あなたは「緩効性肥料」をご存じでしょうか?
植物を元気に育てるには肥料が欠かせません。ただ、肥料にはたくさんの種類があるため、どの肥料をどのように使えば良いのか悩んでしまいます。
そこで今回はおすすめの緩効性肥料について解説します。解説する緩効性肥料は、効果がじっくり長く続き、肥料のやりすぎで植物を枯らしてしまうことがほとんどありません。そのため初心者でも扱いやすい肥料となっています。
緩効性肥料の特徴や種類、使い方を解説しますので、緩効性肥料についての知識を深め、植物を上手に育てましょう。緩効性肥料を使いこなせるようになるとさらに幅が広がります。
緩効性肥料とは
緩効性肥料は、施肥したときから効き始め、少しずつ溶け出して長期間効果が持続する肥料です。
植物に緩効性肥料を与えると、すぐに肥料分を使い切ることはなく数ヶ月にわたってゆっくりと栄養を供給します。肥料によって持続期間に差があり、中には1年以上かけて栄養となるものもあります。
もともと肥料は、植物を大きく成長させる肥料成分がすぐに水に溶け出してしまうため、肥料の効き目が強すぎてしまい、肥料焼けを起こすなどの欠点がありました。
しかし、緩効性肥料はゆっくり溶けていくことで肥料焼けを起こしにくく、肥料の継続期間も1~2ヶ月と長くなり、初心者でも扱いやすいものとなっています。また、植え付け時の土に混ぜたり、追加で施したりと色々なタイミングで活用することができます。
緩効性肥料に含まれる成分
緩効性肥料には、窒素、リン酸、カリウムといった肥料の3大成分が含まれています。窒素は茎葉の生育、リン酸は花や実の生長、カリウムは球根や根を丈夫にする働きがあります。
また、マグネシウムやカリウム、亜鉛などの微量成分を含むものや、油かすや骨粉など有機性肥料を含んだものもあります。
遅効性肥料との違いとは?
肥料には「遅効性肥料」というものもあり、緩効性肥料と混合されることが多いですが、別物になります。
遅効性肥料はほとんどが有機肥料であり、土の中の微生物が有機物を分解してから肥料効果を発揮するため、効果はすぐには現れません。また緩効性肥料よりもゆるやかに持続します。ただし、土中温度が25度以上では、分解が早く進み、緩効性肥料と同じ効き方になるので、気温が低い時の寒肥などに使われます。
緩効性肥料の3つの種類
緩効性肥料にはさまざまな種類があります。種類によって成分や効果にも違いがあるので、把握して使いこなしましょう。
水に溶けるとすぐに栄養になる『緩効性化学肥料』
緩効性化学肥料とは、リン鉱石や窒素ガスなどの無機物を原料に、化学的に加工した肥料のことです。水に溶けるとすぐに栄養になるため、誰にでも使いやすい肥料となっています。
窒素・リン酸・カリのうち、ひとつの成分に特化した肥料を「単肥(たんぴ)」と言い、2つ以上の成分を配合した肥料を「複合肥料」と言います。
緩効性化学肥料でよく使われるのが「石灰窒素」です。石灰窒素は、窒素分を21%と多く含む肥料でありながら、農薬としても使用できる珍しい肥料です。肥料効果が長いため、栽培期間が長い冬野菜に最適な肥料と言えます。
また、強いアルカリ性の性質で、酸性土壌を嫌うほうれん草やアスパラガスの栽培には欠かせません。緩効性化学肥料は、作物に不足している成分をピンポイントで補うことができるので、野菜栽培にとても活用できる肥料です。
溶け出す量を調整できる『緩効性化成肥料』
緩効性化成肥料とは緩効性化学肥料の一種で、単肥を2つ以上混合して、化学的な処理を加えた複合肥料のことです。粒状や固形に加工されたものが多いのが特徴です。
緩効性化成肥料には、肥料の表面を樹脂や紙で覆って、肥料効果が続くように加工を施した「被覆複合肥料」があります。被覆複合肥料は、肥料を覆っている素材の厚みを変えることで、溶け出す量を調整できるのがメリットです。
よく知られている緩効性化成肥料は「IB化成肥料」です。IB化成肥料は窒素・リン酸・カリのバランスが良く、水によってゆっくり分解されていく、とても扱いやすい肥料です。
微生物に分解されてから植物の栄養となる『有機肥料』
有機肥料は、鶏ふん・魚粉・骨粉・ボカシ肥など、植物や動物のフンなどの有機物を利用して作った肥料のことをいいます。
化成肥料が速効性か緩効性なのに対し、有機肥料はほとんどが遅効性です。その理由は、有機肥料が植物に吸収されるまでの工程に秘密があります。
有機肥料は土に混ぜ込むと、微生物に分解されてから植物の栄養となります。そのため、化成肥料の吸収方法より1工程多いことになります。その分、栄養となるまでに時間がかかるのです。
微生物は、気温の低い時期は活動が弱く、分解があまり進みません。土の中の温度が25℃を超える頃から急速に分解スピードが上がることを覚えておいてください。
緩効性肥料の使い方
緩効性肥料は、元肥、追肥、置肥として使うことができます。緩効性肥料の使い方について解説します。
元肥として利用
