皆さんは「和牛全共(全国和牛能力共進会)」という言葉をご存知でしょうか?
農家の方でもあまり馴染みのない言葉かもしれませんが、5年に1度開かれる和牛のオリンピックとも言われ、国内最大級の和牛の品評会です。
本記事では「和牛全共」について詳しく解説していきます。
農業従事者だけでなく、お肉好きの方もぜひ最後までご覧ください。
和牛全共とは?
「和牛全共」とは、日本全国から集められた美味しい黒毛和牛を一堂に会した肉の祭典です。
和牛のオリンピックとも言われ、各都道府県が選び抜いた最高の和牛が、まるで各国から集まったアスリートたちが競うオリンピックのように、「和牛全共」の会場で競演する様子がイメージできます。
また、参加者たちはその豊富なラインナップから自分好みの和牛を選び、食べ比べたり、味わいを楽しんだりすることができます。
「和牛全共」は、和牛の肉質や風味の違いを知ることができる教育的な側面もあり、肉好きな人々からの支持も高いイベントとなっています。
和牛全共の審査基準
和牛全共での審査基準はおいしさだけでなく様々視点から審査されます。
味の基準:和牛の旨み、甘味、香り、食感、脂の質などを総合的に評価
肉質の基準:霜降り、肉の色、柔らかさ、肉汁の量、肉の輝きなどを総合的に評価
原産地の基準:原産地が示す飼育環境、餌の種類、生産者の技術、管理方法などを評価
その他の基準:生産者の歴史や伝統、飼育方法、安全性、環境保護など、その他の要素も総合的に評価
このような基準をもとに、和牛の味や品質、生産者の技術や情熱を評価し、最高の和牛を選び出す審査が行われます。
また審査基準として「繁殖能力」も基準の1つとなります。
繁殖能力が高いと、母牛がより短いサイクルで子牛を出産することができます。
繁殖能力は経営の効率化に直結する重要な能力とされており、多くの農家は母牛の繁殖能力を向上させられるか、工夫を凝らしています。
審査員は和牛の専門家や料理人、肉好きな一般人など多様な背景を持つ人々で構成されており、公正かつ高い評価が得られるようになっています。
和牛全共大会について
2022年に和牛全共の第12回大会が鹿児島県で開催されました。
10月6日〜10日まで5日間に及び審査され、41都道府県から438頭の和牛が出品され約31万人が来場する賑わいを見せました。
第1回の開催は昭和41年に岡山県で開催され半世紀以上の歴史があるイベントとなっています。
総理大臣も出席されるほどのイベントであり、2027年大会は北海道で開催予定となっています。
和牛全共に集まるお肉
「和牛全共」には、日本全国から集められた多様な種類の和牛が展示されます。
ここでは代表的な種類を3つ紹介します。
黒毛和牛
日本の代表的な和牛であり、全国各地で飼育されています。霜降りの美しい肉質と、深い旨みが特徴です。ブランド牛として知られる「神戸ビーフ」や「松阪牛」などが代表的です。
和種和牛
日本固有の和牛で、古くから飼育されています。
地方によって品種は異なりますが、やわらかい肉質と上品な旨みが特徴です。「近江牛」や「讃岐牛」などが代表的です。
クロスブリード和牛
異なる品種の和牛を掛け合わせて生まれた、新しい品種の和牛です。
一般的には黒毛和牛とホルスタイン種を交配させた「和牛ハンバーグ」などがよく知られています。
また、「和牛全共」では、これらの和牛をさまざまな部位別に展示し、比較することができます。
例えば、肩ロースやヒレ、赤身などの部位を試食しながらその違いを楽しむことができます。
さらに、イベント会場では、これらの和牛を使ったグルメメニューも提供されており、和牛の魅力を存分に味わうことができます。
「和牛全共」ならではの楽しみ方とは?
「和牛全共」には、和牛を存分に楽しむための様々な楽しみ方があります。
お肉を食べるだけでないので、ぜひ参考にしてみて下さい。
和牛の試食
和牛全共において1番の楽しみではないでしょうか?
