土壌改善の革命!?バイオ炭を使用した土壌とは?

昔から日本ではより栄養の多く、持続可能な土壌の改善に取り組んできました。
鶏のフンや炭など様々です。
その中で特殊な作り方の炭で使用した土壌を改善するバイオ炭というものが近年注目を集めています。

このバイオ炭が注目を集めているのは、温室効果ガスの削減に有効であることがわかったからです。
本記事では、バイオ炭を使用した土壌改善について詳しく解説していきます。

バイオ炭とは?

バイオ炭とは、有機物を高温で燃焼させることによって作られる炭素質の製品です。通常、農業や林業などの生産活動において発生する農業残渣や木質バイオマスなどの有機資源を利用して作られます。

簡単にいうと「バイオマスから作られた炭」のことです。

バイオマスとは、木や竹、もみ殻、家畜の排せつ物など、生物由来の有機物のことを指します。

バイオ炭は、その特殊な物理・化学的特性により、土壌改善や環境保全において重要な役割を果たします。
例えば、バイオ炭は多孔質構造を持っており、土壌中の水分や養分を保持することができます。
また、微生物の生息地として機能し、土壌中の有益な微生物の活動を促進します。

バイオ炭の特性

バイオ炭は、その独特な物理的・化学的特性によって注目されています。

多孔質構造:バイオ炭は微細な多孔質構造を持っています。これにより、大きな表面積を持ち、水分や栄養素を効果的に吸着・保持することができます。土壌中の水分や栄養素のロックと放出を制御し、植物の生育に適した環境を提供します。

微生物活性:バイオ炭は微生物の生息地として機能します。微生物はバイオ炭の多孔質構造や表面に付着し、そこで繁殖・活動することで土壌生態系を活性化させます。これにより、土壌中の有益な微生物の数や種類が増加し、根の成長や栄養素の循環が促進されます。

炭素貯蔵能力:バイオ炭は炭素を豊富に含んでいます。土壌中に添加されると、バイオ炭は長期間にわたって安定して炭素を貯蔵することができます。これは、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の大気中への放出を減少させ、炭素循環を促進する効果があります。

pH調節作用:バイオ炭は中性から微酸性の性質を持っています。土壌中のpHを調整することで、酸性やアルカリ性の土壌を中和することができます。これにより、土壌の酸度や塩分濃度を調整し、植物の根の健康や栄養素の利用可能性を向上させます。

長期持続性:バイオ炭は非常に安定した性質を持っています。土壌中で分解されにくく、その効果が長期間にわたって持続します。そのため、一度の投入で長期的な土壌改善効果を享受することができます。

バイオ炭はどうやって作られる?

バイオ炭は一般的に自分で作ることも可能で、立命館大学カーボンマイナスプロジェクトが竹を使ったバイオ炭の作り方を紹介しています。

出典:ritsumeikan-carbon-minus.org

バイオ炭は、有機物を高温で燃焼させることによって作られます。
以下にバイオ炭の一般的な製造プロセスを説明します。

まず、バイオ炭の原料となる有機物が収集されます。
これには農業残渣、林業廃棄物、木質バイオマスなどが含まれます。これらの有機物は、再生可能な資源として利用されます。

次に、有機物を乾燥させます。
乾燥は、原料の水分含量を減らし、効率的な炭化を促します。
乾燥は通常、風力や太陽熱などの再生可能エネルギーを使用して行われます。

乾燥した有機物を高温環境で炭化させます。
これにより、有機物が熱分解し、炭素を豊富に含んだバイオ炭が生成されます。
炭化は、酸素供給を制御した環境で行われることで、燃焼ではなく炭素化が促進されます。

炭化が完了した後、バイオ炭は冷却され、不純物や灰を取り除くためにふるい分けや洗浄が行われます。これにより、純度の高いバイオ炭が得られます。

最後に、製造されたバイオ炭は適切な粒度や形状に加工されます。
これにより、畑への散布や堆肥への混合など、さまざまな使用方法に適した形態が得られます。

バイオ炭の製造プロセスは再生可能な資源の活用や廃棄物のリサイクルに貢献するだけでなく、環境への負荷を最小限に抑えることができます。

バイオ炭の効果的な使用法

バイオ炭はただ土壌に混ぜ込んで使用しても効果的な使用方法とは言えません。
むしろ間違った使用方法を行えば、土壌の状態を悪くしかねません。

バイオ炭は効果的な土壌改良や植物の栽培において幅広く利用されます。
土壌改良剤としては、適切な量のバイオ炭を土壌に混ぜ込むことで保水性や通気性を向上させ、根の成長を促進します。また、有機物と組み合わせて堆肥化することで、堆肥の品質を高めることも可能です。
また、植物の栽培においては、バイオ炭を植え付け穴に混ぜ込むことで根の成長を促進し、植物の生育を支援します。
バイオ炭は水分や栄養素を保持する特性があり、植物に必要な栄養素を効果的に供給することができます。さらに、微生物の生息地として機能するため、土壌中の有益な微生物の活動を促進し、根の健康や病害抵抗性を向上させます。

