秋冬野菜の代表!【ネギ】栽培方法と育てるコツを徹底解説

ネギは奈良時代から存在する日本の伝統野菜であり、日本人の食生活には欠かせません。

汁物や鍋物に入れたり、炒めたり、薬味として添えるなど、加熱しても生でもおいしく食べること ができるため、1年を通して需要が高く、人気の野菜です。

秋冬野菜の代表ともいえるネギですが、栽培期間は約1年と長く、天候による影響を受けやすい上に手入れも必要となるため、初心者にはややハードルが高い野菜だといえます。

しかし、育てやすい品種や上手に育てるコツを知ることで、初心者でも美味しいネギを栽培・収穫することができますよ。

この記事では、古くから日本にあるなじみ深い野菜である、「ネギ」の育て方を、おすすめの品種や気を付けるべきポイントとともにご紹介します。

「初心者だけどネギを育ててみたい。」

「ネギを失敗せずに栽培してみたい。」

「おいしいネギを自分で育てて食べてみたい。」

という方は、ぜひ参考にしてください。

ネギは日本の伝統野菜

ネギはヒガンバナ科ネギ属の野菜です。

ネギは古くから日本で親しまれている伝統的な野菜のひとつです。

汁物や鍋物、薬味としてなど、日本料理においても無くてはならない存在だといえるでしょう。

ネギの歴史は古く、朝鮮を経由して奈良時代に渡来しました。

「日本書紀」でもネギに関する記述が確認できます。

現在、流通量が最も多いのは一般的に旬とされる秋冬ですが、用途の幅広さや加工・業務、需要の高さなどから1年中生産されている野菜です。

ネギの種類と栽培の難易度

ネギには「長ネギ」と「葉ネギ」が存在します。

白い部分を食べる「長ネギ」は、関東で多く栽培されており、緑の葉の部分を食べる「葉ネギ」は主に関西で栽培されています。

最近では葉ネギを早い段階で収穫する小ネギの栽培が盛んになっており、関東でも需要が高くなっています。

長ネギ(白ネギ)

栽培難易度:★★★(やや難しい)

長ネギは主に白い部分を食するネギで、白ネギや根深ネギ、1本ネギなどと呼ばれています。

根が深いネギのため、主に畑での栽培に向いています。

長ネギは白い部分が土の中で、緑色の部分が土の外に出ている部分になります。

基本的には白い部分が長いものが好まれる傾向にあり、そのためにはこまめな土寄せなどの手入れが必要です。

また、種から苗を育てる必要があり、苗の栽培だけでも3か月ほどかかります。

ネギを収穫するまでには1年以上かかることもあり、手入れの必要性や栽培期間の長さから、初心者には少し難しい、中級者向けの野菜であるといえます。

葉ネギ(青ネギ)

栽培難易度:★★(やや簡単)

葉ネギは青い葉の部分が多いことから青ネギとも呼ばれています。

関西の九条ネギや九州の万能ネギなどが有名です。

早どりで収穫する小ネギであれば植え付けの手間もなく3~4カ月程度で収穫が可能です。

葉の部分を主に食すネギなので、土寄せも軽めで問題ありません。

長ネギと比較すると、栽培期間が短く済み、手入れが簡単なため、葉ネギの方が初心者でも育てやすいでしょう。

ネギ栽培のコツとは

ネギ栽培は初心者にはやや難しい面も存在します。

しかし、ポイントを押さえながら栽培することでおいしいネギを収穫することができますよ。

ここでは、成功に導くネギ栽培のコツを紹介します。

高温に弱い

ネギの生育適温は20℃前後です。

暑さには弱く、夏は30℃を超えると肥大も生長も衰えるため、地温が高い盛夏期は土寄せをしないなどの工夫が必要です。

逆に寒さにはたいへん強くマイナス8℃までは耐えることができます。

水やりが重要

育苗の際には水やりが非常に重要です。

発芽しはじめてネギの先端にタネがついている間は水を切らしてはいけません。

育苗の前半は水を多めに、後半は少しずつ水やりを減らし、乾燥気味に育てるのが大切です。

また、植え付け後は湿度が高くならないように注意が必要です。

通気の悪い粘土地や水はけの悪い土地では、栽培を避けるか堆肥を施してなるべく通気のよい畑にします。

土寄せはしっかりと

長ネギの栽培で最も大切なのが、月に1回の土寄せです。

収穫までに計4回、成長に合わせて少しずつ株の周りに土を寄せ上げることで、白い部分を長く美しく育てることができます。

このとき、葉の分かれ目の部分を土に埋めると新しい葉が出にくくなり、生育が悪くなるので気を付けてください。

トウ立ちを予防する

トウ立ちとは花芽が分化し、開花することで生育不良につながることをいいます。

ネギはある程度育った状態で低温に当たると花芽が分化し、翌年の春にトウ立ちして開花します。

秋に種まきをし、翌年の夏秋に収穫する秋まき栽培では早くタネをまいてしまうと4から5月ごろトウ立ちしてネギの花(総苞)ができるので、早めにネギの花の部分を摘み取ることで失敗を予防できます。

