【人手不足】農業の雇用形態の変化

農業従事者の数は年々減少の傾向にあります。
食文化を根っこから支えているのが農家。美味しいご飯を食べることができるのは農業のおかげです。

そんな中、農業の働き方についても従来とは変化が見えてきました。
解説します。

農業の人手不足問題

農林水産省の発表によれば、総農家数は1995年の490万戸から、2005年には334万戸、2015年には216万戸、2020年は175万戸。徐々に減少の傾向にあります。

同省は後継者不足を解消する対策として、集落営農や法人化を進めているのです。

集落営農とは?

集落営農とは、なんでしょうか。
農業を地域住民が共同で行い、収穫物を分け合うことを目的とした取り組みのことを言います。
地域住民が農業に参加することで、食料自給率の向上や地域の活性化、農業の継承などの効果が期待されています。

〈集落営農の方法〉

  1. 地域住民が共同で土地を借り、農業を行う。
  2. 地域住民がそれぞれ所有する土地を利用して、共同で農業を行う。
  3. 地域住民が共同で所有する土地を利用して、農業を行う。

さらに、集落営農では、地域住民が共同で作物の育て方や収穫時期などを決定し、作業を分担して行います。
収穫した作物は、地域住民で分け合うほか、地元のレストランやスーパーなどに卸して販売することもあります。

集落営農は、地域住民が協力して行うことが重要なポイントになります。
これによって、地域のつながりを深めることにもつながっています。
また、地域住民が食べる食材の生産・加工に携わることで、食に対する関心が高まり、食の安全・安心について考えるきっかけとなることも期待できます。

地域活性化にも繋がりそうな取り組みですね。

法人化とは?

農林水産省が行う人手不足対策としての「法人化」とは、なんでしょうか?

農業を行う個人や家族経営から法人化した農業法人が参入し、農業生産体制を強化することを目的とした取り組みのことを言います。

法人化することで、農業生産に必要な設備や資金を集めやすくなり、効率的な経営が可能になります。さらに、法人化によって、就農希望者や他業種からの転職希望者が、農業に参入しやすくなることも期待されます。

〈法人化のメリット〉

  1. 資金調達がしやすくなる
    株主からの出資や銀行からの融資がしやすくなります。設備や機械の導入などに必要な資金を集めることができます。
  2. 経営が効率化される
    組織化された経営が行われ、効率的な経営が可能になります。また、経験豊富なマネージャーやコンサルタントなどを雇用することができ、経営のプロフェッショナルな視点から経営改善が図られます。
  3. 従業員の確保がしやすくなる
    社員やパートタイマーなどを雇用することができ、従業員の確保がしやすくなります。さらに、福利厚生や教育制度などを整備することができ、従業員のモチベーションアップにつながります。
  4. 相続・事業承継がしやすくなる
    相続や事業承継がしやすくなります。個人経営では、経営者の高齢化に伴い、事業承継が困難になることがありますが、法人化によって、経営者の交代がしやすくなります。

農業においても、法人化によって生産体制が強化され、生産効率の向上や次世代の農業担い手の確保などが期待されます。
個人では行うことが難しかったことが可能になるのはありがたいですね。

対策の結果

以上のような農林水産省の対策によって、どのような結果が出たのでしょうか?
農業経営体のうち団体経営体数は2010年には3万1千経営体(そのうち法人経営体は1万7千経営体)、2015年には3万7千経営体(法人経営体は2万7千経営体)、2020年には3万8千経営体(法人経営体は3万1千経営体)に増加しました。

一定の成果を上げているということになります。集落営農や法人化が着々と進んでいます。さらに、そのほかの対策にも注目が集まっています。

スマート農業の導入

農業の人手不足に対して、スマート農業の導入も進行しています。
新しい技術の開発は、農業にどのようなサポートをしてくれているのでしょうか。

スマート農業の活躍

農業が敬遠されがちな理由として、肉体労働であることが挙げられます。
さらには大自然を相手にする仕事なので、豊富な経験や知識が要求されてきているのもハードルを高めています。
しかし、IT技術のサポートにより省力化が可能になりました。

〈スマート農業の成果〉

  1. 自動化された農業生産
    スマート農業には、自動化された農業生産技術があります。例えば、自動運転トラクターや自動収穫機などを導入することで、労働力不足を補うことが可能です。
  2. データ分析による生産性向上
    スマート農業では、センサーやカメラ、ドローンなどを用いて農作物の生育状況をリアルタイムに収集し、データ分析によって生産性を向上させることができます。たとえば、肥料や農薬の適量や適時の投入、灌水量の最適化、収穫時期の最適化などが可能になります。
  3. 安全で高品質な農産物の生産
    スマート農業では、農薬や肥料の適正使用や農作物の栽培管理などにより、安全で高品質な農産物を生産することができます。これによって、消費者からの信頼度がアップし、農産物の付加価値も向上することが期待されます。
  4. 農業生産における省エネ化
    スマート農業では、エネルギー効率の高い照明装置や温度管理システム、エネルギー貯蔵システムなどを導入することで、省エネ化を実現することができます。これによって、生産コストの削減や、CO2排出量の削減などが期待されます。

