活用すれば農業の幅がググッと広がる!? 押さえておきたい化学肥料の基礎知識

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農業 豊か

農作物を効果的に大きく成長させたい!

これは農家なら誰しも望むことです。

大きく、美味しく育てることができれば、それだけ価値の高い状態で市場に提供ができますし、

自分たちで食べるとしても美味しくいただくことができます。

農作物を大きく成長させるカギになるのが「肥料」です。

肥料は「有機肥料」「化学肥料」の二つに分けることができます。

有機肥料は動物の糞や骨などの廃棄物、農業からの植物性廃棄物などから作られる肥料に対して

化学肥料は鉱物(リン鉱石など)から精製・製造された、あるいは工業的に合成された肥料です。

これだけ聞くと、有機肥料を使った方がいい農業ができるのではないかと思う人が多いかもしれません。

それは半分正解で半分不正解です。

理由はとてもシンプルで、有機肥料は化学肥料に比べてコストがかかるためです。

化学肥料にも効果が長続きしない欠点はありますが、コストが低く、成果につなげやすい

と言う利点があります。

この記事では化学肥料にフォーカスして、

あなたの農業を効果的に発展させるための化学肥料の活用法についてお伝えします。

なぜ化学肥料を活用した方が良いのか

まず最初に押さえていただきたいことは化学肥料とは一体どんなものなのかということです。

化学肥料は、農作物の成長に必要な成分のみを抽出した肥料です。

農作物の成長に必要な成分は主要な要素である、チッ素(N)、リン酸(P)、カリ(K、カリウム)をはじめ、マグネシウム、ケイ素などさまざまな種類があります。

これらの成分のうち、一種類の成分だけで作られた単肥(たんぴ)、複数の成分を組み合わせて作られた化学肥料などがあり、組み合わせによって用途や効き方が変わってきます。

肥料分がすぐに植物に吸収される「速効性肥料」、ゆっくりと効き目が現れる「遅効性肥料」「緩効性肥料」など、効き目が現れるタイミングもさまざまです。

粒状、粉末状、タブレット状、液体状など、形態も多くの種類があります。

単純に肥料分を生成したものはすぐに効き目をあらわす速効性肥料として使うことができますが、少しずつ溶け出すようにコーティングが施されたものは、長い間効き目が持続する遅効性肥料、緩効性肥料として使うことができます。

一概にこれを使えば良い、ということはなく使用目的に合わせて選ぶことが活用の第一歩と言えます。

化学肥料を活用するメリットは大きく3つあります。

1、使用目的に合わせて肥料を選ぶことができる

使用目的に合わせてピンポイントで使うことができるということは無駄がない、ということです。

農業を仕事にするのであれば、考えなくてはならないのは無駄なコストを減らすことです。

使用用途に合わせて必要な肥料を必要な量だけ使用すれば、無駄に肥料を消費することを防ぎながら、最大のパフォーマンスを発揮する事が出来ます。

2、効き目をコントロールする事ができる

有機肥料は微生物が肥料を分解する過程でガスや熱が発生するため、二週間ほど期間をあけておく必要があります。

有機肥料はゆっくりと畑に栄養をもたらしてくれます。

もちろん、これがいい時もあるのですが、効果が出るまでに時間がかかるというデメリットもあるわけです。

一方で、化学肥料はすぐに効果が出るものは素早く畑に栄養を補給してくれますし、商品によってはコーティング加工を施す事で効果が出るまでの時間を遅くしたり、効果の期間を長くする事が出来ます。

効果の期間が長ければ、一度化学肥料を使った後の畑のケアの手間を減らす事が出来ます。

このように、効果期間を調整できるのは化学肥料ならではの強みと言えます。

3、コストを抑えることができる

有機肥料は畑に負担をかけずに畑に栄養をもたらしてくれます。

ただその一方で有機肥料の作成には手間がかかるため、購入をするときに費用が高くなってしまいます。

その点、化学肥料は大量生産の方法が確立されており、費用を抑える事が出来ます。

コストはお金だけではありません。

有機肥料は水分を多く含んでいるため、運搬をするのに一苦労のものもありますが、化学肥料は乾燥しているため、有機肥料に比べて運搬や散布が容易と言えるのも特徴です。

特に農業を始めたばかりの場合は、コストの見通しがついていないケースもあるかと思いますので、そこを調整しやすい化学肥料はおすすめと言えます。

農家なら押さえておきたい化学肥料の種類

一言に化学肥料と言っても、成分の配合量、形状など様々な種類があります。

それらを全てここで紹介するのは簡単ではないため、いくつかの肥料のカテゴリーを紹介しつつ代表的なものをいくつかご紹介します。

・肥料の成分による分け方①:単肥(たんぴ)

