お茶は実は30種類近くあることをご存じでしょうか。
お店で名前が書いてあっても何が違うのか、名前から判断することは難しいですよね。
お茶は日本茶も紅茶も中国茶も、元の木は同じですが、蒸す時間や発酵の程度で味わいや、お茶の色が変わります。
今回は何がどう違うのかをご紹介します。
お茶の木
お茶と呼ばれる飲み物の原料である茶葉ができる木は、カメリア・シネンシスという種類の木で、チャノキとも呼ばれます。
原産国は中国の雲南省と、インドのアッサム地方であり、日本茶と呼ばれるお茶は中国原産です。
中国種の葉は、数センチから10cmほどの大きさですが、アッサム種は長さが20㎝から30㎝と大きいのが特徴です。
カメリア・シネンシスは紅茶や日本茶、中国茶となりますが、麦茶やルイボスティー、グァバティーはカメリア・シネンシスの葉を使っていないので、これらのお茶は厳密にいうとお茶ではなく、お茶風の飲み物といえます。
お茶の種類分け
お茶は発酵の度合いや方法で種類を分けます。
それぞれ発酵をしない不発酵茶、少しだけ発酵する半発酵茶、完全に発酵する発酵茶、菌で発酵する後発酵茶の4種類です。
日本茶と呼ばれる緑茶は不発酵茶、ウーロン茶は半発酵茶、紅茶は発酵茶、プーアル茶は後発酵茶です。
日本茶(緑茶)
日本茶といわれる日本で生産、製造されているお茶は全て不発酵茶の緑茶になります。
緑茶は緑茶でも、種類が多くありよく飲まれる日本茶は煎茶という種類になります。
ほかにも蒸し製玉緑茶、釜炒り茶、抹茶の原料となる甜茶、玉露などがあります。
緑茶は大きく分けて蒸し製と、釜炒り製の2つに分けられますが日本茶はほとんどが蒸し製で作られています。
日本茶の製造工程を大まかに説明すると、茶葉は収穫すると酸化酵素が働き発酵が進みます。
その発酵をとめることで、茶葉の鮮やかな緑色を保つことができます。
収穫した新鮮な茶葉に蒸気をあて(蒸す)、撹乱し(粗揉)、しっかり揉みます(揉捻)。
その後、乾燥させながら揉み(揉捻)、煎茶の形に葉を整えます(精揉)。
最後にまた乾燥させると荒茶と呼ばれる状態になり、その後工場に運ばれ流通される状態に加工されます。
一番茶・二番茶・三番茶・秋冬番茶
一番茶とはその年の一番最初に育った新芽を収穫し作られたお茶のことをいい、それ以降は順番に二番茶、三番茶と呼ばれます。
一番茶は新茶とも呼ばれます。
地域によっては三番茶は摘まれず、秋冬番茶と呼ばれる秋に摘まれ加工されるお茶もあります。
煎茶
緑茶の中で一番飲まれているのが煎茶です。
先ほども説明した製法の最後の工程の精揉で針のような形に整えます。
収穫したばかりの葉を蒸し、形を整え水分含量を下げられるところまで下げて、保存できる状態にすることを荒茶製造といい、一般的な荒茶製造で作られたお茶を煎茶といいます。
煎茶の中でも蒸す時間によって、呼び名が変わります。
一般的な蒸しの時間は30秒ですが、1分を超えると深蒸し茶、90秒以上になると特蒸し茶、140秒以上だと極蒸し茶と呼ばれます。
深く蒸せば蒸すほど、まろやかな味になりうまみや甘味がでて色も鮮やかな緑色になります。
しかし香りも飛んでしまうので、
逆に蒸し時間が20秒と短くなると、浅虫茶と呼ばれ渋くすっきりとした味になります。
玉露
一般的な茶葉の栽培は、日光にあてて栽培しますが、たまに覆いをかぶせて栽培することがあります。
その栽培方法を被覆栽培といい、被覆栽培で育てられたお茶の事を覆い茶といいます。
玉露は新芽が2枚から3枚ほど開き始めた頃に、20日ほど被覆栽培をしたお茶のことをいいます。
日光が当たらないことで、アミノ酸からカテキンの生成が制限され、渋みがあまりなくうまみたっぷりのお茶ができます。
覆いをかぶせる期間が1週間短いお茶をかぶせ茶(冠茶)といいます。
抹茶・てん茶
