農業では人手不足や担い手不足により衰退している産業と言われています。
しかし、農業や漁業などの一次産業は我々が生活をしていく上で衰退していくことを必ず止めなければいけません。
そんな中注目を集めているのが働き場所を探している障害者の方を農業で雇用する農福連携です。
この農福連携は農業や雇用先を探している人にとって両方ともメリットのある取り組みで注目を集めています。
そこで本記事では、農福連携とは?現状、目的、メリットについて詳しく解説していきます。
農福連携とは?
農福連携とは障害者等が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取組です。
「農業」と「福祉」が連携しているため農福連携と言われています。
農業では人手不足や担い手不足の解消、障害者は社会への生きづらさをなくし、自信や生きがいを持って生活できるとしてこの取り組みが始まりました。
農福連携の目的
農福連携の目的は、障害者と農業を結びつけることにあります。
障害者にとって、農業はさまざまな面で有益な活動となり得ます。
農業は自然環境との関わりが強く、季節や天候に合わせた作業が求められるため、生活リズムや運動の面での健康維持に役立ちます。
また、農業においては植物や動物との触れ合いがあり、それによって心理的なリラックスやストレスの軽減にも寄与します。
農福連携は、障害者の力を生かし、農業の現場での役割を通じて、自己肯定感や自己実現を促進することを目指します。さらに、地域社会との交流やコミュニケーションの場として、障害者が地域に溶け込んでいけるような環境づくりも重要な目標です。
このような農福連携の取り組みは、障害者の生活の質を向上させるだけでなく、地域社会全体の認知度向上や共感を生む効果も期待されます。障害者が農業を通じて社会に貢献し、自らの能力を発揮できる機会を提供することで、より多様で包括的な社会の実現に寄与していくのが農福連携の目的です。
農福連携のメリット・デメリット
農福連携にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
農業と障害者2つの視点から紹介します。
メリット
まず、障害者の視点からは、農業を通じて自己実現や社会参加が促進されます。
農業は自然とのふれあいや作業のリズムにより心身の健康が向上し、自己肯定感が増します。
また、農業現場での仕事を通じて社会的スキルが向上し、地域社会への結びつきが強まります。
一方、農業の視点からは、障害者の参加により労働力の確保が可能となります。
障害者は熱心で忠実な労働者であり、農作業において重要な貢献をします。さらに、障害者との連携によって、地域社会とのコミュニケーションが活性化し、農産物の販売促進や地域のブランド向上にもつながります。
農福連携は、障害者と農業の双方にとって良い関係を築くことができます。
障害者は自分の能力を発揮し、農業を通じて充実した日々を送ることができる一方、農業現場では多様な人材を受け入れることで労働力の確保やコミュニケーションの促進に貢献します。また、地域社会にとっても多様性を受け入れる姿勢が示され、共感と理解が深まり、地域全体の活性化に繋がります。農福連携は社会的包摂の推進に資する重要な取り組みであり、持続可能な地域社会の形成に寄与します。
デメリット
農福連携のデメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
まず、障害者の視点からは、農業は体力や技術を要するため、一部の障害者には適さない場合もあります。また、農業現場は自然条件による過酷な環境もあるため、健康上のリスクが考慮される必要があります。さらに、障害者の意欲や能力に応じた適切な支援体制が整っていない場合、適切な活動が難しいこともあります。
一方、農業の視点からは、障害者の受け入れに伴うコストや労力が増加する可能性があります。
農業生産は厳しいスケジュールに従って行われることが多く、障害者の特性に応じた柔軟な対応が求められます。
また、農業現場は安全性が重視されるため、障害者の安全確保にも十分な配慮が必要です。さらに、地域社会の理解や協力を得ることが困難な場合もあり、障害者との連携が難航することもあります。
これらのデメリットを克服するためには、障害者の特性を十分理解し、適切な支援体制の構築が必要です。農業現場では、障害者が安心して作業に取り組めるような安全対策や適切な指導が重要です。また、地域社会との協力や理解を得るために、情報発信や相互理解を進めることも大切です。農福連携が持続可能で成功するためには、これらの課題に取り組むことが欠かせません。
