農業は少子高齢化の影響なども受けて業界自体が減少してきているのはご存知かと思います。
それに伴い農業は昔と比較して新規参入がしやすくなっています。
これは農業の新規就農者が減少していることから入り口を簡単に使用でき、法改正によって企業の参入がしやすくなったためです。
しかし、この企業の新規参入によって個人でも高い経営能力が求められるようになってきました。
これは企業は一般の農家と比較しても資本が多く大規模な経営や土地の確保ができるため個人的な農家ではできない大型な栽培や取り組みを行うことができます。
そのため、企業でしかできない経営管理や経営規模の拡大が行われえています。
個人の農家はこれによってこれまでの経営だけでは企業に負けてしまうため高い経営能力が必要になります。
そこでSWOT分析というのがあります。
この記事では時代の変化によって経営能力が求められているようになってきた中で経営を考える手法としての分析方法について紹介していきます。
SWOT分析
経営を考えて見直していく手段としてSWOT分析があります。
具体的には自分達の内部環境(経営資源)と外部環境(経営を取り巻く環境)の分析を行い、両方を統合的に行う手法です。
次にSWOTとはどういった意味なのかですが、『SWOT』とは産地や生産者の「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会 (Opportunity」)「脅威(Threat)」のことです。
このそれぞれの頭文字をとってSWOTと言います。
SWOT分析はこのそれぞれの要素をS(強み)・W(弱み)・O(機会)・T(脅威)の4つに分類し表にまとめます。
これによって問題点が整理され解決策がみつけやすくなります。
また、SWOT分析を行うことによって問題点を整理する中で関係者が意見を出し合いながら行うため関係者が問題意識を共有できる点もあります。
内部環境と外部環境
SWOT分析の中でも分析を行う前提として内部環境と外部環境の要素を整理する必要があります。
基本的な内部環境は自社の経営資源で外部環境は経営を取り巻く環境と分類されます。
農業などの業界では内部環境は地域の連携や枠組みで活動することを指します。
外部環境はそれ以外のことを指しますが、分析を行う際にはできるだけ内部環境と近いことを具体的に考えることで課題なども明確になり整理しやすくなります。
S「強み」W「弱み」
SWOT分析のS「強み」W「弱み」とは、自分達の強みが他企業よりも強くなければそれが自分達の強みだとしても強みとはなりません。
難しいところですが強みと弱みは競争相手と比較したときに強みなのか弱みなのかを判断する必要があります。
特に近年は技術的な進歩が進んでいるため現在の強みがいつまでも強みとして使えるかはわかりません。
O「機会」T「脅威」
次にO「機会」とT「脅威」ですが、機会と脅威と言われてもイメージがつきにくいかと思います。
機会とは活用することで業績が拡大する外部環境の変化で、脅威とは放置することで業績が悪化する外部環境の変化のことをSWOT分析では意味します。
どちらも外部環境による影響があるという点をまずは抑えていただければと思います。
SWOT分析のSTEP
SWOT分析を行う上で3つのSTEPにそって行います。
STEP1:外部環境の分析
STEP2:内部環境と経営資源の分析
STEP3:SWOT「強み、弱み、機会、脅威」の分析
この3STEPで行います。
外部環境の分析ではあくまでも自分達の業績に影響を与えることについて分析を行います。外部環境の中では、様々な要素がありますがこの自分達に影響があることが非常に大切です。
関係のない外部環境による要素はいくら分析をしても解決策はには辿り着きません。
内部環境と経営資源の分析は自分達の事業をしっかりと分析するために疎かにしてはいけません。ここを疎かにしてしまうと問題点をしっかりと把握することができません。
また、次のSTEPでのSWOTをより明確にしていくためには、どんな内部環境があり経営資源がどれくらいなのかをしっかりと把握しましょう。
SWOTではSTEP1とSTEP2に基づいて「強み、弱み、機会、脅威」と分類してさらに明確に分析を行っていきます。
STEP1:外部環境の分析
外部環境の分析とは具体的に農業ではどんなことを指すのかについて紹介していきます。
外部環境として考えられることは下記のようなことがあります。
・経済環境
・技術環境
・政治、法律環境
・市場
・消費者
・競争業者
・中間媒介業者
・土地
・労働環境
が挙げられます。これらを踏まえ、現状と業績にとってプラスな面、業績にとってマイナスな面を参加者がそれぞれ検討を行い意見を取りまとめます。
例えばですが、消費者を現状とプラス面とマイナス面で検討したとします。
消費者としてもニーズはどういったことが考えられるでしょうか。
現状として健康志向が進んでいる.グローバル化の影響で輸入農産物に対する抵抗はそれほどない。
