【害虫対策】カマキリは農家の味方?カマキリ農法のススメ

臨戦体制カマキリ

農業を行う上で厄介な存在なのが「害虫」です。
ムシャムシャと丹精込めて育てた農作物を食い荒らしてしまう非常に迷惑な敵です。

さらに、害虫被害にあって弱った種から病気が拡大することすらあります。

厄介な害虫予防と対策のために利用されるのは農薬が多いのですが…。
農薬には「農作物の抵抗力低下」「栄養素の劣化」「環境へのダメージ」などなど。
多くのデメリットもあるのです。

農薬を控えていこうという農家さんも増えてきてきます。
農薬以外の害虫対策の一種として注目されているのが「天敵農法」です。

今回はその一つであるカマキリを使った「カマキリ農法」について解説します。

目次
1.カマキリは害虫の天敵?

1-1.カマキリは農家の味方?
1-2.害虫駆除に天敵農法!
1-3.カマキリが食べてくれる害虫
2.カマキリの生態
3.カマキリ農法のススメ
4.その他の益虫
5.まとめ



1.カマキリは害虫の天敵?

身構えるカマキリ

1-1.カマキリは農家の味方?
我々にとって「カマキリ」という虫は身近な存在です。
私は、柴犬とカマキリが対決している動画を見たことがありますが笑

カマキリに対して共通するイメージ。
それは、「他の虫を捕まえて食べる昆虫」ではないでしょうか。

そのイメージ通り、カマキリは他の虫を捕食する昆虫です。
その捕食対象の虫には、農業における「害虫」も含まれているのです。
それ故にカマキリは「害虫」とは対をなす「益虫」とも言われているのです。

「益虫」とは、一般的には害虫駆除してくれる虫のことを言います。

さらに、他の形でも人間の生活に役立っていれば益虫と呼ばれています。
ちなみに、小動物も益虫の中に分類されるのです。
益虫にもなり害虫にもなる虫もいます。

もっとも、これらの定義は人や環境によって左右されているわけです。
というわけで、絶対的な益虫というのは存在しないともいえます。


1-2.害虫駆除に天敵農法!
農業における害虫をそれらの天敵である虫を利用して駆除を行う農法を
「天敵農法」と言います。

益虫が害虫を駆除してくれるため、農薬の使用を控える事ができます。

これにより、農薬のデメリットである
「農作物の抵抗力低下」「栄養素の劣化」「環境へのダメージ」を避ける事ができます。

「カマキリ農法」は「天敵農法」の一種と言えます。
カマキリ以外にも害虫にとっての天敵はいます。

近年では生物農薬として開発もされるようになったのです。

ナス農家でよく利用されている益虫に「タバコカスミカメ」という虫がいます。
数ミリほどの緑色の虫です。
ナスの代表的な害虫であるコナジラミなどを食べてくれる益虫なのです。

ナス収穫量が1位の高知県では、県内ナス農家の90%以上が「タバコカスミカメ」を導入。
害虫が発生する前には、ゴマの葉などを食べて成長します。
しかし、主要な収穫物であるナスには害を与えないのです。

高知県では益虫を利用した農法に切り替えたことによって、
週1回撒く必要があった農薬も不要となりました。
一度虫を放てば害虫を食べてくれるため、コストもかからないとのこと。

また害虫の代表格アブラムシの天敵としておなじみのテントウムシ。
「生物農薬」としても、活用される益虫の一種です。

生物農薬として販売される益虫は品種改良が行われています。
生物農薬のテントウムシは、飛翔能力に乏しいのが特徴です。
登録される場合には国の審査が必要となり、承認を得なければ販売することはできないのです。

