あなたはアブラムシが農作物に与える影響を知っていますか?
「あまり良くなさそうなのは分かるけどどんな影響を与えるのかは知らない」という方も多いのではないでしょうか?
アブラムシは、植物の葉や茎、花などに付着し、口針を使って汁液を吸います。このため、農作物に被害を与え、収穫量の減少や品質の低下などを引き起こします。
アブラムシが発生した際はきちんと対策を行わないと、農作物が甚大な被害を受けることも少なくありません。
そこで今回の記事では、アブラムシの概要や特徴、農作物に与える影響などを解説していきます。
アブラムシとは
アブラムシは小さな昆虫で、長さはわずか1〜5mmほどです。アブラムシは、吸血性の昆虫ではなく、植物の汁液を吸って生きています。また、羽を持っており、風に乗って移動することができます。
春先から発生し短期間のうちに増える害虫
アブラムシは、春先に発生し、短期間のうちに増えます。春先の気温が上がると、アブラムシの発生が始まります。アブラムシは、温暖な気候を好み、夏場にはピークを迎えます。秋になると、気温が下がるため、発生数は減少します。
アブラムシの栄養源は植物の汁液
アブラムシの栄養源は、植物の汁液です。アブラムシは、植物の葉や茎、花などに付着し、口針を使って汁液を吸います。このため、農作物に被害を与え、収穫量の減少や品質の低下などを引き起こします。
アブラムシが発生しやすい農作物
アブラムシは、さまざまな農作物に発生しますが、特に以下の作物に被害を与えることが多いとされています。
- サツマイモ
- じゃがいも
- ネギ
- にら
- ナス
- 大根
- キャベツ
- 玉ねぎ
- 白菜
- レタス
これらの作物は、アブラムシにとって好ましい栄養源であり、発生しやすい環境を提供します。アブラムシに対して注意が必要な農作物を栽培する場合は、アブラムシ対策を行うことが重要です。
アブラムシが農作物に与える被害
アブラムシは、農作物にとって非常に有害な害虫です。その被害について、以下で詳しく見ていきましょう。
農作物の成長が阻害される
アブラムシは、植物の汁液を吸って栄養を得ます。そのため、アブラムシが密集すると、植物から十分な栄養を得られず、成長が阻害されることがあります。また、アブラムシが吸い取った汁液から得られる糖分が、植物の成長を促進する成分である植物ホルモンとバランスを崩してしまうこともあります。そのため、アブラムシの被害が長期化すると、植物の成長に悪影響を与えることがあるのです。
すす病が発症する
アブラムシは、汁液を吸い取る際に、植物に傷をつけることがあります。その結果、傷口から菌が侵入してしまい、すす病が発症することがあります。すす病は、植物の葉に黒っぽい斑点をつけ、光合成ができなくなるため、成長が停滞したり、実がつかなかったりすることがあります。また、すす病が進行すると、葉が落ちることもあります。
ウイルスを媒介する
アブラムシは、ウイルスを媒介することがあります。アブラムシが吸った汁液にウイルスが含まれている場合、次に別の植物の汁液を吸うときに、ウイルスをその植物にもたらしてしまうのです。たとえば、アブラムシがウイルスを媒介することで、モザイク病や黄化病などの病気が発生することがあります。
ウイルスを他の農作物にも伝染させる
アブラムシが吸汁する際、吸い取った植物汁液中に含まれるウイルスも一緒に摂取してしまいます。そのため、アブラムシがウイルスを媒介することがあります。アブラムシは、摂取したウイルスを自分自身の体内で増殖させたり、唾液を介して他の植物に伝染させることができます。
さらに、アブラムシが感染した植物を食べた昆虫や動物が、ウイルスを持ち込んで他の場所に広めることもあります。アブラムシが媒介するウイルスは、農作物の被害だけでなく、生態系全体に影響を及ぼすことがあるのです。
アブラムシが発生した時の対策方法
アブラムシが発生した場合、以下の対策方法が有効です。
- 薬剤散布を行う
- 粘着テープの使用
- 黄色い粘着シートの利用
- アブラムシの天敵となる昆虫を活用
薬剤散布を行う
アブラムシに対しては、専用の殺虫剤が市販されています。発生が初期段階であれば、散布すれば駆除できる場合があります。しかし、薬剤には人体に有害な成分が含まれるため、使用方法には注意が必要です。散布する場合は、取扱い方法を必ず確認し、適切な保護具を着用して作業を行ってください。
粘着テープの使用
アブラムシは飛翔することができますが、足で歩いて移動することもあります。そのため、植物に貼り付けた粘着テープに引っかかって駆除することができます。粘着テープは植物に貼り付けるだけで簡単に使用できるため、手軽に対策ができます。
黄色い粘着シートの利用
アブラムシは黄色に寄ってくる性質があるため、黄色い粘着シートをアブラムシが発生しやすい場所に設置することで、アブラムシを捕獲することができます。ただし、天候や風向きによっては効果が薄れる場合があるため、注意が必要です。
