農業の現状についてみなさんはどれくらい知っているでしょうか。
農業業界が衰退している。食料自給率が低い。国内の生産性を向上させていかなければいけない。
この辺の情報は既に知っている人も多いかと思います。
この情報は基本的に農業業界全体を指していますがもう少し農業業界を細分化してみていった時にはどうでしょうか。
農業といっても様々なジャンルがあります。
農作物の生産や家畜の飼育の畜産、果樹や花の生産なども農業に含まれています。
農業は人の生活に関わる食にとても大きく関わっています。
そこで人の生活に欠かせない食からみた時にどのような変化が昔と現在ではあったのでしょうか。
それは食のグローバル化です。
この食のグローバル化によって日本国内の食の消費量は大きく変化を迎えています。
昔は米が主流で米の消費が圧倒的に多かったですが現在は肉の消費が年々増加している傾向にあります。
そこで本記事では畜産に着目して畜産の現状と課題、畜産における基本的な国の基本方針についてまとめて紹介していきます。
私たちの食に欠かせなくなっている畜産物にどんな課題があり、現状はどうなのか。
国は畜産農家に対してどんな方針を立てているのかについて最後まで読んで頂ければ畜産農業に興味がある人にとって知識を深めることができる内容となっています。
ぜひ最後まで一読してください。
畜産の現状を知ろう!!
畜産農家が昔から現在にかけてどんな変化をしてきたのかをまずは知ることが畜産の課題を知るためには一番です。
そこでまずは畜産の現状として食の変化と肉の消費量、食料自給率の変化についての3つについて紹介していきます。
食の変化?
日本の食と言えばなんですか?
こう質問されたらなんて答えるでしょうか。
多くの人が和食を連想するのではないでしょうか。
寿司や天ぷら、すき焼き、うどん、そば、とんかつ、味噌汁このあたりをイメージされ他のではないでしょうか。
しかし、現在私たちが外食や家で食べることが多い物は海外から入ってきたものが多くなってきています。
例えばパスタ、パン、ステーキにハンバーグなど洋食から中華料理に最近では韓国料理やベトナム料理なども多く店舗があります。
家で食事をするときでも和食よりもこのような海外から入ってきた物を食べる機会が増えているのではないでしょうか。
実はこれは既に農林水産省の肉の消費量のデータからも出されている結果で食のグローバル化が進んできている証拠なのです。
消費量のデータから食のグローバル化について知ろう!
消費量のデータからみるといってもいきなりデータを見せられても「わからん」となると思います。
そこでまずどういった流れから変化してきたのか。
その背景を知るとさらにわかりやすくなりますので紹介いたします。
食の変化が起きたのは高度経済成長期(1960年頃〜70年代初め)で、国民の所得水準が増加したことから一人あたりの消費量が増加するようになりました。
その後の安定成長期も低下することなく消費量は順調に増加してきました。
これは経済成長の所得水準の増加はもちろんですが、経済成長に合わせて貿易も盛んに行われるようになり海外の文化が日本に入ってきたタイミングでもあります。
この『海外の文化』の参入と経済成長が合わさったことでこれまでの日本の食文化からグローバルな食へと日本も変化がおきました。
この変化によってまずお米の消費が減少する形になりました。
昭和35(1960)年度と令和元(2019)年度の1人当たりの消費量を比較すると、お肉(牛肉・豚肉・鶏肉)の消費量は約10倍に増加した一方で、お米の消費量は半減しています。
参考、引用元:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/ohanasi01/01-04.html
このように時期とタイミングを合わせて消費量を見るといかに影響を受けているのかがわかります。
畜産の課題
次に見ていきたいのが畜産の課題とは何かについてです。
消費量の変化が起きていることによって畜産においても課題がでてきています。
この課題とは「食料自給率が間に合っていない」ことが畜産農家の課題といえます。
私達が生活している中で肉などの畜産物が足りていないと感じることはほとんどないと思いますがそれではなぜ食料自給率が間に合ってないのでしょうか。
これは、消費量のデータから食のグローバル化について知ろう!でも説明したように食のグローバル化による消費量の変化が大きいためです。
お米の消費量が減少する一方で肉の消費量は年々増加している傾向にありますが、それに対して国内の畜産だけでは補うことができていません。
しかし、私たちがそこまで普段生活している中で肉が食べれないなんて機会はそうそうありません。
そのためあまり意識することもないと思います。
これは畜産の輸入品が多く入ってきているため需要に対して供給が間に合っているためです。
スーパーでも国産のものより安く買えることや飲食店でも外国産の輸入した物を使用してることが多くあります。
