農業で農産物を育てるのにどんなイメージを皆さんは持っているでしょうか。
手間がかかる、自然環境によって左右される、農産物の知識がいる、こんなところが思いつくのではないでしょうか。
実際農業では経験や知識が非常に大切な分野です。
先人の知恵と言われるように農業はその土地にあった栽培や季節に合わせた栽培や飼育についてきちんと学んでいかなければいけません。
しかし、農業では高齢化が進み新規就農者が減少していることからこういった先代からの経験が引き継がれなくなってきています。
そのため、国では農業の教育に力を入れるために農業教育の推進を行なっています。
この農業教育の推進として農業高校や農業大学について紹介をしています。
他にも農業経営力や指導力強化のための研修など農業に関わる教育について現在の農家や、若者に少しでも農業に興味を持ってもらえるように力を入れています。
実際に農業高校や大学がどんなカリキュラムを行っているのかについても触れていきながら農林水産省が農業教育の推進として紹介している内容について紹介していきます。
農業教育の推進
農業教育の推進のために農林水産省のホームページでは7つのことについて紹介しています。
1.農業高校等の紹介
2.農業大学校等の紹介
3.農業高校・農業大学校等の優良事例
4.農業大学校等におけるスマート農業教育
5.農業経営力や指導力強化のための各種研修
6.農業教育高度化の支援
7.農業⾼校や農業⼤学校の学⽣の活躍
これらについて紹介しています。
特に若者が農業に興味を持ってもらえるように農業を学ぶための手段をメインに取り上げています。
ここからはそれぞれについて説明と解説をしていきます。
参考、引用元:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/
1.農業高校等の紹介
農業は高齢化によって平均年齢が68歳と高齢となっています。
その中で未来の担い手を増やすためにも農業高校のカリキュラムは今後農業業界に若者を増やすためにも内容が充実している必要があります。
そこで農業高校について現在どうなっているのかを紹介いたします。
農業高校は全国に約300校存在しています。
農業高校でも近年の就職、就農に即した特徴的かつ実践的な授業内容で女子人気が高まっているほか、グローバル化、経営力強化に取り組む農業高校が増えています。
生徒としては約8万人の生徒が学んでいます。
農業高校で学べる内容として植物、動物、食品、地域環境などについて、基礎的な知識や技術、その活用などを学ぶことができます。
他にも農業実習などの実践的・体験的な学習や生徒自らが課題を発見、解決方法を模索するプロジェクト学習などに取り組んでいます。
国では、農業学生が活躍できるように色々な大会や企画を行っています。
その中で優秀な成績を収めることができた学生(学校)を農林水産省のホームページで紹介しています。
どんなものがあるかは下記のようなものです。
1.日本金融政策公庫において、若者の創業マインド向上を目的に、 全国の高校生・高専生(1〜3年生)を対象としたビジネスプラン・グランプリを開催。
- 農林水産省は「ディスカバー農山漁村の宝」として、農山漁村の有するポテンシャルを引き出すことにより地域の活性化、所得向上に取り組んでいる優良な事例を選定し、全国への発信を通じて地域へ横展開をはかる取り組み。
3.都道府県大会、地区ブロック大会を勝ち抜いた代表校が、全校大会に出場し、日頃の農業クラブ活動の成果を発表する「プロジェクト発表会」や将来の抱負や農業に関する自分の考えを発表する「意見発表会」の開催。
2.農業大学校等の紹介
道府県の農業大学校は、農業経営の担い手を養成する中核的な機関として、全国41道府県に設置されています。
農業大学では3つの学習課程があります。
それぞれの課程で学ぶべきことができる内容と受講できる対象者が違いますので、こちらも紹介いたします。
養成課程
対象者 高校卒業程度の学力を有する方
標準的な履修時間 2年間 2,400時間(80単位)以上
教科 分野に応じた専門課程(稲、畑作物 、野菜、果樹、花き、 酪農、肉牛、養豚、養鶏など)
学習の方法 講義、演習、実験と実習がおおむね半分ずつ
研究課程
対象者 農業大学校養成課程卒業生や短大卒業者
標準的な履修時間 2年間 2,400時間(80単位)以上(※1年間の学校もあります。)
教科 分野に応じた専門課程(稲、畑作物 、野菜、果樹、花き、 酪農、肉牛、養豚、養鶏など)
養成部門で学んだ学習内容をさらに深め、高度な農業技術や経営能力等を養成
学習の方法 講義、演習、実験と実習がおおむね半分ずつ
研修課程
対象者 技術・知識の向上を目指す農業者の方や就農を希望する方
標準的な履修時間 1年以内(コースにより異なります。)
教科 各分野ごとにコースが設置(農業技術、農業機械操作、経営管理、農業体験など)
学習の方法 受講者の経営の発展段階、受講者のニーズ等を踏まえて学習を実施
大学では高校よりも専門的なことが学べることは当然ですが対象者の幅も広いため受講できる対象者の幅も広くなっています。
また、学ぶ期間が1年間と少ない教育課程で修了することもできるものもあるため短期間で農業を学びたいと検討している人には知識的な面を素早く身につけることができるので農業大学で学ぶことも有効だと思います。
3.農業高校・農業大学校等の優良事例
農林水産省のホームページでは、全国各地で頑張っている農業高校や農業大学校等のみなさんを応援するために、それぞれの活動や取組を紹介しています。
一例として栃木県立鹿沼南高等学校の取り組みについて紹介いたします。
栃木県立鹿沼南高等学校では、農業高校初のサツキ盆栽のEUへの輸出に成功しました。
取り組みとして平成27年から輸出に向けたプロジェクトを開始し、鹿沼市花木センターや地域のサツキ生産農家から輸出ノウハウを学び、さらに帝京大学の協力を得て苗木を短期間で簡易に生産する方法を研究しています。
植木・盆栽の輸出には検疫がつきものですが、度重なる植物防疫所での検疫を受けそこから合格したものをドイツのバイヤーが20本を選抜。輸出することに成功しました。