春になってトウ立ちしネギ坊主ができると品質が悪くなるので、春~初夏に収穫する作型の場合はトウ立ちしにくい晩抽性品種を選びましょう。

長ネギでは、春まき・夏定植の栽培をするとトウ立ちのリスクが無く、霜が降りてからおいしい冬ネギが収穫できます。

初心者におすすめのネギの品種とは

ここでは、初心者でも育てやすい長ネギ・葉ネギのおすすめの品種を紹介します。

おすすめの長ネギの品種

坊主知らず(日光種苗):

トウ立ちしてネギ坊主(花)がつくとネギはかたくなりますが、この品種は花が咲きにくい特長をもっています。

そのため、知識や経験がない初心者でも、安心して通年おいしい白ネギが収穫できるおすすめの品種です。

夏扇4号(サカタ交配):

耐暑性、耐寒性に優れ、べと病、さび病、黒斑病にも強く育てやすい丈夫さが特徴です。

そのため、はじめて長ネギ栽培に挑戦する人におすすめの品種だといえます。

おすすめの葉ネギの品種

小春(タキイ種苗):

冬場の寒さに強く、生長も早い品種です。

秋~春どりのほか、周年栽培にも適しています。

葉は細くて折れにくく、色は濃緑色で痛みにくい特徴を持ちます。

葉質がやわらかくて香りにすぐれています。

小夏(タキイ種苗):

生育が旺盛で耐暑性にすぐれ、夏の小ネギや中ネギ栽培に最適です。

葉は傷みにくい濃緑色で細く立性します。

葉鞘部は色ツヤがよく、品質・食味も優秀な品種です。

高温期でも葉鞘基部は太りにくく、品質・収量性にすぐれています。

参照:タキイ種苗株式会社 (takii.co.jp)

ネギの栽培時期

ネギ 栽培カレンダー参照:ネギの育て方・栽培方法|失敗しない栽培レッスン(野菜の育て方)|サカタのタネ 家庭菜園・園芸情報サイト 園芸通信 (sakata-tsushin.com)

ネギは秋まきと春まきの2種類存在します。

  • 秋まき栽培:9月中旬に種をまき、苗のまま冬を越えて、5月に定植し、9月以降に収穫します。
  • 春まき栽培:3月頃に種をまき、7月から8月に定植し、12月以降に収穫します。