会場では、さまざまなブランドや部位の和牛を試食することができます。
厳選された最高の和牛を使った料理を楽しみながら、その豊かな味わいや風味を堪能することができます。
和牛の品評会の観覧
会場では、和牛の品評会が行われています。一般的な食肉コンテストと同様、審査員による和牛の評価が行われます。
この品評会を観覧することで、和牛の専門家や料理人などによる評価基準を学ぶことができます。
和牛の展示
会場では、和牛の肉塊を展示しています。
黒毛和牛や和種和牛など、様々な品種や部位を比較することができます。
また、肉の種類や部位によって味わいや調理法が異なるためその違いを学ぶことができます。
和牛のグッズの購入
会場では、和牛に関連するグッズを販売しています。
和牛のポストカードやカレー、キーホルダー、タオルなど、様々なアイテムがあります。
また、和牛に関する書籍や雑誌も販売されています。
和牛に関するトークショーの観覧
会場では、和牛に関するトークショーが開催されています。
和牛の生産者やブランド牛の経営者、料理人などが登壇し、和牛の魅力や肉の使い方、生産技術などについて語ります。
和牛に興味がある人にとっては、貴重な情報を得ることができます。
今回紹介した以外にも様々な楽しみ方があります。
農業従事者にとっては情報交換や人脈の繋がりもできますので、そういった目的で行くのもいいかもしれません。
和牛全共で日本1になるとどうなる?
和牛全共で日本1になるとどういった待遇があるのでしょうか?
「和牛全共」で日本1に輝くと、その生産者やブランドにとって、大きな誇りとなるります。
また、その和牛の評価が高まることでそのブランド牛の需要が高まることが期待されます。
さらに、その和牛を使った料理が注目を浴びることで、和牛料理の需要も高まる可能性があります。
また、国内外から多くの注目を集めることで、日本の和牛産業全体の発展にもつながるでしょう。
和牛産業が成長することで、地域の経済活性化や雇用創出にもつながります。
さらに、日本の和牛が世界に誇る高品質な肉として認知されることで、日本の食文化の発信力が高まるとともに、和牛の輸出拡大にもつながるかもしれません。
つまり、日本1に輝くことはそのブランドだけでなく、和牛産業や日本の食文化全体の発展につながる可能性があるということです。
和牛全共の今後期待すること
今後も和牛全共には様々な期待が寄せられています。
これを機に様々な期待についてご紹介します。
より透明性の高い審査基準の確立
「和牛全共」は、審査基準が非常に高く、その基準をクリアした和牛だけが出品できます。
しかし、審査基準が曖昧だったり透明性に欠ける場合には、信頼性が低下する可能性があります。
より透明性の高い審査基準を確立し、誰でも理解しやすい形で公開することが望まれます。
和牛肉の更なる品質向上
「和牛全共」は、品質の高い和牛肉を競う大会であるため、より良い品質の和牛肉を生産することが求められます。
生産者や業界関係者が、品質向上に向けた取り組みを継続的に行い、より美味しく、より健康的な和牛肉を提供することが期待されます。
国内外への更なる発信
「和牛全共」は、日本の和牛肉の品質を訴求する場でもあります。
特に海外への更なる発信が求められます。
海外においても、「和牛全共」のような競技会や展示会を開催し、日本の和牛肉をPRすることで、和牛の輸出拡大につながる可能性があります。
消費者への啓蒙活動
和牛肉は高価なため、多くの消費者にとって手が届かない食材の一つです。
今後は、和牛肉の魅力をより多くの消費者に伝える啓蒙活動が求められます。消費者が和牛肉に対する知識や理解を深め、価値を認識することで、和牛肉の需要が拡大することが期待されます。
地域経済への貢献
和牛の生産は、地域の経済活性化にもつながります。
和牛の生産地域の魅力をより多くの人に伝え、地域経済に貢献することが求められます。
農業界の発展
和牛全共の開催の意図には農業界の大きな発展も求められているといってもいいでしょう。
特に食料自給率の低下や人口不足など大きな問題を抱えている農業では、若い人たちにも農業に興味を持ってもらうキッカケとなります。
また5年に1度の和牛全共への入賞を目指して、農家が切磋琢磨しながらより技術を磨くことで農業の底上げになることにも繋がります。
まとめ
本記事では「和牛全共」の特徴や大会の趣旨など解説しました。
これからの農業の発展にもこういった大会は1つのモチベーションにも繋がるため、積極的に開催するべきかもしれません。
また畜産農家だけでなく、様々な農家がこういった大会を通して人脈を広げよりスキルを磨くためにもこういった大会に注目していきましょう。
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