫量の減収等の損失を補てんします。
国と農業者があらかじめ掛金を出し合って共同準備財産を造成し、自然災害等で被害が発生した場合にはその共同準備財産から共済金を支払う公的保険制度です。
農業共済制度は、共済掛け金の50パーセントを国が負担してくれるため比較的掛け金も安いといった特徴があります。
JA共済との違い
農業共済制度と類似した制度でJA共済というものがあります。
「何が違うの?」と疑問に思う方も多いかと思いますが、
・法律
・事業内容
・取引先
など様々な点で異なります。
例えば、農業共済制度では農作物共済といった保険商品もありますが、JA共済では生命共済や自動車共済など作物への被害への商品はありません。
自分にあった保険制度を確認して、加入するようにしましょう。
農業共済組合の加入条件と手続き方法
農業共済組合に加入するための一般的な条件と手続き方法について説明します。
具体的な要件は地域や組合によって異なる場合がありますので、参考程度にご覧ください。
まず、農業共済組合への加入条件は、通常、農業に従事していることが主な条件です。
農業従事者や農業関連業種の従業員、農業経営者の家族などが加入対象とされます。加入資格の有無は組合の規約や条例に明記されているため、それを確認する必要があります。
手続き方法は、まず所在地の農業共済組合に連絡し、加入に関する情報を取得します。組合の事務所やウェブサイトから必要な申込書や加入手続きに関する情報を入手しましょう。一般的には、申込書に必要事項を記入し、必要な書類(農業経営に関する証明書、身分証明書、住民票など)を添付して提出することが求められます。
加入手続き後、組合から審査が行われます。審査に合格すると、加入手続きが完了し、組合員として正式に加入することができます。加入後は、年会費や保険料の支払いが求められる場合があります。また、組合が提供する共済制度の利用方法や補償内容についても組合から説明がありますので、それに従って利用することができます。
農業共済組合の加入は、地域の農業従事者にとって重要な保障手段となります。加入条件と手続きに関する詳細は、各組合の規則や窓口で確認することをおすすめします。
農業共済に対象となる作物・被害
農業共済の対象となる作物や被害について解説していきます。
基本的に作物は全て対象となり、それぞれ「農作物共済」「家畜共済」「 果樹共済」「 畑作物共済」などがあります。
ここで一点気をつけることは、農作物共済に加入した場合の対象品目は水稲、陸稲、麦です。
加入する際に栽培している作物などを聞かれますので、間違いはないと思いますが果樹農園が農作物共済に加入しても適用されないので気をつけましょう。
次に、対象となる被害です。
対象となる被害は、風水害、干害、冷害、雪害その他気象上の原因(地震・噴火を含む)による災害、火災、病虫害、鳥獣害などです。
基本的にどのような自然災害でも対象にはなりますが、麦の災害収入共済方式と水稲の品質方式については、これらの災害による麦または水稲の減収または品質の低下を伴う生産金額の減少が対象となりますので注意しましょう。
農業共済組合に加入するメリット・デメリット
ここからは農業共済制度に入るメリットとデメリットについて紹介していきます。
メリット
掛金が安い
農業共済制度は国が50%の負担をしてくれますので比較的安価で加入できるところがポイントと言えます。
共済掛け金の金額は、
「共済掛金の額=共済金額×共済掛金率」
により算出されます。
詳しい金額に関しては、加入する保険や所有している土地の広さにより変動しますので直接確認しましょう。
自然災害や獣害の被害に安心
農業において自然災害や獣害などは避けては通れないものです。
育てていた作物が全滅して、収入が大きく減少したといったことがある農家さんも多いのではないでしょうか?
