中国農業の特徴は?三農問題への取り組み

日本のおよそ26倍の国土面積を誇り、世界人口の約4分の1の人口を誇る中国は、世界一の農業生産額を誇る農業大国として有名です。

しかし、中国は貧困格差が激しい国とも言われ多くの農業問題を抱えています。
そんな中でも特に注目を集めている問題が「三農問題」と言われるものです。

本記事では、中国農業の特徴や課題、三農問題への解決に向けた取り組みについて解説していきます。

中国農業の特徴

中国の農業はなんといっても多様性と規模の大きさが特徴です。
人口およそ14億人が暮らし、農業従事者は日本の人口より多い2億人と言われています。

農地の広大さと気候の多様性により、穀物、野菜、果物、畜産など幅広い農産物が栽培されています。小規模農家と大規模農場の両方が存在し、技術の進歩により近代化が進んでいます。

また、小規模農家が多いのも中国農業の特徴とされています。
農業経営体1戸あたりの耕地面積は、日本の3分の1程度の0.64haしかありません。

中国は日本より国土面積が広いですが、極めて小規模な農家の集合体が、世界最大の農業生産額を産み出しているのです。
農業経営体当たりの耕地面積の狭さは日本の農業と共通する点です。

アメリカのような大規模農業ではなく、日本と同じような小規模分散型の農業が行われていることが特徴です。

中国の主な農産物

現在、中国の総耕地面積は約1億1,900万haで、国土面積9億3,900万haの約12.7%を占めています。歴史的に見ても昔から中国では、長江を境にして北側では小麦を生産し、南側では稲作中心の農業が営まれてきました。

中国の主な農産物は、中国全土で見ると、米と小麦それぞれ単独でも、穀類として合計しても、生産量は世界一を誇っています。加えて、イモ類・キャベツ・トマト・きゅうりなどの主要野菜も軒並み世界一です。

また、近年ではりんごなどの果物も世界一で、オレンジやバナナなども近年生産量が増加しています。

中国農業が抱える「三農問題」とは?

「三農問題」とは、中国の農業に関する3つの主要な課題を指す言葉です。
これらの課題は、「農村」「農民」「農業」に関する問題を指すもので、中国の経済や社会の発展に大きな影響を与えています。

農村問題:農村地域の発展が不均衡で、都市との間に格差が広がっています。農村部では基本インフラ、教育、医療などの社会サービスが不足しており、生活水準の向上が課題です。

農民問題:多くの農民が貧困層に属し、農業収入の安定性や就業機会の不足が懸念されています。土地の所有権や使用権の不明確さ、土地分割の過程での問題などが農民の経済的安定に影響を及ぼしています。

農業問題:労働力の高齢化や技術の未熟さ、環境問題などが中国の農業を直面する課題です。また、市場競争や国際貿易の影響もあり、農産物価格の変動が生産者に影響を及ぼしています。

三農問題の解決策

中国政府は「三農問題」に取り組むため、毎年15兆円にも及ぶ予算を投入しており、農村地域の発展を支援し、農業技術の改善や農民の福祉向上に努めています。
主な取り組みについて解説します。

農村地域の発展促進:基本インフラ(道路、水道、電気など)の整備や教育、医療、福祉などの社会サービスの向上を図り、農村地域の生活環境を改善します。また、農村地域における非農業部門の育成を通じて、多様な収入源を提供することも目指しています。

農民の土地権利保障:土地の所有権や使用権の確立と保護を強化し、農民が安心して土地を耕作できる環境を整備します。土地分割の際に生じる紛争や問題の解決策も検討されています。

農業技術の改善:持続可能な農業生産を推進するため、農業技術の向上と普及を図ります。新たな栽培方法や作物品種の開発、環境への配慮などが含まれ、農民の生産性向上と所得増加を支援します。

農村金融支援:農民の資金調達を支援し、農業経営の安定性を高めるための金融制度の整備や融資プログラムの提供が行われています。農業保険制度の充実も農業リスクの軽減に貢献します。

農産物の市場アクセスと価格安定:市場へのアクセスを改善し、農産物の販売チャンネルの多様化を支援します。同時に、価格変動のリスクに対処するため、価格安定策や農産物の備蓄などを検討しています。

これらの取り組みを通じて、「三農問題」の解決に向けた努力が続けられており、中国の農業と農村地域の持続的な発展を目指しています。

日本と中国の農業の違いとは?