アブラムシの天敵となる昆虫を活用
アブラムシには天敵となる昆虫がいくつか存在します。中でも代表的なものは、テントウムシです。テントウムシはアブラムシを食べることができるため、アブラムシの駆除に効果的です。テントウムシは、自然界に生息しているため、意図的に放し飼いにすることができます。他にも、アブラムシの天敵としては、ハナアブや、コマダラカミキリ、ヤツデムシなどがいます。
アブラムシの発生を抑える予防方法
アブラムシは、春先から夏にかけて増殖し、農作物に被害を与えます。このような害虫の発生を抑えるために、予防的な対策が必要です。以下では、アブラムシの発生を抑える予防方法について解説します。
- 窒素成分を含んだ肥料を抑える
- 光を利用する
- 枝の選定や雑草の防除
- アリを駆除する
窒素成分を含んだ肥料を抑える
アブラムシは、窒素成分を多く含んだ肥料を好みます。そのため、農作物に対して必要な栄養素を与えつつ、アブラムシが発生しにくい肥料を選ぶことが重要です。また、過剰な肥料の使用は、アブラムシの発生を促進することがあるため、肥料の使用量にも注意が必要です。
光を利用する
アルミシートやアルミホイルで株元を覆うことで、日光を乱反射させることができます。これにより、アブラムシが発生しにくい環境を作り出すことができます。また、日光に当たりすぎることで、農作物が弱ってしまうことがあるため、適切な覆い方をすることが重要です。
枝の選定や雑草の防除
アブラムシは、新芽や柔らかい葉っぱに付きやすいという特徴があります。そのため、枝の選定を行うことで、アブラムシの発生を抑えることができます。また、雑草を防除することで、アブラムシが隠れる場所を減らし、発生を抑えることができます。
アリを駆除する
アブラムシとアリは、共生関係にあります。アブラムシから分泌される甘い汁をアリが集め、アブラムシを守っています。そのため、アリを駆除することで、アブラムシの発生を抑えることができます。アリを駆除する方法としては、アリトラップやアリ殺虫剤の使用が挙げられます。
アブラムシの対策のポイント
アブラムシは農作物に多大な被害をもたらす害虫です。そのため、アブラムシの発生を抑えるための対策が必要です。以下では、アブラムシの対策のポイントについて詳しく説明します。
アブラムシに対する早期発見の重要性
アブラムシは非常に小さいため、発生がすぐには気づきにくい害虫です。しかし、アブラムシは発生してからわずか数日で繁殖し、数を増やしてしまいます。そのため、アブラムシが発生した場合は、早期に発見し、対策を行うことが重要です。
アブラムシの発生を確認する方法は、植物の葉の裏側や新芽の周辺をよく観察することです。アブラムシが発生している場合は、葉に付着したアブラムシの体液が白くなることがあります。また、アブラムシは葉の表側にも付着していることがありますので、葉の表側も確認することが必要です。
繁殖しやすい季節
アブラムシは春から夏にかけて、気温が20℃~30℃の環境で繁殖しやすくなります。そのため、これらの季節には特にアブラムシの発生に注意が必要です。また、アブラムシは乾燥した気候や強風の影響を受けやすいため、天候によっても発生の程度が変わることがあります。
予防的な対策の重要性について
アブラムシの被害を最小限に抑えるためには、予防的な対策が重要です。その一方で、一度アブラムシが発生してしまうと、駆除に時間がかかったり、被害が拡大してしまったりすることがあります。したがって、農作物が被害を受ける前に、アブラムシの発生を予防するための取り組みが必要です。
具体的な予防対策としては、農作物の肥料管理、雑草の防除、枝の選定、アリの駆除などが挙げられます。また、アルミシートやアルミホイルなどの反射材を使用して、日光を乱反射させることで、アブラムシの発生を防ぐことができます。これは、アブラムシが寄生する植物の根元を覆うことで、アブラムシが日光を嫌うため、発生を抑制することができるからです。
まとめ
アブラムシは農作物に大きな被害を与える害虫であり、早期発見と対策が重要です。春先から発生し、短期間で急激に増えるため、予防的な対策が必要です。アブラムシが発生してからの対策としては、薬剤散布、粘着テープ、黄色い粘着シート、アブラムシの天敵となる昆虫を活用する方法があります。また、アブラムシの発生を抑える予防方法として、窒素成分を含んだ肥料を抑える、光を利用する、枝の選定や雑草の防除、アリを駆除する方法があります。
アブラムシは農業にとって大きな脅威ですが、早期発見と対策を行うことで被害を最小限に抑えることができます。農作物の育成において、アブラムシに対する予防と対策を徹底することが大切です。
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