以上のように、スマート農業は労働力不足や生産性の向上など、農業における様々な課題に対して解決策を提供することができます。

敬遠されがちだった問題をサポートする方法が開発されてきています。
さらに、スマート農業には補助金なども使えるケースもあります。一度お住まいの自治体に問い合わせてみてはいかがでしょうか。

人手不足の対策

農林水産省の資料「人手不足に直面する地域農業の課題と人材確保対策」をみてみましょう。
さまざまな労働力確保対策が行われる中で、現在は「機械の大型化」と「雇用者待遇の改善」の割合が高くなっています。
先述した「スマート農業の導入等」も期待が高まっています。
他にはどのような対策が期待されているのでしょうか。

外国人労働力について

新型コロナウイルス流行によって世の中が急変しました。
困難な状況にあるのが「外国人労働力の導入・増加」。

外国人労働者は2015年頃から急増し、日本国内の常雇(常時雇用されている労働者)の1割強を占めるほどになりました。
そんな中、新型コロナウイルス感染拡大。2020年以降、新たな入国ができない状況に陥ったのです。
しかし、2021年においては、特定技能外国人数が前年の5倍に拡大しています。

「外国人労働力の導入・増加」を高めるために、在留期間の上限がない「特定技能2号」に関する検討の本格化が予想されています。

〈技能実習制度と在留資格「特定技能」の違い〉

技能実習制度特定技能
1号2号
目的技能等の習得等を通じた国際貢献が主目的(労働力確保策ではない)人手不足が深刻な分野における人手不足の解消
業務内容実習計画に基づく実習実施が必須幅広い労働需要に対応
在留期間上限最長5年通算5年制限なし

特定技能については、派遣事業者による派遣形態での雇用が可能です。
派遣事業者に雇用される特定技能外国人数は増加傾向にあります。

パート・アルバイト、副業など雇用形態の変化

パート・アルバイトとして農作業に従事する人数も増加の傾向にあります。

〈農業雇用者の動向(男女別、正規・非正規別)(単位:千人)〉

男性・正規女性・正規男性・非正規女性・非正規
2007年57373395
2012年723658115
2017年783469120

今後も、アルバイトとして、農作業に従事する人がさらに増えている可能性も示唆されています。
副業として農業に取り組む人も増えるのではないでしょうか。

農業発展のためにできること

人手不足は問題となっている農業ですが、政府の対策やIT技術の発展などによって、希望の光が見えているのも確かです。
働き方の変化も理解しながら、農業の発展のために個人ができることを考えてみましょう。

個人農家ができる対策

個人の農家にも、農業の人手不足を解消するための対策はできます。
農業自体が衰退してしまっては、稼ぐどころの問題ではありません。未来の日本や世界のためにも個人農家のできることはなんでしょうか。

  1. 機械化の導入
    機械化された農業生産技術を導入することで、省力化が可能になります。自動運転トラクターや自動収穫機などを導入することで、労力を軽減しましょう。
  2. 動画配信などの情報発信
    SNSや動画配信などを活用して、農業の魅力を発信することで、農業に興味を持ってくれる人を増やすのもいい手段です。さらに、農業の仕事内容や作業方法を発信することで、労働力不足に悩む農家や、農業をスタートしたい人へのアピールにつながるでしょう。
  3. 地域の協力体制の構築
    農業に関わる人々と地域のつながりを深めるコミュニティを作ることも有効です。農業作業に協力する地域の人々との交流の場を設けることで、作業の負担を分散させることができます。
    仲間との協力があれば離農を避けることができます。

肉体労働の傾向が強い農業。
少しでも負担を軽減し、仲間との協力により意識の共有の場を設けることが参入するハードルを下げることにも繋がります。
環境を整備することは、将来的な稼ぎにもつながります。ぜひ参考の上で取り組んでみてくださいね!

『スマート農業と補助金』こちらも併せてご覧ください。

まとめ

今回のテーマは「農業の人手不足対策」についてでした。若い世代に敬遠されがちな理由として肉体労働であることが挙げられます。
ですが、過酷な農作業を省力化するツールも数多く開発されてきました。

政府側の支援も理解して、協力して未来の農業を発展させていきましょう。

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