農福連携の具体的な取り組み
農福連携の具体的な取り組みとしては、以下のような事例があります。
農業体験プログラムの提供:地域の農家が障害者を受け入れ、農業体験プログラムを実施します。障害者は農業の作業に参加し、自然とふれ合いながら農作業の楽しさを体験します。
農産物販売の協力:障害者が生産した農産物を地域の農産物直売所や市場で販売する取り組みが行われます。農業に携わることで障害者の自信ややりがいが高まります。
職業支援の提供:農業を職業として選ぶ障害者に向けて、農業技術や経営スキルのトレーニングを行います。就労支援センターや地域の専門家が協力します。
農村交流イベントの開催:地域の農村地帯で障害者と地域住民が交流するイベントが行われます。農業体験や農作業に参加しながら、地域とのつながりが深まります。
地域共同作業の推進:障害者と地域住民が協力して農作業や地域の取り組みを行います。農業を通じたコミュニケーションが地域の連帯感を高めます。
これらの取り組みは、農業を通じて障害者の自己肯定感や社会参加を促進すると同時に、地域社会との交流を活性化させることを目指しています。
農福連携によって、障害者は農業を通じて自己成長し、地域住民との共感と理解が深まり、多様性を受け入れる地域社会の実現が期待されます。
農福連携とSDGsの関係
農福連携とSDGs(持続可能な開発目標)には密接な関係があります。
SDGsは、2015年に国連で採択された17の目標であり、2030年までに貧困撲滅や環境保護など、持続可能な社会を実現するためのグローバルな指針です。農福連携は、特に以下のSDGsと関連性が高いとされています。
SDG 1(貧困をなくそう): 農福連携は、障害者による農業の参加を通じて、障害者の生活や経済的な自立を促進し、貧困の削減に寄与します。
SDG 2(飢餓をゼロに): 農業による食料生産を通じて、飢餓対策に貢献します。障害者の農業参加は地域の食料生産を支える一因となります。
SDG 8(働きがいも経済成長も): 農業を通じて障害者の雇用や収入の機会が拡大し、包括的な経済成長を促進します。
SDG 10(格差をなくそう): 農福連携により、障害者が地域社会で受け入れられる環境が整備され、障害者と地域住民の間の格差が縮小します。
SDG 11(住み続けられるまちづくりを): 農業による地域活性化と、障害者が地域に溶け込むことで、持続可能な地域社会の実現に貢献します。
SDG 17(パートナーシップで目標を達成しよう): 農福連携は、地域の農業関係者、障害者支援団体、行政などのパートナーシップを強化し、協力して目標達成に向けた取り組みを進める重要な手段となります。
農福連携はSDGsの多くの目標に直接的かつ間接的に貢献するため、持続可能な社会の実現に向けた重要な取り組みとして注目されています。
農福連携の今後の展望について
最後に農福連携の今後の展望について解説します。
農福連携の今後の展望は、障害者と農業の融合によってより誰でも生きやすい社会の実現を目指すことです。
障害者の参加を通じて、農業現場は多様性に富んだ労働力を確保し、生産性を向上させることが期待されます。
農業を通じて自己肯定感を高める障害者は増加し、地域社会との結びつきが強化されるでしょう。
また、農福連携によって地域住民の理解が進み、偏見や差別の解消にも寄与します。
これにより、障害者が地域社会で活躍する場が拡大し、共に成長し合う持続可能な社会の実現が見込まれます。
政策や制度の整備、地域コミュニティの協力強化が必要であり、地域と障害者が共に成長するために継続的な努力が求められます。
まとめ
本記事では農福連携について解説しました。
障害者がこれから生きやすい社会への変換、そして農業の問題を解決していくための取り組みとして大きく注目を集めています。
しかし、農業者が障がい者などを労働力として採用するのは比較的新しい試みであるため、戸惑うこともあるかもしれません。今後連携を進めていくためには、双方の十分な理解が必要だと言えます。
ぜひ、人手に困っている農家さんは農福連携を検討してみてはいかがでしょうか?
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最後までご覧いただきありがとうございました。
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