始めに
皆さんは、「画像認識技術」という言葉を耳にしたことはありますか。日常生活ではあまり聞くことのない言葉だと思います。しかし、この「画像認識技術」は私たちの日々の生活の中で欠かせないものになりつつあります。そして、農業業界でも「画像認識技術」が様々な場面で役に立っています。
今回は、今!農業業界で注目されている「画像認識技術」とはなんなのかについて活用例を紹介しながらまとめていきたいと思います。
画像認識技術とは?
いきなりですが「画像認識技術」について簡単に説明すると、画像に写っているものを認識する技術のことを言います。これだけでは「どうゆうこと?」って感じですよね。
画像認識技術について詳しく知ろうとすればするほど専門的になり、よくわからなくなるので、日常生活でよく使われている具体例をもとに画像認識技術とはどんなものなのかイメージしてみてください。
具体例①:バーコード
日々の生活で買い物をする時を想像してみてください。ほとんどの買い物の流れとして欲しい商品をレジに持っていき、バーコードをスキャナで読み取ることによってお会計が表示されていると思います。
バーコードは、縞(しま)模様の線の太さによって数字・文字・記号といった情報を専用の機械で読み取れるようにしたものです。バーコードの縞模様を認識して金額を出すといった技術は、立派な「画像認識技術」と言えます。
ちなみに画像認識の歴史をたどってみると、バーコードは画像認識技術の歴史のなかで最も古いものとされています。近年ではセルフレジやバーコード決済なども増えてきているなかでバーコードは欠かせないものですよね。このように画像認識技術は私たちの日常生活の中で大切な役割を果たしています。
ここまでの説明で「画像認識技術」について少しイメージが湧くようになってきたのではないかと思いますが、もう少しイメージを膨らませることができるように具体例を紹介していきます。
具体例②:デジタルカメラ
1990年代後半に入ると、デジタル機器の技術の向上、インターネットの普及などによって画像認識技術が応用された製品が作られるようになりました。その1つがデジタルカメラです。美しい景色や大事な思い出を残すために、普段から当たり前のようにカメラを使っている人がほとんどではないでしょうか。
2000年を超えてくるとカメラ機能が備わっている携帯電話やスマートフォンが登場し、デジタルカメラがなくても気軽に写真を撮れるようになりました。こうした、私たちの生活には欠かせないものになっているデジタルカメラやスマホのカメラ機能にも「画像認識技術」が関わっています。
さらに時代が現代に近づくと、より便利なものが増えてくるようになります。それが次に紹介する「顔認証システム」です。
具体例③:顔認証システム
今の時代、大体の人がスマートフォンを使っていると思いますが、スマートフォンのロックを解除するときや他の人に知られたくな個人情報のデータを開く際に「Face ID」を活用し、わざわざパスワードを打ち込まなくても顔を認証させるだけで開ける機能を使っている人も多いのではないでしょうか。
実はこれも、画像認識技術が関係しています。スマートフォンに自分の顔を認証させておくことによって、様々な場面で使用できてとても便利な機能で使用している人も多いはずです。
その他にも文字を読み取ってくれる機能やカード情報などを読み取ってくれる機能など様々な機能を私たちは日々の生活で使っているのではないでしょうか。
こうした便利な機能は、画像認識技術だけの力では作ることはできません。近年「AI(人工知能)」という言葉をよく耳にしたことがあるのではないかと思いますが、この「AI(人工知能)」の技術と画像認識技術を組み合わせることで、私たちの生活はより便利になっています。
AI(人工知能)とは?
AI(人工知能)は、人間の知的ふるまいの一部をソフトウェアを用いて人工的に再現したものです。私たち人間は、子どもの時に学校に通い様々なことを学びます。そして大人になると農家を目指す、公務員を目指すなど自分の夢や目標ができそれに向かってさらに学びながら成長していきます。このように人間は日々様々なことに触れ経験することで知識を増やしています。
AI(人工知能)も人間のようにコンピューターの中で自動で知識をつけていき、人並みいや人以上に知識が増えていくことで、私たちの生活の支えとなっています。
近年ではAI(人工知能)の発達により、日常生活では自動運転してくれる車が登場したり製造業などでは自動で製造してくれる機械が増えたりとこれまで人間がしなければいけなかったことも機械が自動でしてくれるような動きが増えてきています。
便利な時代になってきている反面、私たちの人間の仕事をAI(人工知能)が奪ってしまうのではないかといったマイナスな面も今後、気になるところではあります。
このように前章で説明した、画像認識技術とAI(人工知能)が融合することにより、これまで実現できないといわれていたようなこともできるようになってきています。
画像認識技術の種類
記事の最初で「画像認識技術」とは画像に写っているものを認識する技術のことという説明をしました。
上記で説明した3つの具体例から少しずつ画像認識技術についてイメージが湧くようになってきましたでしょうか。ここからは画像認識技術の種類について少し触れていきます。
物体検知
1つ目に紹介する物体検知とは、画像や動画内の物体を認識するための方法です。
【例①】画像に写っているものが自動車であることを判別する、その自動車がパトカーに該当するということを認識する。
この物体検知は近年注目されている「自動運転技術」においても欠かせない技術となっていて、道路上の標識や歩行者を認識して区別する役割を果たしています。
顔認識
顔認識は、顔の画像から目立つ特徴を抽出する方法です。基本的に読み込んだ画像や映像の顔から「目」「鼻」「口」「顔の輪郭」などを摘出します。
