【LED栽培】日光を使わずに野菜を栽培する方法とは?

作物を育てる際に日光を使用して光合成などを行い、作物を育てるのが基本的な方法です。
しかし、技術の進歩により太陽光を使用せずに作物を育てる取り組みが増えてきました。

その中でも特に注目されているのが、LEDを使用した『LED栽培』です。

本記事では、LEDを使用するメリット・デメリット、栽培方法について詳しく解説していきます。

LEDの特徴

LEDは「発光ダイオード」の略称です。
トランジスタやICなどと同じであり、光る半導体として様々な特徴があると言われています。

様々な特徴を兼ね備えており、農業以外での場面でも活躍するとして注目されています。

エネルギー効率が高い: LEDは電力を効率的に光に変換するため、従来の光源(例:白熱電球)と比べてはるかに少ない電力で明るい光を提供できます。これにより、電気の消費量が削減され、エネルギーコストが低減されます。

寿命が長い: LEDは一般的に長寿命であり、正しい使用と適切な冷却が提供されれば、数万から数十万時間にわたって動作します。これに比べて、白熱電球は数千時間しか持ちません。

小型・軽量: LEDは非常にコンパクトで軽量なデバイスであり、設置や取り扱いが容易です。これにより、さまざまなアプリケーションに適用できます。

即時点灯: LEDは電力を供給されるとすぐに点灯します。白熱電球と異なり、予熱の必要がありません。

耐衝撃性と耐振動性: LEDは固体素子であり、フィラメントやガラスのような壊れやすい部品がないため、振動や衝撃に対して耐性があります。

多彩な色: LEDは異なる材料を使用して製造されるため、多彩な色を発光できます。また、カラーチェンジングやカラーミキシングが容易です。

環境に優しい: LEDは水銀やその他の有害物質を含まないため、廃棄物処理の際に環境への悪影響を最小限に抑えることができます。また、低消費電力なため、二酸化炭素(CO2)排出量も削減できます。

低発熱: LEDは効率的に電力を光に変換するため、余分なエネルギーが熱に変わることが少なく、発熱が少ないです。これにより、冷却が必要ない場合が多いです。

デジタル制御が可能: LEDはデジタル信号で制御することができ、明るさや色を細かく調整することができます。これにより、多彩な光効果を実現できます。

LEDは消費電力が少なくとてもエコな照明です。
特に2011年に起きた東日本大震災によって電力供給の不安定要因が節電意識を高めることにより省エネが注目され、LEDの使用が身近になっています。

LED栽培とは?

「LED栽培」とは、太陽光を使わずにLEDの光のみで作物を育成する栽培方法です。

本来であれば太陽光を当てて、水を与える方法が一般的ですが、
農業は自然環境に左右されることが多く、特に梅雨の時期や冬になると太陽光が弱くなり作物が思ったように生育できないといったケースも多くあります。

しかし、LED栽培であれば自然環境に左右されないため、効率よく生産できると言われています。

なぜLEDの光で作物が育つのか?

疑問に思う方も多くいるのではないでしょうか?
植物というのは「水・二酸化炭素・光」によって光合成を行い育つようになっています。
その中でも「可視光線」という光を使って光合成をしています。

可視光線とは人間の目が光として認識できる波長範囲の電磁波の事で7色(赤・青・紫・緑・橙・黄・水色)に分かれています。
「可視光線」は赤と青のみであり、その他の色は「不可視光線」と言われ人間の目で認識できません。
ちなみに赤と青では効果が異なり、

赤:光合成を促す
青:葉や実を大きくする効果

植物はクロロフィル(葉緑素)という器官で光を吸収し光合成を行います。
この光合成を行う可視光線の青色と赤色の波長を効果的に吸収しています。
植物の葉が緑に見えるのは、クロロフィルが緑の可視光線を吸収せず反射されたものが緑に見えているのです。

LEDでなく太陽灯や白熱灯を使う方法でも植物を栽培する事は可能です。
しかしLEDであれば電気代を節約できます。

こうして、LEDで植物を栽培することができ太陽光でなくLEDでの栽培が流行しています。

LED栽培が流行している理由

なぜLED栽培が流行しているのか?
確かに太陽光や水を使用すれば、LED栽培より費用を抑え育てる事ができます。
作業効率はLED栽培に比べて落ちるかもしれませんが、太陽光の方が品質良く育ちそうですよね。

注目される背景を見ていきましょう。

農林水産省が発表した農業就業人口は平成27年から令和4年までで約50万人減少していると言われています。また65歳以上の農業従事者は70%と言われています。
こうした農業従事者の高齢化や人口減少に伴い効率の良い生産方法が求められており、LED栽培が主流となりつつあるのです。

また植物というのは光を当てれば光合成を行う事が可能です。
しかしLED電球が1番良いという理由があります。

白熱電球やハロゲン電球など光の熱が強すぎて、熱に弱い植物は育ちません。
また電気の消費もかなり多く電気代がかかりすぎてしまう為、効率の良い生産方法とは言えません。

このようにLED電球を使用するのは様々な理由を踏まえて最善な方法と言われています。

「LED栽培」で育てられる作物

LED栽培はすべての作物を育てることができるわけではありません。
基本的に全ての植物を育てる事ができますが、根菜系にはあまり効果がなく生産性も良いとは言えません。

葉菜類: レタス、ほうれん草、ケール、バジルなどの葉菜類はLED栽培に適しています。光合成に必要な光のスペクトルを最適に調整できるため、葉の成長を促進し、収量や栄養価を向上させることが可能です。

