家庭菜園でほうれん草は間引きしなくていい?やらないとどうなるか検証してみた!

作物を育てるときによく耳にする言葉の一つが「間引き」です。

ほうれん草の栽培においても、2回も間引きをする必要があります。

芽の状態を確認しながら一本づつ手作業で抜いていく作業は、「少し面倒くさいな」と思う方も少なくないでしょう。

しかし、間引きは本当に必要な作業なのでしょうか?

ほうれん草の成長において、この一手間を怠ると一体何が起こるのでしょうか?

本記事では、「間引きは本当に必要なのか?」という疑問に向き合い、実際に間引きをしたものとしていないものを栽培し、比較をしてみました。

その結果から、ほうれん草の間引きが果たす役割や重要性、間引きのコツについても紹介します。

間引きを知ることで、ほうれん草をより上手に栽培できる手助けとなれば幸いです。

間引きによって大きくおいしいほうれん草を収穫でき、味わうことができた時には、家庭菜園がより楽しくなるかもしれませんよ。

間引きは必要なのか

間引きは、作物を育てるのに非常に重要な作業です。

ここでは、間引きがなぜ必要なのか、間引きの目的や利点について紹介します。

間引きの目的とは

間引きは、植物の栽培において密集した苗を適切な間隔に間引いて生育環境を整える作業です。

ほうれん草などの野菜や花など、多くの植物が発芽後、同じ場所に必要以上に芽が大量に発生してしまうことがあります。

この密生を解消し、個々の植物が十分なスペースや栄養を得られるようにすることが、間引きの目的です。

間引きの利点とは

間引きは手入れをする側としては少し手間かもしれません。

しかし、その手間以上の利点が多くあります。

ここでは、間引きの利点を紹介します。

健康な成長

適切な間隔で植物が成長するため、個々の植物が充分な栄養と日光を受け取り、健康な状態で成長します。

収穫の向上

間引きにより、個々の植物が十分なスペースを確保できるため、収穫量や品質が向上します。

病害虫の予防

密生した植物は葉が絡まり合い、空気の循環が悪くなりがちです。間引きにより適切な間隔を確保することで、空気の流れが良くなり、病気やカビの発生を防ぎます。

間引きは、植物の成長環境を最適化し、良好な収穫を得るために重要なステップです。

特に野菜や花の栽培において、この作業は成功を収めるための不可欠な手法の一つと言えます。

間引きをしないとどうなるのか検証してみた

間引きの重要性は分かったものの、「間引きしなくてもある程度育つのでは?」と思う方もいるかもしれません。

今回は実際に間引きをしたものとしないもので、同じようにほうれん草を栽培し、その違いを検証してみました。

検証の方法

栽培期間:10月初めに種まきし、1月初めに収穫

栽培場所:筆者の所有する畑

栽培した品種:サカタの種「アトラス」

栽培方法:

