花芽分化とは?方法や適した野菜など徹底解説!!

みなさんは「花芽分化」という言葉をご存じでしょうか?
現役の農家さんでもあまり馴染みのない言葉だと思います。
この記事では「花芽分化」の基礎知識から方法まで徹底的に解説します!
花芽分化に適した野菜なども紹介しますので、育てている野菜が適していればぜひ参考にしてみてください。

花芽分化とは?

花芽分化とは、植物は発芽後に葉や茎を大きく成長させ、生殖のために花になるような芽を作るようになることを指します。
花芽分化をするには各植物によって条件が変化し、植物自体の栄養状態と気温、日照時間などの環境が大きく関係すると言われています。
自然にある植物は花芽分化をする時期というのは植物の種類ごとに決まっており、これを人工的に操作して、促成、抑制、栽培が行われています。

また花芽分化を植物の中で花を咲かせたい植物と咲かせたくない植物というのがあります。
次の章で詳しく解説します。

花芽分化する野菜の条件

花芽分化には植物によって条件が変化すると説明しましたが、実際にどんな野菜がどんな条件で「花芽分化」をするのか紹介していきます。

条件野菜
一定期間低温にあうと
花芽分化する野菜
大根、カブ、ニンジン、ネギ、タマねぎ、ニンニク、キャベツ、
ブロッコリー、ハクサイ、セルリー、小松菜、パセリ、ナバナ、
ソラマメ、エンドウ、イチゴ
一定期間高温にあうと
花芽分化する野菜
レタス、ニラ
短日(日の長さ)で
花芽分化する野菜
シソ
長日で花芽分化する野菜ほうれん草、春菊、ジャガイモ

表を見てわかるかと思いますが、低温で花芽分化をする野菜が多いことがわかります。

また花芽分化をする野菜を紹介しましたが全ての野菜が花芽文化をすると良いとは限らないのです。花芽がつくということは、それまで根や茎に移動していた養分が花芽に移動するようになります。

例えば、ブロッコリーは花蕾ができるころから地上部の重さ、特に花蕾の乾物重が増加しますが、葉や根は逆に変わります。
つまり根菜や葉菜では収穫する「根や葉」に養分が行かないので品質が悪くなります。
ダイコンやキャベツ、にんじんや白菜などは花芽分化が進まないように品質管理をします。

一方でトマトやナス、ブロッコリーなどの果菜や花菜では積極的に花芽をつけさせるとともに葉茎を旺盛に発育させることがポイントとなります。

花芽分化の仕組みと抑える方法について

先程、花芽分化をする条件は様々な要因があると解説しました。
では実際にどのような要因で花芽分化が行われ、花芽分化を抑えるにはどうすれば良いのかを紹介します。
まずポイントは3つで、
①温度
②日の長さ
③栄養

これらが花芽分化の要因になると覚えておきましょう。

低温と高温の作用について

秋に植える野菜の多くは花芽ができるには低温にあたる必要があると言われています。
これを「春化」と言います。
白菜や大根は発芽しかけたタネが0〜5℃くらいの低温にあたるとその後、花芽ができます。

また玉ねぎやブロッコリー、にんじんなどは一定の大きさにならないと約5〜10℃の低温に反応ができないのです。
また紹介したどちらの野菜も低温を受けた後に25℃以上の高温にあたると花芽はできなくなります。
植物によって栽培地に適した品種を選ぶことが重要になります。

日長の作用について

2番目のポイントとなる日の長さについてです。
日長によって花芽分化に時期が左右される性質が光周性です。
秋の短日期や遮光などである程度、日長を短くし10時間程度にすると花芽を形成するのがイチゴやシソなどの短日植物です。
例えばイチゴでは早く花芽をつけさせるには遮光して日長を短くし気温を15℃くらいにしてやるのが効果的だと言われています。

逆に花芽がつけるのを遅らせてあげるには、日長の長くしてあげることで遅らせることができます。秋にハウスのイチゴ栽培で照明をしているのは、花芽ができるのを遅らせているのです。

栄養について

最後に栄養について解説します。
ここでの「栄養」は花芽をつけるために必要な栄養です。
例えば「ナス」や「トマト」ではある程度生育すれば温度や日長に関係なく花芽ができるようになります。
多くの果実をつけさせるには株全体の生育を促進し、充実した良い花芽をつけさせることが大切です。
この花芽をたくさん増やすには植物体内の窒素成分に対する炭水化物の比率を大きくしてやることが大切だと言われています。


【事例】イチゴの花芽分化を促進する方法とは?