そんな時に、農業共済に加入しておくことで安心して農業を行うことができます。
デメリット
保険金が安い
農業共済制度は掛け金が安い反面、被害にあった時の支払い金額も安いといったデメリットがあります。
例えば、耕地ごとの減収量が、当該耕地の基準収穫量の3割を超えた場合に、次の算式で求めた共済金が支払われます。
共済金=単位当たり共済金額×共済減収量(※)
(※)共済減収量=(基準収穫量-収穫量)-基準収穫量×0.3
大きな被害を被った際には全てを補填できないといったケースもありますので注意しましょう。
対象とならない被害もある
農業共済制度には、対象にならない被害もあります。
例えば、薬害などによる被害や人為的な被害などは農業共済制度の対象にはなりません。
人為的被害などは滅多に起こることではないですが、もしもの時に対象にならないというのは覚えておきましょう。
農業共済制度の共済金額と損害評価について
被害を被った場合にどのくらい共済金額が支払われるのか?また損害評価について解説します。
あくまでも一般的な方法ですので、詳しくは直接お問い合わせください。
・一筆方式
耕地ごとの減収量が、当該耕地の基準収穫量の3割を超えた場合に、次の算式で求めた共済金が支払われます。
共済金=単位当たり共済金額×共済減収量(※)
(※)共済減収量=(基準収穫量-収穫量)-基準収穫量×0.3
・半相殺方式
農家ごとに被害耕地(減収のあった耕地)の減収量が、農家の基準収穫量の2割を超えた場合に、次の算式で求めた共済金が支払われます。
共済金=単位当たり共済金額×共済減収量(※)
(※)共済減収量=(被害耕地の基準収穫量の合計-被害耕地の収穫量の合計)-農家の基準収穫量×0.2
・全相殺方式
農家ごとの減収量が、農家の基準収穫量の1割を超えた場合に、次の算式で求めた共済金が支払われます。
共済金=単位当たり共済金額×共済減収量(※)
(※)共済減収量=(農家の基準収穫量-農家の収穫量)-農家の基準収穫量×0.1
・麦の災害収入共済方式および水稲の品質方式
農家ごとに、品質の低下を加味した実収穫量が基準収穫量を下回り、かつ生産金額が共済限度額(基準生産金額の9割)に達しないときに、次の算式で求めた共済金が支払われます。
共済金=(共済限度額-生産金額)×共済金額/共済限度額
・地域インデックス方式
当年度の統計単収が、統計単収の過去5か年中中庸3か年(5中3)平均の9割に達しないときに、次の算式で求めた共済金が支払われます。
共済金=引受面積×(統計単収の5中3×0.9-当年度の統計単収)×単位当たり共済金額
引用:http://www.nosai.or.jp/nosai_kasou/kyousai_01.html
損害評価について
自然災害が発生したとき及び共済金の支払いを受けるべき損害があると認められるときは、遅滞なくNOSAI組合等に通知しなければなりません。
時間が経過した時点で申告しても支払われない場合がありますので注意しましょう。
また、農家の損害発生通知を受けて、農林水産大臣が定める損害認定準則に沿って行われます。組合等は現地調査を実施し、調査終了後、損害評価会の意見を聴いた上で、組合等ごとの共済減収量を認定します。
損害評価について詳しく知りたい方は、農業共済組合にお問い合わせください。
農業共済には加入するべき?
ここまで農業共済制度について解説しましたが、結論入るべきなの?と悩む方も多いかと思います。
結論、加入できるのであれば加入しておきましょう。
共済制度は農業従事者とその家族の安定した生活を守り、収入の減少や医療費の負担を軽減します。加入することで経済的な安心感を得られ、農業の持続可能性を高めることができます。
また、地域の農業コミュニティとの連帯も強化されます。
ただし、経営状況が悪い中で農業共済制度への加入はオススメしません。
さらに経営を圧迫させる可能性もありますので、自身の経営状況と相談して加入するか検討しましょう。
まとめ
本記事では農業共済制度について解説しました。
農業共済制度は自然災害や獣害による被害にあっても収入的な面で補填してくれるため、重要な保険の制度になります。
全国での加入率も北海道では97%を超えており、平均すると80%以上の農家が加入しています。
特に自然災害などの多い地域の方は加入を検討してみてはいかがでしょうか?
また「みんなで農家さん」では農業に関する情報をたくさん掲載しております。
農家に就農したい方から現役農家さんまで役に立つ情報がありますので、ぜひご覧ください。
https://minnadenoukasan.life/
最後までご覧いただきありがとうございました。
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