鋤床層とは?わかりやすく解説してみた!

鋤床層 解説

突然ですが「鋤床層」という言葉をご存じでしょうか。また、「鋤床層」を読める方はどれくらいいるのでしょうか。

農業をやっている方は恐らくご存じであるであろう、大事な言葉ですね。
農業に縁のない、またはベランダでのプランター栽培をやっている方は恐らく聞いたことはない言葉だと思います。
「鋤床層」、これは土壌の層を表す言葉で、「すきどこそう」と読みます。
本記事では水田の土壌を解説し、さらに「鋤床層(すきどこそう)」について詳しく、わかりやすく解説し、記事をまとめてみました。
新規就農を始めようと考えていたり、稲作を始めたばかりの方は覚えていて損はない知識となるかと思います。

土壌についての解説

本題の「鋤床層(すきどこそう)」について解説する前に、まずは土壌というものについて解説することにします。
一言で表すと「地層における最上部のことで、地層の中で一番上にある場所」で、当然ながら私たち人間が基本的に生活しているこの地上、土の上は「地層」の最上部となります。

「土」とは、この地上に出ている部分を覆っている「砂」や「岩」などが風化していったものを指します。
そして「土壌」とは、この私たちが生活をしている場所、最上部のことであり、砂、岩、死骸となった動物や植物が腐敗して風化していったものが積み重なってでできている場所、ということになります。
そのため、「土壌」という言葉は、土壌を構成している「土や砂・岩」などの物質よりも、土壌のある地層の最上位の部分という場所、といった意味が近いでしょう。

「土」と「土壌」ということの違いですが、あまり差異がないように感じますね。
では、土壌と土、はたまた砂とはいったい何が違うのでしょうか。

土壌と土、砂の違いは?

農業を営む上で欠かせないものは土(つち)です。
近年では水耕栽培もありますが、そちらは一旦置いておくことにしましょう。

「土(つち)」とは、「砂・岩、動植物などが風化してできた粒状の物質」を指していて、地質学での用語では「岩石が分解し、それらが崩壊した砕片が集まり、若干の有機物を含んだもの」のことになります。

そして「砂(すな)」は、「土」とは違い、有機物や微生物などが含まれてない岩石の粒であり、保水力や栄養素やミネラルといったものがまったくありません。
栄養素やミネラル分、保水力がないため、農作物を栽培・育成する上では不向きな素材とでも言えるでしょう。
そのため、土壌は「風化したものが積み重なった地表部分」、土は「砂や岩、動植物などが風化して形成された粒状物質」、砂は「岩石が風化して崩壊した粒状物質」というものとして表現できます。

これでもよくわからない方もいると思いますので、もっとわかりやすく解説することにしましょう。
まず、土であれ土壌であれ、「砂や岩・動物の死骸や植物の腐敗したものなどが風化して形成されたもの」ですね。
しかし、「土」は「物質そのもの」を指して、「土壌」は「場所を指すもの」という違いがあります。

こちらのページではこのように表現されていました。

土壌学では「土壌」を「ある場所に存在して、地質、地形、植生、気候、さらには人為的な働きかけ、等の様々な自然条件や環境のもとで生成してきた自然体」としてとらえています。
要するに、「土壌」を「生き物」として見ているわけです。
一方、「土」は「土壌」の意味の他に、粘土、砂、火山灰、鹿沼土、等「土壌を構成するある種の母材(物質)」の意味で使われることが多いようです。

農業研究本部より引用

作土層・鋤床層について

「土壌と土、砂」についてわかったところで「作土層(さくどそう)」と「鋤床層(すきどこそう)」について解説していきます。
水田や田んぼの、人間の目で見ることのできる「表面上で確認できる土壌」の下には、「作土層(さくどそう)」というものがあります。

この「作土層(さくどそう)」は、表層部の下に数センチメートルほどの厚みのある「酸化層(さんかそう)」と、さらにその下に作られる「還元層(かんげんそう)」という二つの層に分けられます。そして、これらの下にある層が、本記事においてメインで解説する「鋤床層(すきどこそう)」となります。

作土層とは?

先ほど、「作土層(さくどそう)」は「酸化層(さんかそう)」と「還元層(かんげんそう)」に分けられるとお伝えしましたね。

土壌は、灌水をすると稲の根は酸素の欠乏後、還元状態になり、次第に酸素が足りなくなるにつれて、土壌中の二酸化炭素・有機酸の量が増えていきます。そして、酸素のない状態で活動する微生物によってメタンなどが生成されていきます。
少し脱線しましたが、作土層について続けます。