プラスな面として健康志向が強まり農産物の中でも健康に良いとされる農産物は購入量の増加と消費が増進することが考えられる。そのため、農薬や化学肥料の減少と有機栽培を選択することができるようになる。
マイナスの面として、輸入農産物の需要の増加で日本国内の農産物の消費が減少、農薬使用の農産物の抵抗感増加などが考えられる。
このようにそれぞれについて分析と検討を行います。
STEP2:内部環境と経営資源の分析
内部環境と経営資源の分析としては下記のような項目が考えられます。
・生産能力
・財務力
・技術開発
・組織
・マーケティング力
・労働環境
・研修体制
・ビジョン
・商品
・消費者
こちらも外部環境と同様に現状とプラスな面とマイナス面について分析と検討を行っていきます。
内部環境から分析すると、消費者は例えばこのようなことが考えられます。
消費者の中でも企業側として見ると消費者の声として評判の良し悪しやクレームに対する要望が考えられます。
例えば現状として鮮度の良さや品質の高さが評判として良しとされている。クレームとして配達が遅いことや値段が高いなどがある。
プラスな面として農産物の高品質は競争他社と比較しても負けていない。
マイナスな面として生産に手間がかかるため消費者の求める時期に配送ができない。これ以上の値下げができない。
このように内部環境からも分析することができます。
STEP3:SWOT「強み、弱み、機会、脅威」の分析
最後のSTEPとしてSTEP1とSTEP2の結果からSWOT分析を行います。
SWOT分析では4つの領域に分類されます。
1:「強み」×「機会」
2:「強み」×「脅威」
3:「弱み」×「機会」
4:「弱み」×「脅威」
この4つに分類されます。この分類をSWOTのクロス分析といいます。
SWOT分析表では、内部環境の強みと弱み外部環境の機会と弱みを記入することで上記の4つの領域での分類を行え戦略策定の際にこのSWOTのクロス分析から選択決定することになります。
この4つの領域での検討のポイントは下記のようなことになります。
1:「強み」×「機会」
強みによって他との優位性があり、機会を最大限に活用するためにチャンスが多い領域での取り組みはどんなことなのかについて検討します。
2:「強み」×「脅威」
内部環境の強みが外部環境による脅威によって悪影響を回避するためにどんな対応が必要なのかについて検討します。
3:「弱み」×「機会」
この領域の課題は非常に難しい領域になります。市場や社会といった大きな枠組みでの克服と変革が求められますが、対応する範囲が広いため弱みによる機会を逃さない取り組みはどんなことなのかについてしっかりとして検討する必要があります。
4:「弱み」×「脅威」
最悪な結果を回避するためには弱みと脅威については回避するために克服するべき課題について検討をしますが一般的には撤退を示すものと考えられています。
戦略オプション検討表
SWOT分析が完了後は戦略オプション検討表を作成します。
戦略オプションではこれまでの内容をカードに書き出してわかりやすいように戦略オプション検討表を作成します。
SWOTのクロス分析とこの戦略オプションの検討表までが終わればここからは経営戦略を検討していくことになります。
ここまで分析を行えれば外部環境がの変化が自分達にとってどうなのか、内部環境の強みと弱みを理解し検討することで戦略オプションから経営戦力を検討する際に提案される「新たな取り組み」「現状の強化、拡大」「現状の効率化」などに区分して整理することができるようになります。
SWOT分析ではこのように事業の現状から経営戦略を検討するまでにいくつかの段階を踏まなければいけませんが細かく分析を行えため非常に有効な分析手段になります。
まとめ
近年の農業は農業業界の衰退を防ぐために様々な政策や取り組みがされています。
そんな中でも企業の参入が簡単になったため個人農家もこれまで以上に経営能力が求められるようになってきました。
しかし、経営能力と言っても様々なことがあります。
そこで今回紹介したSWOT分析は企業だけではなく個人事業でもどんなことをしていかないといけないのかを分析するのに非常に有効な手段の一つです。
事業での強みや弱み、それがどのような機会があり脅威があるのかもこういった分析をしないとなかなか行う機会もありません。
このSWOT分析は色々な業界でも使用されている分析になります。
つまり、それだけこのSWOT分析が有効であることの照明でもあります。
今後も農業業界ではさらなる企業の参入が考えられます。
個人事業はさらなる事業での強みを生かせるようにこの分析などを利用して事業の拡大に向けて取り組んでいただければと思います。
参考、引用元:https://www.pref.miyagi.jp/documents/20321/617752.pdf
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