【わかりやすく解説】希少品種の行田在来青大豆とは?

行田在来青大豆

「行田在来青大豆」は「ぎょうだ ざいらい あおだいず」と読みます。
「行田在来青大豆」は、在来の枝豆のことで、行田地域のあぜ道などで栽培されていた、在来品種の青大豆です。この「行田在来青大豆」は倒れやすく、そして収穫しにくい品種のため、昭和50年代(1975年)にほとんど姿を消してしまいました。
しかし、在来種の青大豆味の良さというものが再評価され、現代において再び栽培されるようになりました。
今回はこの「行田在来青大豆」について分かりやすく解説していこうと思います。

行田在来青大豆とは?

「行田在来青大豆」は、「行田(ぎょうだ)」ということからも推測できるように、埼玉県の行田市で過去に栽培されていた青大豆品種です。
行田氏は埼玉県北部に位置し、和装の「足袋」の産地としても知られています。他にも国の特別史跡に指定されている「埼玉古墳群」もある、歴史のある市。
そんな土地で、古くから自家消費用として「あぜ豆」といわれる品種・生産物として栽培されてきましたが、収穫量や作業性が優れている現代の他の栽培品種へ栽培シフトしていくことによって、昭和50年代にその姿を消してしまいました。

通常の大豆より青みがかっているのが「行田在来青大豆」の特徴で、他の特徴としては「大粒」、「在来種のため形状が一定しない(不揃い)」、「マメ特有の香りが高い」、「甘みが強く濃厚」、「独特の香り、個性的な味」、「豆腐、煮物、呉汁にすると美味」、「大豆以外にも枝豆としても良い」ということのほか、県農林総合研究センターが県内の在来大豆の加工適性試験を行なった結果、「豆腐として有望」と高く評価されために注目を浴びることなりました。
また、「在来種の大豆」というのは実は日本各地にたくさん存在し、埼玉県だけでも35種類もあることが判明しています。
「行田在来青大豆」は「実の付く位置が低く、収穫が難しい」、「収穫期間が1年間のうちで約20日間程度」など、上述したようなさまざまな理由で、これまで市場には出回ることがありませんでした。

大豆の種類

■黄大豆

日本国内で最も生産量が多く、一般的に知られている大豆です。豆腐や味噌、納豆、醤油などの大豆加工食品のほとんどが黄大豆の中粒種、小粒種から作られていて、加工する用途に応じて品種改良も盛んに行われています。

■青大豆

皮がの色が淡緑色の大豆で、うぐいすきな粉は青大豆から作られています。本記事でも後述しますが、豆腐や納豆の原料としても使われています。

■鞍掛豆(くらかけまめ)

青大豆の一部が黒くなっているようでいて、やや扁平な形状をしています。海苔に似た味や香りと言われています。

■白大豆

黄大豆よりも白っぽい色の大豆を総称して「白大豆」と呼称しています。

■黒大豆

黒豆とも呼ばれ、お正月などに出される煮豆がよく知られています。煮豆以外にも黒豆茶の原料、豆腐や納豆の原料としても使われています。

■赤大豆

小豆色に似た色の大豆で、こちらも青大豆と同じく生産量が少ない種類です。

■茶大豆

こげ茶色をした大豆で、皮が柔らかく、大豆特有の独特なにおいが少ないと言われています。

青大豆とは?

「青大豆」と明示的に書いていますが、これは普通の大豆とは違うため。
「青大豆」と「大豆」の違いについても少しお話をしておくことにしましょう。
大豆といえば、黄色いイメージがありますよね。
青大豆を見るたとしても、所見では「枝豆と何がどう違うのかがわからない」となってしまうでしょう。
普通大豆であれば、未熟な若い大豆が枝豆で、この枝豆が熟すと普通の黄色い大豆になります。こちらが普段私たちがよく見る大豆です。
このように、青大豆と普通の大豆は別品種であることがわかりました。
枝豆も青く、青豆に似ていますがこれは大豆が「熟す前」に収穫したもののためで、「枝豆」という品種はありません。

しかし、熟しても青いのが青大豆。一見すると熟していないように見えますが、青くてもしっかり熟しているので、豆が丸々としています。

枝豆と大豆は違う食べ物ではありますが、品種(植物)は同じです。
「大豆になる前」に収穫するものが「枝豆」」で、そのままにしておくと成熟して「大豆」となります。
青大豆の枝豆で知名度があるのは「だだちゃ豆」でしょう。

他にも普通の大豆より大粒、脂肪分が少なく糖分が多いのが特徴で、蒸すことによってその甘さが際立ちます。

豆腐や納豆、きなこなどの多くの加工食品に利用されている大豆は黄大豆が使用されているのが一般的です。
しかし、青豆も大豆の種類のひとつで、青大豆と呼ばれます。熟すと黄色くなる黄大豆、黒色になる黒大豆がありますが、青豆は熟しても青色のまま。
そして青大豆の味の特長といえるのが「甘味」です。

普通の黄大豆は油分(脂質)が20%くらいありますが、青大豆は油分(脂質)が少なく代わりに糖分(糖質)が黄大豆よりも多いため、蒸しあがった直後の青大豆は旨身を含んだ甘さがあるため大変美味。
低カロリーで甘みが強く、他の大豆とは違った風味を楽しめますが、行田在来青大豆と同様に栽培・収穫にかかる手間や生産量・流通量が少ないため非常に希少となっています。

青大豆の栄養価は?