ネギは苗が育つまでに時間がかかる野菜で、種まきから収穫まで一年程度必要です。

また、葉ネギの若どり栽培(小ネギ)であればタネまきから3から4か月の育苗が終了した段階で収穫することが可能です。

タネまき準備

長ネギと葉ネギの育苗畑では、種まきの2週間以上前に苦土石灰を施してよく耕し、1週間前に堆肥、化成肥料を施し、再度耕します。

長ネギの定植畑は耕さずに定植の1週間ほど前に苦土石灰だけを施しておき、定植当日に深さ20~25cm、底幅20cm程度の溝を掘ります。

タネまき・育苗

1m幅の広い床に6㎝の間隔でスジまきします。

薄く土をかけ、その上から水やりをし、乾燥防止のために藁を敷きます。

種をまいて1週間程度で発芽します。

苗床の株間が1~2㎝になるように間引きをします。

これよりも密であれば、本葉が2~3枚の頃にさらに間引きをします。

秋まきなどで生育期間が長い場合は、生長を見ながら追肥しましょう。

追肥は、種まき後1カ月ごとに化成肥料を1㎡あたり1握り(約50g)をばらまき、クワや移植ゴテなどで軽く耕します。

また、葉ネギの若どり栽培(小ネギ)であれば育苗が終われば収穫することができます。

植え付け

植え付ける30日前に1~2kg/㎡程度の堆肥を混ぜます。

その後、苦土石灰で100~150g/㎡を植え付けの7日前に混ぜます。

元肥100g/㎡を植え付けの数日前までに混ぜ、整地しておきましょう。

植え付け時期になったら2~3日前に堀り上げて根を乾かしておきます。

深さ5㎝の溝を掘り、10㎝間隔に1株あたり2~3本ずつ苗を植えます。

また、3~5㎝おきに1本ずつ植えるやり方もあります。

手間はかかりますが、揃いがよくなるメリットがあるため、おすすめです。

手入れ

ネギの手入れは追肥・土寄せ・中耕を1か月ごとに3~4回実施します。

通常、追肥は土寄せ時に中耕と兼ねて一緒に行ないます。

追肥の量は1回あたり一握り(25~30g/㎡)が適当です。

長ネギは土寄せはしっかりと、葉ネギは軽く土寄せをすることが重要です。

【長ネギの土寄せ】

1回目:定植後40日後に6~7㎝程度土寄せします。

2回目:1回目の30日後に6~7㎝程度土寄せします。

3回目:収穫前30~40日に葉の分岐が埋まらない程度土寄せします。

収穫

長ネギは軟白部分が長くなったら、畝の端からクワやスコップで土を崩して必要な分だけ掘って取ります。

葉ネギは草丈が50cmほどになったら掘り取って収穫しますが、株全体を収穫せずに地上部を刈り取れば、引き続き新芽を収穫することができます。

ネギの病害虫とその対策方法

高温乾燥が続くとハモグリハエ、アブラムシ、スリップス、シロイチモンジョトウなどの害虫が発生しやすくなります。

低温多湿時や肥料が多い場合はべと病が、春秋の季節の変わり目でさび病が発生しやすくなります。

対策方法としては、元肥は少なめで追肥で生育を調整したり、水はけがよく耕土が深い砂質壌土の畑でつくったりするなどがあげられます。

耕種的な防除方法が難しい場合は、早めの薬剤の予防散布が効果的です。

ネギの魅力と楽しみ方とは

奈良時代から日本に存在する「ネギ」は私たちの食生活に無くてはならない存在です。

ここでは、古くから愛されているネギの魅力について紹介します。

優れた栄養価をもつ

「風邪にはネギがいい」という話をよく聞くように、ネギには抗酸化作用や殺菌効果がありますが、それ以外にも優れた栄養価を持っています。

【硫化アリル】

ネギ独特のツンとした香りのもとになる辛み成分が硫化アリルです。

ねぎの白い部分に多く含まれます。

血液の凝固を防ぎ、血液をサラサラにしてくれる効果や、殺菌作用、抗酸化作用があります。

さらに、血中コレステロール値を下げて、動脈硬化や心臓病の予防にも効果があるとされています。

また、疲労回復を助ける効果も期待できます。

【ビタミンC】

ビタミンCはねぎの緑色の部分に多く含まれています。

ストレスから体を守る働きをし、風邪予防にも効果が期待できます。

また、抗酸化作用があり、動脈硬化の予防にも効果があります。

さらに、皮膚のシミやしわを防ぎ、傷や炎症の治りをよくする効果があります。

水溶性のビタミンで熱に弱いため、生で食べると効果的です。

【β-カロテン】

ネギの緑色の部分にはβ-カロテンが豊富に含まれています。

強い抗酸化作用があり、体内の活性酸素を消去して動脈硬化やがんなどの生活習慣病の予防にも効果が期待できるといわれています。

脂溶性の栄養素なので、油と一緒に摂取すると効果的です。

【葉酸】

ビタミンB群の一種である葉酸はビタミンB12と協力して赤血球を作り、食べたものをエネルギーに変えるのを助ける役割があります。

また、DNAを正常に作る材料にもなります。

【カルシウム】

カルシウムは骨や歯を作るミネラルです。

筋肉を動かしたり、精神の興奮をおさえ安定させるなどの効果もあります。

4つの部位に分けて楽しめる

ネギの中でも、特に長ネギは以下の4つの部位に分けることができます。

  1. 白い部分の下部
  2. 白い部分の上部
  3. 分岐している(白と緑の中間)部分
  4. 緑色(葉)の部分

根元に近い部分には甘みがあり、緑色(葉)が濃い方にいくほど辛みが強くなっていきます。

分岐している部分を目安に、4等に切り分けます。

甘みや辛みの強弱が異なるため、それぞれの特徴を料理に活かすことで、よりおいしく味わうことが可能です。

幅広い料理に使われる

生でも加熱しても美味しく食べることができるネギは、鍋物や汁物など、幅広い料理に使われます。

特に、見た目の美しさを重視する日本の料理において、刻んで添えるだけで彩り良く、料理の格を上げてくれるネギはなくてはならないものだといえるでしょう。

また、生だとシャキッとしたみずみずしさがあり、熱するとトロトロっととろける食感を楽しむことができます。

このように、味や彩りだけではなく、食感を楽しめるのもネギの魅力です。

まとめ

秋冬野菜の代表である「ネギ」の栽培方法のコツとその魅力について紹介しました。

ネギは奈良時代から日本人に親しまれている魅力的な野菜です。

初心者には難易度が高いと感じるかもしれませんが、まずは葉ネギの若どりである小ネギから挑戦したり、失敗しにくい品種を選んだり、工夫次第で上手に育てることができます。

はじめて家庭菜園に挑戦するという方も経験者の方も、今回紹介した内容を参考にネギ栽培にぜひチャレンジしてみてください。

また、ネギは栄養価が高く、さまざまな料理に使われるため、1年を通して需要の高い野菜です。

栽培に慣れたら自分で販売し、収入を得る方も少なくありません。

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家庭菜園についてさらに詳しく知ることができるだけではなく、もっと大きな規模でやってみたいという方や、収入につなげてみたいという方にとって、必要な情報を知ることができます。

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参考文献:

市川啓一郎著「タネ屋がこっそり教える 野菜作りの極意」一般社団法人 農山漁村文化協会発行,2021年

林重孝著「有機農家に教わる もっとおいし野菜のつくり方」社団法人 家の光協会発行,2011年

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