【畜産】殺処分に対する対応「家畜伝染予防法」

畜産農業では家畜を相手にしているために病気などのやむおえない状況に置いて感染拡大防止のために家畜を殺処分しなくてはいけません。

ニュースなどのメディアでも取り上げられているためご存知の人も多いと思いますが、鳥インフルエンザや豚熱、口蹄疫などにより多くの家畜が殺処分の対象となりました。

しかし、畜産農家はただ殺処分するだけでは経営を行うことができなくなり離農しなくてはいけなくなります。

そこで、国はこういった感染拡大防止による殺処分に対して幾らかの補償金を交付しています。

牛や豚、鶏によって補償金の金額は変わりますがこの補償金の目的は畜産農家の負担を減らすためとしています。

そこで今回の記事ではこの殺処分に対する補償金がどれくらいなのかとこれらの制度について解説していきます。

近年では、新型コロナウイルスの影響もあり感染拡大以外でも殺処分に対して補助金が交付されていますのでこの辺の情勢につていもお伝えしていきますのでぜひ最後まで一読していただければと思います。

「牛・豚・鶏」の病気

感染症として口蹄疫、豚熱、高病原性鳥インフルエンザ等があります。

どれもニュースなどのメディアで取り上げられることがあるため、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

これらの病気は感染後どんどん拡大していくため一つの農家で発症した場合にはきちんとした対応をしたとしても殺処分にすることが多くあります。

何よりも畜産農家では家畜を多く飼育していることから殺処分に数場合にはかなり多くの家畜を殺処分としなくてはいけません。

そのため、ニュースなどでも何万匹殺処分などといった形で報道することからもどれだけ感染力が強く被害が甚大なのかを全く知らない人は少ないと思います。

畜産農家ではもちろん感染症に家畜がかからないようにきちんとした対応をしなくてはいけません。

そこで殺処分の補償金を紹介する前に家畜伝染予防法について紹介していきます。

家畜伝染予防法

家畜伝染予防法とは、文字の通り家畜の伝染性失病の発生の予防と蔓延防止により畜産の振興を図ることを目的とする法律です。

大きく分けて6つのことが定められています。

1、家畜の伝染性疾病の発生を予防するための届出、検査等

2、家畜の伝染性疾病のまん延を防止するための発生時の届出、殺処分、移動制限等

3、家畜の伝染性疾病の国内外への伝播を防止するための輸出入検疫

4、国・都道府県の連携、費用負担等

5、家畜の所有者が遵守すべき衛生管理方法に関する基準(飼養衛生管理基準)の制定

6、生産者の自主的措置

引用元:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/eisei/e_koutei/kaisei_kadenhou/kaiseir2.html

この家畜伝染予防法で定められている内容は国内の流れとして、

予防→発生→対応ですが、予防として1.3.5.6.が該当します。

発生では、発生後2.4.が該当します。

対応については、2.4.はもちろんです5.6.がきちんと行われていたのかなども含まれてきます。

海外からの発生防止においては、国内外での協力が必要不可欠です。

つまり、輸入または輸出される動物および畜産物等の検疫については、家畜衛生上安全な物のみを輸出入させてわが国への家畜の伝染性疾病の侵入防止を図るとともに国際動物検疫に寄与するために行うことが必要です。

家畜伝染予防法では輸入の取り扱いについても定められています。

引用元:農林水産省https://www.maff.go.jp/aqs/hou/36.html

もし家畜の伝染病が見つかった場合には防疫措置を国内での取扱に準拠して実施します。

国内防疫に関する規定との違いとしては、国内防疫では家畜を主対象としつつ、家畜の伝染性疾病の発生した場合にはその病原体に汚染しているおそれのある物もすべて防疫措置の対象とすることとされています。

しかし、輸出入についての第4章では家畜の伝染性疾病の病原体を拡散するリスクに応じて、家畜に限らず当該疾病に感受性のある動物のほか骨、肉、皮、毛等を検疫対象として個別に明示しています。

もう少しわかりやすく説明すると国内では伝染病が発生した場合には感染している可能性があるもの全てが対象となり、輸出入については個体ごとになるということです。

殺処分に対する手当金

ここからは殺処分に対する手当金について分かりやすくまとめて紹介していきます。

豚の殺処分の手当金

手当金 

患畜:家畜の評価額の3分の1

疑似患畜:家畜の評価額の5分の4

特別手当金

患畜:家畜の評価額の3分の2

疑似患畜:家畜の評価額の5分の1

特別手当金は口蹄疫、高病原性鳥インフルエンザ等の患畜等については、通常の手当金と併せて特別手当金を交付し、評価額全額を交付するとともに、予防的に 殺処分された家畜に対して支払われる補償金のことです。

