農業ってどんな仕事?具体的な仕事内容や一日のスケジュールを解説!

農家の男性

皆さんは農業で働く人たちがどのような一日を送っているか想像できますか?「朝早くから畑を耕している?」「閑散期は毎日休み?」など、想像してみても具体的にはどのように毎日を過ごしているか意外と分からないですよね。

一口に農業といっても様々な業種があり、それによってそれぞれ働き方が異なります。この記事では、農業における仕事内容や一日のスケジュール、主な就農パターンなどについて解説していきます。農業の仕事に関心がある方は、ぜひご一読ください。

農家の仕事内容

「農業」とひとくちに言ってもさまざまな業種に分けられますが、ここでは大きく「耕種農業」と「畜産農業」にわけて解説していきます。

種類内容
耕種農業米作農業やそれ以外の穀作農業、きのこ類を含む野菜作農業、果樹作農業、花き作農業、工芸農作物農業、ばれいしょ作農業、かんしょ作農業など土を耕して作物を育てる農業を指します。
畜産農業酪農業や肉用牛生産業、養豚業、養鶏業、畜産類似業、養蚕農業など家畜や蚕を育てる農業を指します。畜産類似業とは、マウスやラットなどの実験用動物飼育業、カナリアや文鳥などの愛がん用動物飼育業、かぶと虫やすず虫などの昆虫類飼育業が該当します。
indeed 仕事図鑑 「農業をはじめるには」をもとに作成「https://jp.indeed.com/career-advice/careers/what-does-a-farmer-do

現在の日本では、国産の生産額の約6割が耕種農業で、残りの4割が畜産農業とされています。農畜産物によって、どのような特徴があるのか見てみましょう。

稲作

日本人の主食であるお米を栽培します。水を張った田んぼに苗を植えて育てる「水田稲作」が主流で、農作業期間は春先から秋頃までが多いです。苗作りや水田の管理など、季節や天候にあわせた細やかな対応が求められます。

露地野菜

キャベツや大根、レタスなど野外の畑で生産される野菜のことを言います。栽培できる品目が多く、大規模化も見込めます。また、他の作物よりも比較的初期投資が少なく済むため、新規就農者に選ばれることが多い傾向にあります。

施設野菜

ビニールハウスや温室などで栽培される野菜のことです。温度・湿度などのコントロールが可能なため、季節に関わらず生産ができます。年間を通して一定の収量が見込めるので、独自にジュースなどの加工品もあわせて製造している農園もあります。

果樹

日本では100種類以上の果物が生産されており、年に一度の収穫に向けて水や肥料を与え、害虫や病気から守るケアを通年で行います。産地ごとのブランド化や加工品の販売など、いわゆる「6次産業化」に積極的な生産者が多いことも特徴です。

花き(花卉)

観賞用として生産される切り花や球根類、鉢物、花壇用苗物などを指します。比較的農地面積が小さく済みますが、様々な品目を組みあわせて栽培することが多く、豊富な技術や知識が求められる分野です。また、品種改良などの育種も盛んです。

畜産、酪農

牛や豚、鶏などの家畜を飼育し、食肉や乳製品、卵、皮革などを生産します。小規模な個人牧場から数千頭を飼育する法人牧場まで、幅広い規模で運営されています。野菜や果樹と比較してコストがかかるため、新規就農で扱うことはあまり多くありません。

農家の一日のスケジュール

農業といえば朝が早いイメージがありますが、実際に他業界と比較して朝が早い場合が多いです。なぜ農家の朝は早いのか、要因は様々ですが、例えば野菜栽培の場合は気温が理由としてあげられます。特に夏場は日中の気温が高いため熱中症になるリスクがあるため、早朝の涼しい時間帯であれば快適に作業ができます。

また、気温が高くなると、ハチやアブなど人を刺す昆虫は、花粉や蜜を集めたり、獲物を求めて活動します。そのような昆虫たちの食事の時間と重ならないためにも、朝の時間帯に作業をするといったこともあります。
更には、一般的に野菜は低温で呼吸が不活発になると鮮度を維持しやすくなるとされているため、早朝の気温の低いうちに収穫することで鮮度を維持することができる面もあります。

では具体的な一日のスケジュールはどの様なものなのか、いくつか例を見ていきましょう。

米・野菜農家のスケジュール

時間内容
4:30~起床、身支度
5:00~始業 田んぼや畑の管理、収穫、出荷調整など
13:00~昼食
13:30~土寄せなど必要な作業
19:00終業
マイナビ農業「農家の働き方って?一日のスケジュールを聞いてみた」をもとに作成「https://agri.mynavi.jp/2020_02_19_108615/

米・野菜農家の場合、田畑での栽培管理以外にも産直店への出荷など、一日を通してさまざまな仕事があります。天候や季節、作物の成長度合いによって行う作業が変わるため、時期によっていろいろな作業を経験できます。

