食料自給率向上が農業の未来を救う!?原因や対策について解説

日本では長年、食料自給率の低下が大きな問題となっています。
知っている方も多いかと思いますが、食料自給率とは、ある国や地域が自国で生産される食料の量を、その国や地域の総消費食料量に対してどれだけ占めているかを示す指標です。
つまり、その国や地域が自分たちの食料需要をどれだけ自国内で賄っているかを示す数値です。

この自国内で賄っている食料を生産するのは、農家や漁業である一次産業が主な部分にあたり食料自給率が低いということは、農家という産業の低迷も関連して起こってしまいます。

そこで、本記事では食料自給率と農業の関係性、農家ができることについて詳しく解説していきます。

日本の食料自給率の現状

日本の食料自給率は、長らく低い水準を維持しており、他国と比較すると相対的に低い数値となっています。
2021年の時点での日本の食料自給率は約39%で、自国で生産される食料が総消費量の約39%を占めています。これに対して、多くの国々は食料自給率が50%を超えることが一般的です。

この低い食料自給率は、日本が外国からの食品輸入に依存していることを示しています。主な輸入品は穀物(特に小麦や大豆)、肉類、魚介類などです。一方で、自国で生産される主要農産物は米、野菜、果物などです。

これに対して、多くの他国は比較的高い食料自給率を維持しています。例えば、アメリカ合衆国の食料自給率は約130%以上で、カナダやオーストラリアも100%を超える食料自給率を持っています。これらの国々は広大な農地や多様な気候条件を利用して多種多様な農産物を生産しており、比較的高い自給率を実現しています。

日本の食料自給率の低さは、農地の限られた面積や気候条件、労働力不足などが影響しています。政府は食料自給率の向上を目指し、農業支援政策や技術革新などを推進していますが、持続的な改善には時間がかかる可能性があります。

食料自給率が下がるのはダメなこと?

まずはなぜ食料自給率の低下がダメとされているのか?について解説します。

食料自給率が低下することで、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。
まず第一に、国や地域が外部からの食料依存度が高い場合、国際的な食料供給の変動や価格の上昇によって食料の安定供給が脅かされる可能性があります。
これによって、国内の食料価格が急騰し、経済的負担や社会的混乱が生じる可能性があります。

さらに、食料自給率の低下は農業部門の衰退を招くことがあります。
農業は雇用の提供や地域経済の活性化に寄与する重要な要素であり、低下すると農村地域の発展や農業従事者の生計が脅かされる可能性があります。

環境面でも、食料輸入による長距離輸送や生産地の環境負荷が増大することで、持続可能な食品生産に対する悪影響が生じる可能性があります。

したがって、食料自給率の低下は食料安全保障や経済的、社会的、環境的な面で様々なリスクを引き起こす可能性があるため、適切なバランスを保つことが重要です。

なぜ食料自給率は低下するのか?

ここからはなぜ食料自給率が低下するのでしょうか?問題について紹介します。

食料自給率が低下する要因は複数存在します。

経済のグローバル化:国際貿易が増加すると、他国からの食品輸入が増え、自国での食品生産が減少する可能性があります。競争力の高い外国産品が市場に流入し、自国産品の需要が低下することがあります。

農業の転換:都市化や産業の発展に伴い、農地が宅地や工業地として利用されることが増えます。これによって農地が減少し、農業生産の機会が制限されることがあります。

人口増加と食料需要の増加:人口が増えると、食料需要も増加します。このため、自国での生産だけでは需要を満たすことが難しく、外国からの輸入が必要になることがあります。

気候変動:天候の変動や極端な気象条件が農作物の収穫に影響を与えることがあります。これによって収穫量が減少し、食料自給率が低下する可能性があります。

労働力不足:農業労働者の減少や高齢化により、生産性が低下することがあります。これによって生産量が減少し、食料自給率が低下する可能性があります。

技術の不足:農業技術の導入や革新が不十分な場合、生産性が向上せず、効率的な食品生産が難しくなることがあります。

これらの要因が絡み合い、食料自給率が低下することがあります。国や地域ごとの状況や政策の影響もありますが、持続可能な農業と食料生産の促進が重要です。

食料自給率と農業の関係性

食料自給率の低下と農業は密接に関連しています。
食料自給率が低下すると、国や地域は外部からの食料依存度が高まります。これにより、国際的な食料供給の変動や価格の上昇に強く影響を受ける可能性が高まります。結果として、農業部門の健全な発展が阻害される可能性があります。