このように農業高校性が農業高校を通じて成果を上げています。
「農水省・農業経営者net」ではこの他にも各地方の農業高校での優秀な事例がのっていますのでどんな内容か一度みてみて下さい。
4.農業大学校等におけるスマート農業教育
就農者数の増加を目指す中でもより効率的に農業を進めていけるように農業の機械化による効率化を目指しています。
そのためスマート農業を増進するために現代は、スマート農業を向上するために補助金などの政策をとっています。
しかし、スマート農業を浸透させていくためには知識を学ぶ必要があります。
そこで農林水産省では、農業大学校等の農業教育機関でスマート農業のカリキュラム化を推進するため、オンラインで受講できるスマート農業教育コンテンツを作成しています。
全国の農業大学校や農業高校等における授業や自習での活用だけでなく、スマート農業に興味のある農業者等、誰でも閲覧して学ぶことができます。
動画教材は大きく分けて2つです。
1.スマート農業の必要性と意義、データ活用の意義、先進事例などの紹介
2.施設園芸におけるデータの種類や取得方法、活用方法等をドラマ仕立てで分かりやすく解説
この2つは農林水産省のページから動画を閲覧することができます。
農業のスマート化は今後の農業業界では必ず必要になってくるため農業の教育としてもぜひこちらのURLから一度閲覧してみてください。
https://www.maff.go.jp/j/keiei/nougyou_jinzaiikusei_kakuho/smart_kyoiku.html
5.農業経営力や指導力強化のための各種研修
農業でも今後さらなる経営力と次世代を育てるためにきちんとした指導力を身につけていかなければいけません。
これは近年農業に新規参入する企業が増加してきているため個人経営者は今まで以上に経営力高めていく必要が出てきたからです。
新規参入する企業が増加したのは農業への参入が国制度によって入りやすくなったためです。
そのため規模が大きい企業ではある程度の経営ノウハウなどがありますが、個人では難しいところがあります。
そのために農林水産省では学生以外にも色々な研修や支援制度があります。
1.農業経営塾
地域の農業者が営農しながら体系的に経営を学ぶ場として農業経営塾を開講しています。
高度な経営力や技術力等を習得し、今後の農業界を牽引する優れた経営感覚を備えた担い手の育成を図ること等を目的としています。
2.農業教育機関の教員等を対象とした研修
地域の農業教育機関の教育内容の高度化や地域農業リーダーとなる農業経営者の育成に向けて、研修機会の充実を図るため、道府県立農業大学校等の農業教育機関の指導者向けの研修、学生向けの研修の開催を支援しています。
3.若者の就農意欲を喚起する取組への支援
大学生や高校生等の若者の就農意欲を喚起するため、地域の農業関係者と教育関係者が一体となって、若者に先進的な農業経営を知る機会、先端的な技術を学ぶ機会等を提供する取組を支援しています。
このように知識として農業を学ぶ場の提供ではなく、指導者を育てることにも力を入れています。
農業は経験や技術を伝えていくことも多いため人に指導する力も必要になってくるためです。
6.農業教育高度化の支援
こちらでは若者が農業に魅力を感じて農業を目指してもらえるように農業教育の高度化を支援しています。
農業人材力強化総合支援事業のうち農業教育高度化事業
農業大学校、農業高校などの農業教育機関における農業教育の高度化を図るために下記の2つを支援しています。
1.全国段階において、農業教育機関の指導者や学生等を対象とした研修等の開催、オンライン研修等の実施を支援
2.各都道府県が作成する「農業教育高度化プラン」の実現に向けた取組を支援
農業もグローバル化が進み、世界の農業から学ぶこともどんどんしていかなければいけません。
そのためには農業教育の向上と教育レベルを上げるためにこのような支援がされています。
世界では日本と同じように生産性が低かった地域が現在はスマート農業の取組によって輸出が世界ランキングでもTOP3にまで登ったオランダがあります。
このように世界の農業事例から学ぶことで日本の農業も推進させることができるはずです。
7.農業⾼校や農業⼤学校の学⽣の活躍
全国の農業大学校等においては、将来の農林業・農山村を担うべき人材を育成することを目的としています。
農業大学ではプロジェクト学習を基調とした実践教育が行われており、経営の改善や科学的技術、知識の習得を行っています。
発表会の開催目的として日頃の学習生活成果から農業に取り組む自信と誇りを培うために開催しています。
このように、農業の学生が農業にやりがいを感じ、これからも農業に携われるような機会作りをしています。
まとめ
ここで紹介したように農林水産省では、農業の教育の質を高めることや指導者の力をつける取り組み、若者に農業に興味をもってもらえる体制作りをしています。
7つの取組においても、農業に進んだ若者に今後就農してから困らないように実践的な教育や進学後も発表会などを通じて目に見える評価としてやりがいをさらに感じてもらえる取組をしていることがわかります。
農業は新規就農の減少から若者の就農を望んでいることはもちろんですが、若者の教育だけではいけません。
取組の中であったように指導力がある人材の育成にも力を入れていかなければいけません。
現在農業を行なっている農家でも若者の就農だけではなく新規就農者の受け入れ体制として指導力について学んでいく必要があります。
これから農業について学びたいと思っている人は、この記事でも紹介したように農林水産省のホームページからより細かい高校や大学、カリキュラムが掲載されていますので一度見てみることをお勧めいたします。
参考、引用元:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/
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