ここまで花芽分化の方法などをしてきましたが、あまりピンと来ていない方もいるかと思います。そこで実際にイチゴ」に例えて花芽分化の促進の方法などを解説します。

イチゴの花芽分化促進のメリット

イチゴの花芽文化を促進するメリットは「相場の高い時期に出荷できる」ということです。
イチゴだけでなく、他の野菜や果物でも需要と供給で決まるため常に変動するリスクはあります。
いちごはその傾向が強く、イチゴの旬である3〜5月は供給過剰気味になり、出荷単価は1年の中で最も低いと言われています。
一方で露地栽培では収穫できない10月〜11月は供給が減ることから相場は高くなりやすくクリスマスケーキなどの需要が高まる12月にかけていちごは安定した高値で取引されています。

つまりこの10月〜12月にかけて出荷できれば1番儲かるということです。
それを花芽分化促進を行えば可能になるというのが、最大のメリットだといえます。

これはいちごに限らずどの植物においても、花芽分化を促進したり、逆に遅らせたりすることでメリットがあるということです

イチゴの花芽分化の条件

花芽分化の条件について先程解説しました。
イチゴだけでなく植物が花芽分化を行うには必要な条件がそれぞれあります。

イチゴが花芽分化をするのに必要な条件は「短日」「低温」「低窒素」の3つの条件が必要になってきます。

ただし日長と温度には相互作用があるとされており、温度が低ければ長日でも花芽分化すると言われています。また具体的な花芽分化の仕方はイチゴの品種(あまおうやさちのか)によって異なりますので注意が必要です。

イチゴの花芽分化を促進する方法とは?

イチゴの花芽促進をする方法について紹介します。
花芽促進は人工的に促進をさせることができ、イチゴのみならず他の植物でも可能なモノもあります。

短日夜冷処理

短日夜冷処理とは8時間程度の短日処理として13℃程度の低温処理を夜のみ行う方法です。
この処理を行うことで、花芽分化の条件である「短日」「低温」の2つの条件を満たし安定した効果を期待できます。
また方法としては苗をプレハブなどの倉庫にしまったり、ビニールハウスに遮光素材をかけたりして後日処理を行います。
また処理温度に関しては冷房などを用いて調整し、花芽分化の促進効果が期待できます。

低温暗黒処理

低温暗黒処理とは12℃前後のの低温で暗黒化することで花芽分化を促進する方法です。
コンテナなどにポット苗を詰めた後には、予冷庫に入れるだけで良いので短日暗黒処理と比較すると「コストがかかりにくい」「省力化に貢献」などのメリットがあります。
ただし低温暗黒処理は窒素レベルが十分に下がっていないと花芽分化が起こりませんので「苗の窒素レベル」には注意が必要です。

間欠冷蔵処理

間欠冷蔵処理とは一度苗を自然条件に戻す処理を複数回繰り返す方法です。
まずは13℃〜15℃をキープした冷蔵庫内に苗を入れ、3〜4日経過後の昼前に別の苗と入れ替えます。
こうした処理を2〜3回繰り返すことで短日夜冷処理と同じような効果を得ることができます。
メリットとしては入れ替えをすることで実質的に冷蔵庫の収納容量の2倍の苗を同時に処理できる点です。

苗の入れ替えに労力はかかりますが、できるだけコストを抑えながら多くの花芽分化を促したい人にオススメの方法といえます。

ここではイチゴの花芽分化について詳しく解説しましたが、花芽分化を促進することは他の野菜や果実でできる場合もあります。
また花芽分化を促進することができれば、早期収穫が可能になり相場の高い時期に出荷できるようになるなどメリットがあります。

ただしメリットがある反面、デメリットもあります。
例えばイチゴの花芽分化促進では、10〜11月に収穫した後で2ヶ月程度にわたって収穫に中休みが発生するなどの問題があります。

まとめ

この記事では花芽分化について詳しく解説しました。
花芽分化は植物によってはしたほうがいい場合、抑えた方がいい場合もあり条件が揃っていないとできない場合もあります。
また花芽分化の促進についてもハードルはそこまで高くはないですが、慎重に行う必要があります。

この記事を読んで花芽分化のことが少しでもわかって頂けたら幸いです。

また「みんなで農家さん」では花芽分化だけでなく、農業に関する情報を掲載しております。
現役農家の方からこれから就農を考えている方に参考になる記事が見つかるかもしれません、ぜひご覧ください。
https://minnadenoukasan.life/

最後まで閲覧いただきありがとうございました。

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