化学的に合成された窒素、リン酸、カリウムなどの肥料分の中でどれか1つだけを含む肥料のことです。

多くはすぐに効き目が現れる速効性肥料です。

与えたい成分のみをすぐに与えることができるというメリットがあります。

窒素のみを与えたり、タイミングに合わせて窒素とリン酸のみを与えたりという使い方も可能です。

水に溶かして液体肥料として使うこともあります。

・肥料の成分による分け方②:配合化成肥料

窒素、リン酸、カリウムを中心に複数の成分を配合した肥料で、家庭菜園やガーデニングに使う肥料として最も一般的なものの1つです。

特にガーデニング用の肥料は多くの場合、溶け出すのがゆっくりで、肥料過多になりにくく、一度与えると長い間効き目が続くという特徴があります。

・肥料の成分による分け方③:有機化成肥料

化成肥料に有機質の肥料を配合した肥料です。

化成肥料の溶け出すスピードをコントロールしながら、土壌に微生物などが増えやすくなるというメリットがあります。

・肥料が効くスピードによる分け方①:即効性肥料

水に溶けてすぐに効果があらわれる肥料です。

肥料分はすぐに水に溶けてしまうので、肥料が切れたら追加で与える必要があり、定期的な散布が必要となるのが特徴です。

・肥料が効くスピードによる分け方②:遅効性肥料、緩効性肥料

与えると1〜12か月という長い期間にわたり、少しずつ肥料分が溶け出して、効果があらわれる肥料です。

製品によって溶け出すスピードや効き目が続く期間は異なります。

ガーデニングで使われる粒状やタブレット状の肥料の多くはこのタイプとなります。

・肥料が効くスピードによる分け方③:液体肥料

粉末や原液を水に溶かして与えるタイプの肥料です。すぐに植物の根に届き、効果が表れます。

一般的には畑などよりは、鉢やプランターなどで使われます。

鉢植えを購入したときに土に刺さっているスポイトの中に入っているものがこれにあたります。

ここでは主なものを紹介させていただきました。

情報はそれだけで力になります。

少しずつ時間を作って肥料について調べてみるだけでも、得られる結果は大きく変わるので少しずつ調べてみましょう!

要注意!化学肥料の3つのデメリット

ここまで化学肥料の特徴やメリットについてお伝えしてきました。

もちろん、化学肥料はメリットしかないというわけではありません。

メリットがあればデメリットがある、これは世の中の常と言えます。

ただ、デメリットをきちんと把握していれば上手に対応する事が出来ます。

この章では、化学肥料のデメリットについてお伝えします。

ただ、注意をして欲しいのはここで紹介するデメリットは化学肥料そのもののデメリットというよりは使用する肥料が化学肥料のみの場合に起こる弊害といえるものです。

化学肥料のみを使っている場合に起こる弊害としては大きく3つ挙げられます。

1、土壌改良の効果はない

有機肥料の場合、有機肥料そのものに栄養があるというよりは、土の中にいる微生物の餌であり、微生物が有機肥料を分解して栄養を作り出します。

有機肥料を使うと微生物の餌が増えることになるので、微生物が繁殖し増えます。

土の質は詰まるところ微生物の質と言えます。

有機肥料を使うと土壌改良の効果が見込めます。

一方で化学肥料の場合は、土に直接栄養を与えています。

化学肥料は土の中の微生物の餌にはならないため、化学肥料だけを使っていると微生物が増えていきません。

化学肥料のみを使っていると結果的に土が痩せることにつながってしまいます。

わかりやすい例を挙げるなら、有機肥料は健康的な食事、化学肥料は栄養ドリンクと言えます。

理想的に健康的な食事をとる事ができればそれで十分ですが、現実的にはそうもいきません。

かと言って栄養ドリンクだけ飲んでいても健康とは言えません。

化学肥料だけに頼るのではなく、上手に活用する事がとても重要です。

2、過剰施用で濃度障害(肥やけ)を起こしやすい

これは特に農業初心者が勘違いしがちな問題の一つです。

肥料を使うときに、土に栄養がたくさんあればあるほど野菜は素晴らしく育つと思い、惜しみなくたくさんの肥料を使う人がいます。

実はこれ、大きな勘違いです。

いわゆる「過ぎたるは及ばざるが如し」「薬も過ぎれば毒となる」というものです。

農作物を育てるときに水を与えすぎると根が腐ってしまいます。

それと同様に、肥料を与えすぎると農作物の命ともいえる根が傷ついてしまう「肥やけ」という現象が起こってしまいます。

何事も適切な量が大事という事です。

それぞれの農作物にどんな量の肥料が必要なのかについては、相談できる人に相談しましょう!

3、過剰使用によって病害虫が発生しやすくなる

過剰使用によって起こる問題は「肥やけ」だけではありません。

病害虫が多く発生してしまう原因にもなります。

病害虫がたくさん発生するとそれだけで畑のパフォーマンスが落ちてしまうことにもつながります。

さらに困ることもあります。

それは病害虫対策でまく農薬の量も増えてしまいます。

農薬を完全にゼロにするのは厳しくてもできるだけ使用料を抑えたいところではあります。

2つ目と繰り返しにはなってしまいますが、適切な使用料を見極めて活用をしていきましょう。

まとめ

ここまで読んでいただきありがとうございます。

化学肥料は農業を効率的に進めていくために研究開発されているものです。

これを上手に活用しない手はありません。

もちろん、なんとなく使って効果が出るというものでもないので、きちんと自分で調査を行って活用し、あなたの農業を効果的に進めていってくださいね。

また、「みんなで農家さん」では農業に関する様々な情報を紹介しています。

今回のような農家にチャレンジする方向けの情報はもちろん、家庭菜園の魅力についても触れることができます。

興味のある方はこちらからチェックしてみてください。

ではまた次回お会いしましょう!

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