緩効性肥料のもっとも一般的な使い方は元肥です。主に、ナスやトマト、ピーマンなどの栽培期間の長い作物に使用します。元肥とは、植物の苗や苗木を植え付け・植え替えをする前に、土へ施しておく肥料のことです。これらの作物は、生育期間中は継続して肥料を必要とするため、効果が長く続く緩効性肥料が有効です。
与える方法は、肥料を畑全面に混ぜ込む「全面施肥」と、植え付け穴の底に肥料を入れる「溝施肥」があります。
全面施肥が適している野菜と溝施肥が適している野菜は以下の通りです。
【全面施肥が適している野菜】
キュウリ
ゴーヤ
トウモロコシ
ジャガイモ
ブロッコリー
【溝施肥が適している野菜】
ナス
トマト
ピーマン
大根
ゴボウ
追肥として利用
緩効性肥料を追肥として使う場合は、速効性肥料をミックスした固形肥料を使いましょう。
また、バラや庭木などの寒肥として使う方法もあります。寒肥とは、植物が休眠期間に入る冬に肥料を与えてゆっくり分解させ、春になる頃に栄養として吸収させることをいいます。
春は新芽を芽吹かせるためにたくさんの栄養が必要になるので、緩効性肥料でじっくり栄養補給するやり方が最適です。
置肥として利用
置肥とは、プランターの土の上に肥料を置いて、雨や散水によって肥料を溶かし、根から吸収させる方法です。土に混ぜ込まない分、肥料効果が長く続きます。
緩効性肥料のなかでも固形油かす肥料がおすすめで、日々の水やりとともにじわじわと溶け出して肥料効果が現れます。
おすすめの緩効性肥料3選
ここでは緩効性化成肥料について、おすすめ商品をご紹介します。
初心者におすすめな『一発肥料』
「一発肥料」という商品は、色々なメーカーからその作物用の肥料が販売されています。
一度、元肥として施せば追肥がいらないという商品なので、気軽に育てたい方、初心者にはおすすめです。また、ホームセンターにもオリジナルの一発肥料(緩効性肥料)が販売されています。
幅広い作物に活用できる『ハイポネックス』
ハイポネックスは液体肥料が有名ですが、野菜など幅広い作物向けの固形肥料も販売しています。
その中でも人気のある商品は「マグァンプK」です。「マグァンプK」は元肥にも追肥にも使える商品で適用作物も広く、家庭菜園や小規模農場などでいろいろな作物を育てている方にはとても便利です。
効き目が長く持続する『マイガーデン』
マイガーデンは、住友化学園芸の登録商標で、粒状の様々な草花・庭木・果樹の元肥や追肥に使うことができる肥料です。
栄養分を効率よく吸収させるすぐれた腐植酸入り緩効性肥料として特許を取得していることや、土に活力を与える作用がある腐植酸をブレンドしていることや、肥料成分は樹脂コーディングされていて、土壌の温度変化や植物の生育にあわせて溶出する量が調節され、効き目が持続するのが本製品の特長です。
緩効性肥料の購入方法
緩効性肥料の購入を購入する場合はどのように購入すればよいのでしょうか?
通販での購入
店舗で実物をみて購入することも良いことですが、「その店舗での取り扱いがない」ことや「そもそもその商品がホームセンターなどの小売店で販売されていない」ことも多いです。
時間とお金を節約するため、積極的に通販(インターネットショッピング)を利用しましょう。通販(インターネットショッピング)を利用すると重い肥料を自分で持つこともなく、非常に便利です。
今ではAmazonや楽天市場など様々なECサイトで農業・園芸用品が取り扱われています。店舗よりも安く購入できる場合も多いですので、一度確認することをおすすめします。
店舗での購入
緩効性の肥料は、一般的な大規模ホームセンターでも販売されています。ただし、作物に特化した専門肥料は農業・園芸に特化したホームセンターにしかない場合があります。
もしどのようなものを選べば良いか悩む場合は、ホームセンターでは専門家の方がいるはずです。もちろん相談をすることが可能なので、相談をして間違いない緩効性肥料を選びましょう。
また、ダイソーにも緩効性化成肥料や有機肥料が販売されていることがありますが、取り扱いのない店舗も多いようなので注意が必要です。
まとめ
今回は、緩効性肥料の特徴や種類、使い方を解説しました。
緩効性肥料はゆっくり溶けていくことで肥料焼けを起こしにくく、肥料の継続期間も1~2ヶ月と長くなり、初心者でも扱いやすいものとなっています。また、植え付け時の土に混ぜたり、追加で施したりと色々なタイミングで活用することができます。
種類をまとめると以下の3つがあります。
- 緩効性化学肥料
- 緩効性化成肥料
- 有機肥料
中でもおすすめの緩効性肥料は以下の3つです。
- 一発肥料
- ハイポネックス
- マイガーデン
緩効性肥料は液肥と違い、生育途中にたびたび肥料を与えずに済むのもメリットです。しっかりあなたの育てている植物を理解・把握し、より良い育て方を考えていくことが重要です。
ぜひ緩効性肥料を活用して、植物を上手に育てていきましょう。
コメント