【アグリワーケーションって何?!】事例もあわせて紹介

アグリワーケーションとは?

近年、コロナ禍の影響やフリーランスの増加により、リモートワークが増加しています。

働き方が多様化したことにより、仕事と休暇を組み合わせた新たな働き方「ワーケーション」が注目を集めています。

そもそもワーケーションとは、「Work(ワーク)」と「Vacation(バケーション)」を組み合わせた造語で、リゾート地や地方など、普段の職場とは異なる場所で働きながら休暇を取る仕組みのことを指します。

心身の健康と、仕事の生産性を両立できる働き方として人気が出てきており、その中でも、ワーケーションの滞在先として農山漁村で過ごす「農泊×ワーケーション」を【アグリワーケーション】とよび、注目を集めています。

アグリワーケーションには、農作業や農体験がプランに含まれているものもあれば、自然の中でリフレッシュしながらリモートワークに集中できる環境を整えているタイプなど様々なコースがあります。

様々な形態があるアグリワーケーションですが、基本的には【農山漁村が元々持っている魅力を最大限活かして、利用者に提供している】という点は共通しています。

今回は「興味はあったけど、アグリワーケーションってどのような内容なの?」と気になっていた方、「これから行ってみたいけど、どこでやっているんだろう?」等考えていた方々に、ぜひお役に立てればと思います。

人気が高まっている背景

アグリワーケーションの人気が高まっている一番の理由は、コロナ禍の影響と言えるでしょう。

2020年6月に株式会社百戦練磨が実施したアンケート調査結果によると、コロナ禍において三密を避けることのできる農山漁村地域への旅行を希望する人が、全体の60%、特に20代・30代では約70%の人が開放的な農山漁村への旅行に意欲を示している状態でした。

最近ではコロナ禍の影響は減ってきているものの、地域の魅力を再発見するためのマイクロツーリズムや、リモートワークをしながらの滞在が旅行目的として選ばれる影響は継続的にあり、今後も農泊やアグリワーケーションの需要が伸びることが期待されています。

国からの支援

農林水産省において、農山漁村の活性化を図る目的として「農産漁村振興交付金」という支援を実施しています。その中でも農泊に焦点を当てた推進事業があるので、いくつかご紹介します。

農拍推進事業

①農泊の推進再生構築や魅力ある観光コンテンツの開発、新たな取り組みに必要な人材確保、インバウンド受け入れ環境の整備を支援する事業。

【事業期間:2年間、交付率:定額(500万円/年等)】

②実施体制が構築された農泊施設を対象に、多言語対応やワーケーション受け入れ対応、地元食材や景観などを活用した高付加価値コンテンツの開発等を支援する事業。

【事業期間:上限2年間、交付率:1/2等】

施設整備事業

①農拍を推進するために必要となる古民家等を活用した滞在施設、一等貸し施設、体験・交流施設の整備や、活性化計画に基づく農産物販売施設等の整備を支援する事業。

(活性化計画に基づかない事業)

【事業期間:2年間、交付率:1/2(上限2500万円、5000万円、1億円)】

(活性化計画に基づく事業)

【事業期間:原則3年間、交付率1/2等】

②地域内で営まれている個別の宿泊施設の改修を支援する事業。

【事業期間:1年間、交付率:1/2(上限1000万円/経営者、5000万円/地域)】

広域ネットワーク推進事業

戦略的な国内外へのプロモーション、農泊を推進する上で課題を抱える地域への専門家派遣・指導、農泊の成果や利用者のニーズ等の調査を行う取り組み等を支援する事業。

【事業期間:1年間、交付率:定額】

受け入れ側の魅力と課題

アグリワーケーションの参加者は、余暇を楽しんだり、場合によっては農作業を通して得た賃金で現地の美味しいものを食べたり、お土産を買ったりと、魅力がたくさんある状態です。

そこでここでは、受け入れ側にとっての魅力と課題を紹介したいと思います。

魅力

アグリワーケーションの魅力は、雇用の創出や所得の増加など、農山漁村の活性化がまずあげられます。

他にも普段農業に触れることのない利用者がアグリワーケーションを通して、農山漁村の持つ魅力を感じたり、現地の方々とコミュニケーションを取ることで、農業への興味の高まりや、移住のきっかけになることも大きな魅力とされています。

課題

上記とは反対に、アグリワーケーションを行っていく上で課題もあります。

まず課題として一番に考えられるのは、アグリワーケーションに適した施設づくりです。

ワーケーションとは、休暇と仕事を兼ねているということもあり、長期滞在の傾向が強く、ゲストハウスのようにキッチンやリビングスペースなどがあることが重要視されています。

食事面では、ホテルや旅館のような決まった時間・回数の食事提供を求めているわけではなく、外食やデリバリー、もしくは自炊など、柔軟なスタイルが好まれる傾向が強いという特徴があります。