その承認項目の中には、「生態系のバランスを乱さない」ことが含まれています。
これは生物農薬に含まれる外来種が、繁殖により日本国内の生態系が乱さないためです。

人為的に飛翔能力の低い個体を選抜し、
遺伝的に飛翔能力がなくなるように育てられた虫だけが生物農薬として登録されます。

そのため、遠くへ移動することはできず、
もし、農地の外へ飛び出してしまっても、野生で生きることが出来ないようにされています。

同じくアブラムシの天敵であるコレマンアブラバチ。
こちらの虫も、生物農薬として販売されています。

アブラムシに寄生することで害虫増加を防ぐ特徴があります。
探索能力に長けているという特徴があるのです。

常にアブラムシを探して飛び回るため、アブラムシ駆除にかける労力を省力化できます。


1-3.カマキリが食べてくれる害虫
カマキリは害虫を捕食してくれるため、
農家にとっては多くの場合は益虫になってくれます。

どのような害虫を捕食してくれるのかを見てみましょう。

〈カマキリの捕食対象〉
・アオムシ
・アブラムシ
・ダニ
・バッタ
・コオロギ
・ゴキブリ
・ハエ
・蚊
・蝶
・蟻


アオムシやアブラムシなどの、農作物の天敵となる様な害虫をたくさん食べてくれます。
カマキリは肉食なので、農作物を食べられる心配もありません。

安心して野放しが可能なのも嬉しいところです。
これらの理由で「カマキリは益虫」とされる事が多いのです。

ちなみに、カマキリは益虫にもなり得る、「クモ・カエル・トンボ」も捕食してしまいます。
この点は注意しましょう。

2.カマキリの生態

カマキリの生態

農家の味方になってくれるカマキリ。
どの様な整体をしているのかを解説します。

カマキリは成虫で体長6cm~10cmの黄緑色または褐色の昆虫。
最大の特徴は鎌のような前足で、鋭いトゲを持っています。

まさしく鎌です。

この鎌のような前足で他の昆虫をバサッと捕まえて食べてしまうというわけです。

分布地域は、北海道から九州まで。日本列島全土に生息しています。
草むらや雑木林に生息し、夏から秋にかけて多く見られます。

分布エリアこそ広いのですが、
あまり飛行能力がないので遠くまで移動することはできません。

カマキリは、1つの卵鞘(らんしょう)から数百匹もの幼虫が生まれます。
生まれたときから成虫と同じ形をしており、さなぎにはなりません。

幼虫のときには、ほとんどが他の昆虫や鳥などの餌になってしまいます。
しかし、成長すれば昆虫の世界において食物連鎖の上位に君臨します。

カマキリは害虫を食べてくれる益虫扱いをされます。
しかし、実際には害虫だろうと益虫だろうと見境なく食べる虫です。

身体が成長するに伴って、捕食する虫の大きさが変化していきます。

オスとメスではメスの方が大きいのも特徴です。
産卵直前で栄養が必要なメスは動くものであればガンガン捕食します。

その捕食のターゲットとなるのは、同種のオスも含まれます。
「カマキリのメスがオスを食べる」というお話は有名です。

3.カマキリ農法のススメ

カマキリ農法のススメ

カマキリ農法とはカマキリに害虫を捕食させることによって、
農薬不使用で害虫駆除を可能にする農法のことを言います。

カマキリは「待ち伏せ」によってエサを捕獲するのです。
まるでハンターですね。

さらに、あまり動かないカマキリは農地に定着しやすいというメリットもあります。
農地に定着してくれれば、害虫をムシャムシャ食べ続けてくれます。

ちなみに、中国で行われたカマキリ農法の実験があります。
180万匹以上のカマキリを放して害虫駆除を行った結果、
農薬の使用を抑えて、農作物の収量が増えるという良い結果が出たのです。

