農家さんの人手不足が解決!?注目されている2019年開始「特定技能」とは?外国人労働者受入とは?

日本では少子高齢化による人手不足で、多くの企業が従業員の採用・雇用に苦戦しています。それは農業分野も同じです。

その対策の一つとして、外国人労働者の受入れが進んでいます。

ですが外国人労働者を雇いたいとは思っているものの、過去に採用経験がなく、最初の一歩を踏み出せないという農家さんも多いかもしれません。

採用にあたって特に気になるのは、「農業分野で働ける在留資格にはどのようなものがあるのか?」「外国人労働者を受け入れる際、雇用条件はどのように設定したら良いのか?」「求人情報はどこから?」という点ではないでしょうか。

また、文化ギャップによるトラブルなどのデメリットもあり、それらを含めて外国人の受入れを検討していくことが重要です。

そこで今回は、現在の統計から見る外国人労働者の需要、農業の外国人受入れ制度、実際の採用方法や、相談先をご紹介します。

統計から見る外国人労働者の需要

現在日本において、農業の人手不足を解消する外国人受入れ制度は、①技能実習制度 ②国家戦略特区(農業支援外国人受入事業) ③特定技能制度(出入国管理及び難民認定法)の3つがあります。

これまで日本では、①技能実習制度と②国家戦略特区(農業支援外国人受入事業)の2つの外国人受入れ制度が存在していましたが、2019年4月に新たに外国人労働者向けの在留資格「特定技能」が施行され注目されています。

それはなぜでしょうか?

近年、国内の企業のあいだでは「募集をかけても採用できない」と、人材の確保に苦労する声があがっています。

厚生労働省が発表している有効求人倍率をみると、2019年12月の有効求人倍率は1.57倍。これは求職者ひとりに対して1.5件の求人があることを指し、有効求人倍率が1を超えた2014年ごろから、国内の採用は売り手市場です。(※売り手市場とは採用企業より転職希望者の方が少なく、転職希望者が優位に立っている状況のこと)

また農業分野では農林水産省によると、農業就業人口は2000年に389.1万人でしたが、2017年には181.6万人となり、大きく減少しています。

農業就業者の平均年齢も、2000年は61.1歳でしたが、2017年では66.7歳となり、農業就業者の高齢化が進んでいることがわかります。

平成30年度の農業分野における有効求人倍率は「農耕作業員」が1.72倍となるため、全業種の有効求人倍率が1.46倍と比較しても、有効求人倍率をかなり上回る結果となっています。

一方で、国内で働く外国人の数は右肩上がりで増えています。厚生労働省が発表している『「外国人雇用状況」の届出状況』によれば、2020年10月末時点で国内に滞在する外国人労働者数は172万人を突破し、過去最高記録を更新しました。在留資格別外国人労働者数の推移をみても、2011年から10年間で2倍以上も増加していることがわかります。

国別の割合

最も多い外国人労働者はベトナムで全体の26.2%を占めています。続くのが中国で全体の23%とフィリピン で全体の11.1%の順です。

ベトナム人の技能実習生は2021年6月時点で全体の62.4%を占めています。技能実習や特定技能の在留資格の外国人労働者の数が急激に増加しています。

伸び率で見てみると、中国人はほぼ横ばいなのに対し、ベトナム人は2015年から急増。ベトナムは海外への出稼ぎが珍しくないため制度が整っていること、日本より賃金水準が低いことから、ベトナム人は日本で働くことを選ぶ方が多いですが、最近ではベトナムと日本の賃金格差は縮まりつつあり、今後日本で働く選択は減っていくと予想されています。

対前年増加率が高いのはペルー [前年比 8.0%増] 、フィリピン  [ 同 3 . 4 % 増 ] 、ブラジル [ 同 2 . 9 % 増 ] の順です。(令和3年10月現在)

農業の外国人受入れ制度

農業分野の外国人受入れ制度は、①技能実習制度、②国家戦略特区(農業支援外国人受入事業)③特定技能制度(出入国管理及び難民認定法)の3つがあります。(2022年現在)

