美白美人…ならば男性にとって嬉しい存在ですが、ハクビシンというネーミングの動物がいます。
あまり馴染みの薄い名前でしょうが、農業においては害獣に当たる動物です。
ただいま、ハクビシンによる被害が目に見えて増えてきています。
もっとも、ハクビシンの農作物被害は昔からあったのですが…。
個体数の増加や野生化したハクビシンが自然界でエサを十分に得られないことから、
人里に出没してきているのです。
農作物を荒らし回る被害が全国において多発しているのです。
ハクビシンの生態と対策を十分に知り、農作物への被害を防止しましょう。
目次
1.夜に暗躍?ハクビシン
2.甘党害獣ハクビシン!果物がターゲット!
3.ハクビシンの生態と対策
3-1.ハクビシンの生態とは?
3-2.ビリビリッと撃退!電気柵の威力!
3-3.電気柵を使用する上での注意
3-4.電気柵に関する法律上の扱いとは?
3-5.設置後の注意点
4.捕獲時の注意点
5.まとめ
1.夜に暗躍?ハクビシン
「ハクビシン?そんな動物…見たことないけど」となるのも無理はありません。
なにしろ、ハクビシンは完全な夜行性なのです。
つまり、昼間に人間が見かけるということ自体がほとんどないのです。
ハクビシンという動物がそもそも、どんな姿をしているのか知らない人も多いでしょう。
…仮に見かけたとしても、猫と風貌が似ているため、
野良猫と勘違いしてしまう人が多いのではないでしょうか。
ハクビシンの大きな特徴としては夜行性であることに加えて、
とても身のこなしが軽やかな動物ということなのです。
なにせ、ほとんどの時間を木の上で生活しているのです。
そのため、ジャンプ力やバランス力に優れています。
電線のような細いロープ上の場所でも身軽に行動できるのです。
さらには、猫のように体が柔らかいので、
ちょっとした隙間で自由に通り抜けてしまうのです。
農業の被害以外にも、住宅の中に入り込んで住み着いてしまう…
という被害事例も多く見られます。
2.甘党害獣ハクビシン!果物がターゲット!
ハクビシンは基本的には雑食性のため、なんでも食べます。
その中でも大好物は果物。なかなかの甘党というわけですね。
そのため、農作物への被害は果物畑に集中しているのです。
食い荒らされている農作物は以下の通りです。
<ハクビシンのターゲットになりやすい農作物>
・リンゴ
・サクランボ
・スイカ、メロン
・イチゴ
・ぶどう
・桃
・梨
・ミカン類
・柿
以上に挙げた他にも、芋類を好んで食べます。
そのため、サツマイモやジャガイモにも多くの被害が発生しているのです。
3.ハクビシンの生態と対策
3-1.ハクビシンの生態とは?
ハクビシンの生態から、対策を考えてみましょう。
先ほど解説しましたが、ハクビシンの特徴としては…
「木登りが得意」「狭い隙間でも自由に通り抜けることができる」「体が柔らかい」など。
…そしてもうひとつあるのです。
それは、「電気ショックが苦手」という特徴です。
被害防止の対策のためにも生態はおさえておきましょう。
「木登りが得意」「狭い隙間でも自由に通り抜けることができる」「体が柔らかい」。
このことからも「ネットなどで畑を覆っただけでは効果が薄い」ということが考えられます。
もしネットを使った被害防止を使うのであれば、
ハクビシンの通り抜けることが出来ない隙間を作る必要があります。
ハクビシンが通り抜けられる限界とされる隙間は6センチ以下。
隙間をこの程度にして、しっかりと防御する必要があるのです。
…しかし、それでも完璧な被害対策ということはできません。
ネットでの対策はハクビシンに対してはイマイチなのです。
「ハクビシンがとても苦手としている電気ショック」
を活用する方が効果的な対策といえることがわかります。
3-2.ビリビリッと撃退!電気柵の威力!
農業用の害獣対策アイテムとして、「電気柵」が販売されています。
ハクビシンやアライグマ、アナグマなどを撃退するために有効な対策です。
それほど設置は難しくありません。
価格的にも高くて10万円程度。
大切な農作物(特に果物)を守るためには有効な投資とも言えます。
ハクビシンが身軽にジャンプをしたり、
高いところに登ることができる習性を利用した対策です。
電気柵は少し高いところに設置するのが効果的だとされています。
さらに、1本ではなく3本以上張り巡らせることにより、
あらゆる高さでハクビシンに電気ショックを与えることができます。
設置の詳細につきましてはこちらの資料をご覧ください。
※農林水産省 平成27年8月 電気柵安全対策パンフレット
電気柵のイメージは、プロレスやボクシングの試合が行われる「リング」を
想像すると良いでしょう。
リングの四方に張られているロープが電気柵です。
そこに電気が通っている電気柵が、
ハクビシンをビリビリッと刺激を与えて追い払ってくれます
3-3.電気柵を使用する上での注意
電気柵は、確かに自分がその場にいなくても獣を追い払ってくれる便利な鳥獣対策法です。
しかし、この電気柵によって痛ましい事件がありました。
2015年7月19日、静岡県西伊豆町で、
不適切に自作された電気柵が破損によって電線が水に浸かった状態になり、
川で遊んでいた7人が感電し、そのうちの2人が死亡するという事故が起こりました。
…この電気柵には安全装置がなかったのです。
電気柵は、常に自分が見ていられない場所に設置する対策です。
さらに常に電気が流れているのです。
そのため、自分が見ていないときであれば、誰が触れるかわかりません。
無自覚のうちに加害者になってしまうというケースもあります。
「破損があれば」このような事故の原因にもなってしまいます。
設置する際はもちろん、設置した後も破損などがないか日々確認と点検をしなければなりません。
近年は田舎暮らしブームの影響もあり、
その土地に新しく加わった人が農業をスタートするケースがたくさんあります。
その際に、鳥獣対策として「比較的気軽に設置できる」電気柵を選ぶ人が多いのです。
ですが、電気柵は気をつけないと上記ような事件が起こる危険性はあります。
常に電気が流れている柵である以上、
自分が加害者になる可能性が常につきまとう鳥獣対策ということは覚えておきましょう。
無自覚に加害者にもなりかねません。
3-4.電気柵に関する法律上の扱いとは?
