ディスカバー農山漁村の宝!特徴とメリット、その事例

ディスカバー農山漁村の宝

この記事を読んでいる方々は、おそらく皆さん全員がそれぞれ別の地域に住んでいると思います。
皆さんが住んでいる市町村、地域には地域ならではの美味しい「食べ物」や「食材」、「風景」などがあると思います。
自分たち自身では特に意識していないものでも、実は他の地域、地方にはないことが多々ありますよね。
それらの地域にあるものは、上手く活用してたくさんの人に知ってもらうことという行動は、地域にとって様々な恩恵やメリット事があります。
今回は「ディスカバー農山漁村の宝」というテーマを軸に、その特徴やメリット、事例をまとめていきたいと思います。

ディスカバー農山漁村の宝とは?

ディスカバー農山漁村の宝。
正直、私は素直に「のうさんぎょそん」と呼んでいましたが、それは大間違い。

「農山漁村」と書いて「むら」と読みます。

この「むら」というのは農村、山村、漁村の三つのことを指す言葉になります。
これは農林水産省の取り組みで、「強い農林水産業」、「美しく活力ある農山漁村」の実現のため、 農山漁村の有するポテンシャルを引き出すことにより地域の活性化、所得向上に取り組んでいる優良な 事例を選定し、全国への発信を通じて他地域への横展開を図るものというもの。
これは、よい取り組みや事例を全国に発信することで、ほかの地域における魅力や可能性の再発見につなげたいという側面もあるようですね。

選定対象となる取り組みは、その地域において、新らしい需要の発掘や創造、埋もれていた地域資源の活用を行うことにより、農林水産業・地域の活力創造につながること。
端的にまとめると、
・農山漁村の「地域活性化」「所得向上」をテーマとした活動に関わっている。
・興味がある事業者・自治体職員・学生・個人などで、一次産業、地域商社、観光業、まちづくり、地域コミュニティ形成、六次産業化、特産品開発、産業振興などの取り組みなど。
が対象となり、条件としては以下に該当することが必要です。

  1. 美しく伝統ある農山漁村の次世代への継承。
  2. 幅広い分野・地域との連携による農林水産業・農山漁村の再生。
  3. 国内外の新たな需要に即した農林水産業の実現。

内閣官房、農林水産省の主催で団体部門(「コミュニティ部門」及び「ビジネス部門」)、個人部門でそれぞれ事例を募り、毎年特定期間にかけて募集が行われます。
公募資料から有識者懇談会での審査を経て優良事例が選定され、その中でも特に優良な事例がグランプリもしくは部門賞に選ばれます。

ディスカバー農山漁村の宝の特徴って?

なりよりの特徴は、農林水産省が主催している国家での取り組みということでしょう。
選定を決める有識者懇談会には有識者のほかに官房長官、農林水産大臣、地方創生担当大臣、内閣官房副長官が出席するため、規模が非常に大きく、政界に対して名前を知ってもらいます。
また、年に一度の募集であること、最優良事例であるグランプリのほかにも政策テーマ毎にそれぞれ特別賞が用意さているのも特徴といえるでしょう。

ディスカバー農山漁村の宝のメリットとデメリット

他の地域の参考となるような優れた地域活性化等の取組を募集、優良地区を選定し、選定された地区には、選定証の授与のほか「ディスカバー農山む漁村らの宝」特設Webサイトでの活動の紹介などを通じて、全国的な情報発信を行います。
この取り組みに参加することによるメリットとデメリットを考えてみました。

メリット

  • 地域の特色や名産物、風景などについて改めて深く知ることができる。
  • 良い取り組みや事例を有職者懇談会に取り上げてもらうことで、小さな組織または地方集落でも選定されるチャンスがある。
  • 受賞できることで全国的な宣伝ができる。

デメリット

正直なところ、デメリットらしいデメリットが見つかりませんでした。

メリットでも挙げた通り地域の特色を改めて調べることで、今までは気にしていなかったことなどに対して知る機会ができます。
また、動画配信やSNSを積極的に利用していてすでに宣伝、集客ができている場合は不要に感じるかもしれませんが、インターネットをあまり活用していない方々に対しても宣伝できるチャンスになるかもしれません。

ディスカバー農山漁村の宝の事例

2019年は、この「ディスカバー農山漁村の宝」が開始された過去5回の選定で143地区の事例があります。

宮崎県高千穂町秋元集落の事例

第3回選定のときには、高千穂ムラたび協議会はプロデュース賞という特別賞を受賞しました。
このときは宮崎県高千穂町秋元集落というところで取り組みと行い、この集落の場合は「山間部にある」、「過疎化が進んでいる」という現状がありました。
そこで若者を中心とした事業体制を整え、専門機関とも連携して甘酒やどぶろくを生産したり、川で獲れる川のりや蜂蜜など、希少食材を使いこの集落でしか味わえない料理を農泊や古民家食堂で提供することを始めました。
山間部だからできる、「棚田特有の農業景観」、「地元の神社を活かしたエコミュージアム展開」で、「村(集落)を旅をする仕組みづくり」ということになりますね。
「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」に選定されたため、ラジオ番組やメディアへの出演のおかげで全国の人に高千穂町秋元集落での活動を知ってもらえたということが一番の大きな変化だそうです。
また、その結果として視察の受け入れや講演の依頼、よりたくさんの人に商品・活動内容を知ってもらえ、地域活性化へとつながったそう。他にも、周囲の協力が得られやすくなった、というのはとてもいいことのように思えます。