また、Wi-Fiなどのネットワーク環境を整備することはもちろん、最近では子育て世代のワーケーション利用者は子どもの預け先も希望していることも増えてきています。

設備以外にも、完全な休暇を楽しんでいるのではないので、プライベートを確保したいという利用者との距離感をうまく保っていくことも重要になってきます。

以上のような点を踏まえた上での施設づくりが、受け入れる側としてはとても重要なポイントになってきています。

事例紹介

ここでは、具体的事例を紹介します。

「JTB×JA全農」が取り組むアグリワーケーション実施事例

JTBは2021年にJA全農と連携協定を結んでおり、「JTBアグリワーケーション®️」事業をスタートさせています。

生産者の高齢化や後継者不足への対策として、JA全農の大きな取り組みの一つに「91農業」というものがあり、普段農業に従事していない方達に対して、「生活の9割を本来の仕事や、家事・育児、あるいは趣味や旅行の時間などに使い、残りの1割で農業に携わってみませんか」という新しいライフスタイルを提唱しています。

これにより、農業へ触れるハードルを下げ、農業に興味を持つ人材を一人でも多く生み出し、地域の活性化や地方創生へ繋げようと働きかけています。

その具体的な施策の一つとして、全国的に進めているのが「JTBアグリワーケーション®️」事業です。

主な実績としては、高知県と福島県の2つの事例があります。

高知では、秋から冬にかけて、ゆずとポンカンの収穫に携わるツアーを企画。延べ230人ほどの参加実績があります。

また、福島でもブロッコリーやりんごの収穫に、延べ135人参加したという実績があります。

このような取り組みの結果、参加者からは「食に対する感覚が変わった」「普段感じていたイライラ感がなくなった」「賃金を旅費に当てれて助かった」等、喜びの声が上がったのはもちろんですが、現地の方とのコニュニケーションや現地で感じた魅力により、移住まで発展した方もいるそうです。

現在では観光業界も回復してきていることも踏まえ、他の取り組みでは「柔軟な働き方ができます、ご自身の空き時間を利用してください」「小さなお子さんがいる方なら、15時上がりで構いません」などといった募集も増えてきており、融通の利く仕事がなくて困っている方達からも、たくさんの参加があるようです。

JTBもJA全農も、農業支援の先に見据えているのは【地方創生・地域活性化】であり、今後もこの活動は広まっていくと考えられます。

「県×大手会社」が取り組んだアグリワーケーションツアー実施事例

徳島県海陽町では、人材派遣大手の関連会社と共同で3泊4日のアグリワーケーションの体験ツアーが実施されました。

大阪の広告会社の社員など9人が参加。午前中はパソコンを使ってリモートワークを行った後、午後からはきゅうりを栽培するハウスで農作業を体験しました。

体験者からは「農作業は初めてでいい経験になりました。農業関係の広告を作ることもあるので、もっとお客さんの気持ちに寄り添った仕事ができると思います。」という意見もあがっていました。

企画者は「農家にとっては人手を確保でき、参加者にとっては自然に触れ、同僚同士がコミュニケーションを深める機会になる。今後も続けて、農業との交流人口がさらに増えたらいいと思う。」と考えているようです。

農泊地域が取り組んだワーケーション事例

全国的にアグリワーケーションの事例だけでなく、ワーケーションの事例も増えています。

宮城県の蔵王農泊復興協議会では、空き別荘を民泊に活用、無線LANやリビング等も完備しました。コロナ禍の中(R2年4月〜R2年8月実績)、ワーケーション目的で延べ340人参加し、利用者は長期滞在、余暇を楽しみつつリモートワークを実施しています。

また、別の場所での取り組みとして、ワーケーションのみではなく、付加価値として【地域の食文化を活かした体験プログラム】、【農村景観や農業遺産等を活用したプログラム】等を開発して実施しているケースもあるようです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

コロナ禍以降、アグリワーケーションの土台とも言えるリモートワークはどんどん広がってきています。

アグリワーケーション自体はまだまだ浸透しているとは言えませんが、フリーランスも増加している今、日本航空株式会社(JAL)のワーケーション制度導入経済界からも推進する動きが出てきています。

アグリワーケーションは今後もさらに需要が出てくると言えるでしょう。

最近では人が少なく静かな環境に注目が集まっており、農山漁村だからこそ、観光地とは違った魅力がたくさんあるはずです。

興味がある方は、この機会にぜひ一度アグリワーケーションを体験してみてください。

「みんなで農家さん」では、『農家人口の減少』という日本農業の根本的な課題を解決するために、『稼げる農家さん』をコンセプトに、新規就農へ興味を持ってくれる人を増やす取り組みを行なっています。

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