作土層とは、鍬や耕運機などの農業機械または道具を用いて、人間が肥料・堆肥などを混ぜ込んだ土の層のことです。

地表からの深さで表し、人間の手によって作られた土の層のことである、とも言い換えることができます。

稲が根を張るためには、この作土層は深いほうが良いですが、その反面、必要以上に深くすると、表層部分に貯えられた肥料分の効力が弱まったり、稲の病害虫が拡散されたりするので、適度な深さにすることが重要です。
一般的には15cm~25cm程度が、作物の根が最も多く張る深さとされ、標準的な作土層の深さとなります。
野菜であれば、根の深く張るダイコン、ホウレンソウ、トマトなどの場合は深め、根の張りが浅いニンニク、タマネギ、キュウリなどの場合には浅めにしますが、作物の根が「最も多く張っている深さ」に肥料を混ゼ込むことができれば必要以上に深くまでする必要はありません。
「作土層」に対して、「有効土層(ゆうこうどそう)」というものがあります。

有効土層は「作物の根が自ら入り込むことができる層」ことで、作土層と同様に地表からの深さで表現し、「鋤床層(すきどこそう)」もこの有効土層の範囲となります。
根が深く張ることで安定して生育できるため、有効土層を深くするためには、作土層よりも下の硬い層に、スコップなどで所々に切れ目を入れればいいため、土全体を混ぜる手間が不要となります。

「酸化層」と「還元層」それぞれについて詳細に知りたい方は下記ご参照下さい。

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鋤床層とは?

この「作土層(さくどそう)」の下にあるやや固い層が、「鋤床層(すきどこそう)」で、「鋤床層(すきどこそう)」は、以下のように定義されているようです。

  • 水田土壌における土層(地層)のことで、田植をするのために、田んぼに水を入れ、土とこねて柔らかくしたり、耕具で土壌に圧力が加えられることによって生成したもの。
  • 土(粘土など)が集まって積み重なり、固く密集しているもの。
  • 作土層の直下にある地層のことで、その厚さは数センチメートル程度のもの。

この層があることで、水田における土壌の耐久性が増し、トラクターやハーベスターなど大型の農業機械が動き回っても崩れることがなく、さらに水田からの漏水が防げるというメリットがあります。

メリットは以下のようになっています。

  1. 汚染された水のろ過
    土の層によって窒素などで汚染された水がろ過され、無害化されて地下水へと戻ります。
  2. 水害など自然災害の防止
    水田や田んぼは雨水をためておくためのものにもなります。
    溜まった雨水は徐々に放出・蒸発ろ過されるため、洪水や土砂崩れなどを防ぐことができます。
  3. 気温の調節
    夏の暑い時期は水田に溜まった水が蒸発するため、気温の急激な上昇を防ぎます。
  4. 地盤の安定化
    水田の水は主に川からひかれたり、雨水も蓄えます。ゆっくりと地下へと浸透させるため、地盤沈下を防ぐことができます。
  5. 豊かな生態系の維持
    水た栄養素、ミネラルが豊富なため、カエル、ドジョウ、トンボなどの様々な生物が住むことができます。

その反面、固くなった地層のために稲の根の成長を妨げられたり、透水性が悪くなるなどのデメリットも出てきます。

田んぼにおける、水の循環について、簡単な図でまとめました。

心土とは?

土壌は、作物の根が良く張る作土層、その下に固い粘土が集まった鋤床層がありますね。
これらの層の更に下にある層のことを「心土層(しんどそう)」とよびます。
心土層は下層土(かそうど)と呼ばれることもあるため、心土層と下層土は同義後ですが、通常は「作土に対しての心土」と呼び、「表土に対してが下層土」と呼ばれることが多いそうです。
この「心土」に対して透水性の改善や作物の下層への生育を簡単にするために、農業機械による「心土耕」や「心土破砕」などの土壌改良がおこなわれます。

「心土破砕(しんどはさい)」とは、農業用地に切り込みを入れ、排水性と保水性に優れた土壌を作る作業のことを言います。
心土破砕をした時、水はけをよくするための疎水材という素材を土壌中に混ぜ込んで、さらに栽培に適した土地にすることもあるようです。

水田の排水性が下ってしまうと、稲の根腐れの原因になります。
そして保水性が下がると根の成長を妨げ、結果的に稲の生長を悪化させることになってしまいかねません。
その場合は収量の減少や収益の減少を招き、損害を受てしまうことが想像できます。適切に心土破砕を行い、土作りや土壌作成を行う必要がありますね。

まとめ

鋤床層について改めてまとめてみましょう。
鋤床層は以下のようになります。

  • 作土層の下にある層のこと。
  • 粘土などで固く密集している。
  • 厚さは数センチメートルである。
  • この層があるおかげで土壌の耐久性を高める。
  • 水田からの漏水を防げる。

このような特徴がある「水田農業において必要な地層のことである」ということがわかりました。

「作土層」からさらに分類される「酸化層」と「還元層」については専門知識や用語が多々出てくるので、この記事では割愛しました。

上述していますが、下記で詳しく書かれているので、興味がある方はご覧になってはいかがでしょうか。

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みんなで農家さん」では国産の無農薬バナナを栽培・販売しているほか、現役農家さんや、これから農家を目指す新規就農の方々へ役立つ記事をご紹介しています。

そちらも良ければぜひご覧になってください。

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