ゴミの処理って普段皆さんはどのようにしていますか?
各自治体の条例にそった曜日に決められた袋に入れてゴミステーションに捨てておけばゴミ回収車がきて処理してくれていますよね。
ごくごく当たり前のゴミの処理方法だと思います。
しかし、事業を行っている場合にはこのように普通にゴミを捨てることができないのはご存知でしょうか。
事業からでたゴミは産業廃棄物としてゴミの捨て方が決められています。
これは事業を行っている会社であればどこでも同じになります。
農業でも同じことが言えます。
農家でも一般のゴミのように農業ででたゴミを一般のゴミに捨ててはいけません。
では、どのようにして捨てればいいのでしょうか。
今回は農業のゴミの処理方法についてどのようにして処理をすればいいのかを紹介していきます。
新規で農業に参入を検討している人は農業を始めてからゴミの処理に困らないようにぜひ処理方法について知って頂ければと思います。
間違った処理の仕方をすれば違反になり罰金などにも繋がりますので注意してください。
ゴミの処理方法
ゴミの処理方法には大きく分けて3つの区分があります。
・産業廃棄物
・事業系一般廃棄物
・一般廃棄物
この3つに大きく区分されています。
私たちが普段の生活で捨てているゴミは一般廃棄物に該当しています。
一般廃棄物とは、家庭のゴミ粗大ゴミ、し尿などです。
これらも各自治体によって処理のための袋やゴミの分別が違ったりします。
普段何気なく行っている燃えるゴミや燃えないごみ、ビン、缶なども一緒にするのか別にするのかも自治体の処理によって多少違いがあるので注意が必要です。
次に産業廃棄物と事業系一般廃棄物とは何が該当するのかについて紹介していきます。
産業廃棄物と事業廃棄物の違い
農業での産業廃棄物と事業系一般廃棄物の違いとしての区分は下記のようになります。
産業廃棄物は全20種類に分類されており全事業活動12種類、特定事業活動7種類、その他1種類と分類されます。
下記に記載のものはこれらの全てを含んだものになります。
産業廃棄物
・廃油
・農薬
・廃プラスチック類(ハウス用ビニール、マルチポリ、テープ、プラボトル等)
・金属くず(使用済み農薬缶、ハウス用パイプ等)
・ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず:使用済み農薬びん等
・木くず:製材所等から生じる木材片、木皮、おがくず等
・動物系固形不要物(畜場及び食鳥処理場における家畜の解体等に伴って生じる不要物、家畜ふん尿:畜産農業に係るもの)
・家畜の死体(畜産農業に係るもの 上記産業廃棄物を処分するために処理したものであって、これらの産業廃棄物 に該当しないもの(コンクリート固型化物等))
事業系一般廃棄物
産業廃棄物以外のもの
・木くず(抜根、伐採材(建設工事に伴うものは除く。)等
・紙くず:肥料袋等
・繊維くず:天然繊維ロープ類等
このように分けられています。
参考、引用元:https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kankyo/kankyo/files/nourintikusan.pdf
農業では出されるゴミはこの分類に該当するもので処理をしなくてはいけません。
農業産業廃棄物の管理
農業の産業廃棄物の管理は法律でどのように管理をするのかが定められています。
どのように管理しなくてはいけないかは下記のようになります。
産業廃棄物を保管する場所には囲いを設けて、以下の内容を明記した掲示板の設置が必須です(大きさは縦・横とも60cm以上)。
(1)「産業廃棄物保管場所」という表記
(2)保管する産業廃棄物の種類
(3)保管場所の管理者氏名(法人の場合は名称)と連絡先
(4)容器に入れずに屋外で保管する場合は、最大の積み上げ高さ
これは産業廃棄物の保管基準が産業物処理法によって決められている内容です。
この内容は農業だけではなく他産業でも同様に設置しなくてはいけません。
例えば建設業界でも同じように産業廃棄物が出るため工事現場内にこのように産業廃棄物用のコンテナを設置して表記を行っています。
この設置の目的として第三者から見られた際に不当放棄をしていないことを見やすくしているのと保管者の責任が誰にあるのかをはっきりとするためでもあります。
特に産業廃棄物は環境保全について取り上げられているこのご時世においてきちんとした処理がされているのかを確認するのに非常に厳しくなってきています。
そのため、農業で言えばGAP(農業生産管理工程)によって産業廃棄物の削減を目指していかなければいけません。
産業廃棄物の処理方法
産業廃棄物の分類(区分)については何がどこに該当するのか分かって頂けたかと思います。
それではここからは実際にどうやって処理をすればいいのかについて紹介していきます。
産業廃棄物を処理するためには、産業廃棄物を処理する事業者に産業処理委託契約をする必要があります。
また、自身で産業廃棄物の処理の許可を受けている無署に持ち込む方法もあります。
注意しなくてはいけないマニフェストについて
