【害虫対策】敵か味方か?農家とカメムシ 生態と対策

「せっかく育てた農作物が…泣」
丹精込めて育てても、虫に荒らされてしまうと、悲惨な物です。

害虫は、農家にとって非常に厄介な存在です。
今回解説するカメムシもそんな害虫の一種。

もっとも、カメムシは農家以外にもあのツーンッとくる…
「強烈な匂い」により苦手という人も多いでしょう。
多くの人にとってカメムシは害虫と言える存在です。

…なのですがちょっと意外なことに、農家にとって役立ってくれるカメムシも存在します。

今回はそんなカメムシについての解説です。

目次
1.害虫?益虫?農家とカメムシの関係
2.害虫となるカメムシ

2-1.カメムシの生態
2-2.カメムシの襲う農作
3.害虫カメムシ対策

3-1.①捕獲
3-2.②防虫ネットや寒冷紗(かんれいしゃ)
3-3.③木酢液
3-4.④農薬
4.益虫となるカメムシ

4-1.益虫のカメムシ「ヒメハナカメムシ」
4-2.ヒメハナカメムシ集める方法
4-3.益虫さん寄っといで!ソルゴーにおまかせ!
4-4.コンパニオンプランツの王者!「マリーゴールド」
5.まとめ



1.害虫?益虫?農家とカメムシの関係

益虫か害虫か

「カメムシ」と聞いて、どんなイメージを抱きますか?
潰してしまえば、ツーンっと臭い匂いを放つため…
多くの人にとっては「害虫」でしょう。

農家にとっても同様、農作物を荒らす「害虫」と言えます。
しかし、カメムシの種類は数多いため、
中には「益虫(人間に利益をもたらす虫)」扱いのカメムシもいます。

今回はカメムシについて「害虫」と「益虫」の両方の側面で解説していきましょう。


2.害虫となるカメムシ

害虫カメムシ

2-1.カメムシの生態
カメムシは1年を通して発生します。特に多いのは4月~10月の発生。
越冬した成虫が初夏に産卵。梅雨明けや夏後半には数が増加。

雪の深い地域では越冬のために、冬場に家屋へ侵入することもあります。

カメムシの種類は非常に多いのです。
豆類・ナス科・アブラナ科をターゲットにしてくる種もいます。

駆除の方法はどの種でもあまり変わりません。

幼虫・成虫ともに農作物に被害を与えてきます。
そのため、年間を通して対策が必要となる害虫です。

実は、カメムシは葉をかじるのではありません。
なんと、針状の口を農作物に刺して養分を吸収するのです。

まるで吸血鬼のようですね…。

一見してわからない被害なので放置してしまうことが多く、
いつの間にか被害が拡大!というケースも多いのです。

特に「マルカメムシ」「イチモンジカメムシ」「ホソヘリカメムシ」は豆類を好みます。
莢(さや)の中の実の養分を吸い取るので、実がならなかったり変形したりします。

トマトが吸われると、吸われたところがスポンジ状に変形してしまいます。

臭い匂いを嫌う生き物が多いせいか、カメムシには天敵があまりいないのです。
つまり、駆除をしないと増加していく一方です。

あらゆる植物に寄生するため、自分の農場の守りを固めても、他の畑から流入してきます。

中でもホソヘリカメムシなどは雑草が発生源。
畑の近くに茂みがあるとそこから農場にゴゾゴゾと侵入してくるのです。

クサギカメムシやチャバネアオカメムシは杉の球果をエサとしています。
暖冬の翌々年に大量発生するケースが多いのです。


2-2.カメムシの襲う農作物
カメムシが襲う農作物は多岐にわたります。

〈ターゲットとなる農作物〉
・豆類やアブラナ科
・ナス科の植物
・カボチャ
・ピーマン
・ジャガイモ
・サツマイモ
・イチゴ
・稲
・タバコ


果実部分を好んで吸い取ります。
若い果実を吸汁されると変形したり落下したりの被害が起きます。
熟した果実の場合は、腐敗したり食べると異臭が放たれます。