てん茶とは、荒茶製造のうちの揉捻、乾燥させながら揉む工程の、揉む工程をなくした製造方法で作ったお茶です。
茶葉を蒸し、揉まずに乾燥させ、茎など余計なものを除いた茶葉のことをいいます。
玉露と同じように被覆栽培で育てます。
青のりのような独特な味わいで、茶道のお点前用として主に使われるお茶です。
このてん茶を石臼や微粉砕機で挽いたものが抹茶になります。
以前は樹齢70年から80年ほどの古い木や、逆に3年から15年ほどの若い木などを被覆栽培で育てていましたが、今は被覆栽培をしなかったりなど、様々な工夫が施されています。
玉緑茶(たまりょくちゃ)
一般的な荒茶製造では、最後に揉んで形を針のようにしますが、玉緑茶は揉みません。
なので針のような形ではなく、丸い葉になります。
ムシグリ茶やぐり茶と呼ばれることもあります。
渋みも少なくまろやかな味わいのお茶で、主に九州地方の中部から北の方で栽培されています。
釜伸び茶(かまのびちゃ)・釜炒り玉緑茶
一般的な荒茶製造では、収穫したばかりの葉を蒸しますが、釜伸び茶は蒸さずに高温の釜で炒ります。
炒ったあとに細い形に整えたお茶を釜伸び茶といいます。
釜炒り玉緑茶は釜伸び茶のように蒸すのではなく炒り、玉緑茶のように揉む工程がない製法で作られたお茶のことをいいます。
釜で炒ることやぐりっとした丸い形状から、カマグリとも呼ばれます。
茎茶・芽茶
玉露などの製造過程で、選別機を使って新芽の茎だけを集めたお茶のことを茎茶といいます。
地域によっては棒茶として販売されていて、玉露などの高級茶の茎はかりがねといい重宝されています。
芽茶とは茎茶とおなじように選別機をつかって、今度は芽の先の細い部分を集めたお茶のことを言います。
芽茶は一番茶や二番茶の芽を使用しているため、お茶のうまみを豊富に含み味が濃くでるのが特徴です。
番茶・ほうじ茶・玄米茶
番茶とは、諸説ありますが番外茶から来ているといわれているお茶で、収穫の時期や品質、地域などで日本茶の主流のものから外れたものをさします。
大きく4種類に分けられて、一番茶の収穫のあとに遅れて生えてきた葉を使って作られた品質のよいお茶や、三番茶の収穫をせずに枝を伸ばしたものなどがあります。
ほうじ茶は、煎茶、番茶、茎茶などをキツネ色になるまで、炒ったもので香りが良いお茶のことをいいます。
玄米茶とは、水に浸けて蒸したお米炒り、同量の番茶や煎茶を加え、作ったお茶のことをいいます。
お米が入っていることから、カフェインの量が少なく子どもや高齢の方でも飲めるお茶になっています。
中国茶
お茶の生まれの地ともいわれる中国。
さまざまなお茶の文化を楽しんできた中国には数百種類のお茶が存在するといわれています。
その数百種類のお茶の分類方法もさまざまな方法がありますが、一般的にはどれくらい発酵させるかによって分けられます。
発酵度合が浅い順に、緑茶(リョウチャ)、白茶(パイチャ)、黄茶(ファンチャ)、青茶(チンチャ)、紅茶(ホンチャ)、黒茶(ヘイチャ)となります。
黒茶に関しては、微生物による発酵をさせます。
ウーロン茶は青茶、プーアル茶は黒茶に分類されます。
ジャスミン茶は発酵ではなく特別な加工がされていて、茶葉とジャスミンのお花を何回も重ね、香りを付けたお茶です。
今回は、ウーロン茶、プーアル茶、ジャスミン茶に関して詳しく説明します。
ウーロン茶
日本茶は若い方がおいしいお茶が作れますが、ウーロン茶は若い芽ではなく少し開いた芽のほうが良いとされています。
摘んだあとは晴れていたら天日干しをし、雲っていたら熱風をあてしおれさせます。
その後、茶葉通しをこすり合わせ傷をつけることで発酵を促進させます。
そして発酵具合がちょうどいい頃に炒り、酸化酵素の働きを抑え、揉みます。
揉んで成分がでやすくなったら、布に包み転がすように絞り茶葉の形を整えます。