畜産農家のスケジュール

時間内容
6:00~起床、身支度
8:00~始業 豚舎の見回り、給餌など
12:00~昼食
13:00~豚舎の清掃や出荷作業など
17:00終業
マイナビ農業「農家の働き方って?一日のスケジュールを聞いてみた」をもとに作成「https://agri.mynavi.jp/2020_02_19_108615/

畜産農家の作業は、畜舎の清掃やワクチン接種、家畜の子どもの世話など多岐に渡ります。畜産には、家畜に子どもを生ませて育てる「繁殖」と、購入した子どもを大きく育てる「肥育」の2種類があります。両方行っている養豚家は、なかなか農場を留守にすることができないなど多忙ですが、規模拡大によりスタッフを増やすことができれば働き方も変わります。

いちご農家のスケジュール

時間内容
4:30~起床、身支度
5:00~始業 収穫開始
6:30~朝食、家事
8:30~出荷準備など
12:00~昼食
13:00~いちごの管理、出荷など
17:30終業
マイナビ農業「農家の働き方って?一日のスケジュールを聞いてみた」をもとに作成「https://agri.mynavi.jp/2020_02_19_108615/

人気の作目である、いちご。この農家では、観光農園の開業を考えていることもあり、農園のSNSの更新も大切な作業としてやっているとのこと。この農家さんは子育てしながらの就農ですが、子どもたちが起きる前に仕事を片付けることができるのは、会社員にはない魅力かもしれません。

ここでは3つの農家の事例を紹介しましたが、実際には扱う農畜産物によって働く時間帯や農繁期・農閑期のスケジュールが変化することを押さえておきましょう。

農業界の就業規則はどうなっている?

「就業規則」とは、労働者の給与規定や労働時間といった労働条件、職場内の規律やルールなどをまとめた規則のことです。10人以上の従業員を常時雇用する企業に作成の義務があります。

農業は、他業界とは異なるルールで労働基準法が設定されているため、就業規則も一般的な企業と異なります。
では、なぜ農業は一般的な企業と就業規則が異なるのかと言うと、農業は「対自然・動物」の仕事のため、天候や動物の体調、分娩などによって日々の作業が大きく変わるからです。そのため、勤務時間を決めて「1日何時間は働く」といったルール決めが難しく、労働時間、休憩、休日に関する規定について適用が除外されることが認められています。そのため、農園や牧場によって働き方は様々。就農パターンによっても異なってきます。

就農にはどんなパターンがある?

一般的な企業と同じように、農業でも「雇用される」、「独立する」、「既存事業を継承する」といった就業方法があります。

農業法人に雇用される

独立を考えていないのであれば、まずは農業法人で従業員として働くという方法があります。もちろん、将来の独立を考えている方が経験を積むために雇用就農を選ぶケースもあります。

農業法人に雇用されれば月収が支払われるため、収入の安定性を重視する場合はぴったりです。ただ、どの仕事でも共通してつらいことは存在します。雇用就農の場合、最初のうちは体力面でハードだと感じる場面が多いでしょう。独立志向の有無に限らず、農業は「収入の安定性」だけでモチベーションを保つのが難しい仕事ではあるため、将来を見据えて法人を選択する必要があります。

独立して新規就農する

独立して、経営者として農業を行うことを「新規就農」といいます。自らの力で農地や人材を確保し、販路開拓のために営業活動を行う業態です。

新規就農を目指すには、2つのパターンがあります。1つ目は、農業法人に就職して経験を積んだ後に独立するパターン。2つ目は、農業法人への就職をせず、いきなり新規就農をするパターンです。いずれにしても、新規就農にはまとまった資金が必要になってきます。

2017年に発表された全国農業会議所の新規就農相談センターの調査によると、新規就農のために用意した自己資金の平均は232万円でした。ですが、実際に就農して1年目に必要だった金額は平均569万円。想定と実際の間に337万円もの差があったという点は見逃せません。初年度は特に売上が立ちにくいので、初期費用は余裕をもって用意する必要があるようです。

出典:全国新規就農相談センター 新規就農者の就農実態に関する調査結果-平成28年度-

既存農業を継承する

後継者のいない既存農業の事業を継承することも可能です。既存農家は後継者問題を解決でき、後継者は栽培のノウハウや経営方法を教わるだけでなく、農地・機材や販路など経営に不可欠な資産をまるごと継承できるという点で、お互いにメリットがあります。後継者候補を探して求人を出している農業法人もあるので、農業継承が気になる方は求人をチェックしてみましょう。ただし、エリアや扱う農畜産物をあまり選べない点は注意が必要です。

まとめ

いかがだったでしょうか?今回は、農家の種類や一日のスケジュール、就農パターンなどについてお伝えしました。「みんなで農家さん」では、新規就農を考えている方向けの情報を他にも多く発信しております。他の内容も、是非ご覧ください。

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