大根の育て方〜防虫・防病〜

家庭菜園で大根を育ててみたい、そう思ったことはありませんか?

実は大根は、家庭菜園初心者にもおすすめな野菜だったりします。

そこで今回は大根の育て方について焦点を当てていきますので、ぜひ最後までお付き合いください。

大根はいつ種を蒔く?

大根冬の野菜と思われがちですが、実は6月から七月ごろにかけても収穫ができる野菜だったりします。

大根の種類によって種を蒔く時期が異なり、4月に種を蒔く春蒔き、9月に種を蒔く秋蒔きがあります。

※年中蒔ける種類のものもあります。

ミニ大根や短大根であればプランターを使って屋内で育てることも可能です。

大根の育て方

①畑の準備

植え付けの2週間前位に堆肥と石灰、油粕等を散布し、よく深耕しておきます。

肥料は根を作るために堆肥を十分に混ぜ込んでください。

排水の悪い畑では、高畝(※1)して種蒔きを行います。

春蒔きを行う時には透明マルチを使用し地温を上げるようにしてください。

※1……地面より特に高い畝のことで、15cm以上の高さのものを高畝ということもあります。

②種蒔き

高さ10㎝程度の畝を作り、株間を25〜30㎝、条間60㎝間隔で1ヶ所に3〜5粒の点蒔きを行います。

高さ10㎝、幅90㎝のベットを作り株間25~30㎝、条間60㎝に点まきをしてもよいでしょう。

マルチを使用する時にはマルチ幅が95㎝で2列のものを使用します。

覆土は種の大きさの2倍程度必要で、土をかけたら軽く鎮圧します。

極端に乾燥していなければ灌水は必要ありません。

③間引き

発芽後、本葉が2〜3枚になった頃、3粒蒔きは2本に5粒蒔きは3本に間引きを行います。

間引き後は株元に軽く土寄せを行います。

④追肥

本葉が5〜6枚になったら1本に間引きを行い、株間に化成肥料を追肥し、土寄せを行います。

⑤収穫

秋蒔きで種蒔き後約60日、春蒔きで80日程度になりましたら収穫が出来ます。

取り遅れますと、す入り(※2)の原因になりますので注意してください。

※2……根の内部の細胞にスポンジ状の空洞ができる現象で、根が肥大する際に同化産物の供給がともなわず、内容物のない細胞や組織ができて起きる一種の飢餓状態ともいえます。