カマキリ農法を行うには、カマキリの卵鞘が必要になります。
卵鞘を入手するには、秋の畑に行くのがオススメです。

畑の野菜の残渣などにカマキリの卵鞘が付着している事があります。
特にアスパラガス・モロヘイヤ・オクラなどに付きやすいので要チェック。

卵鞘を発見したら持ち帰りましょう。可能であれば、屋外の寒いところで保管します。
温かいところで保管すると、春を待たずに孵化してしまうためです。

翌年の春になったら畑に卵鞘を戻しましょう。
害虫の多いところに置いておくのがオススメです。

前述した通りカマキリは行動範囲が狭いため、畑に定着しやすいです。
長期的に害虫を駆除してくれます。

カマキリ農法を使えば農薬の使用量を控えたり、無農薬栽培も可能です。

ですが、農薬を使いたくないからと言って、
「カマキリの数を必要以上に増やしてしまう」というのはやめた方がいいでしょう。

その付近の生態系に悪影響を及ぼす可能性もあります。
何事にも限度があります。

カマキリ農法で害虫を駆除する場合は、カマキリの投入数には要注意です。

何度も言いますが、カマキリは害虫だけでなく他の益虫も食べてしまうという欠点があります。
益虫の中には作物の成長に必要な種類もいます。

カマキリ農法が悪影響を及ぼす可能性もあります。
万能の農法ではないのです。影響を考えながら活用しましょう。

害虫被害を抑制するための方法としては、コンパニオンプランツの活用も有名です。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(【相乗効果!】助け合って生長!コンパニオンプランツリンク)

4.その他の益虫

その他の益虫

前述しましたが、カマキリ以外にも益虫はいます。
もちろん、環境によっては益虫にはならないケースもありますが…。

駆除したい害虫によって天敵を使い分けていきましょう。
カマキリ以外で益虫に分類される虫は以下のものがあげられます。


・テントウムシ
益虫としては有名な存在です。
アブラムシ・カイガラムシ・ハダニ・どんこ病の菌などを捕食してくれるます。
植物の汁を吸うことがあるので、害虫となるケースもあります。
見た目のかわいさからも人気な昆虫ですね。
テントウムシについてはこちらの記事もご覧ください。
(【害虫退治】アブラムシの対策にも?テントウムシで農業を守れリンク)


・トンボ
蛾・バッタ・ボウフラなどの害虫を捕食してくれる益虫です。
しかし、トンボは成虫になるとミツバチなどの益虫も食べてしまいます。
要注意です。

・クモ
アシダカグモやハエトリグムなどは、ゴキブリやハエなどの害虫を捕食してくれる益虫です。
もっとも、クモも一部益虫を食べてしまうケースがあります。

・ミツバチ 蝶
ミツバチや蝶は花の蜜を集めるために、花から花へと飛んでいきます。
その際に受粉の手助けをしてくれ、植物の繁殖に大きな役割をもっています。
このことから、益虫になります。

ミツバチは、集めた蜜が甘くて美味しいハチミツになります。
全国の甘党にとっては間違いなく益虫な存在ですね。

・ミミズ
虫ではありませんが、ミミズは最強の益虫と言われています。
落ち葉や植物の残りカスなどの有機物を食べてくれます。
土中などに糞をして、この糞が植物の養分をつくっってくれます。
土壌づくりに必要不可欠な微生物を活性化してくれる存在なのです。

化学肥料を使わない自然農法をされたい方にとってはスーパー益虫とも言えます。
害虫駆除にはさまざまな方法がありますが、

農薬使用を控えたい方には、「天敵農法」は活用できる農法ではないでしょうか。

5.まとめ

今回の記事は「カマキリ農法」についての記事でした。
カマキリは身近な昆虫ですが、農家にとっては付き合い方を知れば、
非常にありがたい「益虫」ですよね。

害虫は悩ましい存在ですが、最適な対策を取って被害防止をしていきましょう。

当サイト「みんなで農家さん」では、国産バナナFCを通じて
「新規就農」への支援事業を展開しています。

今まさにブレイク寸前!と言われている事業です。
共に農業を盛り上げていきませんか?
充実したサポート体制があるので、安心です!

「害虫対策」以外にも盛り沢山の情報を発信しています!
「超お得な支援金情報」「自慢できる農業豆知識」「農業の裏技」などなど。

ぜひブックマークして、あなたの農業知恵袋として、お役立てください。

報告する

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。