死体、汚染物品の焼埋却に要した費用に対する交付金

通常、都道府県が焼埋却を実施。

国2分の1、県負担分は特別交付税措置

経営支援互助金

生産者自らが積立を行い、国((独)農畜産業振興機構)が1対1で助成。

    経営を再開する場合に経営支援互助金を交付。

担当:消費・安全局動物衛生課

経営再開に必要な資金の融通

経営再開に必要な資金の融資では担当している課が2つあります。

1.畜産局企画課

貸付対象:飼料費、家畜購入費、雇用労賃などの経費

貸付限度額:個人2千万円、法人8千万円

償還期限:7年以内 (うち据置3年以内)

貸付利率:0.80% (令和3年11月18日現在)

2.経営局金融調整課

貸付対象:経営の維持安定に必要な資金

貸付限度額:経営費の6ヶ月分又は600万円

貸付利率:0.16~0.18% (令和3年11月18日現在)

引用元:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/csf/shien_taisaku.html

この他にも移動制限・搬出制限区域外の農家に対する支援などもありますが基本的には上記に記載した内容の手当が発生農家に対する支援の内容になります。

鶏の殺処分の手当金

家畜伝染病予防費

  1. 殺処分された患畜・疑似患畜の評価額の全額を手当。
  1. 死体、汚染物品の焼埋却に要した費用の1/2を交付(通常、都道府県が焼埋却を実施し、費用は国(1/2)と都道府県(1/2)で負担。)。

経営支援互助金

消費・安全局動物衛生課

  生産者自らが積立を行い、国((独)農畜産業振興機構)が1:1で助成。経営を再開する場合に経営支援互助金を交付。 

経営再開に必要な資金の融通は2つの課に別れています。

1.畜産局企画課

経営再開に必要な資金の融通

貸付対象:飼料費、ヒナ購入費、雇用労賃などの経費

貸付限度額:個人2千万円、法人8千万円

貸付利率:0.80% (令和3年11月18日現在)

2.経営局金融調整課

貸付対象:経営の維持安定に必要な資金

貸付限度額:経営費の6ヶ月分又は600万円

貸付利率:0.16~0.18% (令和3年11月18日現在)

鶏の殺処分の手当も豚と同様発生した農家に対する支援がメインになります。

引用元:https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/shien_taisaku.html

牛の殺処分の手当金

酪農家が生産抑制に協力して乳牛を早期に食肉へと処理した場合、

1頭につき15万円の補助金を交付

今回の1頭につき15万円の補助金は少し特殊なため紹介いたします。

乳牛が増加したのはそもそも「畜産クラスター」があったためです。

この畜産クラスターとはバターが不足し生乳の生産を高めるために国は補助金などの政策をとって大規模な生産増加を促しました。

そこで生産を向上させることに成功しましたが新型コロナの影響によって学校給食がなくなったり、観光客が減少したことで生乳の需要が激減しました。

生乳は長期保存ができないため生産量に対して消費がされなくなり廃棄するしかなくなりました。

生乳を抑制するために国は牛の数を減少するしかないと助成金を出す形で牛の早期削減を政策として打ち出したのが殺処分した場合に1頭当たり15万を交付することになった経緯があります。

減額の対象

家畜伝染病予防法によって手当金と特別手当金を受け取ることができますが、必要な措置を取らなかった場合にはもちろん減額の対象になります。

場合によっては全部又は一部を交付せず、又は返還させることとされています。

減額などの対象になる条件は下記のような条件になります。

1、飼養衛生管理の状況

2、早期通報の実施状況

3、まん延防止への協力等の状況

令和3年度の減額事例としても高病原性鳥インフルエンザでは17事例のうち8農場で減額の対象となっています。

豚熱でも14事例のうち10農場で減額の対象となっています。

どちらの減額でも最大20%が最大の減額になっています。

この最大20%の減額になった農場では基本的な対応がされていなかったことが減額の対象になっています。

減額の対象になっている農場が約半分程度あることからも感染症の予防に対する対応はしっかりと行う必要があります。

まとめ

家畜の感染症は被害が拡大しやすいため適切な対応をしなくてはいけません。

そこで家畜伝染予防にどういった対応をするのかが規則が定められています。

国内での発生した場合と海外から輸入品などでの感染が発覚した場合では家畜の処理方法に違いがあるため注意しなくてはいけません。

国内では発生した場合感染の疑いがある場合には全て処分しなくてはいけません。

しかし、海外の場合には個体によって検査をするため感染の疑いがあってもきちんと検査をして問題がなければ全部を処理する必要はありません。

また、手当金についても牛、豚、鶏によって手当金の金額がことなります。

伝染病により殺処分の場合と伝染病以外の殺処分がありますが金額は基本的に評価額に対して比率に応じて支給されます。

減額される場合もあるため、減額の対象にならないように対応することも大切ですが、まずは家畜が伝染病にならないように日頃から気をつけて管理することが大切です。

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