豆類では前述のように莢の上から実を吸い取ります。
このため、実の入りが悪くなったり実が変形したりします。

果実部分以外では新芽や茎葉を害します。
特に新芽の被害は深刻です。
新葉が奇形になる・茎が曲がる・葉に穴が開くなどの症状が出てきます。

カメムシから害を受ければ、その作物は基本的に生育不良となります。
商品価値が著しく落ちて出荷できなくなります。

発見して駆除した際には、要注意です。
捕獲しようと触るとご存知のツーンッと「強烈な匂い」がする汁を放出。

この汁の匂いが作物に付いても商品価値が下がリマス。
駆除の際にも極めて慎重さが大切になります。

3.害虫カメムシ対策

害虫カメムシ対策

カメムシは種類も数多くあります。
様々なところから飛来してくるので駆除は非常に大変です。

前述した通り、天敵がいないため放置すれば増加の一方。
被害も拡大していきます。

万全の対策を練って、被害を防止しましょう。

①捕獲
②防虫ネットや寒冷紗(かんれいしゃ)
③木酢液(もくさくえき)
④農薬

それぞれ解説します。


3-1.①捕獲
農作物を植えている面積が広い場合は不可能ですが、
中小規模の農場で比較的発生が少ない場合にはある程度有効な方法が「捕獲」。

発見したカメムシを駆除していくという、地道な方法です。
なお、無理に手でつかむと臭い液を放出します。

箸でゆっくりとつまむか、優しく押して
ビニール袋や空き瓶などに追い込むのがオススメです。


3-2.②防虫ネットや寒冷紗(かんれいしゃ)
カメムシを物理的に農作物に近づけなくする対策。
カメムシは飛来してきたり、地面から歩いて近くに寄ってきます。

地面にもそれ以外の部分にも、隙間ができないようにしましょう。
防虫ネットや寒冷紗の出番です。

カメムシは種類が非常に多く、小さい個体もいます。
網目から侵入されないようにネット選びは注意しましょう。


3-3.③木酢液
カメムシが嫌う匂いの1つが木酢液。
木酢液は昔は農薬でした。
しかし、現在は農薬取締法によって農薬としては販売されていません。
「農薬的な使用ができるもの」として売られています。

薬効が認められていない点には要注意。
小瓶に少量入れて作物の近くに置いておきましょう。
もしくは、100倍程度に薄めたものを農作物の周りに散布して使いましょう。

木酢液は工夫すれば土壌を豊かにすることもできます。
詳しくはこちらの記事もご覧ください。
(【害虫対策】畑の万能薬!?木酢液で土壌を守れ!リンク)


3-4.④農薬
カメムシが広範囲に発生してしまった!そんな時の切り札こそが農薬です。

ベニカ水溶剤が効果的。
一度の散布で根絶は難しいのが実情です。
カメムシの発生に都度繰り返し使用します。

ベニカ水溶剤は成熟した豆類には不向きなので注意しましょう。

その場合は別の農薬を使います。
カメムシ用であることと、使用可能な作物について要確認です。


4.益虫となるカメムシ

益虫となるカメムシ

4-1.益虫のカメムシ「ヒメハナカメムシ」
強烈な匂いを放つ上に、農作物に害を与えるので、非常に嫌われているカメムシ。

しかし、種類が多い分、中には農家にとっては「益虫」となる種類もいます。

それがヒメハナカメムシ類。
害虫であるハダニやアザミウマを捕食してくれるのです。

アザミウマは非常に小さな昆虫。
ナスなどに付き、果実の表面に焼けたような傷を発生させます。

ヒメハナカメムシがアザミウマを捕食してくれれば、農薬を使わずアザミウマを退治できます。
ヒメハナカメムシを生物農薬として使うための研究も進んでいるのです。

〈国内に生息するヒメハナカメムシ仲間〉
・ナミヒメハナカメムシ
・ツヤヒメハナカメムシ
・コヒメハナカメムシ
・タイリクヒメハナカメムシ
・ミナミヒメハナカメムシ