宮城県大崎市の事例

大崎市という場所は「ササニシキ」発祥の地。
こちらでは新品種を開発し、コシヒカリに押され気味のササニシキ系品種の巻き返しに力を入れています。
その品種は「ささ結(むすび)」という銘柄で、あっさりとした粘り気がある「おにぎり」「お寿司」などの和食に差的であるとのこと。
選定された取り組みは【大崎の米『ささ結』ブランドコンソーシアム】で、仙台の都市圏家族向けに対して、田植えなどの体験イベントを仙台Date fmというFM放送と共催し、大崎地域は、「世界農業遺産」に認定。
新米の時期には、地元の小学校・姉妹都市である東京都台東区の学校給食へ、新米ささ結の提供も行っていたり、酒造とも連携し『純米大吟醸酒ささ結』を開発・販売。すっきりと香りがいいと評判のようで、私も飲んでみたいと思ってしまいました。

岐阜県立岐阜農林高等学校流通科学科(岐阜県北方町)の事例

2020年度は、グランプリに岐阜農林高校流通科学科が選ばれました。
こちらはSDGsに関わる活動の一環として、生産する農作物の農業生産工程管理(GAP)認証取得に着手し、地域農家のGAP取得支援を行ったり、岐阜県へ迎え入れる、東京オリンピック・パラリンピックのカナダ陸上選手団のおもてなしへと結びつける取り組みが評価されました。
同校では、GAPを高校教育に取り入れ、その取り組み、学習、実践により、持続可能な農業を目指しており、GAP認証取得に向けて、農具などのチェック票の作成、場所を指定したり、ベニヤ板で機械、お米、農薬の動線を分け、残さの捨て場も手作りのパイプで整備し、2019年度に「にじのきらめき」というお米の品種でグローバルGAPの認証を取得しました。
また、東京オリンピック・パラリンピックでは、岐阜をキャンプ地とするカナダ陸上選手団へ「ホストタウン岐阜」のおもてなしの1つとしての目標で、瑞穂市発祥の富有柿のJGAP認証を取得し、岐阜県瑞穂市と連携協定し、富有柿を材料に使った柿パスタというものを開発したり、国産コーヒーとしては初のGAP認証を取得して、カナダブレンドの開発・デザートメニューも企画しています。
カナダ陸上選手団には、農林高等学校で生産する米や果物、コーヒーだけでなく、県内からGAP食材、そして県の名産食材を使った料理メニューを考案し、これになわせた伝統の雅楽と巫女による舞踊を織り交ぜた神前結婚式を体験してもらいたいとのことです。

北海道美幌高等学校(北海道美幌町)の事例

北海道美幌高等学校は部門賞のうちのコミュニティ部門に選ばれました。
北海道美幌高等学校では、在来種であるニホンザリガニを守るため、環境省指定特定外来生物であるウチダザリガニを駆除する活動と、捕獲したウチダザリガニの有効活用までを考えた取り組み、地域の子どもたちを対象に環境教育を実施し、地域ぐるみでSDGsへの理解を深める活動が評価されました。
この取り組みは、12年前に鶯沢川で発見されたウチダザリガニを駆除することからスタートし、地域の小学生~高校生、東京の高校生にも来てもらい、活動の発信・駆除のための交流会を開いた結果、完全駆除に向けての広い範囲での活動を行うことができました。
捕獲したウチダザリガニの有効利用法の研究ですが、有機肥料・加工品などのほか、動物園へ提供をすることで、有効利用の研究の幅が広がったとのことです。
他にも網走川水系の水質保全に向けた汚染状況の調査にも取り組まれており、上流の鶯沢川から下流の網走川、網走湖までの環境調査では、水質改善効果のや、生活排水、ゴミ、マイクロプラスチックの問題についても取り組んでいます。

その他の事例

北川村ゆず輸出促進協議会(フレンドシップ賞):世界初の「青果ゆず」の輸出を始め、輸出数量は約3トン(平成25年)から8トン(平成29年)に増加。
株式会社いただきますカンパニー(フレンドシップ賞):畑ガイドツアーの参加者数が150人(平成25年)から2600人(平成29年)に増加。
合同会社のとしし団(ジビエグリル賞):捕獲したイノシシ肉の販売額が100万円(平成27年)から1600万円(平成29年)に増加。
有限会社こやま園:(プロデュース賞):なたまめをなたまめ茶として加工販売し、売り上げが8000万円(平成25年)から1.2億円(平成29年)に増加。

賞を取ることによって、知名度・利益が出たところが多いようですね。

まとめ

「ディスカバー農山漁村の宝」は、その地域に住んでいる人々の目線によっての取り組みを、国家がサポートしてくれることというのがわかりました。
そして事例でも挙げたように実際に売り上げなどが増えている場合が多いようです。
さらに学校としても参加できるという受け幅の広さが魅力的といえます。
「ディスカバー農山漁村の宝」を通して知名度が上がれば、若手が少なくなって過疎化していく地域でも復活のチャンスが見えることでしょう。

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