バイオ炭の適切な使用法は、土壌の状態や植物の種類によって異なる場合があります。
過剰な使用や誤った使用方法は効果を損なう可能性があるため、適切な量とタイミングで使用することが重要です。また、地域の気候条件や農業システムに応じて最適な使い方を検討することも必要です。

総じて言えることは、バイオ炭は持続可能な土壌改善のための貴重なツールであり、土壌の健全性向上や農業生産性の向上に寄与することができるということです。

バイオ炭を使用するメリット

バイオ炭を使用すると様々なメリットがあります。

土壌改良

バイオ炭は土壌の保水性と通気性を向上させ、根の成長を促進します。
また、有益な微生物の活動を促進し、土壌生態系を活性化させます。

栄養保持

バイオ炭は水分や栄養素を吸着・保持する特性があります。
これにより、土壌中の栄養素のロスを減らし、植物に必要な栄養を効果的に供給します。

炭素貯蔵

バイオ炭は炭素を豊富に含み、土壌中に添加することで炭素貯蔵が増加します。これは地球温暖化の原因である二酸化炭素の大気中への放出を減らす効果があります。

環境保護

バイオ炭の製造には再生可能な資源の活用や廃棄物のリサイクルが関わります。また、バイオ炭の使用により土壌中の化学物質の浸出を減らし、地域の水質保全に寄与します。

持続可能な農業

バイオ炭の使用により土壌品質が改善され、農作物の収量や品質が向上します。これにより、持続可能な農業生産が促進されます。

循環型社会への貢献

バイオ炭は再生可能な資源を活用して作られ、廃棄物の有効活用を促進します。これにより、資源の循環を促し、循環型社会の実現に貢献します。

簡単に説明しましたが注目を集めている理由として多くのメリットがあるためと言えます。

バイオ炭の問題点

バイオ炭は現在世界で掲げているSDGsにも貢献した土壌改善になるものですが、問題点もあり完璧とは言えないものです。
ここからはバイオ炭の問題点について解説します。

製造コスト

バイオ炭の製造には高温炭化プロセスや適切な施設が必要であり、製造コストが比較的高いという課題があります。
少量を作る分にはコストがそこまで大きくなりませんが、大規模な生産や普及に制約を与える可能性があります。

持続可能性

バイオ炭の原料となる有機物の供給は限られており、持続可能な供給源を確保することが重要です。
大規模な需要に対して十分な供給が行えない場合、環境への負荷や競合問題が生じる可能性があります。

クオリティコントロール

バイオ炭の品質は製造プロセスや原料の品質に大きく依存します。
品質の一貫性や標準化に課題がある場合、効果的な使用や市場への普及に支障をきたす可能性があります。

効果の一貫性

バイオ炭の土壌改良効果は環境条件や土壌の特性によって異なる場合があります。
効果の一貫性を確保するためには、適切な使用方法や適切な量の指針が必要です。

環境影響

バイオ炭の製造や使用に伴い、エネルギー消費や排出物の発生が発生する場合があります。
また、バイオ炭の使用によって土壌や水質への影響が生じる可能性もあります。
これらの環境影響を最小限に抑えるためには、適切な管理とモニタリングが必要です。

以上がバイオ炭の主な問題点です。これらの問題点を克服するためには、技術の改善や持続可能な供給源の確保、効果的なガイドラインの策定などが重要です。持続可能性や環境保護を考慮しながら、バイオ炭の利用を進める必要があります。

バイオ炭は今後どのようになる?

バイオ炭の利用は今後さらに増加すると予想されます。持続可能な農業や環境保護への需要の高まりに伴い、バイオ炭の潜在的なメリットが注目されています。

まず、農業分野では、バイオ炭の土壌改良効果や栽培へのポジティブな影響が確認されています。
持続可能な土壌管理や高収量農業の実現に向けて、バイオ炭の利用が普及することが予想されます。

また、炭素貯蔵や炭素排出削減への取り組みが重要視されている現在の状況において、バイオ炭は炭素貯蔵技術として注目されています。バイオ炭の使用により、炭素の長期貯蔵や排出の削減が可能となり、地球温暖化の防止に寄与することが期待されます。

さらに、バイオ炭は廃棄物のリサイクルや再利用にも適しています。農業や林業の廃棄物を有効活用することで、資源の循環を促し、廃棄物処理の課題に対処することができます。

ただし、バイオ炭の利用を拡大するには、技術の改善や効果的なガイドラインの策定、持続可能な原料供給の確保などの課題に取り組む必要があります。研究と開発の進展、政策のサポート、普及啓発活動などが重要な役割を果たし、バイオ炭の利用はより広がっていくでしょう。

まとめ

本記事ではバイオ炭による土壌改善について詳しく解説しました。
バイオ炭はまだまだ全国的に広まっている土壌改善方法とは言えませんが、これからの環境や作物に良い影響を与えてくれることは間違いないと言えます。

個人でも作れるバイオ炭、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか?

また「みんなで農家さん」では農業に関する様々な情報を掲載しております。
農業従事者からこれから農家を目指す方まで役に立つ情報が掲載されていますので、ぜひご覧ください。
https://minnadenoukasan.life/

最後までご覧いただきありがとうございました。

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