【病害予防】雑草の生えない畑作りに必要な4つのこと

畑に生える雑草。放置して繁殖してしまえば、農作物に悪影響を与えてしまいます。
では、そもそもなぜ雑草は生えるのでしょうか?

あらかじめ、「雑草が生えにくい環境」にすることができれば、手間を省くことができますね。
今回は厄介な雑草を生えにくくする工夫を解説いたします。

ぜひご一読ください。

1.畑の厄介者!雑草対策!

農家にとって、雑草は放置しておくことのできない非常に厄介な存在です。

農作物の成長を妨げる要因にもなりますし、雑草についた病原菌や害虫が原因となり、農作物が食害や病害に遭ったり…。豊かな農作物を栽培する上で邪魔な存在と言えます。

スムーズな栽培をしていくためにもなるべく邪魔な存在を増やしたくないものですね。
あらかじめ、予防をしておくことにより雑草の繁殖を抑制することは可能です。

雑草の性質を理解して、予防をしておきましょう。


2.雑草を予防せよ!

畑の環境を、雑草の生えにくい環境にすれば、余計な手間を省くことができます。
それでは、どのような環境であれば「雑草は生えにくく」なるのでしょうか?

〈雑草の生えにくい環境〉

  • 光合成できない環境
  • 雑草を根付かせない環境
  • 他の植物で覆われて、雑草が優勢にならない

以上が、雑草が生えにくくなる主な条件です。
環境整備の道具としては、「マルチング」「除草剤」「被覆作物」が便利です。


2-1.マルチング
マルチングは雑草抑制以外の効果も期待できます。
地中水分の保持、肥料流亡の抑制、植物病害の発生軽減などなど。

マルチングに使用される素材は数多くあります。マルチ資材は有機資材と人工資材に分けられます。

有機マルチ資材には樹皮や枝葉、木材チップや廃材チップ、竹チップやオガ屑のほか、稲ワラやススキ・ヨシなどの茎、芝生の刈りカス、モミ殻やコーヒーかす、牡蠣やホタテなどの貝殻なども利用できるのです。

人工マルチ資材には不織布や砕石、アスファルトなどなど。

有機マルチ資材として使用する植物の種類によって、雑草の抑制効果や土壌を保全する効果には違いが出てきます。

京都大学付属高槻農場(大阪府高槻市)で実施した試験によると、14種類の有機マルチ資材(針葉樹、広葉樹、被覆植物、芝類からそれぞれ2〜4種)すべてで雑草抑制効果が認められました。

そのうち針葉樹の雑草抑制効果は相対的に高く、中でもヒノキの抑制効果が高かったと認められました。

実験では、有機マルチ資材から溶出する物質によるアレロパシー効果※が雑草抑制効果に影響があるのではないか?と、推察されました。

※アレロパシー効果の定義

「生物が同一個体外に放出する化学物質が、同種の生物を含む他の生物個体における、発生、生育、行動、栄養状態、健康状態、繁殖力、個体数、あるいはこれらの要因となる生理・生化学的機構に対して、何らかの作用や変化を引き起こす現象」

引用元:アレロパシー研究の最前線(農業環境技術研究所 藤井義晴)

人工マルチ資材の不織布シートや黒色のマルチ資材。
これらは、雑草の抑制効果の高さで有名な道具です。

不織布は雑草抑制効果が高いというメリットの反面、太陽光で劣化しやすかったり高温になりやすかったりするというデメリットがあります。

しかし、他のマルチ資材と組み合わせて活用することにより、これら欠点をカバーすることができます。

例を挙げると、不織布の上に砕石を敷くと、紫外線による不織布の劣化を緩和できます。
上に敷くのが木材チップであれば、不織布の劣化を緩和することもできます。
さらに、土壌が高温になるのを抑えたり、保水効果をよくしたり、などの効果が期待できます。


2-2.除草剤
雑草処理に有効な方法の定番と知られるのが、「除草剤」です。

さまざまな除草剤が販売されています。
液剤の除草剤は即効性があり、雑草の生え始めに速く効きます。

これから生えてくる雑草を抑制するのであれば、粒剤の除草剤が良いでしょう。
粒剤の場合、液剤のような即効性はありませんが、長く効くというメリットがあります。

除草剤を利用する際には、その除草剤の効果がどのような植物に及ぶのかということは要確認です。

除草剤は大きく分けてに種類があります。
ある特定の植物だけに影響し、他の植物には影響を与えない「選択性」。
すべての植物に影響を及ぼす「非選択性」。

畑の農作物に影響を及ぼさないためには「選択性」を活用しましょう。
農作物にまで影響を与えて枯らしてしまっては元も子もありません。


2-3.被覆作物
被覆作物(被覆植物)とはなんでしょうか?

土壌浸食防止、景観の向上、雑草抑制などを目的として、休閑地や畦畔などの露出する地表面を被覆するための植物

引用元:被覆植物-ルーラル電子図書館―農業技術事典 NAROPEDIA

被覆作物による雑草抑制効果の作用。
これは、先述したアレロパシー効果のほかにも、被覆により雑草が光合成できない環境、雑草が優勢にならない環境になることや、養分競合による効果とされています。



3.雑草から読み取る!農地の性質!