…などがあります。

そのうち、ミナミヒメハナカメムシは琉球列島以南、
タイリクヒメハナカメムシは関東以南に分布しています。

もっとも、形態がよく似ているので判別は難しいでしょう。
アザミウマ類、アブラムシ類、ダニ類などのごく小さな虫や、
ある種の鱗翅目(蛾や蝶の仲間)の卵などを補食してくれるのです。

成虫の大きさは小さく2mm以下。
成虫の寿命も3~4週間。
25℃の条件下では卵から成虫になるまで約16日。

その間にアザミウマ類を捕食してくれます。
タイリクヒメハナカメムシは生物農薬としても、販売されています。
これはハウスや温室栽培など外界と遮断された施設用の生物農薬です。


4-2.ヒメハナカメムシ集める方法
ヒメハナカメムシの好きな花を植えることでも、畑に寄ってきます
このように益虫を引き寄せる植物を「バンカープランツ」と言います。

クローバーなどを植えると…
アザミウマ(ナスなどの野菜にはつかない)が集まってきます。
それを目当てにヒメハナカメムシが集まってくるのです。

カモミールにもたくさんのヒメハナカメムシが集まってきます。
カモミールは一度まけば毎年勝手に生えてくるため、特別世話をする必要もありません。

益虫のヒメハナカメムシを引き寄せるのであれば、
・ソルゴー
・マリーゴールド

これらがオススメです。


4-3.益虫さん寄っといで!ソルゴーにおまかせ!

ソルゴー

ソルゴーとは、ソルガムとも呼ばれるイネ科の一年草。
モロコシの一変種でもあります。

アフリカ原産で、暑く乾燥した地域でもよく育ちます。
日本では防風対策用や緑肥用に改良したものが多く利用されています。

そして、益虫である「ヒメハナカメムシ」を寄せ付ける特性があるのです。
近年はバンカープランツとしても注目を集めています。

背丈は1m前後のコンパクトなものから、中には3m近くになるものまで。

各種苗メーカーから多くの品種が発売されています。
用途によって使い分けていきましょう。
播種時期は基本的には5~8月で、播種から40~60日ほどで出穂します。

農作物の害虫の天敵となる益虫「ヒメハナカメムシ」を呼び寄せ、
常に待機する場所として活躍してくれます。

作物に害虫が発生したときにはその益虫がすかさず出動!
害虫を捕食して駆除!という流れができるのです。

ソルゴーはナスと組み合わせて栽培される例が多いです。

ソルゴーに寄ってくるテントウムシやカメムシが、
ナスに発生するアブラムシやアザミウマを捕食し、ナスを病虫害を防止する事ができます。

ソルゴーはさらに防風効果もある「畑の番人」とも言える存在です。
ソルゴーについてはこちらの記事もご覧ください。
(【害虫防除効果】一石二鳥!畑の番人ソルゴー!【防風効果】)


4-4.コンパニオンプランツの王者!「マリーゴールド」

マリーゴールド

畑のあぜ道にマリーゴールドが植えられている光景…。
よく見ますよね。鮮やかな色と小さな花が、愛らしくも感じます。

実は、これはマリーゴールドをコンパニオンプランツとして活用しているのです。
「植物のお医者さん」と呼ばれるほどの優秀なのです。

コンパニオンプランツとは、一緒に植えることで良い効果が生まれる植物のことです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(【相乗効果!】助け合って生長!コンパニオンプランツ)

さらに、マリーゴールドは益虫である「ヒメハナカメムシ」を引き寄せてくれるのです。
厄介な害虫であるセンチュウの対策にもなってくれますし、
益虫である方のカメムシを引き寄せてくれます。

かわいい上に農業のサポートまでしてくれるのがマリーゴールドという花なのです。

5.まとめ

今回は、「害虫?益虫?カメムシ」についての解説でした。
敵になれば厄介ですが、種類によっては味方にもなってくれるのがカメムシです。

とはいえあのツーンッとくる強烈な匂いで苦手な人が多いですよね。
害虫になるカメムシはきっちりと対策を取り、
味方になってくれるカメムシはうまく引き寄せるように工夫をしましょう。

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