①5㎝間隔に間引きをしたほうれん草

②スジ播きをして全く間引きをしなかったほうれん草

の2つを比較しました。

間引き以外は全く同じように栽培しました。

検証結果

収穫後のほうれん草の大きさや味で、2つの違いを比べてみました。

草丈

間引きしたほうれん草の草丈は約23㎝、

間引きしていないほうれん草の草丈は約10㎝でした。

葉の数

間引きしたほうれん草の葉の数は10枚、

間引きしていないほうれん草の葉の数は5枚でした。

大きな違いはありませんでしたが、間引きしていない方は葉の部分が少ないため、食感が硬かったです。

検証して分かったこと

ほうれん草を間引きしていないものとしているもので比較して、ほうれん草の生長に大きな違いが出ることが分かりました。

ほうれん草は間引きをしなくても育てることはできますが、収穫できるほうれん草の大きさは3~5倍以上の違いがありました。

間引きをすることで、ほうれん草は土の栄養や水分を効率よく取り入れ、大きく生長することが分かりました。

多少面倒でも間引きはするべきであり、ほうれん草を育てる上で重要な手入れだといえます。

ほうれん草の間引きのコツ

ほうれん草の栽培において重要な手入れである間引き。

ここでは、ほうれん草の効果的な間引きを行うためのコツを紹介します。

適切なタイミングで間引きする

ホウレンソウの間引きは

①すべてが発芽した本葉1~2枚の頃

②本葉3~4枚頃の2回行います。

間引きは、苗が十分に発芽し、成長し始めた段階で行うことが重要です。

成長の初期段階での適切なタイミングで行うことで、植物へのストレスを最小限に抑えることができます。

健康な苗を選別する

健康な苗を残すため、適切な苗を選びましょう。

間引くべき芽はできるだけ『平均から外れた他と違うもの』を選びます。

たとえば、

  • 小さすぎる芽
  • 形がいびつな芽
  • 長い芽
  • 大きすぎる芽
  • 色が濃すぎる芽 です。

「みんな同じ芽に見える!」という場合は、均等に間を空けて抜けば問題ありません。

虚弱な苗や異常な成長を示すものは、積極的に取り除くことで、残った苗への栄養や水分の供給が効果的に行えますよ。

適切な植え付け間隔を保つ

間引きは適切な植え付け間隔で行ないます。

1回目の間引きでは、芽と芽の間が3㎝程度になるように間引きをしましょう。

指1本が約1㎝なので指3本程度を目安にします。

2回目の間引きは、芽と芽の間が5㎝程度になるように間引きをしましょう。

指4~5本くらい空けるとちょうど良いので目安にします。

土が湿っているときにやさしく間引く

間引きのときは、土が湿っているときに行ないましょう。

これは、残す芽を痛めないようにするためです。

土が乾いている場合は、水やり後に間引きましょう。

また、この際に雑草も抜き取っておきます。

間引いた苗を有効活用する

間引いたほうれん草は捨てずに、有効に活用しましょう。

サラダやスムージー、おひたしなどのレシピに利用することで、無駄なくほうれん草を利用できます。

間引きしたほうれん草を食べることで、面倒な「間引き」も楽しく行なうことができますよ。

これらのコツを心得ながら、間引き作業を行うことで、健康で豊かなほうれん草の収穫につながります。

ほうれん草の基本の栽培方法とは

ここでは、ホウレンソウの栽培方法について紹介します。

ホウレンソウは栽培期間が短いので、植え替えがいらず、簡単に育てることが可能ですよ。

栽培方法について詳しくはこちらの記事で紹介しているので、参考にしてください。

1.土づくりと畝づくり

種まきの1〜2週間ほど前に、土づくりを進めます。

堆肥を2kg/㎡、深さ20~30cmを目安に土を十分に耕して、土壌とよく混ぜ合わせましょう。

畝幅は70~80cm、畝の高さは10~15cmで作ります。

詳しくはこちらの記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてくださいね。

2.種まき

畝に15~30㎝ほど間を空けて2条の溝を作りましょう。

溝の深さは1㎝ほどです。

溝に1㎝間隔で種をパラパラっとスジ播きします。

土を被せて軽く押さえて、たっぷり水を与えましょう。

3.間引き

種まきをしてから1~2週間後の芽が出そろったタイミングで3㎝くらい間を空けて間引きします。

その後、本葉3枚くらいのときに5㎝くらいの間を空けて2度目の間引きをしましょう。

詳しくはこの記事を参考にしてみてください。

4.手入れ

水やり

種まき後にたっぷり水やりをやった後は、それほどこまめに水やりをする必要はありません。

晴れの日が続いて、畑が乾燥している時のみ水を与えましょう。

除草

大きくなる前には、雑草が目立つこともあります。

全てを取り除く必要はありませんが、ほうれん草の芽を押しのけるような大きな雑草はきちんと抜き取りましょう。

また、抜き取る時も、ほうれん草の芽の周辺にある土や根を持ってかれないように慎重にぬき、必要であれば、土を寄せてください。

追肥

ホウレンソウの追肥は様子を見て与えてください。

畑栽培では20~30g/㎡を条間にまき、土と軽く混ぜてから土を寄せてください。

また、肥料を与えすぎると肥料やけを起こして生育不良につながるため、注意が必要です。

寒さ対策

秋まきで栽培するときは冬を越すこともあります。

12月末の霜が降りる前に寒さ対策をしましょう。

不織布を全体にかけてあげれば問題ありません。

できればトンネルにしてあげるとホウレンソウの生長の邪魔をしませんが、2回目の間引きが終了していれば軽くかけてかけてあげるだけでも大丈夫です。

不織布がない場合は、笑や落ち葉など、ほうれん草が直接外気に触れないような工夫をしましょう。

5.収穫

ほうれん草は、草丈が程度20㎝、本葉10枚程度の大きさになったものから収穫していきます。

まとめ

ほうれん草の栽培において、間引きが果たす役割は非常に重要です。

本記事では、間引きの重要性に焦点を当て、実際の検証結果を通じて、その効果を紹介しました。

間引きを行うことで、ほうれん草1本1本がきちんとスペースを確保し、健康な成長の手助けをすることができます。

また、十分な栄養の供給や、病害虫の予防など、さまざまなメリットがあります。

植物同士が競い合わない状態を作り出すことで、予期せぬ問題を未然に防ぐことができるのです。

成功するためには、適切な間引きのタイミングを見極め、健康な苗を選別することが重要です。

間引きをしなかったほうれん草が小さいまま大きくならなかった結果からも、間引きを怠ることは、ほうれん草の育成においてリスクがあることが分かります。

よって、間引きはほうれん草栽培において欠かせない手入れであり、適切に行うことで豊かな収穫を期待できます。

これらのポイントを押さえつつ、自身のほうれん草栽培に取り入れることで、より成功に近づくことでしょう。

ほうれん草は初心者でも栽培しやすい野菜です。

間引き後の小ホウレンソウを食べながら、モチベーションを維持しつつ家庭菜園を楽しんでくださいね。



ほうれん草の栽培方法については、こちらでも紹介していますので、参考にしてみてください。



また、「みんなで農家さん」では、農業に関する情報だけではなく、初心者に向けた家庭菜園に関する記事も多く紹介しています。

今後も実際に野菜を栽培していく様子を紹介していくので、興味のある方は、ぜひこちらからチェックしてみてください。

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