青大豆と大豆の栄養価の違いもあるのか、確認してみました。

青大豆

青大豆 国産(乾物)
エネルギー:354kcal
タンパク質:33.5g
脂質:19.3g
食物繊維:20.1g
炭水化物:30.1g
糖質:10.0g

青大豆 国産(茹でたもの)
エネルギー:145kcal
タンパク質:15.0g
脂質:8.2g
食物繊維:8.0g
炭水化物:9.9g
糖質:1.9g

普通大豆

続いて普通の大豆です。可食部100gあたりの乾燥黄大豆とゆで黄大豆の栄養価は以下の通りです。

黄大豆 国産(乾物)
エネルギー:372kcal
タンパク質:33.8g
脂質:19.7g
食物繊維:21.5g
炭水化物:29.5g
糖質:8.0g

黄大豆 国産(茹でたもの)
エネルギー:163kcal
タンパク質:14.8g
脂質:9.8g
食物繊維:8.5g
炭水化物:8.4g
糖質:ほぼなし

糖質は青大豆のほうが多く含まれていて、脂質は黄大豆のほうが多く含まれていることがわかりましたね。
このことより、青大豆の方が糖質によるカロリーは多いが、脂質が少ないためヘルシーであるといえるでしょう。
他にも内臓脂肪やコレステロールを減少させたり、便秘の予防効果、ホウレンソウの三倍ほどにもなる豊富な鉄分、ビタミンC・ビタミンEを含むため美容効果も期待できます。
また、他の大豆と同様に強い抗酸化力のサポニンによる体内のアンチエイジングや、女性ホルモンと同じ働きをするイソフラボンも含まれているため更年期障害対策にもなります。

行田在来青大豆の歴史

「行田在来青大豆」は江戸時代から栽培されていた品種で、「田んぼのあぜで作られていた」ことから「あぜ豆」とも呼ばれていました。
植物としての特徴は「枝が大きく広がる」、「倒れやすい」、「結実する実の位置が低い」、栽培するにあたっての弱点は「収穫しにくい」。
このように「生産性が低い」というデメリットのため、昭和50年代(1975年)にはほとんど栽培されなくなりました。
しかし、2007年から栽培が復活し、現在ではその栽培面積が拡大しています。
行田市では2011年7月に「行田在来青大豆商品開発・販売促進協議会」というものが設立され、生産の拡大や商品化への取り組みが進められており、埼玉県、行田市内の農家や行田市が協力し、行田市中心に約23ヘクタール(2011年)が栽培されています。

行田在来青大豆の栽培について

「行田在来青大豆」は晩生型の青大豆で、「タチナガハ」という大豆品種に比ると、倒伏(風雨などによって倒れること)に弱く、その収量は低いです。
種を撒く適期は、6月下旬~7月中旬で、畝間(うねま)が70cmの時、株の間は15cmから30cmが適しています。
晩生種であるため、種まきが早い場合は上手く結実しなかったり、丈が高くなる傾向のあるため、遅い時期に播きます。
上述した特徴のほか「ツルが伸びやすい」こともあり、栽培・生産が難しい大豆といえるでしょう。
大規模栽培をする場合は、種まき~収穫まで大型の農業機械を使った作業が行われることもあります。

青大豆を使ったレシピ案

青大豆を使ったレシピ案をご紹介します。
本記事でご紹介している「行田在来青大豆」が手に入ることがあれば、さらに一味違った美味しい料理も作れるかもしれません。
※レシピ自体は他サイトなどで検索してご確認ください!

ひたし豆
茹で青大豆
青大豆おから春巻き
青大豆とアボカドの春巻き
手作り納豆
小エビと青大豆の白和え
豆ごはん
豆としぎ
おからナゲット
豆腐プリン
オリーブオイル+スパイシーソルト
ずんだ餅
青大豆とひじきのサラダ
漬けマグロと山芋の小鉢
青大豆とタコ+キュウリの山椒風味
青大豆とちくわのワサビ添え
青大豆とひよこ豆のチリビーンズ

行田在来青大豆の加工品・商品

画像はイメージです。

「行田在来青大豆」を使用して最初に商品化されたものがこだわりの「豆腐」。
その他、「味噌」や行田名物「ゼリーフライ」、「豆せんべい」、「枝豆おかき」、「えだまめアイス」など様々な形で商品化されています。

かどや豆腐店

江戸時代から栽培し続けられていた「行田在来青大豆」を復活させ、生産地ならではの地豆腐を作っているのが「かどや豆腐店」さん。
「三代目豆腐」という豆腐が「行田在来青大豆」で作られている豆腐です。
美味しい豆腐にするために「舌触り」にこだわって作られているのが特徴。「行田在来青大豆」は、しっかりしたと、味の美味しい豆なので、滑らかな舌触りを実現するために「にがりだけ」で固める、寄せ豆腐になっています。

まとめ

とてつもなく希少な青大豆。そして栽培される地域が行田市であれば、「行田在来青大豆」となります。
その歴史の重みと希少価値の高さ、そして味わい。
一度は味わってみたいと思わせるものを感じますね。
今日ではネットによる購入ができる環境の方が大多数だと思います。
ぜひとも、WEBで検索してその味を実感してみてください。
大豆のおいしさにハマってしまう人は、家庭菜園で栽培してみるのも一興だと思います。

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