マニフェストって何?と思われるかもしれませんのでマニフェストについても紹介していきます。
マニフェストは産業廃棄物を処理した後に保管しとかなければいけない物で非常に大切になりますので必ず無くさないようにしてください。
マニフェストとは
産業廃棄物が契約通りに適切処理されたかを確認するために排出事業者が交付する伝票のことです。
これがなぜ大事なのかというと昔は産業廃棄物などの不当投棄が非常に多くあり山の中
などにゴミが大量に捨てられるという事態がありました。
また、産業廃棄物を処理するのにもお金が係るため産業廃棄物を受けとった認定業者であっても処理費用を浮かせるために不当投棄をするといった事例が過去にありました。
そのため、産業廃棄物を委託して出したとしても処理されるまでは産業廃棄物を出した事業者が例え不当投棄をしていないとしても責任は産業廃棄物を出した事業者の責任になってしまいます。
そのため、こういったことをなくすために産業廃棄物が適正に処理されるまでの過程をきちんと管理できるようにマニフェストとして交付してどこまで処理されているのかを確認できるような仕組みが作られました。
マニフェストは5年間は保存しておこなければいけません。
産業廃棄物の排出量
環境省の産業廃棄物の処理状況の報告書より
令和元年度総排出量は3億8,596万トンで前年度3億7,883万トンよりも増加していることがわかります。
このうち農業、林業の割合は8126万トン21.1%と全体の20%を占めている状況です。
種類別の排出量を見てもTop3は汚泥、動物の糞尿、がれきとなっておりこれらが全体の8割を占めています。
農業に関わるものが産業廃棄物の中でも非常に大きいウェイトを占めているので今後産業廃棄物の削減に取り組んでいかないこともそうですが、これだけのウェイトを占めているので適切な処理をきちんとしなくてはいけないことが分かるかと思います。
環境保護や資源の有効活用のためにも産業廃棄物のリサイクルは適切な処理ももちろんのことながら重要なことです。
実際にリサイクルとして再生利用されているのは2億0,357万トンで52.7%と約半分が再生利用されています。
農業では多く利用されるマルチフィルムも使用後に自然界で分解される生分解性マルチフィルムの活用がされていたりと排出量を削減する取り組みが行われていたりします。
参考、引用元:環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和元年度実績)について』https://www.env.go.jp/press/110498.html
産業廃棄物の活用
自然環境に関する課題を乗り越えながら持続的な農業(サスティナブル・アグリカルチャー)を推進するために、バイオマスの活用が注目されています。
これは、農業廃棄物を削減する取り組みと産業廃棄物を有効に活用できないかと近年取り組みの中で着目されるようになったものです。
具体的にバイオマスとはどんなことかといううと
バイオマスとは再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもののことをいいます。
つまり、産業廃棄物の動物のふんや尿を利用してエネルギーを生み出すことをいいます。
先ほど環境省のデータから紹介したように動物のふんや尿の排出量は非常に多くなっています。
動物のふんや尿を削減するのは動物の生理現象のためどうすることもできません。
そのため、このバイオマスの活用によるバイオ発電は今まで削減と再利用が難しいとされてきた問題にとって画期的な取り組みとされています。
まとめ
農業などで排出されたゴミは一般のゴミのように処理することができません。
一般のゴミと一緒に処理した場合違反として罰則されることもあります。
また、ゴミを野焼きや自分の土地だからと埋めてしまうことも禁止されていますので、めんどくさくても行わないようにしてください。
処理する場合は産業廃棄物処理認定を受けている事業者と委託契約をするか自分で持ち込む必要があります。
農業を始めたばかりの方は必ず産業廃棄物の処理方法を近くの自治体で確認して産業廃棄部を処理するための契約を行うようにしてください。
また、マニフェストがあるように産業廃棄物を認定業者に任せたから終わりではない点についても注意が必要です。
産業廃棄物は処理されるまでは、廃棄物を出した事業者に責任がありますからマニフェストによってきちんと最後まで処理されたことを確認すること、処理後もマニフェストを5年間は保管してください。(法律で定められています。)
近年では元々紙での交付でしたが、電子化によって管理も承認もスムーズに行えるようになっているのでこれから契約する人は電子化によるマニフェストの交付を推奨いたします。
農業でも事業でも産業廃棄物はどうしても発生してくる物になります。
削減に取り組むのもそうですが、まずは適切な処理をするようにきちんとした手続きを行うようにしてください。
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