防虫・対策

野菜を育てるのに、虫はつきものですが、その中でも、葉や茎などを食害するこれらの7つの害虫について記載しますので、参考にしてみてください。

①アオムシ

ここでの「アオムシ」は特にモンシロチョウの幼虫を指します。

春と秋に発生することが多く、幼虫が大きくなる前は葉に小さな穴が空くだけですが、瞬く間に幼虫は成長し、葉脈を残して葉を食い尽くしてしまいます。

〜対策〜

防虫ネットや寒冷紗をかけることで、成虫がキャベツなどに産卵するのを防ぐことができます。

アオムシによる被害が発生した場合は、葉の表裏を探して見つけ次第捕殺し、大量発生する前に薬剤を使用するのがよいでしょう。 

幼虫は成長すると薬剤が効かなくなっていくため、早期散布を心掛けましょう。

②ハイマダラノメイガ

ハイマダラノメイガは、幼虫が葉を食害します。

特に幼苗期は、ダイコンの苗の芯に加害して芯どまり状態にしてしまうことがあるため注意が必要です。

夏の気温が高い時期に降水量が少ないと発生しやすくなります。

〜対策〜

成虫の飛来を防ぐため、畝全体に寒冷紗や防虫ネットを掛けるとよいでしょう。

育苗期は特に、施設内で育てたり防虫ネットをかけたりして被害を防ぎましょう。

③アブラムシ

体長が1mm~2mmほどの小さな虫で、一年を通して発生します。

虫食いの穴は空きませんが、葉から汁を吸うため葉全体が萎縮するような症状があらわれます。

短期間で急速に増殖することがあるので、発生状況をこまめに確認しましょう。

また、アブラムシはモザイク病を媒介するため、きちんと予防することが重要です。

〜対策〜

成虫の飛来を防ぐために防虫ネットをかけましょう。

アブラムシが通れないくらい目の細かいものを選ぶようにします。

アブラムシを捕殺する際にはテープや歯ブラシなどが便利ですが、アブラムシは体が小さく数が多いため、完全に捕りきるのは困難です。

被害が広がってしまった場合には葉ごと処分するか、薬剤を散布しましょう。

④ヨトウムシ

夜行性で、昼間は土中に隠れていて夜に活動を開始します。

成虫は薬剤への抵抗性が高いため、幼虫の時期に適切に駆除することで被害を最小限に食い止める必要があります。

〜対策〜

植え付ける前に畑をよく耕して、幼虫やさなぎを見つけたら駆除しましょう。

成長すると夜行性になり昼間は土中に隠れてしまうため、初期の段階で捕殺したり薬剤で対処したりする必要があります。

成虫であるヨトウガの飛来と産卵を防ぐために、べたがけやトンネルで苗を保護するとよいでしょう。

ヨトウガは葉の裏側に卵を産み付けます。

日頃から葉の裏をチェックし、卵を見つけたら孵化する前に葉ごと切り取って取り除きましょう。

⑤コナガ

コナガはアブラナ科の野菜に多く発生する害虫で、幼虫が葉裏に寄生します。

表皮を残して食害するため、被害を受けた葉を表面からみると白斑状に見えます。

苗が幼い時期に被害を受けると、成長が阻害されて被害が大きくなります。

〜対策〜

防虫ネットを予め張っておくことによって、成虫の産卵を防ぐことができます。

幼虫は成長すると薬剤が効かなくなっていくため、早期散布を心掛けましょう。

⑥ネキリムシ

ネキリムシとは、カブラヤガの幼虫のことで、典型的なイモムシの姿をしています。

苗の地面近くの部位を食害し、大きな被害をもたらす害虫です。

〜対策〜

ネキリムシは日中は地中に潜み、夜間に活動します。

地表近くにいる場合が多いため、地面近くの葉が食害されてる場合や、茎が切られている場合には、株の付近の地面を掘ってみると見つかることがあります。

発見したら駆除するようにしましょう。

寒冷紗や防虫ネットをかけて成虫の飛来や産卵を予防するとよいでしょう。

ネキリムシの成虫であるカブラヤガは雑草にも産卵するため、畑の周囲の雑草は丁寧に抜くことをおすすめします。

⑦ダイコンハムシ

黒っぽい緑色をした甲虫で、成虫、幼虫ともに葉にたくさんの穴を空けながら食害します。

同時に糞を大量に排出するため、ハムシの糞で日光が妨げられて十分に光合成が出来ず、一部で生育不良になることもあります。

〜対策〜

寒冷紗や防虫ネットなどを使用して成虫の侵入を防ぎ、産卵による大量発生を予防しましょう。

また、他のアブラナ科の植物が発生源となることがあるため、周囲の雑草をしっかり除去するようにしましょう。

基本は外で育てているため、虫の飛来は寒冷紗や防虫ネットなどで防ぐしかありません。

あまり農薬を撒きたくないという人は、しっかり防虫対策をしましょう。

防病・対策

①白さび病

大根の葉に病斑(白色の小さな斑点)が出るのは「白さび病」です。

進行すると、葉が黄色く変色したり、根に黒いわっか状の模様が発生したりします。

放っておくと、葉の病斑が破れて胞子が飛散し、さらに被害が拡大します。

対策→湿気対策をしっかりと行う

②モザイク病

「モザイク病」に感染すると、葉の表面にまだら模様が出て「モザイク」のように見えたり、葉がくしゃくしゃに縮れたりします。

成長初期に感染すると根が十分に育たず、さらに悪化すると枯れてしまうこともあります。

対策→アブラムシを寄せ付けないように、防虫対策を行う

③べと病

葉の表面に黄色の斑点が発生し、葉裏に白いカビが生えるのが「べと病」です。

病気が進行するとカビは消え、黒褐色の痕が残ります。

湿気が高くなると、葉がべとべとするのも特徴です。また根に症状がでることもあり、表皮の下に黒い斑点が発生します。

対策→葉が乾いていると発生しにくいため、多湿にならないよう環境を整える

④炭疽病

葉に灰褐色の斑点ができるのが「炭疽病」です。

斑点は徐々に拡大し、合体して大きくなっていきます。

最終的に、病斑部分に穴が空き、葉がボロボロになってしまうこともあります。

対策→風通しをよくして多湿を避ける

⑤軟腐病

根や茎の部分が腐り、変色して悪臭を放つようになるのが「軟腐病」です。

葉が黄色くなって枯れてしまうのも特徴の一つです。

対策→葉が4〜6枚の時に薬剤を散布して予防する

⑥黒斑病

「黒斑病」にかかると、根の地上に出ている部分に被害が出ます。

低温化で凍結し大根の組織が壊れたり、枯れ葉が付着し細菌が繁殖したりして表面が荒れてしまいます。

対策→日当たりと風通しの良い場所に植え、防寒対策も行い、薬剤を散布して予防する

⑦根くびれ病

大根の根が黒変してくびれるのは「根くびれ病」です。

土の下5〜10cmほどの根がくびれて黒くなります。

多くは黒くなるのは表面のみですが、高い気温が続くと根の内側まで黒変する恐れがあります。

対策→水はけのよい土壌で育て、なるべく多湿状態にしないようにする

⑧根腐病

「根腐病」にかかると、根の表面に亀裂が入ったり、褐色に変色したりします。

葉には灰褐色の病斑が現れ、症状が進むと破れてぼろぼろになってしまうこともあります。

根や茎の病斑部には、くもの巣状の菌糸が出現します。

対策→排水しやすい土づくりをして、株間をしっかりあけて植える

⑨黒腐病

「黒腐病」にかかると葉や根が黒く変色します。

葉に症状が出た場合、初期は黄変し、やがて葉全体が黒変します。

対策→種子伝染する病気のため、消毒済みの種子を使う

しっかりと対策をすれば防げるものばかりですので、対策をきちんととることが大切になります。

まとめ

大根の育て方について理解を深めることはできましたでしょうか?

きちんと前もって対策することによって、美味しい大根を育てることができますので、防虫、防病をしっかり行いましょう。

自分で作った野菜は、購入したものとは格別の美味しさがありますので、ぜひチャレンジしてみてください。

そして「みんなで農家さん」では、農業が好きな方、農家を志す人、農業従事者の方へ役立つ、最新情報やコラム、体験談などをこれからもお届けいたします。

あなたの気になる情報が、もしかしたらここにあるかもしれません。

こんな情報が欲しい、あんな情報が載っていないかな? と気になった方、まずは一度覗いてみてください。

報告する

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。