①技能実習制度

在留資格:技能実習(実習目的)

在留期間:最長5年※4年目の実習(技能実習3号)を開始する際に、1か月以上帰国させる必要有

従事可能な業務の範囲:・耕種農業のうち「施設園芸」「畑作・野菜」「果樹」

           ・畜産農業のうち「養豚」「養鶏」「酪農」※農作業以外に、農畜産物を使            用した製造・加工の作業の実習も可能

外国人材の受入れ主体:実習実施者(農業者等)※農協が受入れ主体となり、組合員から農作業を請け負って実習を実施することも可能

②国家戦略特区

「世界で一番ビジネスがしやすい環境」を創出することを目的に創設され

構造改革特区・総合特区・国家戦略特区の3つの特区制度を措置

  1. 構造改革特区:一旦措置された規制改革事項であれば、全国どの地域でも活用でき       る制度
  2. 総合特区:地域の特定テーマの包括的な取組を、規制の特例措置に加え、財政支援     も含め総合的に支援する制度
  3. 国家戦略特区:活用できる地域を厳格に限定し、国の成長戦略に資する岩盤規制改革に突破       口を開くことを目指した制度

国家戦略特区では、10地区が認定されており、400を超える認定事業が行われています。

引用:内閣官房・内閣府総合サイト「地方創生」

③特定技能制度

2020年4月からスタートした、新しい在留資格である「特定技能」は14の業種に分かれています。

業種によって従事できる職種が決まっており、例えば、同じ特定技能でも「宿泊業」の在留資格では「外食業」の業務をすることはできません。

この制度の大きな特徴は、単純労働を含む幅広い業務が可能という点です。また、在留期間の上限は通算5年と定められていますが、在留資格の更新制限が外れる(永住権取得に至る)ルートもあります。

また①技能実習から③特定技能への移行も可能です。

〇特定技能1号〇

  在留資格: 就労目的 

  在留期間:1年、6か月又は4か月ごとの更新、通算で上限5年まで

  従事可能な業務の範囲:・耕種農業全般

             ・畜産農業全般

  技能水準:試験等で確認

       (技能実習2号を良好に修了した外国人は試験等免除)

  日本語能力水準:生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認

       (技能実習2号を良好に修了した外国人は試験等免除)

  家族の帯同:基本的に認められない

  受入れ機関又は登録支援機関による支援:対象

〇特定技能2号〇

  在留期間:3年、1年又は6か月ごとの更新

  技能水準:試験等で確認

       (技能実習2号を良好に修了した外国人は試験等免除)

  日本語能力水準:試験等での確認は不要

  家族の帯同:要件を満たせば可能(配偶者、子)

  受入れ機関又は登録支援機関による支援:対象外

受入れまでのプロセスについて

(1)受け入れるために準備

  1. 受入れ機関との雇用契約の締結(※派遣形態の場合:派遣先である農業者との労働者派遣契約の締結)
  2. 支援計画の作成
  3. 地方出入国在留管理局への申請

   

(2)雇用契約を結ぶ(派遣形態で受け入れたい場合は「派遣先事業者誓約書」を派遣先に提出)

(4)支援計画書の作成

(5)受入れ手続を最寄りの地方出入国在留管理局(地方入管)で行う

参考様式等は出入国在留管理庁

詳細は農林水産省「特定技能外国人の受入ガイド」をご確認ください。

受入事例

「どこの国の人も日本人の接し方次第で 良くも悪くもなる」

受入れ機関:尾野農園(愛媛県西条市)

登録支援機関:ファームアグロプロセッシング(愛媛県西予市)

[在留資格]

● 特定技能外国人 1 名(ベトナム人、女性)

● 技能実習生 3 名(ベトナム人、女性)

● 特定活動 1 名(男性)

[雇用契約]

● 直接雇用で 2 年間

● 母国に子供がいるため 2 年間で帰国したいという本人の意向を尊重し、2 年契約を結んだ。

[住環境について]