ここからは日本と中国の農業の違いについて解説していきます。
日本と中国は小規模農家が多く、共通点も多いですが異なる点もあります。

まずは規模と地域性の違いです。中国は広大な土地と多様な気候帯を持ち、農業規模が大きく、各地域で異なる特産品が生産されます。一方、日本は地理的に狭く、地域ごとの特産品が重要です。

次に労働力と技術の違いです。中国の農業は労働集約的で、多くの農民が従事しますが、高齢化も進行しています。日本は労働力不足が課題であり、技術革新や機械化が進んでいます。
また、農業政策も異なる点です。中国は食糧自給率の維持に重点を置き、農業支援政策を展開しています。日本は高度な産業国であり、農業は食品安全や地域振興など幅広い側面で重視されています。
食料自給率の低い日本は見習うべきポイントでもあります。

また、土地所有も日本の農業との違いです。中国では土地は国有または集体所有が主流で、土地利用権が農民に付与されています。日本では土地所有が個人または法人に認められ、耕作者や所有者の別が明確です。

最後に食文化と需要です。中国は大国のため需要が多様で、主食に加えて多くの肉や野菜が消費されます。日本は文化的な背景から魚介類や米を重視する食文化があり、需要もそれに合わせています。

これらの違いは、国の経済、社会、地理的条件などに基づいて成り立っており、両国の農業は異なる課題や特性を抱えながらも、相互に影響しながら発展しています。
しかし、日本は食料自給率も低く輸入に頼っていることが多い国でもあります。

参考にするべき点はたくさんあるのが現状です。

日本の農業が中国農業で参考にするべきポイント

日本は中国の農業のどこを参考にするべきなのでしょうか?
詳しく解説していきます。

効率的な技術導入:中国は農業技術の進化に取り組んでおり、特に近代的な農業機械や情報技術の導入が進んでいます。日本も効率的な生産技術やITの活用を通じて、労働力不足や高齢化の課題に対処できる可能性があります。

農業の多様性:中国の農業は広範な地域で様々な農産物が栽培されています。日本も地域ごとの特産品や伝統的な農産物に力を入れ、地域資源を最大限に活用する取り組みが参考になります。

農村振興と福祉:中国は農村地域の発展や農民の福祉向上に取り組んでいます。日本も農村地域の魅力づくりや生活基盤整備、地域産業の振興を通じて、農村の魅力を高める取り組みを考えることが重要です。

食品安全と環境保護:中国は食品安全や環境保護に向けた取り組みを進めています。日本も安全で環境に配慮した農業生産を推進し、消費者の信頼を確保するための取り組みが参考になります。

国際交流:中国との農業技術交流や経験共有は、両国の農業の発展にプラスに影響を与える可能性があります。相互の成功事例や課題の共有を通じて、新たなアイディアや解決策を得ることができます。

状況によって異なりますが、これらの点を参考にして、日本の農業の持続的な発展や課題解決に向けて取り組むことが有益であるかもしれません。
もちろん、人口も国土も異なるため全てを参考にするのは不可能です。

しかし、共通点が多い中国だからこそ参考にできる点も多くあります。

中国農業が今後発展していくためにできること

ここまで中国農業について詳しく解説しました。
日本の抱える農業問題と共通点も多く、多くの問題も抱えています。

しかし、中国は生産量世界第一位であり、これからも農業という産業はさらに発展をしていくでしょう。
では、今後さらに発展していくためにはどうすべきなのでしょうか?

中国は人口の約7分の1が農業をしており、人手不足というわけではありません。
しかし、広大な農地を持っているにも関わらず小規模農家が多く農地の集約化が進んでいません。

これらの集約は発展の鍵を握ると言われています。

政府も多くの資金を農業に費やし農業の発展を援助しております。
また、スマート農業への浸透も日本よりはやく時代への変化によりはやく対応しているのも中国の特徴です。

このスマート農業の進展はさらに中国農業を発展させるでしょう。

まとめ

本記事では中国農業への問題について詳しく解説しました。
そして、日本の農業との共通点も多くあることも知っていただけたのではないでしょうか?

今後、三農問題や小規模農家の集約をどのように中国政府が改善していくのか?
日本の農業にも参考にできるかもしれません。

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最後までご覧いただきありがとうございました。

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