3-1.生えている雑草の傾向で知る土地の診断
ご紹介したマルチング、除草剤、被覆作物などの方法を活用しても…雑草は凄まじい繁殖力を持っているため、完全に抑制することは難しいです。

しかし、そんな雑草を観察することで土の状態を診断することができます。
土の状態を知り、農作物の栽培に適した土壌に整備することができれば…。
農作物の生育が優勢な、雑草の生えにくい畑にすることは可能と言えます。

「どのような雑草が生えているか」を確認することで、土壌pHの状態や土壌環境を診断することが可能です。

たとえば、メヒシバやススキなどは土壌pHを選ばず、どのような場所でも生育します。
しかし、ハコベやオオイヌノフグリはpH6.5以上の中性土壌を好みます。
スギナやクローバーなどはpH4.5〜5.5の強酸性の土壌でも生育できます。

植生を確認することで、土壌pHが酸性に傾いているかどうかのチェックができるのです。


3-2.雑草の代表格メヒシバ
メヒシバは全国どこでも生えている雑草の代表的な存在です。
メヒシバは乾燥に強く、土壌pHの影響をあまり受けないという特徴があります。
一方で、湿地にはあまり生えないのでdす。

このような特徴から、メヒシバだけが茂るような畑は、乾燥しており、他の雑草も生えないほどの酸性土壌だということができます。

乾燥していて酸性の土壌、と聞くと何の野菜も育たないように思えますね。
しかし、この状態の土壌と相性が良い作物にジャガイモやサツマイモがあります。

ジャガイモは弱酸性(pH5.0〜6.0)の土を好みます。
サツマイモは土壌pHに鈍感なので酸性土壌でも育つことができます。
このように、生えている雑草は畑の状態を表す指標として利用することができます。


3-3.メヒシバ以外の雑草

メヒシバ以外の雑草が生えている場合はどうでしょうか。
〈土壌pHと雑草の関係〉

土壌pH雑草の種類
強酸性(pH4.5〜5.5)スギナ、スズメノテッポウ、白クローバーなど
弱酸性(pH5.5〜6.5)カタバミ、アカザ、ギシギシ、オオバコなど
微酸性(pH6.5〜7.0)レンゲソウ、ナズナ、コニシキソウなど
中性(pH6.5以上)ハコベ、オオイヌフグリ、ホトケノザなど

メヒシバやヨモギ、ススキなどは土壌pHを選ばず、どんな場所でも生育します。

また雑草が示すのは土壌pHだけではありません。
ハコベやオオイヌフグリ、ホトケノザなどは土壌中の有機物や窒素分が増加すると生えてきます。
メヒシバやスズメノテッポウは土壌が肥沃になってくると、茎葉は大きくなりますが実をつけるのは遅くなります。

ハコベは田んぼにも生える雑草。保水性、排水性の良い環境で多く生えます。
もし水田裏作を行う際、ハコベが生えてこないのであれば、その圃場は湿度過多や排水不良の可能性があるというわけです。


3-4.雑草の種類でわかる「育てやすい作物」

生えている雑草の種類から、その圃場では何を栽培するのが良いのかがわかります。
イネ科の雑草カヤは、栄養分の少ない痩せた土地で育ちます。
カヤが生い茂っている畑では、同じく痩せた土地でも育つダイズが良いでしょう。

エノコログサやヒエなどが生える畑はpH4.5〜5.5の酸性土壌。
作物の栽培条件は決して土壌pHだけではありませんが、先でも紹介した通り、酸性土壌とジャガイモは相性が良いのです。

弱酸性〜微酸性を好む雑草(アカザやギシギシなど)が生えてきたら、pH5.5〜7.0あたりを好む果菜類。
pH6.5以上の中性を好む雑草(ハコベなど)が生えてきたら、結球野菜。


先述した通り、土壌pHだけが、雑草や農作物の育つ指標ではありません。
雑草や作物の生育はその土地の気候や土の質などにも影響を受けます。
あくまでも一つの目安ですが、活用してみる価値はあります。


4.雑草とのつきあい方

4-1.作物の生育初期に生える雑草の抑制方法
作物の生育初期に生える雑草。これは、作物の生育を邪魔する厄介者です。

〈生育初期に生える雑草の抑制方法〉

  1. 播種、定植の1ヶ月前に軽く耕起し、雑草の発芽を促す
  2. 雑草が生え、その草丈が1〜2cmになったら再度耕す
  3. 2.のタイミングで播種を行う

以上の方法により、雑草の発芽を遅らせることができ、競合防止をすることができます。

4-2.雑草が作物より優勢になった時は?

雑草が作物より優勢になると、作物の生育が悪くなる可能性が高まります。
さらには、病気も発生しやすくなります。

そこで、雑草が優勢になる頃を見計らって刈り取る方法をとるのですが、その際、刈り取った雑草をそのまま圃場に敷きましょう。

刈られた雑草は新芽を出しますが、刈り取った後に敷かれた雑草に邪魔されて生育を遅らせることができるのです。

さらに、新芽を好む害虫が生育の遅れた雑草の新芽に集中することで、作物への食害を軽減することにもつながっていくのです。

雑草を草マルチとして利用すると、雑草抑制効果や害虫被害の削減に役立ちます。
さらに、地表面に直射日光が当たらないため、地温の寒暖差の抑制にもつながります。
さらに、土の乾燥を防止…などの効果も期待できます。


5.まとめ

今回のテーマは「雑草を生えにくくする工夫」でした。
厄介者になりがちな雑草。

あらかじめ予防をすることによりある程度は予防できますし、雑草の生え具合で土地の診断をすることもできます。まさに考え方次第と言えますね。

農業を充実するためにも「雑草との良い関係」を築いていきましょう。

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