そのため私たちは食べられないという状態にはなっていないためあまり意識することもないのです。
食料国産率でいえば47%程度となっており2030年を目標に53%まであげていくことを目標としています。
参考元:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/ohanasi01/01-04.html
ここで47%が高いのではと思う人もいるかもしれませんが、約半分が輸入に頼っている現状を考えると危ないといえます。
これは物価が上がればもちろん輸入品も高くなり取引先の国で何かあれば輸入することができなくなるためです。
輸入に頼っているとこういった外の影響を受けやすく輸入できなくなれば需要に対して供給を満たすことができなくなります。
畜産の基本方針とは
ここまで食のグローバル化による変化と課題について取り上げてきました。
そこで畜産における基本方針と取り組む意義について農林水産省で記載がされています。
基本方針としてはここまで紹介してきたグローバル化と課題についての内容に対しての対応が内容となっています。
具体的には下記の4つになります。
1.国内の高い需要に応じた国産畜産物の供給を実現する
2.戦略的に輸出を行い積極的に海外市場を獲得する
3.生産基盤をより一層強化する
4.次世代に継承できる持続的な生産基盤を創造する
以上の4つが基本方針となっています。
引用元:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/chikusan/kikaku/lin/attach/pdf/rakuniku_kihon_houshin-5.pdf
1.に関してはこれまで説明してように消費量が増加しているのに対して国内生産での供給が追いついていないため国産で供給できるようにしていくための方針になります。
2.についてはなぜ輸入を積極的に行なっていくのか。これはEU向けに輸出される牛肉・乳製品等の関税の撤廃、米国向けに輸出される牛肉の低関税枠の拡大、中国向け畜産物の輸出解禁協議の加速化など、和牛肉・乳製品を中心とした国産畜産物の輸出拡大に向け絶好の機会が到来しているためです。
3.は1.と2.の内容を合わせた内容から生活基盤を強化することにつながります。
国内生産が高まり、輸出量も増加し消費も国内生産で供給を行うことができれば畜産に関わる仕事全体の基盤が高まります。
結果として収益が増え生活基盤はより一層強化していくことになります。
4.は畜産だけではありませんが次世代の担い手が不足しているのが現状です。
担い手不足がこのまま進んでいくと1.2.3.の基本方針を増進していくことができなくなります。
そのため、次世代の担い手確保は必ず必要になってくるのです。
畜産に取組意義とは
畜産は日本で欠かせない産業の一つです。
食に関わる仕事としてはもちろんですが畜産業がなぜ日本で欠かせないのか、取り組みを増進させる意義があるのかについて紹介していきます。
大きく分けて4つの理由から畜産業は必要とされています。
1.持続可能な農業の実現に貢献している。
2.農村地域の維持に貢献している。
3.安全な畜産物を国内に供給している。
4.子供達の教育の場としても貢献している。
参考、引用元:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/chikusan/kikaku/lin/attach/pdf/index-8.pdf
それぞれについて簡単に説明していきます。
1.持続可能な農業の実現として畜産農業は飼料、家畜、堆肥の循環型のサイクルが成り立っています。
2.には土地の利用や畜産に関わる関連産業が広くあるため農村地域の維持に貢献しているのももちろんのこと活性化にも繋がっています。
3.については言わずもですが衛生面をしっかりとしているために安全な畜産物の供給がされています。
4.家畜の飼育について子供達の教育でも活用されることがあります。
他にも生産現場では女性や障害者の人達の場にもなっています。
このように畜産に取り組む意義は食としてだけではなくそれに付随するものもたくさんあります。
まとめ
畜産の現状としては昔よりも食のグローバル化が進んだことによって大きく変化してきてます。
お米の消費量が減少して肉などの畜産物の消費量が増加しています。
この変化によって畜産の現状は国内だけでの生産だけでは足りない状況です。
そのため今後は畜産の食糧自給率を増加していくことが欠かせません。
そのために農林水産省が決めている基本方針や畜産に取り組む意義などは今後の畜産農業にとって非常に大切な方針です。
これからも食の変化は続いて行くことが予想されます。
畜産農業に着目して今回は紹介してきましたが、農業業界の生産性の向上は日本にとって非常に大切なことです。
日本の農業の変化については今後もみていくのが重要です。
コメント