ハーブ: ローズマリー、パセリ、シソ、ミントなどのハーブもLEDライトを使用して効果的に栽培できます。光の制御により、香りや風味を引き出すことができます。

果菜類: トマトやピーマンなどの果菜類もLED栽培で育てられます。適切な光のスペクトルを提供することで、花つきや果実の成長をサポートできます。

花卉: 花の栽培においても、LED栽培は色鮮やかな花を育てるために利用されます。特に花の色調や開花タイミングを調整するのに適しています。

微生物や藻類: 微生物や藻類の栽培もLEDライトを使用して行われます。これにより、特定の成分を生産したり、バイオテクノロジーの研究に利用されたりします。

ハイブリッドや新品種の開発: LED栽培の環境制御能力を活用して、新しい品種やハイブリッドの開発が行われます。耐病性や収量の向上などが目指されます。

高山植物や熱帯植物: LED栽培は、高山植物や熱帯植物を制御された環境で育てるのに適しています。これにより、特定の気候条件を再現し、希少な植物を育てることが可能です。

薬用植物: 薬用植物の栽培においても、LED栽培は特定の成分を最適な割合で生産するために使用されます。例えば、ガーデンサイアンスなどが挙げられます。

LED栽培のメリット・デメリット

ここまでLED栽培について解説しました。
LED栽培の説明をみてすごくいいものと印象を受けるかと思いますが、もちろんデメリットもあります。

メリット

天候に左右されない

LED栽培というのは日光の代わりにLEDで光合成を促します。
室内での栽培が一般的な方法ですので、天気が悪い日に日光が出ない事、台風などの自然災害の心配もありません。
また、梅雨の時期や台風が来る時期、冬の太陽光が弱い時期などはLED栽培が適していると言えます。
そして、計画的に安定した収穫量を得ることができます。

害虫や動物の被害を受けにくい

LED栽培は基本的に室内での栽培ですが、完全密閉型の植物工場も多くあります。
また水耕栽培と言って、土を使わず液体肥料と水のみでの栽培方法になります。
もちろん完全密閉型であれば動物に荒らされる心配もなく、土を使わないので害虫が発生しにくく農薬薬や除草剤なしで栽培する事ができます。

SDGsなどの世界的に環境負荷軽減への取り組みにも適しており、
効果的に栄養素を吸収するため、効率よく・効果的に高品質の野菜を栽培する事ができるのです。

電気代の節約

実はLEDでなく、電球を使用した栽培は以前に行われていました。
しかし、蛍光灯や白熱電球を使用しての栽培は電気代が高価になる上に、生育もうまくいかずあまり効果があるとは言えない状態でした。
また熱を発するので植物に少なからずダメージを与える為、高品質な植物を育つ事はとても難しい事でした。
その点、LED栽培は商品電力を抑える事ができ、点灯してすぐに最大光量を得る事ができ、点灯寿命も長いため、交換する費用も抑えることができます。

デメリット

導入コストが高い

LEDは長寿命というメリットがありますが、値段が高い傾向があります。
もちろん完全密閉型の栽培であれば施設を作る費用もかかりますし、LED照明も準備しなければいけません。
また植物用に作られたLED照明であれば更に費用は高くなり、毎日点灯させると電気代も継続的にかかります。

初期費用もかなり効果になる上に、継続的にお金も必要になってきます。

太陽の光と比較すると劣る

LED照明はかなり優秀な光ですが、太陽の光と比較すると光量は劣ります。
一般的に太陽の光は50000〜100000xlと言われていますが、曇りで太陽の光が差していない日でも10000xlと言われています。
LED照明はこの光の強さ発する事は現時点で不可能なのです。

作業の手間がかかる

LED栽培は管理がかなり大切になってきます。
太陽の光を使用し外で栽培する事も管理は必要ですが、LED照明は照射時間・照射角度など全て調節しなければなりません。
また完全密閉型であれば換気を行う必要もあります。

LED栽培は慣れてくれば、人手も必要なく人件費もかかることなく栽培できますが初めはかなり苦労すると言われています。

こうしたメリット・デメリットを考慮してLED栽培を導入するか考えましょう。

LEDを選ぶ際のポイント

LED栽培は可視光線の中でも短波長の「青色」、長波長の「赤色」を選ぶことをオススメします。
緑や黄色といった色の光は植物にあまり吸収されません。
ただし、家庭菜園などで使うちょっとした栽培であれば白色LEDでも可能です。

また植物の量に合わせたLEDの数を絞る事が解説です。
例えば植物に1つ1つLED照明を当てるとコストというのはその分大きくなります。
LED照明は広範囲を照らすことができる照明もありますので、最適なLED照明を選ぶようにしましょう。
機能性を重視してLED照明を選ぶなら植物専用ライトというものがあります。
一般家庭で使用するLED照明とは違い、ライトの角度調節機能、照射時間を設定できるタイマーなどが備わっています。
最近では「フルスペクトルLED」という7色の波長を放つ太陽の光を再現したライトを使用する方も増えています。

植物に効果的かつ、栽培する量や費用を考えながらLED照明を選びましょう。

まとめ

本記事では、LED栽培について詳しく解説しました。
LED栽培はとても効率よく栽培でき、これからのスマート農業や環境負荷も考えれば十分に導入する価値はあるかと思います。

しかし、前提として太陽光がやはり最適というのは覚えておきましょう。

LED栽培によって、これからの農業を活性化するキッカケとなるかもしれません。
ぜひ検討してみてはいかがでしょうか?

また「みんなで農家さん」というサイトでは農業に関する様々な情報を掲載しています。
この記事は「現役農家さん」に向けての記事でしたが、「新規就農」の方にも参考になる情報がたくさん掲載されています。
https://minnadenoukasan.life/

最後までご覧いただきありがとうございました。

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