● 1 軒家の中古住宅を購入し、実習生を含め 1 人 1 部屋(女性 4 人)を割り当てている。家賃は

  1 万 2000 円。男性の外国人には、別の場所にアパートを借り上げて提供している。

● 母国の家族と Skype でやりとりをするため、Wi-Fi 設備も用意した。

[外国人の評判]

● 挨拶をしっかり行い、性格も良いため、地域の評判はとても良い。社長がベトナムに赴いて面

  接を行った際には、現地にいた元技能実習生が帯同した。その人物が太鼓判を押した優秀な人材

  である。

[外国人が期待したこと]

● とても控えめな性格で、給料に関しても特に要望を受けたことはない。特定技能移行の際には、

  50 円/時の時給アップで合意した。

[賃金について]

● 時給 843 円

● 2 年目から 853 円(地域別最低賃金は 821 円)

● 1 年に 1 度の定期昇給を行っている。

[労働時間について]

● 1 日の労働時間 8 時間

● 休憩時間 1.5 時間(昼休み1時間、10 時と 15 時に 15 分ずつ)

● 残業 夏場 月 50 時間 冬場 月 20 〜 30 時間

[休日について]

● 週に 1 日としているが、天候との兼ね合いで変更になる場合もある。

[受入れ効果について]

● 外国人は日本人に比べてよく働き、弱音も吐かないため、雰囲気が明るくなった。

● 規模拡大や売り上げアップにも繋がっており、今後も外国人を積極的に雇用したいと考え

  ている。

[帰国後交流について]

● 帰国している技能実習 1 期生とは、社長がベトナムで面接を行う際に帯同してもらうなどの交

  流がある。

● 交流は営利目的ではなく、子供に会いに行くような感情で行っている。

引用:農業分野における特定技能外国人受入れの優良事例集(令和3年度)

外国人材を探す上での相談先

  1. 農業分野での技能実習生の受入れ実績のある最寄りの農協等

農業分野では農協などが監理団体となり技能実習生の受入れをしている場合も多いため、農協などに特定技能外国人受入れについての相談もできる場合が多いです。

技能実習生の受入れノウハウがあれば、特定技能外国人の受入れをする際にも出入国在留管理庁への申請業務や特定技能外国人へ実施する必要のあるガイダンスなども簡単にできる可能性もあります。

  1. 最寄りのハローワークや民間の職業紹介所

特定技能外国人は自由な転職活動が認められているため、ハローワークなどで一般の求人を掲載することができ、それを見て応募してくる特定技能外国人もいるようです。

  1. 海外にネットワークを持つ民間団体や現地コーディネーター

海外にある技能実習生の送出し機関などは技能実習を修了した外国人と繋がっている場合も多く、特定技能として日本に戻りたい人材の募集を現地にて実施してもらうこともできます。

サポネット「マイナビ」

外国人材受入総合支援事業「JTB」

  1. 農業技能測定試験合格者向け求人情報提供サイト
  1. webサイトに登録

住み込みの求人ナビ

アグリキャスト

indeed

まとめ

国内の少子高齢化にともなう労働力不足は各所で起きており、特定技能は今後ますます増加すると考えられます。

しかし新型コロナウイルス感染症の関係で、送り出し国から出て来られない人や就職口も一時的に減っているのが現状です。

在留資格別で見ると、入国規制の影響で「特定活動」は大幅に増加している一方で、「技能実習生」や「資格外活動」のうち「留学」は減少していることがわかります。

日本にいる若い外国人は優秀な人材が多い為、うまく採用していければ人材不足を解消する事ができるでしょう。

日本人とは違う文化、環境で育っているからこそ、新しい目線や斬新な発想で新しいアイディアの創出が生まれる可能性もあります。

お互い良い関係を築き日本の農業を支えていただきたいです。

今回は外国の方受入をお考えの農家さんのきっかけになれれば幸いです。

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