電気柵は、法律的には「屋外において裸電線を固定して施設した柵であって、
その裸電線に充電して使用するもの」と定められています。
やはり事故が起こる危険性はあるので、使用できるケースは限定されます。
〈使用できるケース〉
・農地や牧場などにおいて、野獣の侵入防止
・牧場などにおいて、家畜の脱出防止
・上記2つの場合に限り、感電や火災のおそれがない用に施設する場合
つまり、農地や牧場以外で使用することは許されてないのです。
例えば、人間の泥棒対策等の目的で設置するということは禁止されています。
あくまで害獣対策。
通電することで、テレビやラジオ等の電波に影響を与える目的があってもNG。
当然ですが、感電や火災の危険性があるのは論外となります。
ここまでを踏まえて、電気柵における細かな法律上の扱いを解説しましょう。
〈電気柵の法律上の扱い〉
・通常の商用電源(AC100ボルトまたは200ボルト)を直接電気柵に使用は不可
上記のような電源を使う場合やACアダプタを使う場合、
電源には漏電遮断器を接続する義務が法令で定められています。
また、商用電源を使用する機種には電気柵を製造したメーカーが、
PSEマークという物を表示する法律上の義務があります。
もっとも、これはメーカー側の義務ですが、実際に使用する設置者の方でも、
このマークがあるかどうかは要チェックです。
・電気柵には周囲から見やすいように、電気柵が存在することや危険である旨を明記した表示板を設置する
表示した後も、周囲の農作物や雑草などで隠れてしまわないように要注意!
3-5.設置後の注意点
電気柵は、まず設置する場所に要注意。人から視認しにくい場所は厳禁です。
前述したように、警告用の表示版を掲示する必要があるので、電気柵の存在がわかる場所にしておきましょう。
また、水路や川の周りは避けるようにしましょう。設置した後であっても点検が必要です。
電気柵は、その頑丈さで鳥獣の侵入を防止するものではありません。
つまり、大きな動物が激突してしまえば、破損して漏電します。
定期的に破損箇所がないかをチェックしておきましょう。
前述の警告表示が伸びた草などに隠れては意味がありません。
何より、電気柵の通電部分に下草などが接触していれば、電気が地面に逃げてしまいます。
設置の際にはきれいに下草を刈っておきましょう。
見回りの際にも下草の伸び具合をチェックして、伸びた草は刈り取りましょう。
なお、電気柵には常に電気を流すのではなく、1秒毎など定期的・断続的に電気を流すタイプもあります。
常時通電をしているものよりは安全性が高いのが特徴です。そういった機種を選ぶことも大切なことです。
電気を流す時間帯の設定にも配慮しましょう。人間が活動する昼間の時間帯には電気を止めておき、夜以降に電気を流すことも有効です。
特にハクビシンは夜行性なので、夜に起動して被害防止策にしましょう。
電気柵は設置する際にも設置した後にも注意と労力が必要な鳥獣対策と言えます。
4.捕獲時の注意点
ハクビシンを撃退するだけの対策ならば、繁殖がさらに進むといつかは被害が再発する可能性もあるのでは?と思われる方もおられるのではないでしょうか。
撃退ではなく、むしろ駆除してしまいたい…そんな方もおられるでしょう。
そんな場合は、捕獲という手段を取りましょう。
ハクビシンなどの大きさの動物を捕獲するための「箱罠」が販売されています。
その中にハクビシンの大好物である「甘い果物」を置いて、
ハクビシンの通り道に設置しましょう。高い確率で捕獲することができます。
しかし、罠を使って野生動物を捕獲する場合には鳥獣保護法という法律によって免許が必要になります。
法的な問題については最寄りの市町村に問い合わせましょう。
さらに、捕獲の場合は殺処分することになります。
そのことを前提に捕獲をしましょう。
別の土地に放すなどということをすれば、
今度はそこに新たなハクビシンの被害が発生することになります。
ハクビシンを放つのは、絶対に厳禁です。
5.まとめ
今回は「ハクビシン被害防止」を解説しました。
聞きなれない名前の動物ですが、放っておくと被害が拡大するばかりです。
有効な対策としては電気柵になりますが、設置する際には注意をする必要がありますね。
捕獲にも許可が必要なので要注意です。
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