低い食料自給率は、農業への投資や支援の減少につながることがあります。農業が不安定な収入を得られない場合、農業者は生産を維持することが難しくなります。
これによって農業の生産力や技術革新の推進が抑制され、結果として食料自給率の低下が一層悪化する可能性があります。

また、低い食料自給率は国内の農業雇用の減少をもたらす可能性があります。これによって農村地域の経済活動や地域社会が衰退し、人口流出や社会的不安定が進む可能性があります。

環境面でも、食料輸入に伴う長距離輸送や生産地の環境負荷が増大し、持続可能な農業が妨げられる可能性があります。

食料自給率の低下は農業への負の影響をもたらし、食料供給の安定性や農業経済、地域社会、環境に悪影響を及ぼすことがあるため、適切な食料自給率の維持が重要です。

つまり、食料自給率を上げることで自然と農業への影響も良いとされているということです。

食料自給率を上げるためにできること

食料自給率を上げるために農家、個人個人できることは多くあります。

まずは農家について説明していきます。

農家ができること

まず、効率的な農業技術の導入や持続可能な農法の採用によって収穫量を増加させることが重要です。適切な肥料や農薬の使用、灌漑管理の最適化などがこれに含まれます。

また、新たな作物の栽培や品種改良を検討し、気候変動に対応した耐性を持つ作物を栽培することも効果的です。地域に合った作物の選定や多様な農産物の生産を通じて、リスク分散と収益の安定化が図られます。

農産物の加工や付加価値の向上も食料自給率向上に寄与します。農産物を加工食品や加工食材に変えて販売することで、需要に合わせた多様な製品を提供できます。

さらに、地域との協力や連携を強化することも重要です。農産物の共同販売や直売所の設置、地域ブランドの構築などが地域の農業振興と食料自給率向上に寄与します。

最後に、農業教育や情報共有を通じて、農家の技術向上とノウハウの共有を図ることも重要です。地域の農業者同士の交流や学習の場を提供することで、効果的な農業実践が広まります。

これらの取り組みが連携し、農家の努力によって食料自給率が向上し、食料安全保障と地域経済の健全な発展が促進されるでしょう。

個人でできること

個人が食料自給率を上げるためにできることは、持続可能な食生活を意識的に実践することです。まず、地産地消の考え方を取り入れ、地元の農産物を支持しましょう。
農産物直売所や地元の農産物を扱う市場で購入することで、地域の農業を支援し、食料自給率の向上に寄与します。

また、季節ごとの旬の野菜や果物を消費することで、需要に合わせた生産が促進され、食品の輸送コストや環境負荷が軽減されます。食品ロスの削減も重要であり、食材の無駄な廃棄を避けることで、生産過程の効率化が図られます。

自家菜園やコミュニティガーデンでの野菜やハーブの育成も有益です。これによって自給率が向上し、農業への理解が深まります。

食品の選択においては、持続可能な生産方法や環境に配慮した商品を選ぶことが大切です。また、無駄のない食事の計画や調理方法を工夫することも、食品の資源効率を高める手段です。

最後に、食料に関する情報を学び、食のサステナビリティについて考えることも重要です。個人の選択が集合的な効果を生むため、持続可能な食生活の実践は食料自給率向上に寄与します。

食料自給率の目標

最後に日本の食料自給率が目指す目標について解説していきます。

日本では食料自給率を50%以上に引き上げることを目指しているとされています。
つまり、自国で生産される食料の量を、総消費量の半分以上にすることを目標としています。

この目標は、食料供給の安定性を高め、外国からの食品依存度を減少させることを狙っています。
自然災害や国際的な食品価格の変動などによるリスクを軽減し、食品の安定供給を確保することが主な狙いです。
また、地域の農業振興や農産物の多様化、持続可能な農業の推進も関連しています。

ただし、この目標を達成するには、農業技術の向上、農地の効率的な利用、農産物の品質向上、労働力の確保など、多くの課題に取り組む必要があります。
政府は農業支援策や研究開発の推進などを通じて、食料自給率の向上に取り組んでいますが、これは長期的なプロセスであり、多くの異なる要因が絡み合う複雑な課題となっています。

まとめ

本記事では食料自給率と農業の関係性について解説しました。
食料自給率を上げることで農家という産業の衰退を防ぐことができます。

しかし、食料自給率の低下がさらに悪化すれば日本は多くの問題を抱えることになるでしょう。
これからの政府の活動にも目が離せませんが、農家でできること個人個人でできることを見直していきましょう。

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最後までご覧いただきありがとうございました。

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