その後じっくり乾燥させたら、仕上げ工場へと運ばれていきます。
また、ウーロン茶にはいくつか種類があり、それぞれ違いがあります。
鉄観音とは、ウーロン茶の代表的な品種である鉄観音種を特別な加工をしたお茶のことをいいます。
生産量はウーロン茶の中でも5%と少なく、安渓が主な生産地です。
黄金桂とは鉄観音と同じ安渓で生産される種類で生産量はごくわずかです。
黄旦とよばれる種類から作られ、さわやかな味です。
水仙とは、川の向こう側と手前側で生産方法が違う種類で、独特な香りのお茶です。
ウーロン茶全体のおよそ半分の生産量を占めています。
お茶の色が赤褐色で鮮やかな色が特徴です。
色種とはさまざまな種類をブレンドしたウーロン茶で、鉄観音と同じような製造方法なので見た目も似ています。
水仙と同じくウーロン茶全体の半分ほどの生産量を占めています。
ジャスミン茶
中国では、茉莉花(まりか)とよばれ花や果実を茶葉に混ぜ香りを付けた花茶の中でも、クイーンと呼ばれるほど人気のあるお茶です。
日本茶は製造過程で蒸されますが、中国茶では釜炒りされるのが主流です。
炒ったあとは劣化しやすいので急速冷却し、その後は何度も形を整え乾燥するのを繰り返していきます。
ジャスミン茶の花は、中国全国で栽培されていますが、特に福建省で栽培されたお花は香りが強くて長持ちするため花茶に適しているといわれています。
またジャスミン茶は何度もお花を入れ替えて香りを付けますが、日本向けに輸出されるジャスミン茶は最後にお花が追加されます。
ですが中国国内で流通するジャスミン茶は高級なものほど、お花が加えられることはありません。
プーアル茶
プーアル茶は雲南省を原産地とし、ほかの中国茶の製造方法とはちがい、茶葉に微生物を植え付けて発酵させる黒茶に属します。
長期保存ができるので、ヴィンテージもののワインのように年代物には高値がつけられています。
紅茶
紅茶は全世界のお茶の生産量の約70%ほどを占めていて、およそ20か国で生産されています。
紅茶は生産地の気候などによって、品質や香りに特徴があります。
種類の名前はだいたいがその産地の名前が付けられます。
世界三大紅茶といわれるのは、インドのダージリン、スリランカのウバ、中国のキーモンです。
ダージリン
ダージリンは紅茶のシャンパンと呼ばれ、格別な香りを放つ世界三大紅茶の一つです。
インドのダージリン地方で標高2,000mを超える急な斜面で栽培されます。
日中と夜間の気温の高低差により霧がでることで独特の香りと味を出します。
アッサム
アッサムはインドの世界有数の雨量の多いアッサム地方で栽培されます。
4月から11月までが生産期で、甘味がありコクもつよく芳醇な香りが特徴です。
味が濃いのでミルクティーに向いている紅茶です。
キーモン
世界三大紅茶の一つであるキーモン、古典的な紅茶で紅茶のルーツとされています。
生産時期が6月から9月までと短く、ごくわずかしか生産されません。
特に8月に摘まれる茶葉は高品質とされ、異常なほどの高値が付けられることもあります。
古くからイギリス人に愛されたキーモンはスモーキーな香りが特徴です。
ウバ
世界三大紅茶の一つであるウバ、ダージリンと同じく日中と夜間の気温の高低差によって出る霧によって、甘い刺激的な香りが作り出されます。
生産時期は7月から9月と短く、ストレートティがいいといわれていますが、ミルクティでもおいしく飲むことができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回ご紹介したお茶だけでなく、まだまだたくさんの種類があります。
それぞれ製造方法や加工方法が違うことで香りや味が変わってきます。
それがすべて同じ木からできているって不思議ですよね。
これからお茶を選ぶ際、ぜひ少し意識して買ってみてください。
コメント