【例②】オフィスでの顔認証
自分の顔を登録することで、職場のドアのロック解除を顔認証で行うことができます。これにより、わざわざ鍵を使わなくても顔認証1つで入退室ができるようになりました。
文字認識
文字認識は、紙に書かれた手書きの文字や印刷された文字を判別する方法です。カメラやスキャナで文字を写すことで文字を認識することが可能になりました。
【例③】プリントされた紙に記されている情報を読み取ることでパソコンなどにデータを保存できるようになり、情報の管理が安全かつ楽になります。
画像認識技術の仕組みは?種類や最新の活用事例、AI(ディープラーニング)の活用における変化について (sint.co.jp)
ここまで、画像認識技術の種類について簡単に説明してきました。ここまで説明を進めていくと、画像認識技術は日常生活の中で意外と使われていると実感する人も多いのではないでしょうか。
ここまで、画像認識技術とはなんなのかを説明してきましたが、おそらくこの記事を読んでいる人は、農家を目指している人やすでに農家として働いているという人が見ていただいてると思います。なのでここからは、農業業界では画像認識技術がどのように活用されているのかについて見ていきたいと思います。
農業業界での画像認識技術の活用事例
ドローンによる農薬散布
まず、最初に紹介する活用事例は「農業用ドローン」です。近年では撮影用としてテレビ制作などでも使われているため、ドローン自体を知っている人は多いかもしれません。また、現在農家として働いている人も農業用ドローンについて聞いたことあるという人も多いかもしれません。
ドローンは画像認識技術そしてAI(人工知能)を活用した代表例です。ドローンで圃場を上空から撮影し、圃場をデータ化(画像認識技術)することで、自分で操作しなくても撮影したデータを基に自動操縦でドローンが圃場の農薬散布をしてくれます。
さらに近年では、AI(人工知能)の登場により、撮影した画像データから、病害虫が発生している画像や雑草の画像などを検知(物体検知)し、特に農薬散布が必要な場所を割り出し自動操縦でドローンが散布してくれるという技術も備わりました。
自動走行トラクター
野菜農家や米農家にとってトラクターやコンバインは農家をやっていくなかで欠かせない物の1つです。「畑を耕す」「田植えをする」「畑の消毒をする」「収穫をする」など様々な作業をトラクターで行うことができます。
先程、画像認識技術の種類の「物体検知」についての説明の中で、物体検知により「自動運転技術」が可能になったと説明したように、農家が使用するトラクターやコンバインも自動走行ができるようになりました。
トラクターの自動走行が可能になることで作業効率が上がるだけでなく、作業効率が上がることによる「規模の拡大」、無駄のない植え付けにより「収穫率UP」にも期待できます。
画像認識技術とAIで病害感染のリスクを予測
人間が病気にかかるように、農作物も病気にかかります。近年、新型コロナウイルスが流行しているなかで私たちは感染症にかからないために多くの感染症予防をしてきました。農作物に関しても病気にならないように予防してあげるという作業が最も大切です。
人間は病気にかかると薬を飲むことで症状をやわらげたり、治療する効果がありますが、農作物は1度病気にかかってしまうと治療するのは至難の業です。農業の場合、病害虫にやられてしまう前に農薬を散布するなどの予防を行うことが重要です。
農薬を散布して病害虫の予防を行うにしても、肥料や農薬も価格が安いわけではありません。農薬による消毒を行う必要があるところにピンポイントで散布できれば、とても魅力的だと思います。
そして上記で紹介した魅力を実現したのが「環境モニタリング」と「AI(人工知能)」により病害予測ができるサービスです。その商品はドイツの企業が開発した「Plantect(プランテクト)」というサービスです。
この「Plantect(プランテクト)」は3つのセンサーと通信機でできていて、温度や湿度などハウス内の環境をハウスから離れた場所からでも確認できる環境モニタリングサービスとなっています。
【詳しくはコチラ】
https://cropscience.bayer.jp/ja/home/plantect/plantect.html
この「Plantect(プランテクト)」のメリットとして、以下のことがあげられます。
- ハウス内の環境をいつでも、スマートフォンなどで確認できる
- AI(人工知能)により感染リスクを予測
- 農薬散布回数削減
- 収穫量アップなど
その他
- 収穫ロボット
- 葉の色を画像解析して収穫量を予測する
- 除草剤散布の自動化(作物と雑草を識別)など
最後に
ここまで画像認識技術とは何かを具体例を出しながらまとめていきました。意外と私たちの身近に使われていて、私たちの生活がより便利になっていることに気づいたのではないでしょうか。
記事の後半では農業業界ではどのように画像認識技術が使用されているのかをまとめてみました。まだまだ、農業業界では日常生活のように当たり前に画像認識技術を用いた機械やサービスが使われてはいませんが、未来の農業には欠かせないものになること間違いなしだと思います。是非この記事をきっかけに画像認識技術やAI(人工知能)について関心を持ち、私たちの生活にどのように関わっているのか調べてみてはいかがでしょうか。
【参考】
画像認識技術の仕組みは?種類や最新の活用事例、AI(ディープラーニング)の活用における変化について (sint.co.jp)
農業へのAI導入事例15選!スマート農業・自動化ロボットで変わる?【2023年最新版】 – AI Market (ai-market.jp)
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